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劇団四季創業者・浅利慶太氏から学んだ経営論&人材育成論

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経営者勉強会の講師

経営者勉強会で講師をしてきました

上場企業の経営者が集まる定期勉強会でゲスト講師をしてきました。

 
タイトルは
「感動を創造する組織“劇団四季”の人材育成術」です。

 
この勉強会は、参加している経営者の方々が若かれし頃に熱き思いと志をもとに結成された勉強会で、何十年も続く由緒ある経営者勉強会です。

 
・現役の上場企業の経営者の方
・上場を果たした後に相談役や会長として関わっている方
・大手出版社で代表を務めたのち現在は別の会社で代表をやれている方
・偉大な功績で皇室から褒章を受けている経営者の方
・二代目として会社を引き継いでいる経営者の方

 
などそうそうたるビジネスリーダーを前に若輩者の私が恐れ多くも講師を務めさせて頂きました。

 
私は劇団四季というプロの世界に約10年在籍し主役も経験しました。その際、幸運にも劇団四季の創業者である浅利慶太氏に直接指導して頂いたという貴重な経験があります。

 
劇団四季は、あらゆるサービス系企業から突出した存在の顧客満足度ランキング1位の常連企業です。年間300万人を集客し200億を売り上げています。舞台ライオンキングは15年以上も長期上演を続け、リピーターや固定ファンがとても多いまさに「感動創造企業」です。

 
今回の経営者勉強会ではそんな感動創造企業の話を、創業者である浅利慶太氏のエピソードなどを交えながら人が育つ環境や仕組みについてお伝えさせて頂きました。

経営者勉強会で講師をした経緯

今回、この由緒ある経営者勉強会に私が講師として呼んで頂いた経緯は、私の講演に以前参加して下さった経営者の方からの紹介でした。

 
その講演は「感動を創造する言葉の伝え方」という内容だったのですが、その講演の際にたんなるコミュニケーションの話だけで終わらせず、そこから切り込んで人が育つ組織文化や経営哲学・経営理念についても深く伝えました。

 
その経営者の方がその内容に深く感動してくださり、今回の経営者勉強会での登壇依頼をその場で受けたのです。

 
私が育ててもらった劇団四季の哲学や経営理念を多くの経営者様に伝えるのは私にとって貢献という意味でもこの上ない喜びですので、私はこの機会を快く受けさせていただきました。

“人が商品”の劇団四季の人材育成論

今回の経営者勉強会では、講話のはじめに劇団四季の人材育成論についてお話させて頂きました。

 
ライオンキングやオペラ座の怪人やキャッツなど有名な作品を上演しているから人気があるというイメージを持っている方がいるかもしれませんが、作品選びよりも遥かに重要視していることが人材の育成です。

 
人が商品という考えがあるからです。そのため劇団四季では、徹底した研修システムを構築していて人を育てる仕組みが体系化されています。

 
劇団四季以外にも他のプロダクションはありますが、人材育成に多額の投資をしているところはあまりありません。有名な作品に有名人を配役して、スターの人気を使って集客します。すると客は作品ではなくスターを見にくるという構図がなりたちます。そのため長期的に興行が成り立つということがほとんどありません。

 
そうではなく、ロングラン(長期上演)が成立させるためにはクォリティの高い作品を継続的に観客に届ける「人」を育成する。このことを第一優先的に考えているのです。

 
商品よりもまず人ありきという劇団四季の価値観を経営者の皆様に伝えさせて頂きました。

経営者勉強会の講師

浅利慶太氏が確立した明確な方法論

そして劇団四季では明確な方法論が確立されているという話を経営者の皆様にしました。

 
劇団四季には、“この練習をすればプロレベルになれる”という方法論(型)があります。

 
劇団四季に限らずプロの世界には必ず型があります。歌舞伎にしても能にしてもサッカーにしても花道や茶道においても、です。

 
まずは型の体得を徹底して、それを礎にして進化を遂げます。

 
劇団四季の場合は、呼吸法・母音法・フレージング法です。
まずは型である呼吸法を身につけ、どんな状況に置かれても安定した呼吸をコントロールする術を繰り返し練習して体に落とし込むのです。

 
これにより声が飛躍的に出るようになり、歌唱力が飛躍的に上がります。作品を観客に届けるための発声や歌や演技の礎が呼吸法です。私もこの呼吸法を体得することにより、まるで別人のような声が出るようになり、プロレベルへと進化できた実感しております。

 
たとえ不器用で実力がまだ足らずとも、努力を重ねて型を体得し、僅か一年で大化けする人材を私は何人も見てきました。

この方法論を常に研究し進化させているのが劇団四季です。

経営者勉強会の講師

実際に圧倒的な声量を披露している筆者

 
どんなに作品が素晴らしくても、その内容を正確に顧客に届けなければ作品の魅力は伝わらず、繁栄(ロングヒット)は続きません。

 
そこで、プロへと成長した人材が母音法・フレージング法という方法論にのっとって、作品の内容を正確に顧客に届けます。

 
「人が共感する」「人が感動する」こういった暗黙知を感覚で済まさずにしっかりと形式化し、言葉として定義化して常に全員のベクトルを合わせています。

経営者勉強会の講師

感動を創造する言葉の定義についてより深く理解出来る記事はこちら
中途半端なプロよりも素人の方がよっぽど感動する理由

 
創業者の浅利慶太氏は、よくこう言っていました。
「劇団四季は日本全国に専用劇場があり、立派なトレーニング施設や作品制作のアトリエをたくさん持っている。しかしこれらは劇団四季の財産ではない。劇団四季の財産は方法論である。この方法論を常に進化させ伝承してきたことが、劇団四季が奇跡の繁栄をなした理由である」

 
方法論は組織でいいますとマニュアルがわかりやすいかもしれません。まずはマニュアルを徹底的に叩き込む。その共通認識を全員で共有する。 マニュアルを形骸化せずに進化させて改善を続けるというのはどの業種でも同じことでしょう。

 
世界には200年続いている企業が5000社近くあります。そのうち3000社近くは日本の企業です。長寿企業は企業の財産(方法論)をしっかりと形式化し、息吹を込めて伝承してきたから永い繁栄を続けることができたのではないか。

 
このようなことを経営者の皆様に伝えさせて頂きました。

人材が育つ組織文化

次に経営者の方々の表情が変わったのが、劇団四季の組織文化についてです。

 
劇団四季では人がプロとして成長する組織文化が伝承されています。
組織文化とはルールや規則ではなく、そこで働く人々の無意識の当たり前。行動の源泉です。

 
劇団四季の場合、出演者が舞台上に第一歩を踏み入れる際に「なぜ自分はこの場にいるのか?」と存在意義と目的を自分に問う文化があります。

 
劇団の中ではゼロ幕と呼ばれています。1幕2幕ではなくゼロ幕が一番重要という考えです。この文化により人材が自分で考え行動するようになり、プロとして大きく成長します。

 
このゼロ幕の文化こそが劇団四季の強みであり、顧客満足度が高まる大きな要因だということを経営者の方々にお伝えしました。

ゼロ幕についてより深く理解出来る記事はこちら
ライオンキングはなぜ15年もロングヒットを続けられるのか?

大切なものを伝承する文化

その他、創業メンバーの命日には、創業期の熱き思いや苦労話やエピソードを、関わりのあったベテラン俳優が若手に語る文化や、亡くなられた先輩方の写真が飾られたメモリアルルームに現役の劇団員が集まって感謝する文化などもお伝えしました。

 
「創業メンバーが苦労してチケットを手売りし、今の劇団四季があるんだ」
「私たちは先輩方が苦労して積み上げた土俵の上で仕事をさせてもらっているのだ」

 
血を通わせる逸話を通してこう感じたものです。

 
創業期の熱き血潮を、組織の一人一人に通わせることはどんなにその組織が大きくなっても大切なことですし可能なことであります。

 
その他、CSRの取り組みを通して人材が誇りを持ちプロ意識を身につけるというお話しも経営者の皆様に伝えさせていただきました。

経営者勉強会の講師

劇団四季のCSR「こころの劇場」について語る筆者
 
そして浅利慶太氏の俳優をモチベートする独特な承認の仕方のお話しなども経営者の皆様にさせて頂きました。

具体的な承認のエピソードがわかる記事はこちら

理念が全ての活動の核

最後に劇団四季の活動の核である理念について経営者の皆様にお話しました。

 
この理念が、劇団四季がライオンキングなど15年以上のロングヒットを続けられ観客動員が年間300万人を超えている理由です。

 
作品作りの過程においてクォリティを最優先にしていることもあるのですが、さらにその核となっているのが、劇団四季が大切にしている理念です。

 
何(what)
どうやって(how)やるのか?

ではなく

なぜ(why)やるのか?

 
を最も重要にしているとお伝えしました。

 
このなぜ(why)こそが企業でいう理念です。

 
すると勉強会の後にある経営者の方から
「理念の大切さをこのように見える化し、違う業界の視点で再確認できたことはとても有意義な時間だった」と声をかけて頂きました。

経営者勉強会の講師

劇団四季の理念について深く理解出来る記事はこちら
→社員の理念浸透を目的とした講演のゲスト講師をしてきました

一般企業が劇団四季・浅利慶太氏から学べる点

この経営者勉強会では以下のように、一般企業が劇団四季から学べる点としてまとめさせて頂きました。

 
・仕事の型・方法論の体系化
・人が育つ文化環境づくり(種を例に)
・社会貢献活動による自尊心の向上
・理念浸透の力
・大切なものを伝承する文化

 
です。

 
浅利慶太氏は「今の技術ではなく伸びしろ・可能性を評価する」という深い着眼点をもっています。不器用かもしれないが努力を継続するタイプの人材を高く評価するのです。なかなか評価を受けることがながった私が、浅利慶太氏のこの視点で引き上げて頂き30歳半ばにしてやっと花開いたという話をして、この勉強会を締めさせて頂きました。

 
この経営者勉強会の後、参加された経営者の方数人から即、私に研修の相談を受けたことをとても光栄に感じました。

 
これからもわたくし佐藤政樹は、私でしかお伝えできない劇団四季での経験を一人でも多くの経営者の方々に伝えて、組織の繁栄にお役に立てるような講話をしていきたいと思います。

 
→佐藤政樹へ経営者勉強会講師の依頼はこちら

 
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