コラム|佐藤政樹 劇団四季元主演 オフィシャルHP

夢と感動を届ける人材育成トレーナー 佐藤政樹
HOME > コラム > なぜ、恵まれた職場でも不平や不満が生まれるのか?

なぜ、恵まれた職場でも不平や不満が生まれるのか?

LINEで送る
Pocket

■万全の環境を整えるトップvsありがたみに気づかない新卒社員

 プロ組織のトップマネジャーは、人材を成長させることを組織発展のための重要優先事項として必ず位置づけます。社員が育たなかったら組織そのものも衰退してしまいます。社員の成長が組織の成長。その人材こそ宝ということをわかっているからです。

 
トップマネジャーは、人の成長には準備と根気が大切という事もわかっています。そのため、組織で働く人材が成長するための準備・環境を万全に整えます。私が10年間在籍していた劇団四季というエンターテイメントの世界ではそれが顕著でした。

■環境のありがたみに気づかない新卒社員

 私は、アマチュアの5年間を経て、劇団四季というプロの世界に入ったのですが、入団後にとても驚いたことがあります。そこには、成長のための環境が完璧に整えられている世界が広がっていたのです。

 
広い稽古場がたくさんありました。個室がいくつも用意されていてそれぞれの部屋に鏡やピアノが用意されていました。一流の講師のレッスンを無料で毎日受けられました。これらはアマチュアの頃には考えられなかったことです。

 
アマチュアの頃は練習する時にはお金を払って公共施設を借りるのが当たり前でした。個人で発声練習などする時、大きな声を出すと周りに迷惑ですからお金を払ってカラオケボックスで練習をしていました。

 
ピアノなど置いていませんのでカラオケボックスに小さなキーボードを持ち込んで練習のために使っていました。しかしプロの世界に入ったら、それらがすべて用意されているのです。使用時間を気にする必要もありませんしもちろんお金もかかりません。

 
声に負担をかけないように劇場の楽屋には加湿器がすべての部屋に設置されていました。舞台上では埃が舞うことによってパフォーマンスに影響が出ないように蒸気が噴出されるようになっています。なんてありがたいのだろう…、と感動したのを覚えています。

成長のために整えられた環境

※写真提供 PHOTO AC

ただ、そのありがたみに全く気付いていない人たちがいました。どんな人だと思いますか?それは、会社でいったら新入社員。学校を卒業した後に社会経験を踏まずに、そのままストレートで入団してきた人達です。

■すべては成長のため。経営者は人に先行投資をしている

 劇団四季に入る前に必死に頑張っていた時に私は、一流の講師のレッスンを受けるためにアルバイトで汗水たらして稼いだお金を握りしめてレッスンを受けに行きました。元をすべて取ろうと思って超集中力をもってレッスンに望みました。

 
それがプロの世界に入ると無料で一流の講師のレッスンを受けられるのです。感謝して当然です。

 
しかし、ストレートで学生からそのまま入団してきた人たちは、お金を払わないで無料で一流の講師のレッスンを受けられることが、当たり前の感覚になっています。

 
稽古場がある事、個室がある事、鏡もピアノも用意されていること。これらのありがたみを、苦労して途中で入ってきた人たちのように分かっていない人が多く見受けられました。

 
舞台の世界は特殊な世界ですので、ほとんどの人が生計を立てることが出来ません。私も劇団四季に合格するまではずっとアルバイトをしていて固定給を貰ったことは一度もありませんでした。とても不安定でした。

 
しかし、プロの世界に入ったら好きな舞台のことに専念できて固定給がもらえるのです。毎月毎月、決まった額がもらえました。またそれが、「俺たちは舞台だけで生計を立てているプロなんだ」という自信と自己概念を上げるきっかけにもなりました。

 
なんてすごい事なのだろうと感激しました。給料をもらうという概念がそれまで一回もなかったからです。

 
しかし、学校を卒業して若くしてストレートで入ってきた人たちは、固定給を貰えるというありがたみを全く分かっていないようでした。逆に給料に対して不満を漏らしている声が聞こえてきたこともありました。

 
これは全ての組織に言えることですが会社や組織は、入ってきた人を育てるために先行投資しているのです。それは、固定給だったり、会社の設備だったり、快適に過ごせるような環境面を整えているのです。いち早く、新人を育て上げたいという気持ちがあるからです。

■当たり前のことにどれだけ感謝できるか?

 なにをお伝えしたいかと言いますと、このコラムを読んで頂いているあなたがもし新入社員だとしたら、どれだけ自分が素晴らしい環境にいるか、会社が、組織で働く人の成長のために準備した環境にいるということがどれだけ凄いことなのかを改めて考えていただきたいと思います。

 
私は多くの企業で新人研修や若手研修をやる機会があります。ある大手の人事の方は内定者研修で「この子たちは、すべて恵まれた環境で入ってきているから、綺麗な机もオフィスも研修会場もまるで当たり前だと思っている。でもね、先輩たちが汗水たらして働いたお金で買ったもの。そういう意識をもつだけで、先輩に感謝できたりするんだよね。」とおっしゃっていました。

私は本当にその通りだと思います。

でも、初めから満たされているとなかなか気づけないものです。例えば、日本は夜中でも安全な国ですが、海外でそうではありません。でも、日本の「安全」に感謝しろと言われてもなかなかできないかもしれません。

成長のために整えられた環境

※写真提供 PHOTO AC

しかし、仕事の場合は当たり前だと思っていると、いつかその環境が無くなったときに苦労するかもしれません。
会社はあなたを採用するまでの間に物凄いお金をかけています。とても高い固定費を毎月払っています。あなたが成長した後の将来の価値にかけています。

 
毎月毎月固定給をしっかりと貰えるということがどれだけ恵まれているかということを感じてもらいたいのです。

 
感謝の気持ちも持てずに真摯な態度をとらずに不平不満をもらして、それを態度に出して転職をしたとしても、それが将来的に自分の幸せな未来に繋がるかといったらそうではないかもしれません。

 
たとえ、上手くいったとしてもたまたまいい波に乗っている可能性が高いです。不平不満から生まれた波は2~3年もすればいずれ衰退するでしょう。感謝の気持ちが持てない人は、波の衰退とともに不平不満を再びもらしはじめます。

 
今いる環境のどんなところに感謝が出来るか?恵まれていると感じられるか?その神経を張るだけで毎日の景色が変わってくるでしょう。

 
※シェアはご自由です。
この記事を必要としている方にあなたの分かち合う素敵な心を届けてください。

LINEで送る
Pocket

「人前で話す直前に見る究極のバイブル」
 
・なぜ、人は感動するのか?その表現の本質
・人前で話す人は必見の伝達力を高める5つの原則
・うまく話せなくても伝わるのはなぜか?

など人前で話すビジネスパーソンに役立つ情報満載です。
無料ですので、ぜひダウンロードしてください!!

SNSでも発信してます
 
テーマ: マネジメント タグ: , ,

関連する記事

カテゴリー「マネジメント」の記事