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ライオンキングをロングヒットへと導く究極の文化”〇〇”とは?

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■ロングヒットを続けられる要因の文化”〇〇”とは?

 ミュージカル「ライオンキング」をご覧になったことはあるでしょうか?ライオンキングは15年以上も上演され続けているメガヒットミュージカルです。

ライオンキング

 
大人から子供まで世代を超えて次々とファンを作りだし、リピーターを獲得しています。

 
どうして同じ作品がこれほどまでに多くの方に愛され時代を超えてロングランすることが可能なのでしょうか?

 
ロングヒットを続けるためには

・マーケティング
・ファン作り
・広報

 
など様々な要因がありますが、クリエイティブな面に着目するとまず第一に浮かぶ言葉があります。

 
それが、「慣れの根絶」です。

 
「慣れ」はロングランの大敵です。その「慣れ」を根絶する文化が強く根付いているからロングヒットを実現しているのです。

 
この文化は、チームや組織として成果に向かって活動するときにとても参考になることですので、ライオンキングに長年出演をし続けてきた私がロングヒットを続ける大きな要因である「慣れを根絶する文化」をここで解説してみたいと思います。

■ライオンキングの舞台化は不可能だと失笑されていた!

 ライオンキングはもともとディズニーアニメのヒット作品です。そのアニメをミュージカル化するということになりました。

 
アニメのライオンキングをミュージカル化すると決定された際、ほとんどの人が不可能だといいました。たしかに、アニメを見ただけでは舞台になるなんて考えられません。動物の着ぐるみを着た子供だましのお遊戯ミュージカルになると多くの人が笑いました。

 
ジュリー・テイモアという新人の女性演出家にすべてが託されます。

 
ジュリー・テイモアはそれらの失笑を見事にすべて覆しました。それまでの固定概念をぶち破り日本の伝統芸能である能や歌舞伎・人形劇などの技を使いアニメの世界を舞台上で完璧に再現したのです。

 
誰からも“舞台化など不可能だ”と失笑されたこのライオンキングが15年以上もロングセールスを記録しているのは、そのジュリー・テイモアの演出や脚本や音楽が素晴らしいというのが大きな要因の一つです。

 
しかしです。

 
どんなに作品が素晴らしくても、舞台のクオリティを保つためのマネジメントがしっかりとされていなければ、ロングヒットはありえません。

 
そのマネジメントこそが、慣れを根絶する文化なのです。

■なぜ慣れが生まれるのか?

 まずライオンキングを見たことがない方に出演者の構成を説明したいとおもいます。ライオンキングという作品は専門知識と専門知識の集合体で構成されています。

 
出演者には歌手、ダンサー、楽器奏者など沢山いますが、個々の専門知識が結合されて作品全体がなりたっているのです。

 
歌手はダンサーレベルの高い身体能力で踊らなければいけない訳ではありません。ダンサーは歌手のような繊細な音楽の表現を求められるわけでもありません。

 
まるでオーケストラのように、割り当てられた専門知識がうまく絡み合い、見事なバランスで成り立っているのです。

 
そしてライオンキングは、再現芸術です。再現芸術とは、同じ内容を日々再現して繰り返し上演する芸術ということです。

 
この再現芸術の恐ろしいところが、「本人が気づいていない慣れ」を生みだすことなのです。

 
出演者にとっては年間に200回以上出演する日常。しかし観客にとって観劇は、数年に一回の非日常

 
そこにこの慣れが入ると、一気に緊張感や鮮度が薄れ、観客はそれを無意識に感じて離れていきます。

 
そのため、舞台に立つことに慣れていませんか?ということを毎日繰り返しチェックする文化が出来てきます。そしてその文化を確認する意識が、毎日が初日という気持ちに変わり観客にエネルギーが伝わっていきます。

■天敵である慣れを防ぐマネジメント術

 つぎに、ダンスキャプテン、音楽リーダーなど各部門リーダーの役割です。ダンスキャプテンは、大勢いるダンサーをマネジメントします。音楽リーダーはたくさんの歌手をマネジメントします。

 
この各リーダー達が、ロングランの天敵の慣れを客観的に判断し継続的に改善をメンバーに提案していきます。

 
昨日のパフォーマンスの悪かったところを修正するのはもちろんですが、昨日よりもさらに良くなるにはどうしたらいいか?と毎日改善を続けます。

 
終わりはありません。

 
そうして、作品として進化していくのです。

 
面白いところは、上司と部下という関係ではなく同じ作品を作りあげていく仲間という意識が強いというところです。

■この文化が人を成長させチームとして成果をもたらす

 こうした日々の成長の意識と、終わりのない改善があるからこそ15年以上もロングヒットが成立しているという事です。

 
また一年に数回、アメリカ本土からスーパーバイザーがやってきます。そしてスーパーバイザーは、その時の振付や音楽観が時代遅れになっていないかも判断し、当てはまる部分がある場合、どんどんそぎ落として新しいものを創りだしていきます。

 
馴染みのものにする意識は全くありません。これらが、ライオンキングという作品が陳腐化せずに観客を集め続けている理由なのでしょう。

 
そして、なにより大切なことは、このライオンキングという作品に出ている出演者全員が、この舞台を見に来てくれた観客のためになにができるのか?なぜ舞台にたつのか?ということを共通認識として舞台に上がる前にグランディングし意思統一をしているということです。

 
これはライオンキングという舞台に限らないことだと思います。

 
例えば仕事においても、チームとして何かに向かっている際、慣れを拒んで変化を恐れず改善を繰り返す意識こそが、人を成長させパフォーマンスを向上させ成果を生む出すことに繋がるのではないでしょうか?

 
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