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プレゼンに通じる!中途半端なプロより素人の方がよっぽど感動する理由

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■素人の歌が感動を呼び、ネットで話題!?

 福井県大野市が制作したオリジナルソングを歌った動画がYouTube上に公開され、多くの反響を呼びました。歌っているのは素人の大人たちです。実はこの動画は大野市が卒業後のUターン強化の取り組みの一貫として企画されたものでした。

 
大野高校の卒業式の一幕、卒業生の父母たちが一斉に立ち上がります。卒業生が立ち上がり振り返ると、音楽が流れ、突然歌を唄い始めます。体育館にその歌が響き渡ります。都会へ巣立っていく我が子たちへの想いが込められた歌。そして、スクリーンには父母たちが集まって歌の練習している様子が映しだされます。
 
私自身もこの動画を見て心がグッときて涙が出そうになりました。福井県大野市に全く縁もゆかりもない私が、です。

 
保護者たちは当然、歌の素人です。歌の上手い下手で言うと、上手いとは言い難いかもしれません。ではなぜ感動が生まれるのでしょうか?

 
この動画から、私たちが人前で何かを表現しようとする際に

・ 何が伝わるのか?
・ なぜ、感動が生まれるのか?
・ 上手でも人の心に響かないのはなぜか?

を学ぶことができます。

 
抽象的に捉えられがちな”感動”をプロの視点・切り口でこの動画を通して解説してみたいと思います。プレゼンなど、ご自身の表現を見直す機会になるのでぜひ熟読してみてください。


大野へ帰ろう卒業式プロジェクト(ショートバージョン)

■感動するか・感動しないかの決定的な違いは?

 誰が聞いても”上手くない”素人の歌でも、「感動する素人の歌」と「聞くに耐えない素人の歌」があります。

 
保護者の多くは顔を上げず、楽譜をずっとみた状態で歌っています。特にうまく歌おうとか綺麗な発声をしようとか表現を大きく見せようとか一切しておりません。いたってシンプルなものです。

 
しかし、この動画の保護者の歌は、感動します。

 
なぜでしょうか?簡単にその感動する要素を解説してみましょう。

 
 
その声を発する奥(根底)には”ある想い”があります。

 
その想いとは、

 
「巣立っていく子供たちへの思いやり」
「故郷のことを忘れないで力にして欲しい」
「辛くなったら帰ってきてもいいんだよ」

 
こういった親の子供に対する無償の愛が根底に存在しています。それがベースとなって保護者全員の想いが一つになり、「直接を言うと恥ずかしいけど歌にすれば言える」という歌詞のように、保護者の声の奥に”その想い”が実感値としてシンプルに込められています。

 
保護者には歌詞の内容を伝える理由があります。奥にはその実感値がこもっているのですが、シンプルに歌詞の内容を実感して語っているのです。

 
感情を込めて伝えようとか、大きく表現しようとか、綺麗に響かせようとかいう色付けが一切ありません。至ってピュアそのものです。

 
感動が生まれる一番の理由はここにあります。

 
もし、ここで綺麗な声を出せる合唱サークルが現れ、この歌を唄っても感動しないでしょう。合唱サークルの人たちには歌詞の意味を実感して語る理由が無いのですから。

■感情を込めると感動は生まれない

 プロの視点で、この大野へ帰ろうの感動をもう一歩深く解説してみます。

 
私は、劇団四季という少しの失敗も許されない百戦錬磨の感動を創造するプロの組織に約10年在籍し、幸運にも主役までやらせて頂きました。その際に、超一流の方々から感動の本質を叩き込まれてきました。

 
恩師である演出家・浅利慶太氏に口酸っぱく言われ続けたことがあります。

それは、

 
「言葉に感情を込めるな!」

 
です。

 
多くの人は、何かを伝えようとする時に”言葉に感情を込める”というアプローチを取ります。しかし、プロの表現の世界では、感動を創造するためには”言葉に感情を込めてはいけない”という考えがあります。

 
もう一度、言います。

 
言葉に感情を込めることは、感動を創造する上で必要ないのです。

 
むしろ大切なことは、感情ではなく、”言葉の奥にある実感値”なのです。

 
言葉には、その言葉を発する理由が必ずあります。

 
例えば、スーパーの店頭販売のスタッフが清涼飲料水を片手に、感情を込めて「おいしいですよ〜!生き返りますよ〜!」と繰り返し叫んでいても、残念ながら買い物客にはほとんどただの音として届いていないでしょう。

 
しかし、砂漠を彷徨っていた旅人が数日間、水が飲めずに、瀕死の状態でオアシスを見つけ、手ですくいあげた水を一口、口に含んだ時に、こぼれるようにつぶやいた「おいしい・・・、あぁ、生き返る・・・」は、聞く人に「本当においしいだろうな。生き返る気持ちなんだろうな」と想像させます。この旅人の”おいしい”、”生き返る”という言葉を発する奥には、自分の命が助かったという究極の安堵感が実感値として存在するのです。

 
旅人は感情を込めて”伝えよう”などとは決してしていないのです。

 
この「おいしい・・・、生き返る・・・」を舞台の上でも、何度でも再現性を持って伝えることをプロの表現の世界では求められるのです。

 
それが感動を生み出す本質である

 
「実感して語る」

 
です。

 
言葉を発するからには、その言葉を発する理由が必ずあります。理由を実感して、あとは感情を込めるわけでもなく、ただただシンプルにその言葉を語っていけば相手に伝わる、という考えを見事に捉えた感動を創造する言葉の定義です。

 
 
さて、話を「大野へ帰ろう」の歌へ戻しましょう。

 
この大野へ帰ろうという動画に出てくる卒業生の父母たちの歌の奥には強い愛が実感値として存在しています。少し複雑な愛かもしれません。

 
「離れたくないけど、息子たちの未来のために、わがままいって大学行かずに実家にいろっなんて言うわけにもいかない。でもいつか将来故郷に帰ってきてほしい。旅立つ前に故郷のことを心に刻んでほしい。」

 
これらの愛が、声の奥に実感値として存在し、そこに色を付けるわけでもなく、ピュアな言葉として歌詞を語っているから、さらにその想いが全員で一つになっているから、とてつもない感動が創造されているのです。

■感動のプレゼンテーションはあなたにもできる

 
当然、私たちがミーティング、研修、営業、会社説明会、株主総会など、人前でプレゼンテーションをする際にも全く同じことが言えます。

 
例えば、スピーチする際に感情を込めて話すことに気がいってしまうと、そこには”しっかりと伝えた”という誤った自己認識が生まれ自己満足となり、結果として肝心の聞き手の人々が感動を得る可能性は低くなってしまうのです。

 
プロの世界ではそれを、”色付け”と言います。

 
浅利慶太氏に「色をつけるな!」とも何度も何度も厳しく言われ続けました。自己表現のとても恐ろしいことの一つに、プレゼンやスピーチに慣れてくると、自分の気付かない所で「色」が付いてきてしまうところがあります。

 
しかし、プレゼンテーションの書籍やセミナーでは「言葉に感情を込める」ことを指導しているものを多く見受けます。

 
残念ながら、「言葉に感情を込める」というアプローチは、プロの視点に立つと「色付け」にすぎません。

パーティーで歌う筆者。人前に立つ際に、魅せようとせず色をいかに落としていけるか。

 
 
 
15年以上、感動を創造する世界で生きてきた人間の視点では、

 
言葉に感情を込めるというアプローチは、“浅い”の一言なのです。

 
色をつけた時点で”感動や共感の強要”になってしまい、発表会レベルに成り下がってしまうのです。

 
危険なのは、感情を込めたスピーチが必ずしも感動しないわけではないということです。

 
努力していることを知っている身内にとっては、「感情を込められている姿勢」に感動する要素があるからです。悪く言っちゃうと、自分たちの表現に酔っている状態は自分たちでは気付きにくいのです。これはプロでも起こしてしまいやすい過ちなのです。

 
しかし、もしその場に、全く知らない人が入ってきて、その感情を込められた色のついたプレゼンテーションを見たとしたら、身内ではないその人は強烈な違和感を感じるはずです。

 
プロは、全く知らない人や身内でもない人に対しても感動を届けなければなりません。

 
「大野へ帰ろう」の歌は、大野市のことを全く知らない赤の他人が見ても、感動が生まれます。意図していないかもしれませんが、それは歌詞を歌っている奥に、確かな実感値が存在している。色が全くついていないまっさらな表現だからです。

■感動を一言で表現すると?

 劇団四季のプロの表現の世界で、「感動ってなんなのですか?」と聞かれ、シンプルに表現するとするとこう言えます。

 
”言葉のない部分の演技・セリフ・歌・踊りには全て意味がある。その一つ一つに嘘偽りない実感値が込められ、観客目線で届いているか。”

 
感情を込めて上辺で説明的に表現しても感動しませんし、伝わりません。なぜなら、それは嘘になるからです。盛って大きく見せたり嘘をついてはいけません。

 
”嘘”は感動を打ち消します。

 
感動を創造するために、”嘘の部分・実感していない部分”をそぎ落としていったりするのです。

 
「大野へ帰ろう」の動画が、まさにここを教えてくれます。

 
歌の感動とはボイストレーニングをしているとか、綺麗に響かせるように発声するとか、滑らかに話すことではありません。

 
事実そうです。

・しゃべりのうまい人
・滑舌のいい人
・綺麗な話し方の人

 
こういう人はたくさんいるでしょう。しかし、プロのスピーカーの人でも全く入ってこない・伝わってこない・響いてこない人は沢山います。

 
”嘘”や”上部の表現”や”色付け”をそぎ落としてまっさらになった時に、地下から溢れ出る湧き水のように、腹底から実感値を伴った言葉が溢れ出てくるのです。

 
その実感が込められた言葉に人は感動するのです。

 

 
スピーチが上手くなる・話し方が上手くなることに振り回されるのではなく、大事な”ポイント”を掴んでください。

 
色付けされた中途半端なプロより、飾らずにまっさらな自分をありのまま表現している素人の方が感動する理由を説明させていただきました。


大野へ帰ろう卒業式プロジェクト(フルバージョン)

 
このコラムでは、多くの方が何となく感じてはいるけれど、言葉にして整理できないことを、プロの表現の世界で生きてきた私が言語化して説明することを目的として書いています。是非、他の記事も合わせてお読みください。

【合わせて読みたい!】→プレゼンテーションカテゴリーはこちら

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