■どうする?絶体絶命
誰でも1度や2度は「もうダメだ」と追い込まれてしまった経験があると思います。
苦しいとか、きついとか、つらいことを通り越した「絶体絶命」の状況です。そんな時、どのようにその状況を打破しましたか?
そんな時におすすめのあるマインドがあります。
それは、「忍者マインド」です。
■私の壮絶な絶体絶命体験
私が、今まで生きてきて体験した絶体絶命の中で忘れられないことがあります。
私が劇団四季に入って8年目くらいのことでした。私は、ワンシーズンで1か月、主役を演じるという貴重な経験をしたのです。
それまではずっとその他大勢役(通称アンサンブル役)をやっていたのですが、10年に一度のチャンスがやってきました。
私はそのチャンスをものにしかけたものの、明日が初日という前日に大失敗をしてしまい。そしてみんなに多大な迷惑をかけ、お情けで「アンダースタディー」というサポート役をもらうことになりました。
アンダースタディーというのは、主役の人に万一のことがあったらいつでも代役ができるように、ずっとスタンバイしておく役のことです。
出演できる見込みなどまったくなく、悔しくてくさりかけていたのですが、ずっと準備を続けていました。
すると、ある日突然、本当に緊急事態が発生してしまったのです。
「お前できるか?」と言われ、「はい、やります!」と即答して、結果、その緊急事態を乗り切るまでの1か月間、私が代役を務めたのです。
とはいえ、「はい、やります!」と言って出演に至るまでの2日間は、人生で初めて感じるほど、絶体絶命の状態の感覚を経験しました
では、私はそれをどのように考えて、乗り越えたか。
それが「忍者のマインド」です。
■その窮地を打破する忍者マインドとは?
アンサンブル役(その他大勢役)というのは、特に体力的に厳しいものが求められます。自分との戦いです。しかし、主役というのは、そこにさらに精神的な厳しさが加わるのです。
一瞬の隙も許されない綱渡り状態で、断崖絶壁を一人で登っていくような緊張感がありました。常に孤独です。全員が自分を見ています。視聴率100パーセントの世界です。ちょっとでも油断したら飲み込まれてしまいます。
主役は舞台の全責任を背負っていますから、一切の妥協は許されません。当然、人に見せる作品を提供しているプロ集団ですので、私を出演させるために本部から上層部のクリエイティブスタッフが集結しました。
そんな状況で舞台上にさらされたら、まさにヘビに睨まれたカエル。緊張を通り越して、頭が真っ白になるどころではない境地に追い込まれました。
震えるというよりも足が痙攣する感覚になるのです。
常に全身に電気がビリビリ流れている感じでした。これでは何か表現をするという心理状態ではありません。
「また失敗して皆に迷惑をかけるのか」と、その場から逃げたくなる心境でしたが、この時、一人の恩人の言葉が私を助けてくれました。
その恩人は、私がいつでも代役をできるように、出演できる見込みのない練習をしている時も私の稽古相手になって、遅くまで残って練習につき合ってくれていました。
私を見て、一瞬で私の状態を察したその人は、私の両肩を持って、真っ直ぐ目を見てこう言ったのです。
恩人「忍者が追いつめられて、刀を喉に突きつけられて、さぁ殺されるっていう瞬間に、形勢逆転のために何をするか知っているか?」
私「……わかりません」
恩人「その刀を突きつけた相手に向かって、ニコッと笑うんだ。そうすると、その相手は恐ろしくなって逃げ出すんだ。今、お前はその場面だ。笑え!!」
そう言って、私の背中をバンっと、かなり強く叩きました。その言葉を聞いて、背中を叩かれて、全身に流れていた電気が放電されました。
そうして、開き直ると、舞台上の稽古で怒涛のように厳しい言葉がやってきても、すべてしなやかに跳ね返せました。自我という意識を捨てることができたのです。
こうして私は、この「忍者のマインド」によって、その究極の絶体絶命を乗り切ったのです。
※陽はまた必ず昇る!!
■苦しい時は笑わなくていい
私は「苦しい時やつらい時こそ笑って見せる」という言葉はあまり好きではありません。
苦しさを感じるのだったらその心に逆らうのではなく、その心をまずはすなおに受け止めてみることが大切だと思うのです。
そして、時間が経ったら自分をゆっくりと褒めてあげ、徐々に復活するのが一番ではないかと思います。
しかし、絶体絶命、「もうダメだ、これ以上は無理だ」というところまで追い込まれた時、はそうも言ってられません。
あなたの流れを変える改善策はこれしかないと思います。
それは「笑い」です。
この忍者のマインド、頭の片隅に残しておいて窮地に追い込まれるようなことがあったら思い起こしてみて下さい。
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