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健康経営とは?企業事例と支援制度で解説〜社員の健康を促進して社内活性させるポイント〜

目次

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健康経営という言葉を頻繁に耳にするようになりました。健康経営銘柄や健康経営優良法人という形で、健康経営を推進する企業の認定制度までつくられました。
 
皆さまの会社でも、すでに実践されている、またはこれから実践されるのではないでしょうか?
 
従業員の生産性向上やコスト削減など、企業経営にもたらす効果は計り知れません。とはいうものの「本当に効果あるの?」「うちでやってもなかなか受け入れられないのでは?」と健康経営を取り入れることを躊躇されてしまう会社さまも多いのではないでしょうか?
 
本コラムでは、健康経営にすでに取り組まれている会社さまの事例を盛り込み、皆さまの会社でも取り入れやすいように詳しく解説いたしました。
 
ぜひ健康経営を実践していただき、企業の長期的な成長につなげていただければ幸いです。

健康経営とは何か?

健康経営とは、企業が社員の健康に積極的な投資を行い、社員の仕事のパフォーマンス向上や企業価値向上など、企業経営に対して大きな影響をもたらす新しい経営手法のことです。
 
健康経営という概念が生まれたのは、1992年に米国に臨床心理学者のロバート・H・ローゼンが”The Healty Company”を出版したのがきっかけです。この本の中で、社員の健康増進が企業の業績にもたらす効果を、米国の200社の事例をあげて紹介されたのです。
 
日本においては、2006年にNPO法人健康経営研究会が設立され、健康経営が商標登録されてから、健康経営にまつわる議論がされるようになりました。
 
企業における従来の投資対象といえば、近い将来にリターンになるものでした。たとえば、工場の新設や設備投資、優秀な営業社員の雇用、研究開発、広告宣伝などです。社員の健康については、投資という見方よりも必要最低限のコストと見なされていました。
 
社員への健康投資が、まさか企業収益の向上につながるなど、誰も想像していませんよね。しかし、ジョンソン・エンド・ジョンソンが『健康投資1ドルに対して、約3ドルのリターンにつながった』ことを示したことによって、健康経営に対する見方も変わりました。
 
日本では、経済産業省が行政レベルで健康経営を推進していますが、その際にもジョンソン・エンド・ジョンソンが打ち出した投資対効果のデータを依り代にしています。

健康経営と健康管理の違い

健康経営と従来の健康管理の違いについて混同される方も多いのではないでしょうか。
 
健康の定義は、大まか以下の3つがあります。

  1. 医者が定義する健康(数値で判断されるもの)
  2. 社員が出社しているかどうか(職場でパフォーマンスを発揮しているかは問わない)
  3. 社員がエネルギーに満ち溢れて最高のパフォーマンスを発揮している状態

 
健康経営が目指しているのは、上の3つの中でどれだと思いますか?
 
もうお察しの通り③です。
 
逆に、従来の健康に対する考え方は、①と②が大多数を占めていました。
 
これは、企業経営の中での人材に対する捉え方にあるのではないかと考えます。会社の経営資源といえば、ヒト・モノ・金・情報です。つまり、人材はモノや金と同列に扱われていました。
 
機械が壊れればものづくりができなくなります。同じように、社員が病気になれば仕事が回らなくなります。ですから、最低限病気にならないような対処をするのが、これまでの健康に対する取り組みです。たとえば、健康保険組合や産業医などそれに該当します。

しかし、病気ではないだけでは社員が職場で最高のパフォーマンスを発揮できるわけではありません。社員がエネルギーに満ち溢れ、創造力を発揮して仕事に取り組むことこそが、これからの人材に求められることではないでしょうか。

過去に筆者がコラム執筆させていただいたマインドフルネスも、まさに企業の健康経営の取り組みの一環です。

健康経営が求められる時代的な背景

健康経営という言葉が日本で定着し始めてまだ間もないのではないでしょうか。先述のように、健康経営の概念を初めて打ち出したのがアメリカです。日本ではどのような背景で健康経営が推進されるようになったのでしょうか。

①国民医療費が年々増加している

健康な日本国民を増やさなければ、国民医療費が日本の財政を圧迫するという背景があります。
 
日本は世界に先駆けて少子高齢化の社会に突入しています。労働人口が減少すると同時に、医療サービスに頼らざるを得ない高齢者の人口が増えているのです。
 
こちらのグラフをご覧ください。

厚生労働省-平成28年度国民医療費の概況より

国民医療費は年々増加の一途をたどっています。2013年(平成25年)には40兆円を超え、2025年には60兆円を超えるとも言われています。
 
日本に1389組合ある健康保険組合(平成30年4月1日時点)のうち、6割超えの健康保険組合が赤字となっています(健康保険組合連合会-平成30年度健康保険組合早期集計結果の概要より)。健康保険組合が存続していられるのは、企業が費用負担をし続けてくれているからです。そうなりますと、企業としても健康保険による費用負担を無視することはできません。

②社員の生産性向上が収益にもたらす影響を民間企業も認識し始めた

社員が健康であるかどうかは、これまで「病気ではないかどうか」「会社を休んでいないかどうか」という見方しかされていませんでした。しかし、近年になって「会社に出社していてもパフォーマンスが出せていないのでは?」という見方もされるようになりました。このような見方をプレゼンティズムといいます。

③ブラック企業という言葉が世の中への浸透してきた

長時間労働やサービス残業などを社員に対して強要する企業のことをブラック企業として認知されるようになりました。
 
電通に入社した女性社員が、月の残業時間が100時間を超え2016年に過労で自殺を図ったというニュースが世間を騒がせました。女性社員の長時間労働の実態は、SNSでリアルタイムで拡散されていました。
 
ブラック企業というレッテルが一度でも貼られてしまうと、その企業に対するイメージは下がりますし、その企業に就職したいと考える方も少なくなるでしょう。

健康経営が企業経営にもたらす効果

社員の健康をないがしろにすることは、国レベルで見ても企業レベルで見てもマイナス要因となることはお分りいただけると思います。とはいうものの、企業としては儲けにつながらないことにお金をかけることに抵抗をもたれることでしょう。
 
そこで、健康経営が企業経営にどのようなプラスの効果をもたらすかを見ていきたいと思います。定量化できるものから定量化できないものまで効果はさまざまです。

①医療費の削減

社員一人ひとりが健康増進することにより、病院に行く機会が減り医療費の削減にもつながります。健康保険の費用を負担する企業にとっても嬉しいことですし、国の財政負担の軽減にもつながるのです。

②生産性の向上

健康経営による効果は、社員が病気になりにくくなるだけではありません。健康経営の取り組み次第では、社員の生産性向上にもつながります。経済産業省が、プレゼンティズムによる経済的損失を調査したところ、一人あたり30万円にも及ぶことがわかりました。
 
エネルギーに満ち溢れ、創造力を発揮する状態をつくれたならば、社員から主体的に新規事業や商品開発のアイデアを提案してくれることもできるかもしれません。生産性の向上については定量化できること・定量化できないことが分かれますが、健康経営を推進する大事な指標の1つとなるのは間違いありません。

③社員の採用・定着が強化される

皆さまの会社が健康経営に取り組み、社員がイキイキと働く姿を見せることができたならば、「あの会社に入りたい」と言ってくれる人たちが増える可能性もあります。
 
アメリカでは、健康経営によってリクルートに効果があることが実証されています。
 
日本の大学生による健康経営の認知度調査の結果によりますと、健康経営の認知度は2016年には3%だったのに対し、2018年には14%まで上がったそうです(『経営戦略としての「健康経営」』(新井卓二、玄場公規共著)より)。
 
ブラック企業、ホワイト企業が広く学生に認知されているのと同じように、健康経営の概念もこれから学生に認知されていき、就活での会社選びの基準の一つになるのは間違いありません。

④企業価値・イメージの向上

健康経営に取り組むことによって、企業イメージ向上の効果も期待できます。経済産業省では、健康経営優良法人という認定制度を行なっています。こうした認定を取ることで、「あの会社は健康経営に取り組んでいるんだ」ということが社外から見ても一目瞭然です。
 
認定を取ること自体を目的にしてはいけませんけれどもね。

健康経営を実践する企業の事例6選

日本で健康経営を実践されている企業さまの事例を紹介したいと思います。
 
本コラムでご紹介させていただく企業様は、国や自治体からお墨付きをいただいている(健康経営優良法人の認定など)だけでなく、その取り組みを全社で定着させ、経営上の効果ももたらしている企業さまです。

①【SCSK株式会社】残業20時間以下へのチャレンジが社員の意識改革へ

日本の大手企業に対してITインフラ構築やコンサルティングなどを手がけるSCSK株式会社。当社は、働き方改革という言葉が世の中で認知される前から、働きやすくやりがいのある会社を目指して様々な取り組みを行ってきました。
 
ハード面でいえば、本社を移転し、「SCSKクリニック」と呼ばれる社内クリニックの拡充、食堂の新設、リラクゼーションルームの設置といった取り組みを実施しました。
 
SCSKの中で注目すべきは、長時間労働の是正に向けた「スマートワーク・チャレンジ20」という取り組みです。これは、社員の月平均残業時間を20時間以下まで削減するというものです。
 
24時間365日クライアントにサービスを提供し続けるIT企業ならば、お客様への対応のために長時間働くことは当たり前。SCSKも従来はそのような考え方でした。スマートワーク・チャレンジ20を推進するにあたり、社員からは猛反発されたこともあるようです。
 
お客様先に常駐することの多い社員が多い中で、自分たちだけが早く帰ることには心理的な抵抗がありますし、社員からすれば残業時間を削減するメリットなど感じていなかったようです。
 
SCSK様のすごいところは、経営層が圧倒的なリーダーシップを発揮し、社員だけでなくお客様も巻き込んだところです。自社の健康経営の取り組みを理解していただこうと、経営トップ自らがお客様に対して手紙を書いたのです。
 
こうした取り組みにより、2008年時点での月平均残業時間は35.3時間でしたが、2018年には17時間まで削減することができました。残業時間の減少によって削減した人件費10億円は、全額を社員に変換したものすごいですね。
 
SCSKの健康経営に対する取り組みの詳細は、SCSKのコーポレートサイトからご覧いただくことができます。

②【伊藤忠商事株式会社】朝型勤務制度を定着させ深夜残業の削減に成功

創業160年の日本の老舗創業商社である伊藤忠商事。近江商人の三方よしの精神を現代まで承継し、時代とともに柔軟に変化し続けてきた企業さまです。
 
そんな伊藤忠商事は、5年にわたって朝型勤務制度を実践してきました。大学の教授にも意見をもらいながら、朝型勤務が仕事が仕事のパフォーマンスに及ぼす好影響を、医学的な視点で検証もしているのです。
 
朝型勤務を定着させるために、早く出社した社員に朝食を無料提供したり、著名人を招いた朝活セミナーを開催したりと、社員が自ら早朝出勤をしたくなるような制度を取り入れています。
 
こうした取り組みをすぐに定着できたわけではありません。反発する社員も当然ながらいらっしゃったようです。伊藤忠商事としては、社員一人ひとりの健康増進が生産性向上、企業価値向上につながるということを、経営層が率先して打ち出しています。経営層自らがリーダーシップを取り、現場の社員と地道なすり合わせを行ってきたことが、定着につながっていると感じます。
 
朝食の提供などにはコストがかかりますが、それ以上に残業時間の削減の効果の方が大きいことが、数字にも現れているのです。

③【ヤフー株式会社】社員と家族の心身の健康を支援するUPDATEコンディションを推進

Yahoo! JAPANという日本最大のポータルサイトを運営するヤフー株式会社。ヤフーでは、社員一人ひとりが心身ともに最高のコンディションで仕事と向き合えるように、「UPDATEコンディション」という健康宣言の元で様々な施策を展開しています。
 
画期的なのは、データをうまく活用して社員自らが主体的に自分たちの健康を増進しようという仕掛けているところです。たとえば、本社に設置されている社内レストラン。こちらで食べた朝食・夕食は、メニュー・摂取カロリー、栄養素などが、専用サイト上で可視化されているのです。
 
昨日か一昨日に食べた食事を覚えている方など、ほとんどいらっしゃいませんよね?私もそうです。しかし、こうしたデータを可視化することによって、自分の食習慣がいやでもわかります。「ここ最近はお肉ばかりで魚やお野菜が全くとれていなかった」、「体重が増えたのはカロリー摂取が多すぎたせいか」など、自分たちにとっての気づきにもなります。1日あたりの歩数や健康診断結果など、食事に限らず様々な健康にまつわるデータを可視化し、それぞれの社員が見られるようにしているのです。
 
ヤフーさまについては、マインドフルネスもいち早く取り入れており、健康経営という分野に限らず、人財の育成に本気でコミットされている印象を受けました。

ヤフー株式会社の健康経営の取り組み

④【フジクラ株式会社】社員の活き活きを目指した健康経営のパイオニア

フジクラ株式会社は、日本に健康経営という概念が入ってくる前の2011年から、社員の健康が会社の重要な経営資源の1つであると捉え、社員自らが健康増進に自発的に取り組めるような活動を行なっています。いわば、日本企業における健康経営のパイオニア的な存在です。
 
フジクラの中で面白い取り組みの1つが、個々人の歩数データをITを活用して社員間で共有し、その歩数でどの目的地まで行けるかを競うという仮想のイベントを実施しているのです。社員には一人ひとりに歩数計まで配布されているとのこと。
 
社員の抱えている健康に対する悩みやニーズに合わせた健康セミナーも開催しています。立ち姿勢で作業する社員が多い職場では「腰痛セミナー」を開いたり、睡眠が上手く取れていない社員むけに「睡眠セミナー」を開いたりと、社員が健康増進に対して自分ごととして捉え、前向きに取り組める環境づくりをしています。

フジクラの健康経営の取り組み

⑤【ジョンソン・エンド・ジョンソン】社員への健康投資対効果に着目し健康経営にいち早く着手

ジョンソン・エンド・ジョンソンは、世界60か国、127,000人の社員を誇るヘルスケア・医療製品の世界的な企業です。ジョンソン・エンド・ジョンソンは、世界のすべての社員に対して健康教育プログラムを提供し、1ドルの健康投資に対して3ドルのリターンが得られるというデータを打ち出しました。
 
日本法人においても、エネルギー管理の方法を学ぶための体系的なプログラムが用意されており、病気にならない状態という枠を超えて、一人ひとりの社員がエネルギーに満ち溢れた状態をつくるための仕組みを作り上げています。
 
経済産業省による健康経営優良法人としても認定されています。

ジョンソン・エンド・ジョンソン健康経営優良法人2018(ホワイト500)認定のお知らせ

⑥【カルビー株式会社】禁煙・朝食・運動をテーマに社員と家族の健康増進を支援

かっぱえびせんでお馴染みのカルビーは、経済産業省が推進する健康経営優良法人認定制度のなかで、「健康経営優良法人ホワイト500」に3年連続で認定されている会社さまです。
 
カルビーでは、社内にヘルスケア委員会という組織を立ち上げ、健康保険組合と産業医と連携しながら、健康経営を全社で推進する体制を整えています。
 
そんなカルビーの健康経営の取り組みとして、禁煙、朝食、運動の3つをキーワードにした社員と家族の健康増進をサポートしています。たとえば、禁煙に対する取り組みとしては、会社の敷地内の喫煙所やタバコの自動販売機をすべて撤廃したり、タバコを吸う時間を就業規則で定める休憩時間だけに限定するなど、全社で禁煙を促進する取り組みをしています。

カルビーの健康経営について

事例から見る健康経営を定着させる4つのポイント

健康経営を推進されている企業さまの事例を見てまいりましたが、いかがでしたでしょうか?ご紹介した事例の中から、ぜひ自分たちの会社で健康経営を導入するヒントを見つけられればと思います。
 
とはいうものの、事例をそのまま真似たとしてもうまくいくとは限りません。健康経営を自社で定着させるにあたり、最低限抑えておくべきポイントを4つにまとめました。

  1. 1健康経営の取り組みと企業経営の効果を紐づけているか
  2. 2経営層自らがリーダーシップを発揮して健康経営を推進しているか
  3. 3社員が自主的に関わりたくなるような取り組みか
  4. 4企業が社員を人財として見ているか

①健康経営の取り組みと企業経営の効果を紐づけているか

「社員がみんな健康になりました」
 
これだけでは健康経営とは言いません。これは単なる健康管理です。冒頭で申し上げたように、社員の健康増進が仕事の生産性などにつながり、業績向上など企業経営に影響を与えるものでなくては、健康経営として機能していません。
 
SCSKのスマートワーク・チャレンジ20や伊藤忠商事の朝型勤務制度は、残業時間の削減や社員の意識改革につながった事例です。効果といっても、売上・コストといった定量化できるものから、エンゲージメントのような定量化しにくいものまでさまざまです。
 
自社が健康経営に取り組む上で、将来的にどのような効果をもたらしたいのかを明確にする必要があります。

②経営層自らがリーダーシップを発揮して健康経営を推進しているか

先に挙げた事例企業さまは、どこをとっても経営層が旗振り役となって健康経営を推進されています。お客様の協力を仰ぐために、経営層自らがお客様宛てに手紙を送ったという事例もあげました。
 
現場レベルで健康増進を図ろうと思っても長続きしません。なぜならば、健康はないがしろにされやすい領域の1つだからです。
 
たとえば、現場の最前線にいる営業マンを見てください。忙しすぎて食事の時間も惜しみ、コンビニで食事を済ませる方が多くないでしょうか(もちろんそれが全てとは申し上げませんが)。喫煙者の多い中高年世代に禁煙をすすめても、嫌がるはずです。
 
SCSKさまの事例を見ていただいても分かるように、残業時間を減らそうと思っても、現場レベルで簡単にできることではありません。
 
経営層がリーダーシップを発揮し、社員やお客様などステークホルダーに積極的な働きかけは必要です。

③社員が自主的に関わりたくなるような取り組みか

経営層が主体で健康経営を推進するものの、社員から猛反発を食うことはあります。人間は誰しも、面倒なことには手をつけたがりません。
 
社員が嫌がる取り組みでも、どうにか取り組んでもらえるような積極的な働きかけも必要です。しかし、せっかくやるならば社員自らが主体的に取り組める仕掛けが欲しいところです。SCSK様のように、削減した残業時間をインセンティブとして社員に還元するのも良いと思います。
 
ヤフー様のように、食事や歩数のデータを可視化すれば、社員が自分たちの健康に関心を持つようになります。

④社員を「人財」として見ているか

経営学を学ばれた方ならばご存知ですが、人材とは経営資源(人・もの・金・情報)の中の一部の資源に位置付けられています。つまり、今までの会社経営では、人材は機械や原材料などと並列で扱われていたようなものです。
 
工場の機械が壊れたらものづくりができないように、社員が病気になってしまったら仕事が止まってしまいます。規模の大きい会社さまともなれば、社員の1人か2人が病気になってしまっても、代わりがきくから問題ないと考えられることも少なくないと思います。
 
だからこそ、健康保険組合や産業医といった制度、安全衛生の仕組みによって、従来は社員が病気にならないような(病気になっても大丈夫な)状態だったのです。
 
しかし、健康経営は従来の労働衛生や労務管理とは考え方が根本的に異なります。健康経営は、前提として社員を「人財」と位置付け、社員が健康で最高のパフォーマンスを発揮できる状態にあることが、会社の成長にもつながるという考えです。
 
健康経営優良法人に認定されている日本の会社さまはたくさんありますが、従来の労働衛生、労務管理の延長線上に健康経営を置いているだけという会社さまが多いなという印象は受けます。

健康経営に対する国・自治体の支援策

健康経営の普及を取り仕切る官庁は経済産業省です。厚生労働省ではなく経済産業省が取り仕切っているあたりで、国が健康経営を前向きに取り組んでいる証拠であると見て取れます。
 
国だけでなく自治体においても、民間企業が健康経営の普及促進に努めるように、独自の認証制度を整備しています。

①【経済産業省】健康経営優良法人の認定


経済産業省:健康経営優良法人認定制度より

経済産業省では、民間企業において健康経営の普及をするべく、健康経営優良法人、健康経営銘柄の認定を行なっています。健康経営に取り組まれるならば、こうした認定制度を目指すのもモチベーションの1つになりますし、社外からの見方も変わる可能性もあります。
 
健康経営優良法人の認定を受けた企業にアンケートを実施したところ、「企業イメージの向上」という回答が上位を占めていることが分かりました。
 
健康経営に対して国が前向きに取り組んでいるなと感じるのは、所轄官庁が厚生労働省ではなく経済産業省であることです。

②【神奈川県】CHO(健康管理最高責任者)構想

神奈川県は、県内に事業所をもつ企業や団体に対して、CHO(健康管理最高責任者)構想を打ち出しています。これは、企業内に健康経営の舵取りを行う責任者をおき、全社的に健康経営の普及促進を行なってくださいというものです。
 
神奈川県に取り組みが認められると、「CHO構想推進事業所」として登録されます。専用のロゴの使用権を得ることができ、自社が健康経営を推進していることを、会社パンフレットやホームページを通してPRすることもできます。
 
大まかな取り組み内容自体は、経産省の健康経営優良法人と似たようなものです。

③【横浜市】横浜健康経営認証


横浜市では、市内に事業所を有する企業を対象に、横浜健康経営認証という独自の認証制度を立ち上げています。

④【茨城県】いばらき健康経営推進事業所の認定制度

いばらき健康経営推進事業所」は、茨城県が独自で推進している健康経営の認定制度となります。上記の横浜市の制度と同じように、茨城県内に拠点のある事業所が対象となります。
 
当制度の認定を受けた事業所は、地元の地方銀行において融資利率の優遇を受けることもできます(常陽銀行HPより)。

⑤【東京都】健康企業宣言

健康企業宣言とは、全国健康保険協会(協会けんぽ)東京支部が実施する健康経営の普及啓発の取り組みです。健康企業宣言に沿った取り組みを行うことで、協会けんぽ東京支部から健康優良企業(銀の認定・金の認定の2つがある)の認定を受けられます。
 
健康優良企業の認定を受けることで、事業融資の金利の優遇や信用保証協会の信用保証料率の優遇を受けられます。

健康経営とウェルビーイング経営の違い

健康経営をさらに飛躍させた概念であるウェルビーイング(well-being)経営というものがあります。ウェルビーイング経営は、心身ともに健康であるばかりでなく、社員が社会的にも健康であることを指し、ひいては社員が幸福であることが企業価値の向上、長期的な成長につながるという概念です。
 
概念自体は健康経営とwell-being自体で根本的に異なる感じはありますが、日本においては両者を混同して使われることが多く、本当の意味でwell-being経営を実践されている企業は少ないのかもしれません。ウェルビーイング経営の最新動向や企業さまの事例は、機会がございましたら別のコラムでご紹介したいと思います。

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