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接遇研修の本来の目的と意義とは? ホスピタリティを3倍高めるポイント

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接遇研修の目的と意義

 

■接遇研修の本来の目的と意義とは?

お客様が集まる店舗、お客様が離れていく店舗
人が集まる会社、離職が絶えない会社
繁栄を続ける組織、衰退していく組織

これらを二極化させる、違いを生み出す僅かな差の一つ、それが、その組織に属する人材の接遇についての認識の深さです。

私たちは接遇という言葉を広い意味で使います。

思いやり、おもてなし、サービス精神、居心地のいい空間作り、期待以上の価値提供

これらを言葉や態度や行動を通して”関わる相手”に対してお互いのコミュニケーションにおける相違をできるかぎり無くして、しっかりと届けること。

これらが世の中で広く浸透している接遇に対する考え方です。

この時に注意が必要なのが関わる相手の対象を”お客様だけ”と認識していることです。しかし接遇とは対象がお客様だけではありません

接遇研修は、外側に対する言葉や態度や行動による対応だけでなく内側に向けられた、つまり共に働くスタッフ同士や部下や社員に対する関わり方も含まれます。

はじめまして、この記事を執筆した佐藤政樹と申します。劇団四季出身の研修講師として【受講生を惹きつけながら気づきと学びを促すことをモットー】に、接客・接遇研修をはじめ行政・飲食・アパレル・医療機関などでさまざまな研修を行っております。記事の内容をお読みいただき、もしご興味いただけましたら、ページ最下部のプロフィールや研修内容の詳細をご覧いただけますと幸いです。

■接遇研修でホスピタリティを高めるポイント①:組織の内側との関わりを変える

顧客第一主義。お客様を喜ばせる、期待以上に満足させることを第一と考えていくことです。商売の基本で重要なことです。

しかし、そのお客様に期待以上の満足をさせている立場の従業員が、バックオフィスではスタッフ同士の人間関係や雰囲気が悪い状態だったら、それは真の意味での顧客満足になるのでしょうか。

この記事を書いている私(佐藤政樹)は劇団四季という、舞台を通してお客様に感動を届ける世界でキャリアを積んできた経歴を持っています。約10年間プロとして舞台に立ち主役を経験した後にキャリアチェンジをし、現在は様々な企業で組織の人材教育支援のコンサルタントをしている経歴(年間7500名が受講)をもっています。

医療病院のドクター・看護師向けや大型商業モールの店長・店員向けなど、企業だけでなく様々な機関や場所で接遇研修も行っております。

様々な場所で研修をさせてもらっていて感じることは、接遇に対する考え方がほとんどの組織で、前述したように、お客様や患者さんにだけ向けられているということです。

しかし本当の意味での接遇とは、お客様に対する付加価値の提供だけでなく、内に向けられた、つまり共に働くスタッフ同士や部下や社員に対する関わり方も含めた全てです。

スタッフの良い言葉遣いや立ち居振る舞いが、お客様と関わりあった際に安心感や心地良さを与えることは大前提でしょう。マイナスの衛生要因をなくしていくことも重要です(店舗内の清潔感やスタッフの言葉遣い、身だしなみ)。

「お客様を満足させるだけではなく感動レベルへ」こんなことが言われ始めているのも、お客様と直接関わる機会のある従業員の接し方や対応が組織の生き残りに関わるからでしょう。

しかしそれに加えて重要なのが、私が研修でお伝えしている「外ではなく内」という心構えです。

例えばスタッフ同士が

「この仲間が大好き」
「一緒に働くのが楽しい」
「共に働くことで高め合える」
「困った時はいつも助けあえる」
「苦しい時も支え合える」

こういった心と感情が自然に生み出されているチームは潜在的な能力を最も発揮するということが科学的に検証されています。幸せホルモンと呼ばれるオキシトシンが分泌され仕事のパフォーマンスがより良くなるのです。

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顧客満足度を高めるためにはお客様だけでなく、組織に属する人同士が円滑な人間関係や良質なコミュニケーションをとり、お互いに敬意をもって接する必要があるという実証です。

内側の良質な関わりが、外側に伝播していく。

よって接遇研修の本質とは外側に対する意識を磨くことだけでなく、内側の関わり合いやより良い職場づくりの意識を深めていくことでもあるのです。

■定食屋さんを例に接遇について考える

まったく同じ味の夫婦経営の美味しい定食屋さんがあったとしましょう。

どちらの店も清潔感や身だしなみがしっかりしています。接客力も素晴らしいです。味はいうまでもありません。

唯一の違いは夫婦の仲の良さとしましょう。

旦那さんと奥さんがお互いを思いやっていて敬意を払っているのがわかる夫婦。仕事中にお互いにかける言葉や仕草や表情から「本当に仲が良いんだな」ということが伝わります。

明らかに言葉や態度や行動から伝わる夫婦です。

もう一方のお店は、接客力は素晴らしいですが、夫婦が機械のような関わりです。厨房では旦那さんが「早くしろよ」と奥さんをこき使っている様子が伝わってきます。

味の質はまったく同じ。次から通うとしたらどちらのお店に通いますか?

外ではなく内。

このように組織の内側に対しても意識を向けるための施作を同時にしていくのも含めて接遇研修です。

■接遇研修でホスピタリティを高めるポイント②:組織の理念を浸透させる

次に接遇力向上のために忘れてはならないのがその組織の理念です。

理念とはその組織が社会に存在する意義を言葉にして表現したものです。その理念を使命(ミッション)として組織は活動を進めていきます。

この理念がスタッフの日々の所作の核となるものです。日々の業務における行動が正しいものだったかを振り返り自分に磨きをかけるための指針であったりもします。

理念が掲げられているか?
その理念はただのお飾りになっていないか?
その理念をスタッフ一人一人が考える機会があるか?

これらが接遇に大きく影響してくるのです。

ゆえに私は接遇研修で重要なことスタッフ一人一人に理念を浸透させ自ら考え腑に落とさせる取り組みをさせていくことだと考えます。

接遇研修の目的と意義

人材育成について講話する筆者

私が所属していた劇団四季でも組織の理念こそが、出演者ひとりひとりの舞台上での所作の核となり感動の舞台を作り上げるための源泉となると考えられていました。

劇団四季には明確な理念がありました。よくある「感動を与える」とかではありません。劇団四季では、舞台を観た観客が

「仕事で追い詰められて苦しかったけど乗り越えていこう」
「自分なんて生きている価値がないと思っていたけど前を向いて進んでいこう」
「もう消えて無くなってしまいたいと絶望していたけれど生きていこう」

このように感じて人生を前に進めること、つまり「人生は生きるに値する」ということを舞台作品を通して感じて生きがいを観客に届けることを理念として活動しているのです。

それをひとりひとりの出演者が誇りにして自分を磨いているのです。

■接遇研修における挨拶、言葉遣いの意味〜理念なき挨拶、言葉遣いはなぜ形骸化するのか?〜

お客様から注文を受けた際にスタッフが「喜んで!」と言う居酒屋があったとしましょう。

その居酒屋の理念が「食を通してお客様の笑顔を引き出す」だとします。

入店して働き始めて間も無い理念が落とし込まれていないスタッフは、この「喜んで!」という言葉を念仏のように唱えてしまうだけになってしまいます。ベテランのスタッフの「喜んで!」は、大声で叫ぶだけになっていてすでに形骸化しているかもしれません。

唱えることが目的ではありません。大きな声を出すことが目的でもありません。

本来の目的は「自分たちが提供する食でお客様の笑顔を引き出す」です。

これが腑に落ちているスタッフの「喜んで!」という言葉の音には奥にある実感値が変わってきます。自分が提供する商品で、お客様の笑顔を引き出すことができるから相手の目を見て「喜んで!」という言葉が出てくるのです。

日々の忙しい業務の中ではそれができない日もあるでしょう。繰り返し行われる業務によってその気持ちが薄れてきた入りもします。しかし、それを振り返り改善し自分を磨き上げていくための指針となるのが理念です。

理念が浸透し、本来の意義が落とし込まれてくれば、それが接客力の向上へと繋がります。スタッフ一人一人が仕事の意義ややりがいを見出すきっかけにもなります。

理念について考え日々確認して仕事をする意義を落とし込むことをトータルで接遇研修と考えましたら、自然とお客様に対する接し方も向上していくでしょう。

これは居酒屋だけでなく一流のホテルも企業においても同じことです。

接遇研修にとって組織の理念がベースだということです。

新人の指導や研修も同じです。やり方や進め方や方法論だけでなく、仕事の意義が腑に落ちれば仕事のモチベーションにもつながりそれが本人の成長と人間力の向上にもつながるでしょう。

■接遇研修でホスピタリティを高めるポイント③:言葉と態度と行動を磨く

こうして理念をベースに組織に属する一人一人の言葉や態度と行動を磨き上げていくのです。

しかし実際は言葉だけで、行動が伴わない理念が一人歩きしていることが多いのが現状です。

理念がベースにない表面的な接客研修や行動がともなっていないお飾りの施作からは本物の接遇はうまれません。

あらためまして接遇とは、お客様に対する接客力、そして組織の内側に対する関係性や関わり方の向上、そして理念を自分自身で腑に落とし社会にプラスの影響をもたらしていくことに対してトータルで捉えて人間力を磨き上げていくものです。

大小に関わらず組織の長期的な繁栄のためは、これらをトータルで接遇について考え、実践・行動して属する人間が自分に磨きをかけていくことが必要になります。

■医療現場の”お大事に”を例にする

理念がベースにない表面的な作法や所作などのスタッフ教育だけをしていても本当の接遇力向上には繋がりません。

それどころか、繰り返し行う日常的な業務により慣れが生じ、仕事が形骸化してしまっている現場も多く見受けられます。

一番わかりやすいのが言葉の形骸化です。

言葉の形骸化とは?医療現場を例にお話しましょう。

医療現場でよく使われるのが「お大事に」という言葉ではないでしょうか?医療現場のスタッフからすると「お大事に」というのは日常に近いことです。しかし患者さんにとっては治療を受けるというのは一年に数回のことで「お大事に」と言われるのは日常のことではありません。

毎日、「お大事に」と言っていたらどうなるでしょう。無意識のうちに言葉の品質が低下して、空念仏のように「お大事に」を唱えている状態になります。

劇団四季では言葉が商売道具です。言葉の品質の低下は顧客が離れていくことを意味します。絶対に形骸化は許されません。

無意識で繰り返すことにより、言葉をかけることが作業になり、患者さんにはその言葉は伝わりません。伝わらないどころか、機械のような「お大事に」には不快感を感じる人もいるでしょう。

自分が発している意識と相手が受け取っている意識の差こそがクレームに繋がるのです。

本当に伝わる言葉とは?詳しく知りたい方は私のこの記事だけの限定動画セミナー(音声)をご覧ください。

■人が集まる会社、離職が絶えない会社

話は少しずれますが、接遇をトータルで考えることは採用においても重要です。

共に働く組織の内側に対してもより良くなるように意識を向けていくことは帰属意識(エンゲージメント)の向上にもつながります。よって離職を防ぐこともできるのです。新規採用にかかるコストも抑えることができます。

明確な企業理念は人を集めます。

企業とは人と止める業(仕事)と書きます。人が共感して足を止めて仲間になるのも理念の意義なのです。

人が勝手に集まる磁石のようなプラスで強固な組織になるためにも理念の浸透は重要なのです。

■佐藤政樹によるホスピタリティを3倍高める接遇研修の内容を少しだけ公開

看護師向け接遇研修

北陸にある看護協会さんで「看護師向けの接遇研修」を行わせて頂きました。

普段忙しくてなかなかまとまった時間が取れない医療従事者の皆さんと半日の時間をかけての長丁場の接遇研修を行いました。

この記事で紹介した「外ではなく内」という心構えを醸成するためハートビーイングというワークを通して良質なコミュニケーションを学びました。

そして、年間200〜250ステージも行う劇団四季の世界を通して学びを深く掘り下げました。

舞台の世界は大変危険です。ライオンキングは死と隣り合わせです。生命倫理に関わるミスの許されない医療の現場と重なる部分や通じる部分があるのです。

看護協会での接遇研修

 

医療総合病院全職員向け接遇研修

ある医療総合病院の全職員向けに接遇研修を行いました。

この病院では傾聴についての考え方を深めたいというご要望をいただきましたので、劇団四季の世界の舞台上での傾聴(相手のセリフを聴く力)を呼吸法というワークを通して体感しました。

舞台の世界では呼吸を大切にしています。「息を合わせる」という言葉があるように、深い呼吸を掴まないと本当に交流はできません。

自分の呼吸が浅い時や乱れている時は相手の話は聴くことができていません。逆をいうと話をしっかり聴く能力の高い人の呼吸は安定していて深いのです。

受講生の皆さんで深い呼吸の意識をつかむための呼吸法の実践をしました。呼吸を取り入れた傾聴トレーニングは皆さん大変驚かれていました。

接遇研修の目的と意義

 

接遇力を劇的に高めるエンターテイメント研修

劇団四季ライオンキングを観劇してプロフェッショナリズムを感じて接遇力を向上させるという私(佐藤政樹)でしかできない面白い企画です。

医療現場の「お大事に」の部分でもお伝えしましたが

素晴らしい接遇とは

・綺麗な言葉使い
・綺麗な所作(行動)
・お辞儀の角度

だけではありません。

それどころか本人が素晴らしいおもてなしと思っていることが、形骸化により滑稽な形だけのものになっていることがあります。

ショッピングモールなどでショップの店員さんの発する言葉。

「いらっしゃいませ~♪」
「どうぞ〜♪ご覧くださいませ~♪」

が尻上がりで歌うように発しているのが典型です。

劇団四季のお客様を感動させるための組織文化「慣れ・垂れ・崩れは去れ」という哲学から、仕事の形骸化について学びました。

接遇研修の目的と意義

 

【関連記事】
北陸の看護協会様主催の看護師向けの接遇研修
医療看護病院向けの接遇研修の講師をしてきました
接遇力を劇的に高めるエンターテイメント研修〜劇団四季ライオンキングから学ぶおもてなし〜

■接遇研修を受けた医療看護病院職員の方々の感想

栃木県にあるK病院様で職員向けの接遇研修を行わせて頂きました。参加者の方々から以下の様な喜びの感想の数々が届きましたので紹介します。

・なぜその場(病院)にいるのか、自分に問いかけながら行動していきたいと思いました。

・言葉を使う大切さがわかった。伝わるあいさつを心掛けたい。

・すごかったです!感動しました!私たちは、仕事で毎日病院に来ますが、患者さんにとって病院に来るときは、非日常なので、不安を取り除ける関わりをしたいです。

・日々の自分の態度・接し方を振り返る機会になりました。

・まず身近な人から言葉に意識を向けて関わろうと思います。実感して語りたい。

・大変参考になった。表現がすばらしかった。伝わった。良い接遇ができるよう、明日からまた心を新たにしたい。やる気を起こさせるような素晴らしい講演でした。

・自分が変わっていかなければと思います。ライオンキングを家族で見に行きたくなりました。

・自分の日常・患者の非日常、肝に命じます。

・“唱えている”の部分、共感しました。

・気づいていなかったこと、忘れていたこと、意識していなかったが、実は実践していたこと、たくさんの気づきがありました。

・今までの研修の中で一番良かったです。

・患者さんが安心して検査ができるよう“伝え方”について見直したいです。

・挨拶をキャッチボールできるように心がけたいと思いました。

・普段のあいさつなど唱えるように言っていたけれど、「実感して語る」を忘れないで、患者さんにまたこの病院に来たいと思って頂けるようにしたいです。

・「実感して語る」が非常に心に残りました。実践していきたいです。

・なぜその場にいるのか、常に考えて目的をもって行動していきたいと思います。

・言葉の意識を変えるだけで、良い方向に向かっていくことがわかりました。

・自分の言葉・態度を振り返り、チーム全体が同じ方向を向いて業務を行なおうと思います。

・2時間では足りない位の内容でした。日常のスタッフに対する言葉づかい、家庭での子供などに対する言葉づかいを考えさせられました。日々、自分が使う言葉に常に責任を持ち、行動したいです。

・とても楽しくて良かったです。意欲がわいてきた気がします。

・明日から自分の意識を変えていこうと思いました。常に初心に帰ることを忘れないようにしようと思いました。

・言葉の使い方ひとつで、全く変わってくることがわかりました、とても勉強になりました。

・まず、あいさつを通して、心を通わせていけたらいいなと思いました。「実感して語る」「言葉をプレゼントする」というのがとても心に残りました。

・普段自分が患者さんに伝えている言葉のほとんどが、胸から出ている言葉ではないかと気づかされました。言葉をもっと意識して、実感して伝えるということを少しずつしていきたいと思いました。

■接遇研修の本来の目的と意義とは?

まとめると

接遇研修とは

1お客様と直接関わる時の言葉や態度や行動による接し方
2組織の内側の人との良質な関わり方
3理念を源に、行動に落とし込む

この3つを全て含んだものである必要があります。

組織とは自分磨きの道場と言えます。

組織に属し共存共栄の精神で共に働き顧客に価値を与え社会に貢献していく。そのためには自分自身を磨く必要がある。アルバイトでも正社員でも同じです。

仕事を通して人間力を向上させていくことこそ、接遇力の向上とも言えます。日々この意識を考え抜く習慣を身につけることは大きな力となります。

この信念は日々の忙しい業務で削り取られていくものです。そんな時こそ理念に立ち返り地に足をつけて根を張り豊かな人生を切り開いていきましょう!

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