目次
入社5年目研修で実施する行動変容とリーダーシップ育成
「入社5年目前後の若手社員が、かつての勢いを失い伸び悩んでいる」
「やる気に満ちていた新入社員が、最近は無難にこなすだけになってきた」
「そろそろ責任ある仕事を任せたいが、本人の意欲がついてこない」
こうした社員の変化に、心当たりはありませんか?
入社当初は吸収力も高く、成長意欲も旺盛だった社員たちも、5年目あたりになると業務に慣れる一方で、成長の踊り場=“マンネリ感”や“停滞感”に直面しやすくなります。特に、受け身から主体的な姿勢への切り替えが求められるこの時期。そこにうまく適応できず、内にこもってしまう人材も出てくるのが実情です。
企業側がこの停滞を見過ごせば、やがて“目に見えない損失”へとつながります。本来、将来の中核人材として期待していた層が、本意を発揮しないまま数年を過ごす──これは、組織の未来を左右する構造的なリスクです。マネジメント層に空白が生まれたり、組織全体の士気に影響が出たりする可能性も否定できません。
さらに、昨今は「管理職になりたがらない若手社員が増えている」といった調査結果も出ており、静かな“キャリアの迷い”が生まれやすいタイミングでもあります。
このように、入社5年目前後というのは、表面上は順調に見えても、本人にとっても企業にとっても見逃せない転機であることを、あらためて認識する必要があります。
はじめまして、この記事を執筆した佐藤政樹と申します。劇団四季出身の研修講師として【受講生を惹きつけながら気づきと学びを促すことをモットー】に、若手向け研修をはじめ行政・金融機関・教育・医療機関などでさまざまな分野で講演を行っております。記事の内容をお読みいただき、もしご興味いただけましたら、ページ最下部のプロフィールや研修内容の詳細をご覧いただけますと幸いです。
入社5年目社員が伸び悩む…その現象、見過ごしていないか?
こんなお悩みはありませんか?
・入社5年前後の社員のモチベーションの低下や成長停滞が見られる
・将来のリーダー候補が「このままでいいのか」と不安を口にしている
・責任ある仕事や役割から一歩引いてしまう社員が目立ち始めた
こうした課題は、企業にとって決して一時的な“個人の揺らぎ”では済みません。
組織の未来を担う層だからこそ、いましっかりと手を打つべきフェーズです。
実際、多くの先進企業では、1年目・3年目・5年目といった「節目」での戦略的研修導入を行っています。特に5年目は、視座の転換と役割変化が求められる分岐点。そこで、“内発的な動機づけ”と“セルフリーダーシップ”を育てる本質的な研修が必要とされているのです。
「入社5年目の停滞」は、決して本人の能力不足だけが原因ではありません。むしろ多くの場合、その背景にはキャリアの節目ならではの構造的な揺らぎがあります。
入社5〜7年目というのは、ほとんどの社員にとって「キャリアの再構築」を迫られるタイミングです。現場での実務には慣れ、後輩もでき、チーム内での影響力も増してくる一方で、
「自分はこのまま今の延長でいいのだろうか?」
「この先どこへ向かっていくべきなのか?」
といった“キャリアの迷い”が生まれやすくなります。
さらにこの時期は、結婚・出産・ライフプランの再設計など、プライベートにも大きな変化が訪れます。社会人としての責任が重くなる一方で、未来への確信が持てず、「無理してまで管理職にはなりたくない」と思う社員も出てきます。
「今のままでいいのか?」という静かな揺らぎ=離職リスクが芽を出すのもこの頃です。
こうした背景を持つ5年目前後の社員には、単なるスキル研修やテクニカルな指導では十分に響きません。
必要なのは、表面的な業務能力向上ではなく、
内面からの視座の引き上げ
自らの価値と役割を再定義する機会
“行動変容”を引き出す対話と実践
といった“本質的な気づき”を伴う研修です。
たとえば、「自分は何のために働くのか?」「どんな強みが組織に貢献できるのか?」「これからの5年間、どのようなリーダー像を描くのか?」といった問いに真正面から向き合う機会が、この時期の人材には必要なのです。
5年目研修の種類を5つ紹介:内容とその効果とは?
上述のように、入社5年目の社員が直面する停滞や迷いを乗り越えるには、意識と行動の変革が不可欠です。しかし、人は慣れた環境ややり方に安住してしまうと、自ら変化することは容易ではありません。そこで効果を発揮するのが『行動変容』を目的とした研修です。こうした研修を通じて5年目社員に新たな気づきと突破口を与えることができます。では具体的に、どのような外部研修プログラムがあるのでしょうか。以下では、代表的な5つの研修種類について、その内容と期待できる効果を説明します。
1.若手リーダー研修 – リーダーシップと業務推進力の強化
入社5年目は「現場の若手リーダー」としての飛躍が期待される時期です。そのため、多くの企業は若手社員のリーダーシップ開発研修を導入しています。例えばインソース社の「5年目社員向け研修~若手リーダーとなる編」では、5年目社員を組織を代表する責任ある若手リーダーへと成長させることを目指し、自ら必要な能力を習得し業務を積極的に推進する姿勢を養います。
研修内では5年目社員に求められる具体的なスキルとして、「業務のあるべき姿を描く力」「業務を円滑に遂行する計画立案力」「業務を前に進めるリーディング力」の3つを重点的に学習します。
これらは現状に疑問を持ち新たな改善策を発想するクリティカルシンキングや、ゴールから逆算して計画を立てる手法などを含み、演習ではチームへの指示出しシミュレーション等を通じて実践的に習得します。
研修の効果として、参加者は業務改善の視点と計画力を磨き、チームを牽引する自信を身につけます。日常業務でも受け身を脱して自ら課題解決や後輩指導に乗り出すようになり、5年目社員にありがちなマンネリ化を打破して“若手リーダー”として一段成長することが期待できます。
2.主体性・問題解決研修 – チームで成果を出す中堅社員へ
5年目社員には主体的に行動しチームを牽引する役割が求められます。
そうした自主性と課題解決力を高める研修も人気です。SMBCコンサルティングが提供する「5年目社員研修」は、まさにこの主体性とチーム貢献力の強化を狙いとしています。研修の狙いは、入社5年目としての役割期待を自覚し主体的な行動につなげることや、リーダーシップを発揮してチーム内コミュニケーション活性化の核となること、さらにチームの問題解決に主体的に取り組み成果向上を図ることです。
プログラム内容の一例として、まずこれまでの4年間の業務経験を振り返り、自身の成長や課題を洗い出します。その上で「5年目に求められる役割とは何か」を議論し、上司から期待される点を確認します。
次に、職場で主体性を発揮するための具体的行動(問題意識を持ち職場改善に取り組む、後輩指導を率先する等)を学び、リーダーシップの基礎とチーム内で人を巻き込むコミュニケーション術を身につけます。
さらに、職場の課題を構造的に分析し解決策を立案する問題解決演習も行われ、チーム単位で成果を出す力を養成します。
研修を通じて「自分ごと」として積極的に動ける中堅社員への意識改革が図られます。その結果、受講者からは「リーダーシップの本質が理解できた」「課題を素早く整理し解決策を立案するスキルが身についた」「研修後にモチベーションが上がり、より自律的に行動しようと思えた」などの声が寄せられています。
つまり、本研修によって主体性の向上と問題解決力の強化が実現し、停滞しがちな5年目社員がチームの中核として活躍できるようになるのです。
3.キャリアデザイン研修 – 将来ビジョンの明確化によるモチベーション向上
入社5年目というのは、多くの社員にとって“なんとなくこのままではいけない”という漠然とした不安を抱える時期です。キャリアの方向性が見えなくなり、気づかぬうちにモチベーションが下がっている社員も少なくありません。
このような「キャリアの迷い」に対して効果を発揮する研修の一例が、リカレント社が提供するキャリアデザイン研修です。リカレント社の研修では、単なる知識のインプットではなく、内面からの動機づけと意思の明確化を重視しています。具体的には、これまでの経験や価値観を棚卸し、自分はどんな場面でやりがいを感じてきたか、どんな環境で力を発揮できるかを対話やワークを通じて可視化します。
さらに、ライフステージも含めた「ライフキャリア」という視点から、人生のなかで“働く”ということが自分にとってどんな意味を持つのかを問い直す構成になっています。この問いを通じて、今後どのような人生とキャリアを築いていきたいかが言語化され、「目指す姿」から逆算して今日の働き方を見直すマインドが育ちます。
最終的には、キャリアに関する具体的な行動計画の策定へとつなげ、研修後すぐに一歩を踏み出せる状態を作ります。受講者からは「なんとなく働いていた感覚から、自分でキャリアを切り拓いていく意識に変わった」「この研修で、自分の中にあった“志”に火がついた」といった声が多く寄せられており、キャリアの節目にこそ必要な内省と再出発の場として評価されています。
5年目という“働き方の方向修正ができる最後のチャンス”を逃さないために、キャリアデザイン研修は非常に有効です。「自分自身をどう扱うか」を明確にするこの研修は、モチベーションの再燃と離職防止の両面で高い効果が期待できます。
4.フォロワーシップ研修 – 組織を支える「部下力」の養成
近年注目される研修にフォロワーシップ研修があります。フォロワーシップとは、上司やリーダーを補佐しチームに貢献する力のことで、中堅社員にはしばしば上司と部下の橋渡し役として組織を支える役割が求められます。
5年目ともなると、自分がリーダーシップを発揮する場面だけでなく、上司を支え後輩を導く場面も増えてくるため、この「フォロワー(追随者)としての能力」を伸ばす研修は非常に実践的です。研修内容としては、まずフォロワーシップの意義を学び、自身の立場で何ができるかを考えます。例えば、上司に対しては単に指示を待つのではなく提案や進言を行うこと、組織やチームに対する不平不満があるなら傍観せず改善策を自ら試みること、後輩には指示待ちではなく自主性を引き出す関わりをすること等です。
演習では、上司の意思決定をサポートするシミュレーションや、業務改善の提案エクササイズなどを行い、受講者が「能動的なフォロワー」として行動する練習を積みます。日本能率協会などによれば、フォロワーシップ研修は組織全体のパフォーマンス向上につながるとされ、中堅社員がチームの中核として支援に徹することで組織を活性化させる狙いがあります。
研修後の効果としては、5年目社員が自ら縁の下の力持ちとなって職場の潤滑油になるケースが増えます。具体的には、「上司から見てほしいところを先回りして動けるようになった」「チーム内の課題に気づいた人が自発的に解決に乗り出すようになった」など、受講者が主体的に周囲を支える言動を取るようになります。単にリーダー待ちだった受け身の姿勢を改め、自身も組織を動かす一員なのだという当事者意識が芽生える点が大きな効果です。
結果としてチームワークが向上し、上司からの信頼も厚くなるため、将来的にリーダー候補として抜擢される土台作りにもなるでしょう。5年目社員にありがちな「言われたことだけをやる」殻を破り、自律的に組織貢献できる人材へと変容させる研修と言えます。
5.ストーリーテリング型 – 自信のつくり方研修
最後に筆者である私、佐藤政樹の、30代を力強く生きていくために自信の構造を解き明かし育てる研修を紹介させて頂きます。私が考える自信の4要素をそれぞれ分析(自己肯定感・自己効力感・自己有用感・フィジカル)し、自己棚卸しのワークなどを通してストーリープレゼンでまとめ、自信の土台を作ります。
30代に突入する直前である入社5年目は、仕事にある程度慣れた一方で、「自分には何ができるのか」「このままで大丈夫なのか」といった“漠然とした自信のなさ”を抱きやすいタイミングです。スキルや経験では測れない、“根拠のない不安”が、成長意欲を鈍らせてしまうこともあります。
この研修は、そんな5年目社員のために設計された、自信を「構造的に捉えて鍛える」ことに特化したユニークなプログラムです。講師である私は、劇団四季の元主演であり、現在は企業向けに人材育成を行っています。その独自の経験からくるメソッドを活かし、座学だけでは得られない“内側からの行動変容”を引き出すことを目的としています。
本研修の最大の特長は、自信というあいまいな感情を、4つの要素に分解して扱うことです。
私が考える自信の方程式とは、漠然としたイメージの「自信」というものを「自己肯定感」×「自己効力感」×「自己有用感」×「フィジカルコンディション」に分解したものです。
ここでいう「自己肯定感」とは、どんな状況においても自分の存在をプラスに捉えられる能力のこと。「自己効力感」とは、どんな人生の局面においても自分なら望む結果を出せると信じられる能力のこと。「自己有用感」とは、ありのままの自分の存在が人や社会の役に立っていると実感できること。「フィジカルコンディション」とは、年齢を重ねても身体感覚を良好に維持するための方法であり自信の土台となるもの、です。
この方程式を知り、連動させ、それぞれを高めていくことで、誰でも「自信はつくれるもの」だと実感できるはずです。
そして研修の最後には、自らの経験をもとにした「ストーリープレゼン」に挑戦します。これは、単なるスピーチではありません。受講者が「これまでの自分」「これからの自分」を語ることで、自信を“他者に伝える力”として定着させる仕掛けです。
実際の受講者からは、
「“自信はつくるもの”という発想が新鮮だった」
「過去の挫折を語ったことで、自分の価値が見えた」
「語ることで、30代に入る覚悟ができた」
といった声が多く寄せられています。
入社5年目研修を成功させる3つのポイント
入社5年目の社員に対する研修を効果的に行うためには、いくつか押さえておきたいポイントがあります。ここでは、研修を成功させ、受講者の行動変容と成長を最大化するための重要なポイントを3つ紹介します。
ポイント1:研修の「なぜ今なのか」を明確にし、キャリアの節目としての意識を醸成する
研修を成功させるために最も重要なのは、「なぜこのタイミングで研修を行うのか」を、主催側も受講者本人も深く理解していることです。
入社5年目は、日々の業務には慣れてきたものの、将来の方向性に漠然とした不安を抱き始める、いわば**キャリアの“静かな曲がり角”**です。ここで本人の意識が内向きになれば、成長は停滞し、リーダー候補としての可能性も曖昧になってしまいます。
だからこそ、研修を企画する段階で、
「この研修を通じて、どのような気づきや変化を促したいのか」
「受講後、どのような行動や姿勢の変化を期待するのか」
を言語化し、明確なテーマとゴールを設定することが不可欠です。
たとえば、「将来の管理職候補として自覚を持ち始めてほしい」「自分の強みや価値に自信を持って、次のチャレンジに踏み出してほしい」など、5年目だからこそ取り組むべきテーマを選定します。
また、研修前から“節目である”という認識を本人に促す工夫も重要です。
事前に上司とのキャリア面談を行い、期待役割や今後の成長イメージを伝えておけば、研修は単なるイベントではなく、自分のキャリアと向き合う大切な機会として捉えられるようになります。
目的と意味づけが明確な研修は、受講者の内側に火をつける力を持ちます。そして、内発的なモチベーションが生まれたとき、研修の学びは“単なる知識”ではなく、“人生の転機”として記憶に残るものになるのです。
ポイント2:受け身を脱し、行動変容を引き出す“実践型プログラム”を設計する
入社5年目の社員は、ある程度の知識や業務経験をすでに積んでおり、「知っていることを聞く」だけの座学研修では、気持ちが乗らずに終わってしまうことがあります。だからこそ、“行動を起こすきっかけ”となる実践型のプログラム設計が不可欠です。
重要なのは、受講者自身が「自分の言葉で語る」「他者と深く関わる」「実際にやってみる」場を通じて、“内省→発見→表現→行動”というサイクルを体験できること。これにより、単なる理解にとどまらず、「変わり始めた自分」を実感できる瞬間が生まれます。
たとえば、以下のような構成が効果的です。
グループディスカッションや対話型ワーク:同世代だからこそ共感し合える悩みや価値観を言語化し、自分自身の立ち位置を再確認する
ケーススタディやロールプレイ:自ら考え、判断し、チーム内で役割を担う経験から、「周囲を動かす力」「信頼される言動」のリアリティを学ぶ
実際の経験を題材にしたストーリー共有:自分の過去や苦労を語ることで、自己理解と共感が深まり、自己効力感を高める
身体・表情・声などフィジカルを使った表現演習:頭で考えるだけでなく、行動として「伝える・動かす」力を鍛える
また、講師やファシリテーターが一方的に知識を伝えるのではなく、対話を通じて“気づき”を引き出すことが鍵になります。誰かに教えられた「正解」ではなく、自分自身が納得できる「気づき」を得たとき、人ははじめて行動を変える準備が整います。
近年の若手社員は、受け身で情報を与えられるよりも、「自分で選び、自分で語ること」に学びの価値を感じる傾向があります。特に5年目は、役割と自我の狭間で揺れる時期。だからこそ、研修の場で他者と真剣に関わり、自分の力で答えを見つける体験が、彼らにとって強い動機づけになります。
「話してよかった」「伝えられた」「変わる一歩を踏み出せた」――
そう思える場面を設計することが、研修を“腹落ちのきっかけ”に変える鍵になるのです。
ポイント3:研修後の行動を“点”で終わらせない。継続的なフォローと現場の支援体制が鍵
どれほど優れた研修であっても、それだけで社員の行動が永続的に変わることはありません。
研修で芽生えた気づきや決意を“本物の行動”へと定着させるためには、研修後のフォローアップと、現場での支援体制の整備が不可欠です。
人材開発の分野でよく引用される「70:20:10の法則」でも、成長の7割は現場での実践経験から、2割は上司や先輩からの支援・フィードバックから、残る1割が研修によるものとされています。つまり、研修は“スタート地点”であり、その後の環境と仕組みが成長を決定づけるのです。
とくに入社5年目の社員は、「やる気はあるが、自信や習慣がそれに追いつかない」というケースが少なくありません。研修で得た学びを、日常の行動として落とし込むサポートがなければ、せっかくの変化の兆しも元に戻ってしまう可能性があります。
そこで重要になるのが、以下のような“継続の仕組み”です。
研修内で立てたアクションプランの“実践状況”を、上司が定期的に確認する面談機会の設定
1~3ヶ月後に、振り返りと軌道修正を行うフォロー研修・リフレクションセッションの実施
受講者同士が近況や成果を報告し合う「ピアレビュー」や「学びの共有会」の開催
人事側が定期的に進捗状況を確認するアンケートやサーベイの実施とフィードバック
また、上司や現場のリーダーが「研修で何を学び、どのような行動変容を目指しているのか」をあらかじめ理解しておくことで、研修後の行動を“見守りながら支える”環境が整います。「あの研修で何を得たのか」「最近、行動に変化があるようだね」といった対話が自然に生まれるだけでも、本人は「ちゃんと見てくれている」と感じ、自信とモチベーションが持続しやすくなります。
さらに、「自己ストーリーのプレゼン」や「行動宣言」の場を設けておけば、研修での言葉が現場に戻ってからも社員自身の“旗印”として作用し続けます。
行動変容は、研修そのものではなく、その後に続く日常の中で育っていくもの。
だからこそ、短期的な達成ではなく、「中長期的に変化が定着する仕組みづくり」を、研修の一部として設計する視点が求められるのです。
入社5年目研修を実施する上でよくある質問(FAQ)
ここでは、企業の人事担当者や育成ご担当者からよくいただくご質問を3つご紹介します。研修を検討する際の参考にしていただければ幸いです。
Q1:入社5年目の社員は人数が少なく、研修を1クラスにまとめるのが難しいのですが…
A:少人数でも効果が高まる“対話型・内省型”のプログラムがおすすめです。
入社5年目前後の研修は、10名未満の少人数でも十分に効果を発揮します。むしろ、キャリアや価値観に向き合う内省ワークやストーリーテリングのような研修では、少人数のほうが深く対話しやすく、参加者の主体性も高まりやすい傾向があります。
「人数が少ないからこそ、一人ひとりの変化に深くコミットできる」のです。
Q2:他の階層(1年目・3年目・管理職)とどう違いを出せばよいですか?
A:5年目は「リーダーになる前段階」。自己内省と影響力の種まきが重要です。
1年目研修では、社会人としての基礎となる心構えや基本的なビジネスマナーや業務遂行スキルの定着が主軸となります。3年目研修はモチベーションや主体性が主日となります。一方、管理職研修ではマネジメント実務や意思決定スキルが求められます。
5年目研修はその“あいだ”をつなぐ「役割の移行期」です。ここでは、
自分の価値を見つける
自分の言葉で語れるようになる
仕事だけでなく人生の責任が増す覚悟を育てる
という“自己から他者へ”の意識の転換を促すことが鍵となります。
つまり、「内省からリーダーシップへの準備期間」としての位置づけが、他階層との差別化ポイントになります。
Q3:研修の効果測定や、現場への波及はどうやって確認すればよいですか?
A:事前・事後アンケート+行動宣言の追跡+上司のフィードバックが有効です。
研修で得た学びや気づきが、実際の職場でどのように活かされているかを測るには、「変化の兆し」を丁寧に拾う設計が重要です。
具体的には:
事前・事後アンケートでの意識の変化の可視化
研修内での行動宣言を記録し、3ヶ月後・6ヶ月後に実践状況を簡易チェック
上司からのフィードバックヒアリングで、周囲からの評価の変化を確認
これらを一体化した“行動定着サイクル”を推奨しており、単発で終わらせず、職場での行動変容を支援する仕組み作りが大事です。
まとめ:5年目社員の「見えにくい停滞」を放置せず、組織の未来を支える成長へ
入社5年目という時期は、数字やスキルには現れにくい“見えにくい課題”が多く潜んでいます。本人たちはすでに一通りの業務をこなせるようになり、目立った問題は起きにくいかもしれません。しかしその一方で、
「このままでいいのか」という迷い
「自分に何ができるのか」という不安
「リーダーになる自信が持てない」という躊躇
といった内面の停滞を抱えているケースは少なくありません。そのまま放置すれば、帰属意識の低下、成長の鈍化、ひいては離職につながってしまう可能性もある――それが、5年目という節目の難しさです。
だからこそ、今このタイミングでこそ、本人に“立ち止まって問い直す機会”を提供することが重要です。
本記事では、5年目社員の成長支援に有効な研修の種類を5つご紹介し、それぞれの特性や効果を解説しました。どの研修を選ぶにせよ、成功の鍵となるのは以下の3点にあります。
・「なぜ今、研修をするのか」を本人と組織が共有すること
・主体的に関わり、変化を体感できる“実践の場”を設計すること
・研修後の行動が定着するよう、現場と連携したフォロー体制を整えること
これらを丁寧に設計することで、5年目というキャリアの分岐点が、単なる通過点ではなく「成長のターニングポイント」へと変わります。
誰もが必ずしも順風満帆なキャリアを歩むわけではありません。だからこそ、組織が「節目を見逃さず、寄り添う」ことで、その社員の中に眠る可能性が再び息を吹き返します。
5年目社員は、未来の組織を担う存在です。その“停滞”に気づき、“成長”に導く――それは、企業にとって最も価値ある人材投資と言えるのではないでしょうか。
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