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社員が変わる外部研修とは?プロ講師が伝える導入メリットと選び方ガイド

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はじめに:研修内製化に悩むあなたへ

「研修は費用がかかるから、できるだけ社内で済ませたい」
「自社のことを一番よく知っているのだから、研修は内製化すればよいのではないか」
「せっかく研修するなら、社内にノウハウを残したい」

――人材育成を担う人事担当者や経営者の方であれば、こうした想いを抱いたことが一度はあるはずです。もちろん、それ自体はとても必要な考え方ですし、実際に内製化によって成果をあげている企業もあります。

しかし現場では、こんな声も少なくありません。

「社内で研修を企画しても、思うように社員の心に届かない」
「講師をする社員の講師力には限界がある」
「せっかく準備したのに、受講者の反応が薄くて空回り…」

実はこのような“内製化の壁”にぶつかっている企業は、たくさんあります。多くの企業が「研修はどこまでを自社でやり、どの部分を外部に任せるべきか」という葛藤をもっています。

内製には自社ならではの強みもありますが、近い関係性の中で生まれた研修では、社員の緊張感が薄れたり、言うべきことが言いづらくなる場面も出てきます。いわば“労力をかけて作り出したのになかなか伝わらない”というもどかしさが、内製化の落とし穴ともいえるのです。

逆に、外部講師を活用した研修は第三者の視点だからこそ社員に伝わることや、プロフェッショナルだからこそ届けられるメッセージがあります。外部研修には、内製とは異なる数々のメリットがあります。

本記事では、外部研修の目的と意義を改めて整理し、内製研修と外部研修それぞれのメリット・デメリットを比較します。さらに、外部研修だからこそ効果的な研修内容の例や、導入した研修の効果を最大化するポイントも詳しく解説します。

最後までお読みいただければ、研修の内製化と外部研修導入の違いがわかり、どこまでを自社でやり、どの部分を外部に任せるべきか明確になるでしょう。ぜひ最後までご覧いただき、研修効果を最大限に発揮するきっかけにしてください。

はじめまして、この記事を執筆した佐藤政樹と申します。劇団四季出身の研修講師として【受講生を惹きつけながら気づきと学びを促すことをモットー】に、労働組合の講演会をはじめ行政・金融機関・教育・医療機関などでさまざまな分野で講演や研修を行っております。記事の内容をお読みいただき、もしご興味いただけましたら、ページ最下部のプロフィールや研修内容の詳細をご覧いただけますと幸いです。

外部研修の目的と意義とは?基本を改めておさらい

研修を「どこまで内製化し、どの部分を外部に任せるべきか」――この線引きを考えるうえで、まず押さえておきたいのが外部研修の本来の目的と意義です。

そもそも「外部研修」とは、研修の実施を自社の人材ではなく、外部の専門講師や教育機関に委託することを指します。講師が外部の人物であれば、開催場所が社内でも「外部研修」となります。

たとえば、英語やITスキルなどの専門分野において、語学学校や外部コンサルタントに依頼するケースが典型例です。最近では、マネジメントやビジネススキル、さらには“理念浸透”のような抽象度の高いテーマでも、外部講師が活用される機会が増えています。

では、なぜ多くの企業が外部研修を選択するのでしょうか?
背景には、以下のような現場の現実的な課題があります。

・社内に適任の講師がいない、もしくは専門性が不足している
・研修準備や設計を担当するリソースが足りない
・自社の伝えたいことが社員に届いていないと感じている

とくに近年では、限られた人材で最大限の育成成果を出すことが求められる時代です。そんななか、「専門性」と「客観性」の両方を持つ外部講師の存在が、必要となっているのです。

実際、2021年の調査では、中小企業の約30%が研修を外部委託しており、企業規模が大きくなるほどその傾向は顕著です。経団連の調査によると、大手企業の約48.6%が外部連携や外注による研修を導入しています。つまり、すでに多くの企業が「内製と外部の併用」という最適解にたどり着いているのです。

ここで強調しておきたいのは、外部研修の目的は決して「楽をすること」ではなく外部研修の真の意義は、社内だけでは得られない視点や伝え方を取り入れ、研修の効果そのものを底上げすることにあります。

・社員に“新しい刺激”を与える
・業界の最新動向や他社事例を学ぶ
・プロのファシリテーションによって本質的な気づきを引き出す
・外部の立場だからこそ言えるメッセージを、社員に届ける

こうした外部講師の力は、単なる知識伝達ではなく、社員の意識を変え、組織を前進させるきっかけになります。

とはいえ、すべてを外部に任せればよいわけではありません。むしろ大切なのは、何を内製で担い、どの部分を外部の力に託すのかという“戦略的な分担”を見極めることです。

この「線引き」を正しく行うことが、研修の成果を最大化する鍵になります。

次章では、まず「内製研修のメリットとデメリット」を整理し、そのうえで「外部研修の利点」との違いを具体的に比較していきます。読み進めるほどに、あなたの会社にとってベストな選択肢が見えてくるはずです。

研修を内製化することによるメリット・デメリット

外部研修の意義を押さえたうえで、ここからは「自社で研修を行うメリットと限界はどこにあるのか?」を見ていきましょう。企業が研修を内製化する背景には、次のようなポジティブな意図があります。

内製化のメリット

1. 社内に研修ノウハウが蓄積される
研修を内製化する最大のメリットの一つは、実施するたびにノウハウが社内資産として蓄積されることです。教材づくり、受講者管理、進行技術、オンラインツールの活用など、試行錯誤を重ねることで自社に最適な研修スタイルが形づくられていきます。これは長期的に見ると、研修文化を社内に根付かせるうえで非常に有効です。

2. 講師と受講者がともに成長できる
内製化では、社員が講師役を務めることで“教えることで学ぶ”機会が得られます。講師自身が改めて自分の知識や経験を整理することになり、結果としてスキルアップにもつながります。また、現場を知る者同士の対話によって、よりリアルな気づきや意見交換が生まれることも内製ならではの魅力です。

3. 自社に最適化されたオリジナル研修が可能
自社の経営戦略や現場課題に直結したオーダーメイド型の研修設計ができるのも、内製化の強みです。現場の声を反映させ、ミッションやバリューを盛り込んだ独自色の強いプログラムを組むことができれば、社員の共感度も高まります。

4. 金銭的コストを抑えやすい
外部講師への謝礼が不要なため、研修費用を直接的に抑えられるのは大きなメリットです。社内リソースを上手に活用できれば、限られた予算内でも継続的な研修実施が可能になります。
 
 
こうして見ると、内製化には「自社に合わせた自由な設計」「組織的な蓄積」「費用面での柔軟さ」という魅力があります。しかし同時に、これらを実現するためには相応の時間・スキル・人員の確保が求められるという現実も見逃せません。

内製化のデメリット・課題

1. 準備・運営に大きな時間と工数がかかる
企画から実施、フォローまで一貫して社内で担うため、研修担当者の負担が非常に大きくなる傾向があります。特に初めてのテーマや複雑な構成の研修では、資料作成や段取りだけで手いっぱい…という声も多く聞かれます。

2. 社内講師の育成が不可欠
「人前で話せる社員=良い講師」とは限りません。内製化を成功させるには、講師としての教え方やファシリテーションのスキルを一から育てるプロセスが必要です。育成には時間がかかり、研修の質は講師の成熟度に大きく左右されるという課題があります。

3. 効果的なプログラム設計のハードル
内製化では、プログラム設計も社内で担う必要がありますが、効果的な構成やストーリー設計には専門的な知見が不可欠です。経験の浅い担当者がゼロから設計すると、独りよがりな内容になってしまったり、期待した成果が出なかったりするリスクもあります。

4. 身内感によるマンネリ化
社内の人材が講師を務めると、どうしても“身内感”が出てしまい、学びの密度が下がることがあります。「親に言われたことは聞かないけど部活の先生に言われたことは素直に聞いた」という経験はありませんか?関係が近いことにより逆に伝わらなくなることもあるのです。

5. 視野が内向きになりやすい
自社に最適化しすぎた研修は、逆に外部の知見や業界動向に触れる機会を減らしてしまうことも。これでは社員が成長するための“視野の広がり”や“刺激”が得られず、学びが内向きに閉じてしまうリスクがあります。
 
 
内製化は、自社らしさを反映した研修を作れる一方で、「設計・運営・講師育成・継続性」という4つの壁に直面することが多いのが実情です。

このように、研修の内製化には「戦略的な意義と成長機会」があると同時に、「時間・スキル・マンネリ・偏り」といったリスクも内在しています。

ここで改めて問いたいのは、すべての研修を内製化すべきなのか?という点です。

答えはNO

むしろ大切なのは、「内製の強みが活きる領域」と「外部の力が効果を発揮する領域」をどう線引きするかです。

次章では、外部研修を導入することでこうした内製化の限界をどう補えるのか、そしてどんなメリットがあるのかを具体的に解説していきます。

外部研修を導入するメリット・デメリット

社外の専門機関や講師に依頼して実施する外部研修には、内製化とは異なる利点と注意点があります。ここでは外部研修ならではのメリットとデメリットを整理し、自社研修との違いを明確にしましょう。

外部研修導入の主なメリット

1. プロによる質の高い研修で、理解度と納得度が大きく向上する
外部研修の最大の魅力は、プロ講師による“わかりやすく、刺さる指導”が受けられる点です。登壇経験が豊富な講師は、専門知識だけでなく「どう伝えれば相手の心に届くか」という構成力や話術を磨き抜いています。

(たとえば私自身、劇団四季で培った表現力や伝達技術を活かし、ただの“知識の解説”にとどまらず、圧倒的体感型の記憶に残る研修を提供しています。)

外部講師であれば最新の業界動向や事例も交えて話すことができ、「そんな観点があるのか」「これからの仕事に活かせそうだ」と、社員の視野を一段階広げることも可能です。

2. 社内では得られない“新しい知見”と“客観的な視点”が手に入る
外部講師は、他社や異業種の現場を多数見てきた経験があります。そのため、研修では「他業種ではこんな成功事例があった」「業界的には今こうなっている」といった社内では出てこないリアルな事例や気づきを提供できます。

こうした知見に触れることで、社員は“井の中の蛙”状態から抜け出し、より広い視野で業務を捉え直すきっかけを得られます。これは、内製研修ではどうしても難しい効果のひとつです。

3. 同じメッセージでも、外部講師が語ると“伝わり方”が違う
これは経営者の方からよく伺うのですが「自分が何度伝えても社員には届かなかったのに、外部講師が同じことを言ったら全員がメモを取り出した」という現象は、実際によくあります。

これは、第三者という立場が持つ“心理的な角度”の力です。ボイスチェンジ効果と言われます。身内が伝えても刺さらないことが、第三者の言葉ですと社員は素直に受け入れやすいのです。

また<>u社内で何度も語られてきたメッセージが、外部講師の言葉に乗ることで「腹落ち」する瞬間があります。これは、内製研修ではなかなか得られない外部ならではの価値です。

4. 研修そのものが“非日常”となり、社員の集中力と意欲が高まる
外部講師が登壇するだけで、社員にとっては「普段とは違う場」になります。適度な緊張感が生まれ、受講姿勢も自然と引き締まります。

「せっかく外部の先生が来てくれるんだから、しっかり学ぼう」そんな前向きなモードを引き出せるのが、外部研修の強みです。

さらに、公開講座や他社と合同の研修形式であれば、他社の人材との交流や比較からも刺激を受け、「自分ももっと頑張らなきゃ」とモチベーションの向上にもつながります。

5. 人事・教育担当者の負担が軽減され、研修実施のスピードもアップ
研修を社内で一から準備するには、膨大な時間と労力が必要です。外部研修であれば、企画・設計・教材準備・運営進行まで、プロが代行してくれるため、担当者の業務負担は格段に軽くなります。

特に、「新しいテーマにチャレンジしたいけれど社内にノウハウがない」という場面では、専門家に任せることで最短距離での実施が可能になります。結果として、担当者は運営に追われることなく、受講者のフォローや研修後の実務展開に集中できるようになります。これは人材育成の全体設計において、大きなアドバンテージになります。
 
 
このように、外部研修には「伝え方の質」「視点の新鮮さ」「場の空気」「実行スピード」「社員の受容度」など、内製ではカバーしきれない価値が多く存在します。
つまり、「内製だと届かないメッセージ」を「外部の力で響かせる」ことこそ、外部研修の最大の役割なのです。
次は、こうした価値と引き換えに生じる「外部研修のデメリット」についても冷静に見ていきましょう。

外部研修の考慮すべきデメリット

ここまで、外部研修の大きなメリットを見てきましたが、当然ながら万能な手段ではありません。

実際の現場では、外部研修を導入したものの「期待していた効果が得られなかった…」という声も少なくないのです。そこでこの章では、外部研修を検討するうえで事前に押さえておきたい“注意点”を整理します。「だからやらない」ではなく、「どう備えるか」を意識することが、外部研修を成功に導くカギになります。

1. コストがかかる
外部研修でまず検討が必要なのは、コスト面です。講師への謝金、教材費、会場費、交通費、場合によってはカスタマイズ費用も発生します。内製と比べて直接的な出費が増えるのは避けられず、「研修はやりたいけど予算が…」という企業にとっては最初のハードルとなりやすい部分です。

ただし、ここで重要なのは「費用対効果」の視点です。単なる“コスト”ではなく、“投資”として見たときに、どれだけの効果が期待できるか。その精度を上げるためには、事前の打ち合わせや見積もりの比較検討が不可欠です。

2. 日程やスケジュールの柔軟性に制限がある
外部講師や研修会社に依頼する場合、自社の希望通りのスケジュールが組めないことがあります。特に人気講師ほどスケジュールが埋まっており、「この日にやりたいのに依頼できない」ということもしばしば。

また、急な日程変更や内容の調整も、社内研修のようには柔軟に対応できない点には注意が必要です。このため、外部研修を導入する際は余裕を持ったスケジューリングと段取りがカギになります。

3. 自社の事情に完全にはフィットしない可能性がある
外部講師の研修は、多くの企業に当てはまるように汎用的に設計されているケースもあります。そのため、特にオープンセミナー型では「自社の業界・商品・文化には少し合わない」と感じることも。

逆に言えば、講師に自社の状況や背景をきちんと伝えていなかった場合、“一般論で終わってしまう”リスクも出てきます。

ここで大切なのは、「丸投げしない」こと。事前に目的や課題をしっかり伝え、必要に応じてカスタマイズを依頼することで、研修の質とフィット感は大きく変わります。

4. ノウハウが社内に蓄積されにくい
外部講師が準備・実施をすべて行う場合、研修そのものは社員の学びになりますが、社内に“運営ノウハウ”が残らないという側面があります。

「また同じテーマをやりたい」と思っても、再び外部に頼るしかない――いわば“外注依存”の状態になりかねません。

特に人事や教育部門として「自社内で研修文化を根付かせたい」という長期的視点を持っている場合には、外部研修と内製を組み合わせながら、学びの蓄積を意識することが求められます。

(ここだけの話ですが、外部研修を導入した際に実際に自分も参加し、学びやノウハウを自らスポンジのように吸収し、自社に応用して社内に蓄積される人事教育担当の方もいます。)

5. 講師や研修の質にばらつきがある
すべての外部講師が、必ずしも“当たり”とは限りません。教え方が合わない、内容が浅い、場の空気がつかめていない――など、「期待外れだった…」というケースも存在します。

特にカタログだけで選んだり、担当者の一存で決めたりすると「せっかく予算をかけたのに、研修効果はイマイチだった」という残念な結果に。

だからこそ、講師選びは慎重に。実績や登壇動画、過去のクライアントの声などを事前にチェックし、「この人なら自社に合いそうだ」と確信を持てる講師を選ぶことが成功の前提です。

デメリットは“防げるもの”である

こうした外部研修のデメリットは、事前の準備や講師とのすり合わせによってかなりの部分がコントロール可能です。

・講師や研修会社との丁寧な事前打ち合わせ
・自社の背景や目的を明確に伝えること
・費用感や日程のリスクを想定した余裕ある設計
・講師の実績・相性を見極めた上での選定

これらを押さえておけば、「外部に頼んで失敗した…」という結果にはなりません。

内製と外部、どちらが絶対に良いということではありません。大切なのは自社の目的や状況に応じて、どちらをどう活かすかの見極めです。

次章では、「どんなテーマなら外部に任せた方が効果的なのか?」という観点で、外部研修に特におすすめできる内容を具体的にご紹介します。

外部研修におすすめの研修内容

“どのテーマを外部に任せるべきか?”

ここが、企業の研修担当者にとって最も悩ましい判断ポイントです。

研修には、「社内で実施した方が効果的なテーマ」と、「外部の専門家に任せた方が成果が出やすいテーマ」があります。

この章では、“外部に任せると効果が高まる代表的な研修内容”を4つに分類してご紹介します。それぞれのテーマで、なぜ内製ではなく外部の力を借りるべきなのか?という視点を明確にしていきます。

1.ビジネスマナー・論理思考などの汎用スキル研修

まずおすすめしたいのは、ビジネスマナー、ロジカルシンキング、報連相、マネジメントなど、社会人に必要な基本スキルの習得です。

これらのスキルは多くの企業に共通して必要とされるため、外部研修会社には実績豊富なカリキュラムと“つまずきやすいポイント”の攻略ノウハウが揃っています。

新入社員向けのマナー研修や、中堅社員向けの思考力トレーニング、管理職向けのマネジメント研修などは、まさに外部プロの出番です。特に社内でこうした研修に慣れていない場合、一から教材を用意するよりも、外部の専門家に任せることで短時間かつ高品質な研修を実現できます。

🔸 線引きのポイント:
「すでに定型化された基礎スキル」は、外部のほうが早く・的確に成果を出せる。

2.専門性・最新性が求められる知識の研修

DX、AI、ITスキル、最新の法改正、語学(ビジネス英語)など――こうしたテーマは変化のスピードが早く、社内で知識を維持・更新するのが非常に難しい分野です。

そのため、内容の正確性・タイムリーさ・実務への落とし込みといった点で、専門知識を持つ外部講師の力を借りるのがベストな選択になります。

とくに語学やIT研修などは、ネイティブ講師や技術トレーナーなどの“リアルなプロ”に任せることで、「本物に触れる」体験が社員の学びを一段階引き上げます。

🔸 線引きのポイント:
「内容が高度すぎる/変化が激しすぎる/社内に教えられる人がいない」テーマは、外部が最適。

3. 大規模で運営負荷の高い研修

新入社員研修や全社対象のコンプライアンス研修など、参加者が多数に及ぶ研修も外部の活用がおすすめです。人数が多ければ多いほど、進行・運営・効果測定・参加者管理など、事務負担が激増します。

こうした場面では、大規模研修の進行に慣れている外部の研修会社が強い味方になります。また、オンライン研修やeラーニングとの組み合わせなども、外部なら柔軟に提案・対応してもらえます。

🔸 線引きのポイント:
「規模が大きくなるほど、社内で回すには無理がある」と感じたら外部に委ねるタイミング。

4.経営理念・バリュー浸透のような“心に響かせる”研修

「うちの理念をもっと社員に浸透させたい。でも、社内で話すと“お説教”みたいになる…」

これは多くの企業で起きている悩みです。

ミッション・クレド・ビジョンといった抽象度の高いテーマほど、“伝える人の表現力”と“社員の受け取り方”に大きく左右されます。だからこそ、物語性や体験性を交えて理念を“体感させる”ような外部研修が効果を発揮します。

たとえば、私が所属していた劇団四季では「演劇を通して観客に生きる喜びを届ける」という理念を活動の核としていました。それが信念となりモチベーションへと変わった実体験があります。このように講師が角度を変えて理念浸透の重要性を説くことで社員の心に火をつけることも可能です。

第三者の語りによって、“理念が他人事ではなく自分ごとになる”――これが最大の効果です。

🔸 線引きのポイント:
「伝えるべき大切な内容なのに、関係が近いことが要因でなかなか伝わらない」と感じたら、外部の“表現のプロ”を活用すべき。
 
 
線引きのまとめ
ここまで挙げた内容を振り返ると、外部研修に適しているのは、以下のような特徴を持つテーマです。

・社内に十分な教える人材やノウハウがない
・知識の変化が早く、最新情報をキャッチアップする必要がある
・対象人数が多く、内製では運営が回らない
・社員の“心を動かす”ような伝え方が求められる

一方で、自社特有のノウハウや技術、社内運用ルールなど、“その会社にしかわからない領域”は、やはり内製が強みを発揮する場面です。

大切なのは、目的やテーマによって「内製と外部」を戦略的に使い分けること。それが、限られたリソースで最大限の育成効果を得るための、最も現実的かつ賢い選択肢です。

外部研修の効果を高める5つのポイント

外部研修は、外部の力を借りるからこそ「やって終わり」にならない工夫が重要です。ここでは、せっかく投資した外部研修の成果を最大化するために、人事担当者が意識すべき5つのポイントをご紹介します。

1. 研修の目的・ゴールを明確に設定する

まず大切なのは、「何のための研修か?」という軸をしっかり定めることです。目的が曖昧なままでは、どれほど優れた講師を呼んでも効果は限定的になります。たとえば「理念浸透」なのか「営業力強化」なのか、「新人の土台づくり」なのかで、内容も語り方も大きく変わってきます。

講師選定やカリキュラム構築の前に、経営層・現場と連携しながら「この研修を通じてどんな状態をつくりたいか」を言語化しておきましょう。

2. 研修内容を事前に講師とすり合わせる

良質な外部講師ほど、「自分の持ちネタをそのまま話す」のではなく、企業の事情に寄り添ったアレンジが可能です。そのためにも、研修前に講師としっかり意図や背景、受講者の課題感などを共有しましょう。

たとえば「社内ではどうしても伝わりにくいが、これだけは絶対に伝えてほしい」という要望があれば、講師は“角度”を変えて届ける工夫ができます。事前のすり合わせがあるかどうかで、研修の精度と深度は大きく変わります。

3. 受講者の意欲を高める工夫をする

どんなに内容が素晴らしくても、受講者が「なんとなく受けに来た」状態では学びの質が下がってしまいます。事前に「なぜこの研修を受けるのか」「期待されていることは何か」を共有し、“学ぶ姿勢”を整えておくことが重要です。

また、講師紹介に一工夫加えて「この研修を受ける説得力を持つ経歴」「他社で変化を生んだ実績」などと伝えれば、受講者に自然と期待感と緊張感が生まれます。研修は内容だけでなく、“場のつくり方”でも効果が大きく左右されるのです。

4. 現場での実践・フォローまでセットで考える

研修で得た知識や気づきも、現場で活かされなければ意味がありません。たとえば「明日からどんな行動を変えるか」をその場で言語化させたり、上司との1on1や職場ミーティングで実践の機会をつくることで、研修効果はぐっと定着しやすくなります。

外部研修は一過性になりがちだからこそ「現場に持ち帰ってからどう活かすか」まで設計しておくと、実務との接続が強まり、行動変容が生まれやすくなります。

5. 研修を単発で終わらせず、継続的な投資と捉える

外部研修は「単発イベント」ではなく、人材育成の“流れ”の中の1ステップと捉えることが大切です。定期的に同じテーマを継続したり、前回の学びをベースに発展的な内容を加えるなど、学びの“点と点”をつなげていくことで社員の意識とスキルは確実に進化します。

特に、理念浸透やマインドセットなど定着に時間がかかるテーマは、年に数回の“外部のリマインド”が極めて有効です。「やって終わり」ではなく「次にどうつなげるか」を意識して、外部研修を育成戦略に組み込んでいきましょう。
 
 
以上のポイントを意識するだけで、外部研修の効果は格段に向上します。要は、研修前後の段取りと受講者・講師双方への働きかけ次第で成果が大きく変わるということです。

「外部に任せたから後はよろしく」ではなく、外部講師と二人三脚で研修を成功させるつもりで準備・フォローに取り組んでいきましょう。そうすれば、外部研修はが単なるイベントではなく、社員の行動変革を促す組織開発の強力な武器となってくれるはずです。

まとめ:最適な講師を選んで、外部研修を成功へ導こう

人材育成において、研修を“内製するか”“外部に委託するか”は永遠のテーマかもしれません。しかし本記事で見てきたように、それぞれにメリット・デメリットがあり、一方が絶対に正解というわけではありません。

本当に大切なのは、自社の目的や現状に応じて最適な手段を選び、成果を最大化する工夫を惜しまないことです。

もしあなたがいま

「社内研修だけでは限界を感じている」
「もっと社員の心に響く研修をしたい」

と感じているなら——それは、外部研修という選択肢を検討すべきサインかもしれません。

最適な外部研修には、「最適な講師との出会い」が欠かせません。テーマや業界への理解、伝える力、柔軟な対応力…信頼できる講師は、単なる知識提供を超えて、社員の行動とマインドを変えるきっかけを創ってくれます。

筆者自身、「社内では響かなかったメッセージが、第三者の声だからこそ刺さった」——そんな声を、経営者や人事の方々からいただくたび、外部講師ならではの役割と価値を実感しています。

外部研修は、ゴールではなくスタートです。そこで得られた“気づき”や“学び”をどう現場で育てていくか。その姿勢次第で、組織の未来は大きく変わります。

「内製か外注か」ではなく、「自社にとって今、何が最善か」を見極めながら、信頼できるパートナーとともに、一歩を踏み出してみてください。

あなたの会社の研修が、社員の背中を押す“転機”となりますように。そして、研修が単なる行事ではなく、組織に学びの文化を根づかせるきっかけとなるよう願っております。

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