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功労者向け研修とは?その知財や経験を研修として未来へとつなぐ

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“功労者”向け研修が必要な理由

少子高齢化、定年延長、そして人生100年時代──
企業はいま、シニア人材の活用という課題と真剣に向き合う局面にあります。

中でも注目すべきは、現場で長年にわたり成果を残してきた“本物の功労者”たち。彼らは、豊富な専門知識や人脈、そして誰にも真似できない独自のノウハウといった、無形の資産を持つ存在です。

しかしその知見が引き継がれないまま退職が進めば、組織は一夜にして“暗黙知の空洞化”に直面しかねません。にもかかわらず、多くの企業では「功労者が本人でさえ気づいていない潜在的な知見」を引き出せないまま定年を迎えるケースが後を絶ちません。

功労者の経験には、企業の価値観や文化、顧客との信頼関係といった「組織のDNA」が詰まっています。

彼ら自身が経験を振り返り、言語化し、次世代へとつなぐ――
そのプロセスこそが、いま求められる新しい研修のかたちです。

功労者を“過去の人”から“未来をつくる人”へ。
この視点の転換が、組織の連続性を生み出し、未来へ文化を残すための第一歩となります。

はじめまして、この記事を執筆した佐藤政樹と申します。劇団四季出身の研修講師として【受講生を惹きつけながら気づきと学びを促すことをモットー】に、労働組合の講演会をはじめ行政・金融機関・教育・医療機関などでさまざまな分野で講演や研修を行っております。記事の内容をお読みいただき、もしご興味いただけましたら、ページ最下部のプロフィールや研修内容の詳細をご覧いただけますと幸いです。

功労者向け研修とは?“逃げ切り型人材”との本質的な違い

まず明確にしておきたいのは、ここで言う「功労者」とは、単に勤続年数が長い人のことではありません。真の功労者とは、過去の成功に甘んじず、組織の未来に貢献し続けることのできる人材です。

たとえば──

・過去の実績に頼ることなく、自己研鑽を続けている
・年齢を重ねても、新しい目標に挑む意欲を持っている
・若手にも敬意をもって接することができる

こうした“未来思考のベテラン”こそが、継承すべき知見と姿勢を備えた、本物の功労者です。

一方で、同じシニア層でも「逃げ切り型」と呼ばれるタイプがいます。「あと数年で定年。今さら頑張っても無駄」と考え、無難に過ごすことだけを目指す姿勢です。

出社していても実働が少なく、モチベーションが低い姿勢は、組織の活力を下げる要因にもなります。

この両者の違いは決定的です。

過去の栄光や被害者意識にとらわれ、行動変容を拒む人材は、組織の未来に背を向けています。対して、本物の功労者は、今の自分がどう価値を発揮できるかを自覚し、経験やネットワークを後進へつなぐために積極的に動いています。

要するに──

「過去に何をしたか」ではなく「これから何ができるか」。

研修の主役となるのは、まさにこの“本物の功労者”たち。彼らの知見や本人たちが気づいていない潜在的なノウハウ・スキルを引き出し、未来につなぐことこそが、これからの組織に必要な功労者向け研修なのです。

劇団四季での私の経験:功労者が若手のマインドや信念を醸成する

功労者研修の目的は、単なる感謝や慰労ではありません。重要なのは、本人さえも気づいていない「潜在的な経験やノウハウや価値」を引き出し、それを次世代に継承していくこと。そして、功労者が“過去の人”ではなく、“未来をつくる人”として組織に再定義されることです__。

私自身、かつて劇団四季に在籍していた頃、功労者である先輩方の経験を、劇団の記念行事などの場で共有いただく機会がありました。

たとえば

・顧客感動のための原理原則を作り出し磨き上げるまでのストーリー
・チケットがまったく売れなかった時代に一枚一枚を手売りで営業した話
・劇団の理念を支えに、逆境や困難を乗り越えた話
・劇団が潰れるか、それとも成功できるか――そんな瀬戸際の勝負に挑んだ話

どの経験も、現役の私たちにとっては書籍やマニュアルでは絶対に学べない“生きた知恵”であり、深い感動と誇りを与えてくれるものでした。

そして強く実感したのです。私たちが今、舞台という土俵に立てているのは、先輩方の苦労と情熱があったからこそ。功労者の経験は、ただの過去ではなく、未来の舞台を支える礎だったのです。

これはあくまでも私の劇団四季での経験ですが、こうした体験は、どの組織においても同じことが言えるのではないでしょうか。ベテランの持つ知見や哲学、そしてその背景にあるストーリーは、次の世代が“土台”を意識しながら前進するために不可欠なものです。

にもかかわらず、多くの企業ではその知恵が埋もれたまま引き継がれず、失われてしまっているのが現状です。

では、功労者の潜在的な価値をどうすれば未来に活かせるのか?

そのためのアプローチが、以下で紹介する3つのステップです。

功労者の潜在的知見を引き出す3つのステップ

“本物の功労者”の価値は、表面化していない経験や感覚的なノウハウにこそ宿っています。これを引き出し、言語化し、未来へつなげるための3ステップをご紹介します。

1.無意識の技術に気づく:当たり前を疑う対話

多くのベテランが「普通のこと」「感覚的にやっていること」にこそ、真のスキルが隠れています。研修では、日々の業務で何気なくやっている行動を言語化するワークや、「なぜそう判断したのか?」を掘り下げる質問を通じて、無意識の技術に光を当てます。

第三者との対話によって、「それは再現性のある技術です」「若手はそこに悩んでいます」といったフィードバックが入り、自身の暗黙知が“価値ある知見”として浮き彫りになります。

2.ノウハウの構造化:感覚を型にする

気づいたノウハウを、誰でも活用できる“型”に整理します。例えば、報連相の仕方、交渉時の間の取り方、トラブル回避の直感──これらを手順や原則、チェックリストなどに落とし込みます。

感覚的な熟練技を「言葉で伝えられるか」「紙に書けるか」という視点で体系化し、属人化していた知見を、チームや後進にも活用できる資産へと変換します。

3.知見の共有設計:誰に・どう伝えるかを決める

最後に、引き出した知見をどう伝えるかを設計します。「どの世代に、どんな手段で、何を伝えるか」を明確にし、マニュアル・1on1・勉強会など最適な方法を選びます。

ここでは、「自分が若手の頃、どんな先輩の言葉が響いたか」を思い出すことがポイント。自分の言葉で、経験を“未来への贈り物”として届けられる設計を行い、知恵の継承を完了させます。

功労者向け研修のまとめ:経験を研修として未来へつなぐ

繰り返しますが、功労者が“継承者”になる研修を 功労者研修の目的は、単なる感謝や慰労ではありません。重要なのは、本人さえも気づいていない「潜在的な知見やノウハウや価値」を引き出し、それを次世代に継承していくこと。

そして、功労者が“過去の人”ではなく、“未来をつくる人”として組織に再定義されることです。

そのためには、ここまでお伝えした3つのステップが鍵となります。その3ステップを通じて、功労者は単なる“経験豊富な人”から、組織の未来を育てる“知の継承者”へと変わります。

そして彼らの存在が、若手の学びを促し、組織に連続性と文化をもたらします。 研修はあくまで「始まり」です。

研修後に、功労者自身が自然と後進に声をかけ、自らの学びを言語化し、伝える側へと歩み出す。そうした姿が現場に生まれれば、研修は真に成功したと言えるでしょう。

功労者の背中が、次の功労者を育てる――。その循環を生むための第一歩が、今求められているのです。

そしてその一歩は、“気づき”からはじまります。功労者の経験に光を当て、未来へ橋をかける研修こそが、組織の持続的成長を支える礎となるのです。今こそ、彼らの力を、未来の力に変える文化づくりに本気で踏み出しましょう。

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