■本当の主役とはだれか?
私が劇団四季に在籍していた頃、イエス・キリストの受難の物語「ジーザス・クライスト・スーパースター」のリハーサル中に演出家の浅利慶太氏が全員に言った言葉があります。

※フリー素材GATAGより
「この作品の主役は誰か?」
イエス・キリスト
ユダ
ペテロ
ヘロデ王
沢山の出演者がいますが、真の主役は誰だと思いますか?
イエス・キリスト??
ユダ???
いえ違います。
答えは「群衆」(その他大勢役)です。
その他大勢役が一人ひとり主体性を発揮して物語を進めていく。その他大勢役の心理の変化がジーザスを受難→復活へと導いていくのです。
研修講師として、様々な企業でリーダーシップ研修やチームビルディング研修、組織効率向上の研修プログラムをやると、この群衆が主役という考えは演劇の世界の話だけでなく、組織にも全く通じるのではないかとつくづく思います。
そこで、この記事では演劇的観点からリーダーシップ論について考えてみたいと思います。
■主役は群衆が生み出すもの
前述では舞台演出家の話を例にお話をしました。
舞台だけでなく映画の世界のスターもやはり同じような事を言っていますので紹介します。
映画スターの故佐田啓二(中井貴一さんの父)が毎日映画コンクールで「主演男優賞」を取った時のことです。
「次は助演男優賞を目指します」
この発言を聞くと一見、生意気な言い方のように聞こえるでしょう。
しかし実はとても深い意味が込められています。
主役男優賞は、周り(その他大勢の人達)が生み出してくれるもの。逆に助演(主役の傍役)男優賞は自分自身の力で掴みとるもの。ということを佐田啓二は伝えたかったそうです。
この言葉は、私は本当によくわかります。
私が劇団四季で主役をやらせてもらった経験をお話させてください。
■主役をやって初めて分かった周りの力
主役を演じたあとでもらう拍手はどんな気分ですか?
こう聞かれることがあります。
周りに活かされている気持ちになるというのが、主役をやったことのある人なら誰もが感じる答えです。
美辞麗句でもなんでもなく、拍手をもらえるのは周りの方々のおかげだという感謝の気持ちが湧き上がってくるのです。
なぜかというと
・舞台本番中は、その他大勢役の人達が全身全霊で主役にエネルギーを飛ばしてくれます。
・物語が進むうえで、その他大勢役が大衆の心理的変化を表現してくれます。それにより観客の主役に対する見方が変わります。
・主役の心理に変化をもたらせてくれるのは、助演(傍役)の方々です。
・主役を美しく見せるために照明さんが照明の微妙な角度を決めて計算しています。
・衣装担当さんが遅くまで残って衣装のほつれを直しています。
・音響さんが舞台上の絶妙な音のバランスを保って主役に安心感をもたらせてくれるます。
これらその他大勢の方々の影の支えがあって始めて主役として成立しているのです。
その他大勢役の皆や傍役の方々のエネルギーを感じると不思議と勝手に台詞が口から出てくるのです!!(※次の自分のセリフのことなど一切考えません)
主役がいきるのも死ぬのも周り次第。
主役は、周りが産み出して創り出してくれるもの。
つくづくそう思ったので、私は浅利慶太氏の言葉も、佐田啓二氏の「次は助演男優賞を目指します」という言葉も本当に納得したのです。
■演劇から学ぶリーダーシップの定義は??
これは、演劇だけでなく普段の私たちの組織における仕事のあり方・心構えにも通じます。
トップがいるかもしれません。
上司がいるかもしれません。
主役がいるかもしれません。
でも本当の主役は、主役を囲むその他大勢の人達です。
そのた大勢の人達が主体性を発揮して物語を進めていく。
トップからの指示待ちではなくそれぞれが主体性を持ちリーダーシップを発揮し、自ら考え動き物語を進めていく。
そんな組織やチームがあったら無敵ではないでしょうか。

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