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目標管理制度(MBO)とは何か? 導入目的や問題点を解説し主体性のある人材を育てる

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目標管理制度。今では多くの会社で運用されており、半期に一度、上司と部下の間で面談も行われているかと思います。本来、部下の仕事へのモチベーションを高め、企業の生産性を高めるための制度であるはずが、いつの間にか形骸化しているケースも多いのではないでしょうか?
 
もし目標管理制度が形骸化していているならば、まず何のための目標管理制度なのかをもう一度見直してみてはいかがでしょうか?
 
本コラムは、目標管理制度(MBO)について詳しく解説していきます。

何のための目標管理制度なのか?
目標管理制度が形骸化している理由
目標管理制度を運用する上での留意(問題)点

こうしたことについてお話ししてまいります。また、最近書籍化されて話題になっているOKRという概念。OKRと目標管理制度(MBO)、両者の違いについても触れたいと思います。
 
皆さまが従来からの目標管理制度を見直し、会社の生産性を高めることにつなげていただけたら幸いです。

目標管理制度(MBO)を導入する目的は何か

目標による管理(MBO)という概念は、20世紀からアメリカを中心に企業経営のあり方を説いたピーター・F・ドラッカーによってもたらされたものです。
 
ドラッカーといえば、ビジネスマンの間では知らない人の方が少ないかもしれません。2009年に『もしドラ』がブームを巻き起こし、テレビドラマでも放映されましたが、その『もしドラ』の中に出てきたのが、ドラッカーの書いた『マネジメント』です。

ドラッカーは、21世紀の企業経営のあるべき姿を、1世紀も前から説いていたのです。その姿は、今でも学ぶべきものがとても多いです。
 
前置きが長くなりましたが、ドラッカーはそもそも何を意図して目標による管理(MBO)を導入したのでしょうか?いまや多くの会社で導入されている目標管理制度ですが、前述したようにそれが上手く機能せず形骸化しているとこも多いのではないでしょうか。ドラッカーの思想を紐解いていけば、解決のヒントも見つかってくるはずです。
 
目標による管理(MBO)とは、社員一人ひとりが企業が目指す目標とマッチした個人目標を設定することによって、社員の動機付けと企業の生産性向上を両立するという概念です。目標による管理によって、社員のモチベーションを高め、それが企業の生産性の向上につながるのです。
 
ティール組織が認知されてきたこともあり、社員一人ひとりが主体的に動き、組織全体が有機的な生物の如く振る舞うという考え方が当たり前になってきました。しかし、ドラッカーはティール組織よりもずっと以前から、企業における自律型人材の必要性を説いているのですから、素晴らしいの一言に尽きます。
 
生産性の向上といえば、皆さまは何を想像しますか?近年では、雇い手の不足に加えて働き方改革の煽りを受け、工場では製造工程の自動化、事務作業ではRPAというツールの導入などが押し進められています。こうしたツールや機械による効率化は、フレデリック・テイラーが提唱した科学的管理法に基づくものです。
 
科学的管理法とは、企業の生産活動を細分化し、最適な資源(人・モノ・金・情報)を投入することで、早く・安く・正確に生産活動を行えるようにするためのマネジメント手法です。言ってみれば、科学的管理法に基づいて配置される人材は機械の歯車と同じような扱いです。
 
1時間で100個の製品をつくるために、ミスなく正確にロボットの如く作業をすることが求められます。ティール組織で語られている組織の進化プロセスの中で、ちょうど順応型(アンバー)の組織にあたります。
 
しかし、人間は機械と違って心もあるし、テイラーが提唱するような管理方法では人間が本来もっている才能を引き出すことなんてできません。
 
ドラッカーはかねてより、マネジメントは「科学的管理法に基づく仕事の管理」「人材の管理」の2つが重なり合って初めて成り立つと説いていました。テイラーの科学的管理法はマネジメントの中の一つの要素に過ぎず、そこに「人間は感情のある生き物である」という大切な要素を無視しているに等しいのです。
 
企業として目指すべき目標が達成できるならば、社員たちには経営者や上司たちが課したノルマを達成してもらえればそれで良いはずです。そうではなく、社員たちに主体的に自らが達成するべき目標を設定してもらうのが目標による管理です。
 
こうした考え方は一見すると非効率のようにも見えます。しかし、心理学的な観点からすれば、こちらの方が圧倒的に効率の高いことだと思うのです。
 
アメリカの心理学者であるウイリアム・グラッサー氏は、ご自身が提唱した選択理論心理学の中で、「すべての行動をコントロールしているのは自分自身であり、自らがコントロールできる行動領域を拡大するほど幸福度が高まる」ということを述べています。

以前コラムにて、車のハンドルと四輪について説明させていただきましたが(上図を参照)、自分でハンドルを握って車(思考と行動)を自由自在にコントロールできるほど、人生の幸福度が高まるということです。
 
つまり、人から一方的に決められたノルマに向かって行動するよりも、社員自らが納得して決めた目標の方が、モチベーション高く仕事に邁進するし、かえって生産性も高いのです。
 
従いまして、目標による管理(MBO)は、単に社員に目標を決めさせるだけでは成り立ちません。その目標が、社員自ら納得感をもって決めたものであり、社員の動機付けにつながるものでなければならないのです。
 
余談になりますが、働き方改革についても同じことが言えるのではないでしょうか。いま働き方改革として、多くの会社様で残業時間の削減が課題となっています。残業時間の削減目標を、会社が一方的に社員に押し付けるだけでは本来の意味での働き方改革になりません。社員自らが主体的に目標を定め、モチベーション高く仕事に打ち込んだ結果として生産性が高まる。それが本来あるべき働き方改革ではないかと筆者は考えます。

形骸化する目標管理(MBO)
どうすれば上手く回るのか?

部下が神妙な面持ちで目標管理シートと睨めっこしている姿。その顔からは、ワクワク感よりも悲壮感の方が漂っている。上司としてもそうした部下の様子は分かっているものの、目標管理とはそんなものだと割り切ってしまっている。
 
自社の目標管理の実態は、前の章でお話しした理想型とはかけ離れており、形骸化している企業様も多いのではないでしょうか?
 
部下のモチベーション向上に寄与するはずの目標管理なのに、逆に部下のモチベーションを削ぐ要因にもなっているのは非常にもったいないです。本来ならば、上司と部下がワクワクしながら1on1で目標設定や振り返りについて話すのが理想のはず。ところが、面談が人事考課のための駆け引きの場になってしまっている職場も少なくはないかと思います。
 
「上司からは怒られたくないし評価も下げられたくない。だから良いことだけを言わなきゃ。」
 
部下の心境としては上記のような感じなので、なかなか本音でぶつかり合うこともできません。上司としても部下の目標達成を応援したいし、そのために時には厳しいフィードバックも必要なのに、これでは部下の応援もままなりません。
 
目標による管理を上手く回すためには、大きく以下の3つの要素が必要であると筆者は考えております。
 

①目標管理の本来の意味を一人ひとりが理解する
②上司と部下が本音で話せる関係をつくる
③社員一人ひとりの目標が企業の目標につながっているという認識をもつ

 
①については前章でお伝えした通りです。目標による管理が、本来は部下のモチベーションを高めるためのツールであり、結果として企業の生産性向上につながるものである必要があります。
 
次に②についてです。先述の通り、上司と部下が本音でぶつかり合えないような関係では、部下の能力を引き出すこともできませんし、目標達成を応援することもできません。最近ではコーチングを学ばれるビジネスマンも増えましたが、そもそもの信頼関係ができない中でコーチングを学んでも意味がありません。


 
まずはお互いが腹を割って話せるような信頼関係をつくることが第一です。ヤフーやサイボウズなどのIT企業を中心に、1 on 1を行う企業さまも増えてきました。1 on 1とは、上司と部下の1対1のミーティングです。腹を割るとあえて申し上げましたが、仕事の垣根を超えてお互いが自分をさらけ出すことに意義があります。
 
部下の話に対して自分なりの解釈や評価を加えたりせず、上司はひたすらに聴き役に徹することです。いわゆる傾聴というものです。上司から自分の存在そのものを受け入れられているという安心感があるからこそ、部下の上司のことを信頼して何でも話せるという関係をつくることができるのです。
 
部下の成長を応援するために、上司も時には部下に厳しいフィードバックを行わざるを得ません。そのようなとき、フィードバックをしたはずなのに「上司から認められていない」「自分の存在を否定された」と間違った受け止め方をされたら非常にもったいないです。まずはお互いが腹を割って話せる土壌をつくることから始めていただきたいと思います。
 
③については、具体的なツールとしてOKRがあるのですが、詳しいお話は次の章に譲ります。

目標管理制度とOKRの違いは何か?

目標による管理の一環として、最近はOKRが注目されるようになりました。Googleで取り入れられている手法でもあり、OKRに関する日本語の書籍も多数出版されています。
 
OKRとは、Objective and key result(目標と目標達成のためにキーとなる結果)のことです。企業として、部署として目指すべき目標(Objective)を達成するために、キーとなる指標(key result)をおさえるという管理手法となります。
 
会社で決めた目標に対し、複数のKRが決まる。そのKRが、部署・事業部門ごとの目標とリンクし、部署・事業部門ごとのKRも定める。そのKRがさらに、個人の目標とKRにつながる。言うなれば、OKRによって、個人の定めた目標と企業の目標がつながっていることを見える化できるのです。

OKR

OKRの真髄は、まさに企業の目標〜個人の目標までのつながりを見える化することにあります。社員一人ひとりが個人の目標を定めているものの、自分が会社に何の貢献をしているのかわからない社員も多いのではないでしょうか。役割が細分化されている大企業ほど、その傾向が大きいように感じます。
 
自分がこの目標を達成することが会社の貢献につながっている。社員一人ひとりがこうした意識をもてるようにすることが、OKRの目指すべきことです。
 
OKRに似た概念として、「バランススコアカード」があります。バランススコアカードは、企業として目指すべき目標に対し、「人事」「財務」「マーケティング」「業務プロセス」の4つの視点で管理指標(KPI)を決めて管理していくというやり方です。
 
上記4つのKPIが、社員一人ひとりの目標までブレイクダウンしていけば、OKRと全く同じように機能します。
 
業務プロセスを例に挙げてみましょう。従来、製品1個あたりの製造原価が1,000円かかっていたものを、900円まで原価を下げると目標設定したとします。それに対し、購買部門では原材料の仕入先を切り替える、製造部門では歩留まり率を75%から85%まで引き上げる、といった形でブレイクダウンできます。
 
製造部門の作業員としても、いきなり部門長から「今年は歩留まり率を85%まで上げるぞ」と前触れもなく言われるよりも、こうした企業目標からのつながりを理解した方が納得感も高いと思いませんか?
 
OKRとバランススコアカード、何を活用するでも良いと思います。社員一人ひとりに「自分がこの目標を達成することが会社の貢献につながっている」という納得感をもってもらうこと。これだけは忘れてはなりません。

目標設定はワクワクするものでなければ意味がない

前章でOKRのことをお話ししましたが、そもそも目標としてどのようなことを定めれば良いのでしょうか?目標設定の切り口としてSMARTの法則というものもありますが、SMARTの法則はあくまで目標設定のための切り口に過ぎません。
 
OKRの著書で述べられている目標(Objective)とは、定性的であり野心的なもの、ワクワク感を沸き立たせるものです。「夢」という言葉に置き換えて良いかも知れませんね。
 
筆者が人材育成トレーナーとして多くの会社様を見ていて感じるのが、会社のためにと自分の人生を生きていない、自分を犠牲にしている社員さんが多いなということです。
 
本来ならば、自分の人生の中でやりたいこと、成し遂げたいことがあるはずなのに、会社という制約を設けて「できない」と決めている方が多いのです。夢なんて語っても実現できっこないし、そんなことを語っても人に笑われるだけだと思っていませんでしょうか?
 
人生の主役は皆さまご自身です。人生の中でやりたいことがあり、会社は仕事を通じてそれを実現するための人生道場。それがあるべき姿のはずです。
 
筆者は劇団四季を退団した後、ウィルフォワードという会社とご縁し、5つのWillを深掘りすることによって、人材育成トレーナーとしての使命を確信し、いまこうして活動させていただいております。

5つのWillのシェア-ウィルフォワード(こちらの写真は、ウィルフォワード主催のセミナーにて5つのWillをグループでシェアする様子です)
 
「それは佐藤さんだからできたことなのでは?」というご意見もあるかと思いますが、そのようなことはありません。筆者の人生は、むしろ挫折の連続だったと言っても過言ではありません(気になる方は、筆者のロングストーリーもぜひご覧いただければ幸いです)。
 
人それぞれ成長のスピードも違うかも知れませんが、夢や願望や目標は口に出して実行に移すからこそ実現するものなのです。
 
今まで恥ずかしくて言えなかった夢や願望についても、ぜひ皆さまの会社でもお互いにシェアできるような雰囲気を作っていただきたいです(私を呼んでいただければいつでもファシリテーションします笑)。
 
大人の「夢の見つけ方・叶え方」について講演もしておりますので、そちらのコラムからヒントを掴んでいただけると思います。

目標管理制度が行きすぎた結果、個人主義に走ってはいけない

最後に、目標管理制度に関する留意点についてお話ししておきます。目標管理制度は、社員のモチベーションを高め、企業の生産性を高める強力なツールになると同時に、使い方を間違えればチームワークを損ねる諸刃の剣にもなりかねません
 
というのも、元々はアメリカで発展した目標管理制度が日本に導入されたのは、ほんの20年くらい前の話。バブル崩壊で業績が軒並み悪化する中で、コストを削減すると同時に社員のモチベーションを高めるために成果主義を導入する企業が増えてきました。
 
目標管理制度を取り入れるようになったのは同じくらいのタイミング。つまり、当初予定していた目標を達成できたのかどうか、それ如何に応じて社員の評価を行い、報酬や昇進に反映するようになったのです。
 
そうなると、社員の中で自然に芽生えてくるのが、「自分さえ成果を上げれば良い」という気持ちです。「阿吽の呼吸」という言葉があるように、日本では古くからチームの力で大きなことを成し遂げることを無意識的にやってきました。製造業や医療現場では「QCサークル」という形で、社員が主体となって生産性を高める取り組みも生まれるほどです。
 
筆者も劇団四季の経験から、チームワークの重要性を痛感しています。舞台を演じる役者一人ひとりの阿吽の呼吸があるからこそ、多くのお客様に感動を提供することができるのです。おかげさまで、現在では企業さま向けにチームビルディング研修をやらせていただいています。
 
頑張った人が頑張った分だけ報われるという構造を否定するつもりはありません。しかし、それと引き換えに個人主義に走り、チームとしてのまとまりが損なわれるのは避けなければなりません。
 
サイボウズ社では、多様な働き方を認めているからこそ、チームワークをこれでもかというくらいに徹底しています。社員の成果を測る上で、個人としてのパフォーマンスに加えて、チームに対してどのような貢献をしたかも見ているくらいです。

目標管理制度(MBO)とは?まとめ

いまや多くの日本の企業で導入されている目標による管理(MBO)。ドラッカーは、社員のモチベーションを高め、企業の生産性を向上することを意図して、アメリカで目標による管理を導入しました。
 
21世紀の企業活動では、社長や上司から言われたことだけをやるスタイルは時代遅れであり、社員一人ひとりが主体性をもって会社に貢献し、学習する組織やティール組織のような組織のあり方がスタンダードになることを予期していたのかも知れません。
 
目標による管理を機能させるための要素について、もう一度おさらいしてみましょう。


①目標管理の本来の意味を一人ひとりが理解する
②上司と部下が本音で話せる関係をつくる
③社員一人ひとりの目標が企業の目標につながっているという認識をもってもらう

 
仕事は本来、人生において自分の才能をフルに発揮する舞台であり、エネルギー高く臨むものだと思っています。今回は目標管理についてお伝えさせていただきましたが、社員一人ひとりがやりがいをもって仕事に臨み、企業の生産性を高めるヒントを掴んでいただければ幸いです。
 
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