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NHK緊急地震速報から学んだ”伝わる”上で大切な事

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NHKアナウンサーから学ぶ伝わるとは

先日の地震のNHK津波速報は凄かった・・・

 朝、福島で地震が起きました。大きな被害はなかったようで本当に良かったです。

 
大きく揺れ、私も驚いて目覚めました。私は、長野県での講演だったため無事につけるか不安になるほどでした。

 
テレビをつけると津波警報が発令され、各局が地震や津波の情報、避難喚起をしています。

 
その中で、です!

 
NHKの某アナウンサーの方の津波の避難緊急速報が腹底に突き刺さるくらいに響いてきました。

 
なんだか声の中に、祈りがこもっているような、まるで自分の家族に懇願しているような腹の底からの強いエネルギーを感じたのです。

 
津波警報・注意報が解除された今(長野講演からの帰りの電車の中)、あのメッセージを思い起こしてこう思います。

 
やっぱ、人に伝えるって、綺麗に話すことではないな。
情熱的に・感情的に主張することが伝わることでは決してないんだな。

 
劇団四季に約十年いて、現在研修や講演をしている身として、あのアナウンサーさんが凄かった私なりの観点をお伝えします。

 
・人前で話す時
・相手に想いを伝えるとき
・発信して人を巻き込んでいくとき

 
などの機会に参考になるのでぜひお読みください。

情熱や感情を込めて主張すれば伝わるのか?

 なぜ凄いと感じたかというと、あのNHKの某アナウンサーの言葉の奥には、
”緊急事態”という実感値が伴っていたからです。決して情熱的に感情的になって伝えよう伝えようと、前のめりにくる訳ではありません。

 
アナウンサー本人の主張というよりも、淡々としながら本人は消え、まるでその実感値の伴った言葉だけが飛んでくるようでした。

 
ここがまさに、私の生きてきた劇団四季という百戦錬磨のプロの表現の世界と共通するところだったのです!

 
 
劇団四季では、言葉に感情を込めてはいけないという鉄則があります。情熱的に感情的に表現すると3秒でキャストチェンジになるのですよ。

 
なぜなら自己満足的な表現と捉えられるからです。感情表現をすると「自分の中では伝わっている、しかし聞いている人には届いていない。」という誤った自己認識を生み出可能性が高くなるのです。

 
ここが面白ところの「情熱的に感情的に気持ちを込めても伝わる訳ではない」という論理です。

自分の世界(主観)と、客観は違う

 人前で話す時、慣れれば慣れるほど本人の気づかないところで”伝えよう、伝えよう”、”魅せよう、魅せよう”になってきます。

 
さらに数をこなせばこなすほど盛ってみせたり、色付けをし始めるんです。(セミナーとか行って、なんか胡散臭いって感じることありません?向こうは熱く盛り上がっているけどこっちは引いてしまう事ありません?こういう人結構多いですよ。本人は気づかずここでやっているんです。)

 
しかし、これが誤った自己認識を起こしている状態なんです。(自分の世界の中では伝わっている、しかし客観は違う。)

 
表現の面白いところは、主観と客観は違うということ。
(自分の声を録音してみると分かりやすいですよね。自分が声と、録音した声って全く違うでしょ?)

 
何百年も前にシェイクスピアが戯曲「ハムレット」という作品の中で同じ事を言っています。

 
「いいか、感情的に盛り上がってわぁわぁ喚き散らすようならその辺にいる街の披露目屋に頼むからな。プロはそこじゃない。心が嵐のように沸き立ってもそこを沈め、事実を冷静に語るのだ」
 
これが「情熱的に、感情を込めて、」では相手に届かないという理由です。表現の世界で生きてきた私の観点だと、それは、感動の押し付け強要になるのです。

 
「確かに伝えよう、伝えようとするほど空回りしていた。」これ、私の研修や講演の後の感想で営業マンなどからよく聞く言葉です。

 
私の恩師の浅利慶太先生(劇団四季の創設者)はこう言っていました。

 
「言葉は感情を込めるものではない。実感と祈りだ。」と。

自分の表現に当てはめて考えてみると?

 言葉を商品として顧客に届ける劇団四季では、言葉には感情を込めるものではなく実感して語るものです。

 
では、感情と実感とのその差は?

 
アナウンサーは淡々と事実を語っていました。しかし、その言葉の奥には嘘偽りない緊急事態という実感値がコップから溢れ出る水のように感じられました。

 
どうやったらあのように表現ができるのか?

 
まず第一に
やろうとしないということ。魅せようとかしないこと。大きく盛ったりしないこと。自分では怖いことかもしれないが、余計なものをそぎ落としていく意識が求められます。

 
そして第二に
なぜ、そこにいるのか?を自分に深く問うのです。
あのアナウンサーなら緊急事態という情報を届けるため。そして多くの命を救うため。です。

 
自分に酔うのではないのです。自分を主張するのではないのです。

 
この二つが備わった時に、言葉の奥に実感値が出てきます。まるで地下から湧き出る湧き水のように。

 
ちなみに、劇団四季では、本物の言葉を届けるために以下の三原則を大切にしています。

 
「居て、捨てて、語る」

 
居て、とはその場にいる理由です。
捨てて、とは余計な嘘をそぎ落とすことです。
語る、とは実感して事実を語ることです。

 
その先に感動や共感が生まれるという考えです。

 
今朝の、NHKの某アナウンサーさんの実感と祈りのこもった緊急地震速報をみて感じた劇団四季で培った伝わる本質をまとめました。

 
自分は、その場にいる理由を第一にしているか?大きく盛って魅せようとしていないか?上辺の表現になっていないか?

 
スピーチが上手くなる・話し方が上手くなることやテクニック・スキルに振り回されるのではなく、大事な”ポイント”を掴んで頂ければ嬉しいです。

 
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このコラムでは、多くの方が何となく感じてはいるけれど、言葉にして整理できないことを、プロの表現の世界で生きてきた私が言語化して説明することを目的として書いています。是非、他の記事も合わせてお読みください。

 
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