目次
■時は命なり
“Time is Money”つまり時は金なりとよく言われますね。
しかし、時は金よりももっと重いものだと思います。
ではなんなのでしょう?
Time is Life「時は命なり」
■遅刻をしたら一発アウトの世界…
私は長年、劇団四季という舞台の世界で生きてきました。劇団四季だけでなく、舞台の世界ではこれをしてしまったら一発アウトというものがあります。
それが、「遅刻」です。
劇場の楽屋入口には、出演者の名前の書かれた木の札が並べられているのをご存知ですか?
劇場に入ったら自分の名前の書かれた赤い木の札をひっくり返して黒い札に変えるという儀式があります。
舞台本番開始時間から逆算して、劇場に入っていなければならない時間というのが決められます。
例えば、13時30分に公演開始でしたら、10時30分など。
18時30分に公演開始でしたら、13時00分など。
これを着到時間といいます。
■到時間にもし5分でも遅れようものなら…。
シアターマネージャーが、着到時間になると赤い札がないか必ず確認します。そして、もし赤い札があったら動きが始まります。
一人でも欠けていたら舞台は成立しませんよね。千人以上のお客さんを待たせることになります。
そんなことになっては大変な事態なので、もし赤い札があれば即公演運営本部に連絡が入り、本部から本人に連絡を取り、それでも繋がらない場合は万一のために代わりの人間を手配する流れになるのです。
芸能の世界は、時間厳守は当たり前という文化があります。
そのため、ほとんどの人が、着到時間の30分~1時間以上前には劇場に入ります。
私は舞台を引退した後でも、たまに着到時間に遅れて蒼ざめるという夢を見たりするくらいです。
その文化が根付いているからか、私は普段の人との待ち合わせに対しても1分でも遅れないようにしますし、もし遅れそうならかなり焦ってしまいます。
■失っているのは信用だけではない
あくまでも、これは舞台の世界の特殊な話です。押し付けるつもりもありません。
しかし、遅刻をしたらどの世界でも信用が失われるとおもいます。それだけではなく、人に迷惑をかけます。
昔、とてもお世話になった恩人が言っていた言葉が深く心に残っています。
「時間というものは命なのだよ」
例えば、あなたが待ち合わせに5分遅れたとします。
僅かな遅刻かもしれませんが、その遅刻により確実に待たせた相手のあなたに対する信頼貯金は減るものです。事情を説明して謝ることによって、許してもらえるかもしれません。
しかしです。
遅刻した五分により、待たせた相手の五分という人生の貴重な命を奪っているのです。
謝って済んだとしても、人の限られた命の時間を奪ったことは取り返しのつかないことですよね。
そしてもう一つ。
自分だけの問題ではなく、遅刻は人の思いやりや愛に背くキラーアクションでもあるということです。
人を傷つける言葉・自分が言われたら嫌な言葉を、キラーワードといいます。
キラーワードというものが、自分が思っている以上に相手を傷つけるというように、遅刻は自分だけの問題ではなく、自分が気づいていないところで人を傷つけている行為だという事を理解しておくことはとても大切です。
■子供の頃の忘れられないキラーアクションの想い出
私には小学生の頃の絶対に忘れることのできない思い出があります。
我が地元に、遠方からくる親類の方をお迎えして食事をする日がありました。
私の亡き祖母は、人をおもてなしすることに対して異常なほど思いやる心を持っている人間でした。
その祖母は、愛情を込めて自分の手で練ったパン生地などなど、腕を振るった料理を朝から用意していました。デザートとして手作りのケーキまで用意していました。
おもてなしの準備は万端です。
しかしです。
その親類から「今日はキャンセルします」という連絡が入ったのです。
その理由は、緊急事態でも何でもなく、自己管理ができていれば起きなかったものでした。
自分都合の理由を、祖母の愛情をこもった料理よりも優先させたという行為が、子供心にわかりました。
祖母のその連絡を受けた時の表情は今でも忘れられません。
その祖母の顔を見て、自分都合の時間に対する考え方は、信頼を失うだけではなく人を傷つける行為、つまりキラーアクションだという事が私の身体に落とし込まれたのです。
■時間はプレゼントもできる
話は変わって劇団四季と言うプロの世界に入って驚いたことがあります。リハーサルのマネジメントがあまりにも完璧で、時間を奪うのではなくプレゼントする位の運び方なのです。今この時間はなんの時間なのだろう??と疑問に思う瞬間があまりありません。
絶対にだらだらしたリハーサルにはならずに短期集中型で、午後5時には必ずきっちり終わって、自分の課題をクリアするための個人の時間をプレゼントしてくれます。
リハーサル中でさえも、トップ演出家の浅利慶太氏はすべてにアンテナを張っていて、何の待ち時間だろう?といったような無駄を一切感じさせないような進行なのです。
有効的な時間を創り出してプレゼントしてくれる超一流のタイムマネジメントには驚かされた記憶が何度もあるのです。
■自分だけのことではない
これは、舞台の世界だから特別な事でしょうか?決して、そうではないと思うのです。
例えば、誰かに質問を乞う時、自分で調べられることはすべてやっておくと、相手の貴重な時間を頂戴せずにスムーズに有効的に時間を活かせられます。
メールで仕事を報告する時でも、相手が読みやすいようにシンプルに書くことで相手の貴重な時間を奪う事もしません。
上司に、業務報告をする際も、レスポンスが遅ければ遅いほど、上司やその関係方面の方々の時間とエネルギーを奪うことになります。
依頼されていた書類を締切提出期限前にしっかりと出しておけば、相手に安心と時間をプレゼントすることができます。
他にも、こんな例があります。
上司が、部下に企画書を5枚仕上げるように指示したとします。部下が必死で企画書を仕上げ、出来上がった一枚ずつ提出したとします。
その上司は5枚すべてを受け取った段階で、初めて企画書を1から深く眼を通し、5枚すべての書き直しを告げるとしましょう。
5枚すべての書き直しにより、部下のモチベーションはかなり下がるだけでなく時間も労力も大幅に使うこととなります。
逆に、最初の1枚目を提出してもらいしっかりと眼を通し、その段階で次につながるフィードバックをしたとしましょう。
このことにより、部下は1枚目の失敗を糧に学びます。そして有効的に残りの企画書をスピーディーにモチベーション高く仕上げることができるのです。
時間も労力も奪うという事をしません。
時間を奪うのではなく、時間をプレゼントする感覚のある人はまさに後者の意識でしょう。
■時間は奪うものではなくプレゼントできるもの
メジャーリーガーの上原浩治選手はアマチュア時代に、プロ選手がスポーツメーカーから配給されたグローブやアンダーシャツといった野球用具を粗末に扱い使い捨てているのを見て、「こいつらには絶対に負けない」と心の誓ったそうです。
野球をするための道具を粗末に扱うような奴らには、結果が出るはずはないしそれを証明するためにも負けてはならないと___。
野球の才能や実力うんぬん言う前に「野球道具を大切に扱う」という事は、当然心得ておくべき必要な心構えですよね。
では、日常業務における私たちの大切に扱うべき「野球道具」はなんでしょう?
どの人にも共通の時間ではないでしょうか___。
私たちは一人だけで生きているのではなく、多くの人と関わって共存して生きています。
常に相手の時間に対して敬意を払い、時間を奪うのではなくプレゼントするくらいの心構えで報告や連絡の取り方、タイミングひとつに注意を払って言ったら、人間関係も成果も全く違ってくるはずです。
しかしこれらのことは、言うは易し行うは難しです。
プロとして相手に時間をプレゼントする意識というものを日々磨いていこうということは、自分自身も忘れてはならない大切なことであります。
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