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【新入社員向け】仕事における失敗力の身につけ方

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新入社員が知っておく仕事における失敗力の身につけ方

「失敗=悪いこと」だと思い込んでいませんか?

社会人として働きはじめたばかりの新入社員にとって、「失敗」はできれば避けたいもの。

「上司に怒られたくない」
「周りに迷惑をかけたくない」
「評価を下げたくない」

そんな気持ちが強くなるのは当然ですよね。ですが「失敗」を完全にネガティブなものと捉え、失敗しないよう慎重になりすぎていないでしょうか?

たしかに、致命的なミスは避けるべきです。しかし、だからといってすべての失敗を遠ざけていては、本当の成長は手に入りません。なぜなら、私たちの学びの多くは、「うまくいかなかった経験」から生まれるからです。

むしろ、失敗のなかにこそ、あなたの成長の種が詰まっています

新入社員のあなたが今つまずいたことは、未来のあなたがもっと良い判断をするためのヒントになります。問題は「失敗すること」ではなく、「失敗から何も学ばないこと」

本記事では、失敗を恐れずにチャレンジし、失敗をうまく成長に変えていく「失敗力」をどうやって身につけていけばいいのかを、やさしく丁寧に解説します。

新入社員のあなたにこそ読んでほしい、失敗との上手な付き合い方のヒントが満載です。

この記事を書いた人:佐藤政樹(研修講師・著者)
劇団四季出身元主役。「人を惹きつける話し方」(プレジデント社)著者。受講生を惹きつけながら“気づき”と“学び”を引き出す研修をモットーに、新入社員研修から行政・金融・教育・医療分野まで幅広く登壇。詳しくはページ下部のプロフィール・研修情報をご覧ください。

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成長する人は「失敗」を味方につけている

成長する人やうまくいく人は失敗を成功の原資と考え味方につけています。失敗をネガティブに考えることは決してしません。しかし、多くの人、特に新入社員のうちは「ミスをしたら評価が下がる」「できる人と思われたい」という気持ちが強くなりがちです。

ここで強く繰り返しますが、失敗こそがあなたを本質的に成長させてくれる最高の教材です。

どれだけ上手に失敗できるかがあなたの将来の仕事の質を決めると言っても過言ではありません。結果を出している上司や先輩たちも、最初からうまくできたわけではなく、たくさんの失敗を重ねながらコツや勘どころを身につけてきたのです。

だからこそ早めに「上手な失敗力を身につけることが大切」です。

失敗の度に「自分には向いていない」と自己否定したりするのではなく、「どうすればこの失敗から学べるか?」という視点で捉える習慣を今のうちに身につけておくことが、あなたの未来を大きく変えます。

うまくいくことだけを学ぶということは基本的には不可能。人は「やってみて、うまくいかなかった」と気づいたときにこそ、本当に理解が深まります。

むしろ、失敗を徹底的に避ければ避けるほど、その部分に対する学習が遅れてしまいます。新入社員の今だからこそ、失敗できる機会はとても貴重な学習チャンスだと捉えて行動していかなければいけないのです。

成功は「たまに起こるボーナス」と考える

私たちの失敗に対する抜本的な間違った考え方は何かというと、「成功=当たり前」で「失敗=ダメなこと」という思い込みです。失敗を例外である、と考えているんです。

実際はまったく逆です。仕事でも日常でも「実際は失敗の数の方が成功の数よりもはるかに多い」のです。

だからこそ、「とにかく失敗が基本であり成功がたまに起こるボーナスである」と自分に誓うことが、これから社会人として大きく成長していくための鍵になります。

世の中には”これだけやれば成功する”といったような1回限りの成功法則があふれていますが、実際の現場では通用しません。大切なのは、何度も試して、何度も失敗して、そのたびに修正していくプロセスです。

失敗の先には必ずよりうまくいくことが見つかるため、何も悪いことがないと考えて、ある意味、たくさんの失敗を楽める位になるのが理想です。

失敗は挑戦の証であり、前に進んでいる証拠。成功は「当たったらラッキー」くらいに思うことが重要です。

筆者がブレイクスルーしたターニングポイント

かくいう私自身も、20代は失敗の連続でした。

私は、フリーターから劇団四季の主役に上り詰めたという、少し変わった経歴を持っています。しかしその過程は、華やかな成功の裏にある“9割以上が失敗”の連続でした。

生き延びるために始めた営業職のアルバイトでは、戦力外通告を受けました。別のバイト先では、社会人の先輩から「君はこの仕事、向いていない」と言われ、自信を喪失していました。そのたびに「なんて自分はダメなんだ」「自分には価値がない」と自己嫌悪に陥っていたのです。

そんな自分を変えるきっかけとなったのが、たまたま観に行った劇団四季『ライオンキング』のあるセリフでした。

「過去から逃げるか、それとも学ぶか、お前はどうするね?」

まるで自分に言われているかのような言葉に、舞台上から心を撃ち抜かれたのです。その瞬間、「失敗を学習する機会にする」という気づきが芽生えました。

そこから私は劇団四季を目指し、舞台に立つための必須スキルであるクラシックバレエを、23歳でゼロから学び始めました。周囲は女性ばかり。私が何か動くたびにクスクス笑われるような状況でした。「あなたを見ていると情けなくなる…」と言われたこともあります。

それでも「笑われてなんぼ、恥かいてなんぼ」。そう自分に言い聞かせ、他人の目を気にせず、失敗を“学習の材料”と捉えるようにしました。そして毎回、必ず振り返る。「何がうまくいかなかったのか?」「次はどうするか?」を考え続けたのです。

転んだときにしか見えない景色があります。私は、転んだときには“石ころ一つでも拾って”立ち上がることを心がけてきました。

だから今では、何か失敗しても「あぁ、そうきたか」と冷静に受け止められます。そこにあるのは自己否定ではなく、「またひとつ、貴重な情報が手に入った」という感覚です。

このように考えられるようになったのは、若いうちに“失敗力”を身につけられたから。だからこそ、私は新入社員に声を大にして伝えたいのです。失敗は未来のための学習機会にすぎない、と。

自分の能力の問題と失敗の問題を結びつけない

新入社員の多くが勘違いしているのが『能力がある人が成功して、能力がない人が失敗する』という、能力と失敗の関連付けです。しかし、これは大きな誤解です。現実はまったく違います。

私たちは人の成功しか見ないため、うまくいっている人は能力が高くて才能があり、初めから成功しているのだ、と思ってしまうものです。しかし実際には、どんなに能力が高い人であっても失敗が前提です。

能力が高く才能があると見えている人でも必ず、陰で何度も失敗を重ねた結果として偶然、成功を手に入れているのです。

とにかく、すべての人が失敗をする、ということの認識が重要です。だから、今の失敗を「自分には向いていない」と自分の能力や才能と結びつける必要は全くありません。

そしてもうひとつ、大切な視点があります。それは、「失敗したあとにどう立ち直るか」という“回復力”です。

どんなに能力がある人でも、失敗は避けられません。だからこそ、失敗のたびに落ち込んで立ち止まってしまうのではなく、そこからどう回復し、どう前を向いて行動できるかが問われます。実はこの「失敗からの回復能力(レジリエンス)」こそが、成長を左右する鍵なのです。

では、どうすればこの回復力を高めていけるのか?
次の章では、自分の状態に合わせて実践できる、3つ段階の具体的なステップを紹介します。

失敗からの回復能力を鍛える

失敗から立ち直るためにダメージを3つにわけてみましょう。すぐに気持ちを切り替えられる失敗もあれば、大きなダメージを感じて時間がかかるもありますよね。

ここでは、辛さのレベルになぞらえて「小辛・中辛・激辛」の3段階で、回復力を鍛えるためのステップをご紹介します。自分の状態に応じた“回復レベル”を選んでみてください。

小辛:PDCAサイクルを回す

軽めの失敗に対して、まず試してほしいのが「PDCAサイクルを回す」ことです。Plan(計画)→Do(実行)→Check(振り返り)→Act(改善)という流れで、小さな改善を積み重ねていくことが、確かな成長につながります。

たとえば、チーム会議で自分の意見を提案したものの、誰からも反応がなく場がシーンと静まり返った。上司にも「もう少し具体性がほしいね」と参加者の前で言われ、恥ずかしさや自己否定の感情に押しつぶされそうになる。こうした経験は、新入社員なら一度は味わうかもしれません。

でも、ここで「自分にはセンスがない」「やっぱり向いていない」と思って終わってしまうのはもったいない。PDCAの出番です。

Plan(計画):「提案の根拠を事前に調べよう」「図やデータを使って説得力を高めよう」と仮説を立てる
Do(実行):次の会議で、改善した提案資料を使って発表する
Check(振り返り):「反応が変わったか?」「質問が増えたか?」「納得感のある返事が返ってきたか?」を確認する
Act(改善):効果があった部分は次回も活用し、さらにブラッシュアップする

ここで重要なのが、「ただの反省」で終わらせず、“何を変えたらよくなるか?”という仮説を立てて検証することです。つまり、小さな改善を積み重ねていく中で、PDCAサイクルは自然と回り始めていきます。

たとえば、「こうすれば良くなるかもしれない」という仮説を立てて試してみる。そして結果を見て、「うまくいったか?」「それとも別の方法がよかったか?」を判断し、次にどう活かすかを考える。この繰り返しが、成長の土台になります。

はじめのうちは、どこを検証すればいいのか分からなかったり、見当違いの仮説を立ててしまったりするかもしれません。でも、そんな試行錯誤を続けていくことで、少しずつ“見るべきポイント”がクリアになり、PDCAの回転力と「問題を見る解像度」が上がっていくのです。

最初から完璧な仮説や指標を立てられる必要はありません。むしろ、それを“繰り返しの中で育てていく”ことこそが、成長の本質です。

だからこそ、単に失敗に凹むのではなく、「どこに原因があり、どこを改善すれば変化が起こるか?」を具体的に考える習慣を持つことが、社会人としての成長を一段階上げてくれるのです。失敗を活かすとは、仮説検証のトレーニングでもあるのです。

中辛:感情の処理

失敗をすると、落ち込み、悔しさ、恥ずかしさ、怒り――さまざまな感情が押し寄せてきます。とくに、人前での失敗には強いダメージが伴います。

たとえば、社内の発表で緊張しながら一生懸命話したあと、上司から参加者全員の前で「本気さが全く伝わらない、もう一度ゼロからやり直して来週みせるように」と厳しく言われてしまったとします。その瞬間、顔から火が出るような恥ずかしさ、自信を失う感覚、心の奥から湧き出る悔しさ…。こうした感情は簡単には消えません。

そこで大切なのは、「コントロールできない感情そのもの」に焦点をあてるのではなく、自らコントロールできる「行為」に意識を向けることです。

たとえば、気持ちが混乱しているときは、何も考えずにノートに感情を“書きなぐる”ことが有効です。言葉にならないモヤモヤも、書いていくうちに少しずつ整理されていきます。心理学ではカタルシス効果といいます。誰に見せるものでもないので、きれいに書く必要はありません。思いのままに手を動かすことで、心の中の圧が抜け、感情が浄化される感覚があります。

さらに、好きな音楽を聴く、あたたかい飲み物を飲む、マインドフルネスや呼吸法をするなど、感情にとらわれず体を動かしたり気分を切り替える小さな行為も、立ち直りのきっかけになります。

感情を無理に抑え込もうとせず感情に良い影響を与える「今、自分にできる行動」を一つずつ選んでいく。その積み重ねが、自然と気持ちを整え、次の一歩につながっていきます。

ただ、感情はなぜかぶり返してくることがありますよね。もう終わったことなのに、ふとした瞬間に思い出して、また恥ずかしくなったり、悔しさがこみあげてきたり…。そんなときにおすすめしたいのが、「イメージング法」です。

イメージングとは、頭の中でポジティブな情景を思い浮かべることで、心の状態を落ち着かせる方法です。たとえば、朝日を浴びて深呼吸している自分をイメージしてみてください。心地よい光、あたたかな空気、穏やかな風――そうした情景をリアルに思い描くと、不思議と胸のざわつきが少しずつ静まっていきます。

これは、脳が現実とイメージを勘違いして、頭の中の映像でも情動が変化するという仕組みによるものです。

イライラや不安、落ち込みにとらわれそうなときこそ、意識的に“心地よい風景”を思い描いてみる。そんな小さな習慣が、感情のぶり返しをやさしく和らげてくれます。

激辛:セルフケアで身体感覚から変える

ときには、深く落ち込んでしまうほど、どうしようもない失敗に直面することもあります。そんなときこそ、まず整えるべきは“心”よりも“身体感覚”です。人は心が疲れているとき、思考も感情もネガティブに偏りがちになります。だからこそ、体の調子を整えることが、回復の第一歩になります。

まず大切なのは睡眠。つらいときほど眠れなくなりがちですが、睡眠は脳のリセットスイッチです。スマホやPCの画面から離れて、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かる、就寝前に軽いストレッチをするなど、眠るための環境を整えてみましょう。睡眠が不足していたりすると、すべてのことをわるい方に、わるい方に考えてしまうのです。

次に食事。脳の働きを助けるたんぱく質や鉄分、腸内環境を整える発酵食品、心を安定させるセロトニンの原料であるトリプトファン(納豆・バナナ・チーズ・鶏むね肉など)を意識して取り入れると、気分が落ち着きやすくなります。アルコールや甘いものやカフェインには注意が必要です。短期的な幸福感は「反動」であり、長期的には気分をさらに沈める可能性が高いからです。規則正しくバランスの取れた食事を心がけましょう。

そして忘れてはいけないのが適度な運動です。ウォーキングや軽いランニングなど、リズムのある運動は「セロトニン」という“幸福ホルモン”の分泌を促し、心を前向きにしてくれます。激しい運動である必要はなく、朝の15分の散歩だけでも大きな効果があります。

心がつらいときは、無理にがんばろうとせず、まずは身体を整えることに集中する。それが「前に進むための準備」になります。そしてどうしても苦しいときは、一人で抱え込まずに信頼できる人に話したり、必要に応じてカウンセラーなど専門家の力を借りることも大切です。

【関連記事】落ち込んでいる時の効果的な回復方法

失敗からの回復は、「心で気合を入れる」のではなく、身体と環境を味方につけることから始まります。

失敗は、あなたの人生を豊かにする“はじまりのサイン”

新しい仕事、新しい環境、不慣れな業務。新入社員の皆さんにとって、毎日はまさに“挑戦の連続”でしょう。その中で失敗してしまうことも、落ち込んでしまうことも、きっとあると思います。

でも覚えていてほしいのは、「失敗があるからこそ、時間が経てば経つほど人生は豊かになる」ということ。完璧に見える人も、陰では数えきれないほどの失敗を経験しています。むしろ、失敗のない人生は学びも成長もなく、いつしか意欲すらも失ってしまいます。

失敗は“終わり”ではなく、新たな学びや気づきを得るための入口です。うまくいかなかった経験の先にある、小さな工夫や改善こそが、あなたのスキルを磨き、視野を広げてくれます。

もし、失敗を恐れて行動を止めてしまったら、それこそが成長を止めてしまう最大のリスクです。だからこそ、「失敗はあって当たり前」「回復していけばいい」と考えて、一歩一歩、前に進んでください。

失敗してもいい。むしろ、失敗しながら進んでいくあなたの姿こそが、本当のプロフェッショナルのはじまりです。

あなたの失敗には、価値があります。恐れずに、挑戦し続けましょう。

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