ロングセールスから学ぶチームワークの原点
突き抜けるような成果を出し続けるチームがあります。一過性ではなく“出し続けている”のがポイントです。そのチームのメンバー一人ひとりはどのような意識を持って取り組んでいるのでしょうか？マネージャーはどのようなチームビルディングをしているのでしょうか？
今日は、１５年以上もロングヒット・ロングセールスを続ける劇団四季の「ライオンキング」のチームから、チームをまとめる秘訣について考えていきたいと思います。
研修の中で、「佐藤さんは劇団四季時代に、チームとして最高のパフォーマンスを発揮するためにどのようなことをされてきたのか？」という質問を受けることがよくあります。１５年以上もロングヒットするライオンキングという作品に出演してきた私なりの観点でお話させて頂きます。
その答えはシンプルです。
「この作品が、途切れることなく永遠に上演を続けるにはどうしたらいいか？」
「お客様に喜んでもらうために、自分の持っている能力をどう役立たせるか？」
「作品に対してどう貢献できるか？」
という“貢献の心構え”を全員が持っているからです。
プロとアマの違いとは？
この心構えがないと、すべてが崩壊します。ロングヒットもすぐにストップするでしょう。例えば、このライオンキングを市民愛好家が手掛けたとします。人前で表現することを趣味にしたい方が集まるので、商品を世に出すための練習の期間（リハーサル期間）には次のような事が必ず起こります。
・完全に自分に酔ってしまう人が現れる。
・自分が目立つことだけ考える人が現れる。
・周りを押しのけてフォーメーションを崩す人が現れる。
それにより観客は確実に離れ、上演は数カ月で終了するでしょう。
プロの現場ではこのようなことは起りません。プロとアマチュアの違いは「チーム全体でパフォーマンスに対する責任をとる」という姿勢の違いです。お客様が感動するためには、チームが一丸となって考え、一人一人の役割を明確にして、どのような貢献ができるのかを考えています。
では、どうしたら貢献の心構えをチーム全員が身に付けることができるのでしょうか？
それが、理念やビジョンの浸透です。
ただのお飾りのものではありません。ライオンキングという商品が１５年以上もロングヒットするのは、「どこに向かっているのか」というビジョンや作品のメインテーマ（理念）というフィルターを全員が確実に通る意識を持っています。そして、そのフィルターを通った後、個人個人の働く理由（なんのためにこの舞台に立つのか？）やどう貢献が出来るか、という理念を個人が繰り返し落とし込んでからステージに立っているのです。リーダーはチームに対して自分の言葉で、しっかりと理念・ビジョンを共有して伝えることが大切ということです。
逆に言えば、プロでも自分の役割を把握せず、チームに対してどう貢献できるかを考えなければ、それはアマチュアと同じレベルになってしまいます。
現場に出てしまえば、地位や肩書きなど関係なくゴールに集中するだけ
そして、さらに面白いところは舞台上にいざ立つと、地位や権限などは一切関係がなくなるという事です。つまり自分が主役級のいい役をやっているから偉い・注目される、その他大勢役は偉くない・注目されないといった、権限に対する焦点が一切なくなるという事です。一人一人が究極の集中状態でその役割に徹します。それが感動を生み出し、価値として商品を提供しているのです。
チームビルディングの４つのポイント
では、最後にここで、チームがまとまる４つのポイントについてお伝えします。
１．「チームでどんな成果をつくりだしたいのか？」をビジョンを共有する
２．「この仕事は何のためにやるのか？」を理念を共有する
３．「自分がどんな貢献をできるだろうか」という役割を明確にする
４．決めた目標に対して、集中して取り組む
こうしたことを、一人一人が自問できるようになるとそれが間違いなく価値へと変わります。そして一人一人が成長していきます。また、それがチーム全体の結束力へとつながりすべてが好循環していくのです。ライオンキングという、日本で１５年間も上演され続けている舞台がそれを証明しています。リーダーが組織の理念やビジョンをいかに伝えられるかが大きな成果にも繋がってくると言えます。
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