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原稿なしでスラスラとスピーチする方法

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スピーチでなぜ「原稿なし」が怖いのか?

人前で話すとき、原稿を手元に用意して頼りっきりになってしまうことはありませんか?

「原稿がないと不安」
「頭が真っ白になったらどうしよう」

──そんな気持ちから、原稿をしっかり準備して挑む人は少なくありません。

これは決して間違いではありません。

しかし、ただ原稿を読み上げるだけのスピーチは聞き手に退屈さを与えてしまう可能性があります。視線は紙に落ち、声のトーンも単調になり、会話のような自然さが失われて、話し手との距離が遠くなってしまうのです。

その結果、伝えたい思いがあるのに十分に届かず、「読み間違えたらどうしよう」と余計に緊張を招いてしまうケースも少なくありません。

かといって、原稿を完全に手放して本番を迎えるのは、やはり怖いものですよね。

それでも「原稿なしでスラスラと」巧みにスピーチをする人はいます。彼らの頭の中はどうなっているのでしょうか?上手な人はスピーチ前にどんな準備をしているのでしょうか?

難しそうに思えるかもしれませんが、実はちょっとした工夫で誰でもできるようになります。この記事では、その具体的な方法をご紹介します。

これから突然やってくるスピーチの機会に備えて、ぜひ最後までご覧ください。

この記事を書いた人:佐藤政樹(研修講師・著者)
劇団四季出身元主役の講師。「人を惹きつける話し方」(プレジデント社)著者。受講生を惹きつけながら“気づき”と“学び”を引き出す研修をモットーに、新入社員研修から行政・金融・教育・医療分野まで幅広く登壇。詳しくはページ下部のプロフィール・研修情報をご覧ください。

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原稿なしでスピーチする5つのメリットとは?

原稿を片手に読んでしまえば安心感はあります。けれど、その安心感と引き換えに「伝わりやすさ」や「自然さ」を失ってしまうことも多いのです。

一方で、原稿に頼らず自分の言葉で話せるようになると、聞き手との距離がぐっと縮まり、スピーチそのものが大きく変わります。単なる情報の読み上げではなく、「心を動かす体験」 へと変わっていくのです。

では具体的に、原稿なしで話せるようになるとどんなメリットがあるのでしょうか?

1.会話の延長のように自然に話せる

原稿を読むと、どうしても「書き言葉」になってしまいます。

書き言葉は正確さやきちんと感はありますが、硬くて距離を感じさせやすいのが難点です。

一方で、聞き手が本当に求めているのは「会話のように自然な言葉」。

たとえば友達と雑談しているとき、相手は一言一言に耳を傾けながら自然にうなずき、笑ったり驚いたりしますよね。その心地よい流れこそ、スピーチの場でも理想なのです。

原稿なしで話すと、まさにその“会話の延長線上”のように言葉がスムーズに出てきます。多少言い回しが崩れても、それがむしろ自然さとなり、聞き手を安心させます。

結果として、聞き手は「一緒に会話している感覚」で耳を傾けられるのです。これは単なる情報伝達ではなく、相手の心に残る体験へと変わっていきます。

2.自分の言葉で伝えられるため説得力が増す

用意した文章は安心材料にはなりますが、ときに「借り物の言葉」になってしまいます。読み上げているだけでは、どんなに立派な内容でも“実感がこもっていない”と受け取られてしまうことがあるのです。

一方で、自分の体験や実感した経験をそのまま言葉にすると、たとえ言い淀んだり途中で言葉を探したりしても「嘘偽りない言葉が伝わっている」という印象を強く残せます。聞き手は言葉の正確さよりも、そこに込められた背景や真実味を敏感に感じ取るからです。

これはビジネスの場面でもまったく同じです。数字や資料を正確に伝えることも大切ですが、それ以上に「なぜ自分がこの話をしているのか」という想いが相手の心を動かします。上手に飾られた言葉よりも、あなた自身の言葉こそが最大の説得力を持つのです。

3.聴衆との距離が縮まる

原稿を見ていると、自然と視線は下に落ちてしまいます。そうすると聞き手は「こちらを見て話してくれていない」「一方的に読み上げられている」と感じてしまい、心の距離が開いてしまうのです。

一方で、原稿なしで話すと顔が上がり、自然に目の前の人たちへ視線を送れるようになります。そこから生まれるアイコンタクトは「自分に語りかけてくれている」という感覚を与え、安心感や親近感を引き出します。

ビジネスシーンでは、この効果は特に大きいです。営業先で資料ばかり見て話す人より、相手の目を見て誠実に語りかける人の方が、圧倒的に信頼を得やすいのは想像に難くありません。たとえ完璧な言葉でなくても、目を合わせて伝えられた言葉は「自分のために語ってくれている」と受け止められるのです。

つまり、原稿に縛られずに話すことは、単なる表現方法の違いではなく、聴衆との信頼関係を築くための強力な一歩なのです。

4.緊張がやわらぐ

多くの人は「原稿があった方が安心できる」と考えます。ところが実際には、その原稿が緊張の原因になっていることも少なくありません。

たとえば、原稿を持っていると「読み間違えたらどうしよう」「順番を飛ばしたらどうしよう」と余計な不安が増えてしまいます。視線を下げて文字を追うことに意識が向きすぎ、かえって頭が真っ白になることさえあります。

一方、原稿に縛られずに話せると、言葉の自由度が一気に高まります。多少順番が前後しても、自分の体験や思いを軸に話しているので、その場で自然に修正できるのです。「多少崩れても大丈夫」と思えることで、心に余裕が生まれます。

その余裕こそが、緊張を和らげる最大のポイントです。安心して話す姿は聞き手にも伝わり、会場全体がリラックスした雰囲気に変わっていきます。

5. 柔軟に話を広げられる

原稿なしで話す最大の魅力は、その場の空気に合わせて臨機応変に話を変えられることです。

会場が笑ったら少しユーモアを広げる。真剣に耳を傾けている様子なら、予定していた以上に深掘りして語る。こうした反応のキャッチボールができるのは、原稿を手放しているからこそです。

この「ライブ感」があると、スピーチは単なる情報伝達ではなく、会場全体が一体となる体験に変わります。聞き手にとっては「ここでしか聞けない話」を味わえるため、強い満足感と記憶に残る印象を与えられるのです。

ビジネスの場面でも、この柔軟さは大きな武器になります。たとえばプレゼンで相手が首をかしげていれば、補足を加えて理解を助けることができますし、相手が大きくうなずいていれば、さらに一歩踏み込んだ提案につなげることもできます。

つまり、原稿にしばられないスピーチは「予定通り進める安心感」ではなく、「相手に合わせて進化する臨場感」を手に入れることができるのです。

大勢の前でスピーチする筆者

スラスラ話すための基本4ステップ

ここまでで、原稿に頼らずに話すことの大きなメリットを見てきました。では実際に「どうすれば原稿なしでスラスラと話せるようになるのか?」が気になるところですよね。

これから紹介するステップは、プロのスピーカーや講演家も実践しているシンプルな方法ばかり。誰でもすぐに取り入れられるものなので、ぜひ参考にしてみてください。

STEP1.ゴールを決める

まず一番大切なのは「最終的に何を伝えたいのか」を明確にすることです。

スピーチにゴールがないまま話し始めるのはカーナビに目的地を入力せずに車を走らせるようなもの。どんなに最新の地図を持っていても、どんなに燃料があっても、目的地が決まっていなければ結局どこにもたどり着けません。

同じように、ゴールが曖昧なまま話すと途中で迷子になってしまい、最後は「結局何を言いたかったの?」で終わってしまいます。これでは聞き手の印象にも残りません。

だからこそ、スピーチの前に必ず「今日のゴールはこれだ」と決めておくことが重要です。

例:
「挑戦する勇気を持ってほしい」
「失敗から立ち直った経験を通じて“諦めない大切さ”を伝えたい」
「今日から毎朝10分の読書を始めようと思ってもらう」

このようにゴールを一つ設定するだけで、言葉に一貫性が生まれ、話の方向性も自然とまとまります。聞き手にとっても「この人が何を伝えたいのか」がクリアになり、最後まで集中して聞いてもらえるのです。

STEP2.キーワードを用意する

ゴールを支えるのが「キーワード」です。
キーワードはスピーチの“道しるべ”となるもので、1〜3個程度がベスト。多すぎると頭の中が整理できなくなってしまうので、シンプルにまとめましょう。

キーワードは、あなたが実際に伝えたいテーマや体験に直結していることが大切です。
たとえば──

「舞台裏の力」…華やかな表舞台の裏にある努力や準備を伝えたいとき
「一歩踏み出す勇気」…新しい挑戦に踏み出す大切さを語りたいとき
「本当の主役は物語を進めるその他大勢役」…チームや組織を動かす原動力は“脇役”の力であることを伝えたいとき

このようにキーワードを設定するだけで、エピソードやメッセージを自然に結びつけて話せるようになります。

さらにスライドを使う場合も、長い文章をびっしり書くのではなく、キーワードだけを大きく表示するのがおすすめです。そうすることで、聞き手は話の軸を理解しやすくなり、あなた自身もスピーチの流れを見失わずに進められます。

STEP3.構成をざっくり決める

「原稿なしで話す=完全な即興」と思う人もいますが、それは誤解です。

実際にスラスラ話している人も、頭の中では必ず“道筋”を描いています。構成をまったく考えずに話すのは、地図を持たずに旅に出るようなもの。行き当たりばったりでは、聞き手も置き去りになってしまいます。

安心してスピーチを進めるためには、大まかな流れ=骨組みを決めておくことが大切です。

おすすめは、シンプルな以下の構成です。

つかみ(問題提起や問いかけ)
聞き手の興味を引く部分です。「あなたにもこんな経験はありませんか?」と問いかけたり、驚きのデータを示したりして、耳を傾けてもらうきっかけを作ります。

本題(体験談や具体例)
抽象的な説明より、自分の体験や具体的なエピソードを語る方が圧倒的に伝わります。ストーリーがあると、聞き手は自分ごとのように想像できます。

おち(ゴールにつなげる)
最後に「だから私はこう伝えたい」と結論を示し、冒頭で提示したテーマやゴールへとつなげます。話に一本の筋が通ることで、聞き手に強い印象を残せます。

この骨組みさえ頭に入っていれば、途中で言葉が前後しても問題ありません。安心して話に集中でき、自然にスピーチをゴールへ導けるのです。

STEP4. 無意識のひらめきを信じる

スピーチをしていると、準備していなかった言葉やエピソードがふと頭に浮かぶことがあります。多くの人は「予定外だから言わない方がいいのでは?」と思いがちですが、実はその瞬間に出てきた言葉こそが、あなたの本音や経験に根ざした大切なメッセージであることが多いのです。

もちろん全体の流れやゴールを無視していいわけではありません。しかし、骨組みがしっかりしていれば多少寄り道をしても軌道修正できます。その余白があるからこそ、無意識のひらめきを活かせるのです。

日常会話でも同じように、思いついたことを口にして話が盛り上がった経験はありませんか? それができる人は「相手と今を共有している」と感じさせ、信頼を築くのが早いのです。

無意識から出てきた言葉を恐れずに受け入れること──それが、原稿なしで話すときの大きな武器になります。

参考にしたい有名なスピーチの例

世界的に有名なスピーチの中にも「原稿なしでスラスラと話すためのヒント」が隠れています。

その代表例が、スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学で行った伝説的な卒業式スピーチです。彼は「点と点はつながる」「失敗を恐れるな」「人生は有限だ」というキーワードを繰り返し使いながら、学生たちに「自分の人生を生きろ」という力強いメッセージを届けました。

注目すべきは、ジョブズのスピーチが決して難しい言葉や複雑な理論で構成されていないことです。彼が語ったのは、自身の人生で経験した挫折や復活、そしてそこから学んだシンプルな気づき。それを短いキーワードに落とし込み、何度も繰り返すことで、聞き手の心に深く刻み込んでいったのです。

このように、長いスピーチであっても、実際には「いくつかのキーワード」と「一つのゴール」に集約されています。だからこそ聞き手は迷子にならず、最後まで一貫したメッセージを受け取ることができるのです。

私たちが学べるのは、立派な原稿を丸暗記することよりも、自分の体験を支えるキーワードを持つことの大切さです。キーワードがあることで、話の流れを自在に広げつつも、最終的にゴールへと導けるようになります。

つまり、「原稿なしでスラスラ話す」ことは特別な才能ではなく、偉大なスピーカーたちが実践してきた普遍的な方法なのです。

生成AIによるイメージ画像

日常でできるスピーチトレーニング

スピーチ力は特別な舞台や大きな発表の場だけで鍛えられるものではありません。むしろ、日常生活のちょっとした場面を練習の場に変えることで、自然に力が育っていきます。

「いざ本番!」のときに急にうまく話せるようになる人はいません。日常の積み重ねこそが、本番での自信につながります。

具体的なトレーニング例

・打ち合わせや雑談のときに「今日のゴール」を意識して話す
ただの会話でも「今日は相手にこのことだけは伝えよう」と決めて話すと、内容がまとまりやすくなります。

・会話の中で「キーワードを一言でまとめる」練習をする
長々と説明せずに、話の核心を一言で表す癖をつけましょう。これはスピーチの道しるべを作る力になります。

・家族や友人との会話で、自分の思いを短く言い切ってみる
「今日はこれが一番うれしかった」など、シンプルに言葉にする習慣が、スピーチの表現力を磨きます。

・日記やメモに「今日の一言」を書き出す
言葉にまとめる訓練を文字で行うことで、話すときにも自然にキーワードが浮かぶようになります。
 
 
小さな場面での練習は、気楽に挑戦できるのが魅力です。失敗しても誰も責めませんし、その積み重ねが“話す回路”を育ててくれます。

こうした日常の習慣を繰り返すことで、本番のスピーチでも「特別なことをしている」感覚がなくなり、自然に力を発揮できるようになるのです。

まとめ|原稿なしでスラスラ話す4つの秘訣

原稿なしでスピーチを成功させるコツは、次の4つに集約されます。

・ゴールを決める – 何を伝えたいのか目的を明確にする
・キーワードを用意する – 話の軸になる言葉を1〜3個に絞る
・構成をざっくり決める – 「つかみ→本題→おち」の流れを押さえる
・無意識のひらめきを信じる – 予定外の言葉も大切なメッセージとして受け入れる

難しいテクニックや専門的な知識は必要ありません。むしろ大切なのは、日常の会話を磨く感覚で練習を積み重ねることです。

たとえ短い雑談でも、ゴールを意識して話したり、キーワードを一言にまとめてみたりするだけで、本番でのスピーチ力は驚くほど変わります。

あなたもぜひ、小さな場面から「原稿なしスピーチ」を試してみてください。最初は不安でも、繰り返すうちに自然な言葉で伝える力が身につき、気づけば「またこの人の話が聞きたい」と思われる存在になっているはずです。

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