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【研修の種類と方法】効果別/職種別/階層別42種類まとめ

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研修の種類を知って効果的な研修を

あなたは本当に満足のいく研修を受けたことがありますか?
過去に実施した研修は、実際に効果があるものでしたでしょうか?
オンラインで済む研修とリアルでしかできない研修を明確にできていますか?

以前は研修を「コスト」として捉えていたため、研修の効果よりも受講者満足度に重きが置かれていました。しかし、今日では研修を「コスト」ではなく、「投資」として評価し直す動きが活発になっています。投資をするからにはリターンを狙わなければいけません。そう考えると、今まで行ってきた研修は投資した価値に見合う成果のある研修だったでしょうか?

私、佐藤政樹は現役の研修講師としてこれまで約5年間で25,000人以上の受講生に研修を行ってきました。対象は大学生、多種多様な中小企業、誰もが知る超大手企業から銀行、市役所など多岐にわたり、研修の内容もチームワーク、モチベーション、プレゼンなど様々です。多くの人事担当者の方々や受講生の方々と接する中で感じたのは、研修の効果が出やすい場合とそうでない場合があるということです。

ある調査によれば、研修により多くの費用を費やす企業が減少見込みになりつつあります。(参考:2020年度|教育研修費用の実態調査|採用・教育 | 産労総合研究所)によれば、調査回答企業における教育研修費用総額は3年連続で増加していたのですが2020年のコロナ禍の影響で教育研修費用総額の今後1〜3年の見込みは、「やや減少」、「かなり減少」が増加しています。

社会の大きな変革を迎え、先行きの見えない不安が顕在化されてきました。そんな中、せっかく費用をかけて研修を実施するのですから、研修の内容を最大限吸収して、その後の仕事に確実に生きる力を得てほしいと研修講師として心から思います。

そこでこの記事では、様々な研修の種類をご紹介し、本当に効果のある研修を行うにはどうしたら良いか、自社にぴったりはまる研修の選び方を解説していきます。

研修を失敗させないために知っておくべきこと

1:成功を左右するのは研修前後にあり

研修の評価及び有効性について国際的に認められた専門家であるRobert O. Brinkerhoff 教授が、ATD(米国人材開発機構:世界最大の人材開発コンファレンス)で、ハイ・インパクト・ラーニング(High Impact Learning)のための「40/20/40のモデル」という概念を紹介しています。

これは研修を成功させるために研修前・研修中・研修後のそれぞれにどのくらいの割合でパワーを注ぐべきかを表したものです。

このモデルによると「40(研修前の準備):20(研修の内容):40(研修後のフォロー)」となり研修効果を最大化させるためには研修当日の内容の充実だけではなく、研修前後の取り組みが重要であることが分かります。

特にオンライン化・デジタル化への変化が加速し、オンライン/リアル/オンラインなど研修前後をオンライン化するハイブリッドによる研修設計もスタンダードになってきました。

では、研修前後の取り組みとは何でしょうか?本記事では、まず取り組みやすい「研修前に注意すべきこと」についてご紹介します。

2:研修前に行うべきこと

研修前に人事の方に必ず行ってほしいことは、「課題は何か、受講者にどうなってほしいと考えているか」をリサーチすることです。代表的な受講者の不満足の声は、「内容がつまらない」「仕事の役に立つとは思えない」「研修の目的が分からない」ですが、これらは全て研修を企画する立場の人が明確な課題とゴールを描けていないことに原因があります。

研修はただ実施すればOKという訳ではなく、研修を行う目的と意義と得られる効果を研修担当者がきちんとゴール設計をして施作するのが非常に重要です。

研修を社内の年中行事として捉えるのではなく、問題解決の場、成長の場として捉えて、「受講生が抱える課題」「研修の目的、ゴール」「研修後に受講者に起こってほしい変化」を具体的に考えてみましょう。

そして決して忘れてはならないのは、受講生に本人の課題を考えるきっかけになるようなオンライン上での事前課題の提示と提出事前アンケートなどをとり、研修に参加する意義付けをすることです。研修前のマインドセットと言います。研修前の事前設計でマインドセットがあるのかないのかは大きな差になります。

3:研修の種類を把握する

「受講生が抱える課題」「研修の目的、ゴール」「研修後に受講者に起こってほしい変化」を明確化にし、受講生に研修を受ける意義を落とし込めれば(マインドセット)成果の出る研修はすぐ目の前にあると言えます。しかし、自社が抱える課題やニーズを最初からコレ!と明確に言葉で定義するのは簡単ではありません。

そこでヒントになるのが、研修の種類を大まかにでも知っておくということです。研修は対象者やテーマ、目的によって様々です。研修の種類を多く知れば知るほど選択肢が広がることは言うまでもないですが、研修の種類を知らないと誤った研修を選んでしまうことにも繋がります。反対に、研修の種類を幅広く知っておけば、より自社にフィットして成果の高い研修を選べる確率が高くなります。

そこで本記事では、研修を行う場所、形式、対象者・階層、目的・テーマ別に研修の種類を解説していきます。自社はどこに当てはまるのかを考えつつ、読んでみてください。

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研修の種類紹介:形式別

研修の形式は対面型研修非対面型(オンライン)研修の2種類があります。2020年の社会の大変革による価値観の変化でオンラインでできるものをリアルでやってしまうと「これ、オンラインでできるのではないか?」と疑問や不満が生まれてしまいます。

自動車教習所で例えると、学科と実技です。時間と交通費をかけて講師が一方的に話すだけの座学講義だけを受けにわざわざ教習所に行くのは、もはや無意味です。教習所に行ったからには、実際に車の運転などをして体感するなど対面でしか味わえないようなことをする必要があります。

研修も同じで、座学や講義型の研修はわざわざ対面でやる必要はないということを多くの方が気付き始めました。逆に、外出自粛で強制的に人と会うことができなくなるという経験をした私たちは、対面であった際には対面でしかできない事を求めるようになりました。

このように、それぞれ効果を発揮する場面が異なるので、ニーズに合わせて選択していきましょう。

1:非対面型(オンライン)研修

非対面型研修として、オンライン型研修やeラーニング(e-Learning、イーラーニング)というインターネットを活用した研修が挙げられます。これは社内の情報ネットワークサービスを通じて、参加者が自席のパソコンや会社から支給されたスマホやタブレット端末で研修を受講できるというものです。

・オンライン研修の特徴
オンライン研修の特徴としては、端末があれば場所や時間を選ばず行えるということがまず挙げられます。

参加者の交通費や時間を使わずに全員を同じオンライン上の空間に集め、会場を用意せずとも、Web画面上で双方向のコミュニケーションを取ることができます。

集中力が維持されにくいというデメリットもありますが講師のファシリテーション能力により、話すスピードを上げたり時間配分をしっかりと設計すれば、集中力もしっかりと維持することができます。

オンライン型研修をする筆者

・eラーニング
eラーニングに関しては参加者個人のスケジュールやモチベーションに合わせて研修を受けられるという点があります。こちらも、研修運営側が日程・場所の確保や講師の調整を行う必要が無く、外部の講師に依頼するよりも費用を安く抑えることができます。

また、一度で理解できない箇所があれば、参加者は繰り返し受講することが可能なので、知識が定着しやすい傾向にあります。人前で発言することが苦手というタイプの参加者にとっては対面型研修よりも非対面型研修の方が効果的に学びを深めることができたりもします。

一方で対面型研修と異なり、受講の強制力が低いため、内容の定着度や理解度は個人の取り組みの仕方に依存する傾向があります。eラーニングに関しては周囲とコミュニケーションをとる必要も無いため、研修によるコミュニケーションの活発化はあまり期待できません。

また、そもそもeラーニングを行える通信環境が整備されていない会社では導入が難しいのも特徴の一つです。

筆者のYoutubeを使ったeラーニング

・座学・講義のオンライン研修
座学・講義型研修とは、講義などレクチャー形式が中心となり、講師が参加者に知識や技術やマインドを伝えていく研修を指します。

座学・講義型研修の特徴は、伝えられる情報や知識の多さにあります。体系立てた内容を一度に大勢の参加者に教えたい場合、効果的だと言えます。

一方で、講師がメインで話す時間が大部分を占めているため、参加者は受け身の姿勢になりがちです。また、参加者の研修に対するモチベーションや成長意欲によって、吸収できる内容にバラツキが生じやすいという特徴も忘れないようにしましょう。

座学講義型オンライン研修

2:対面型研修(対話・体験型)

2020年以前は、対面型研修には、座学・講義型、対話・体験型の2種類がありましたが、前述のように対面で集まらずにできる座学や講義型の研修は次々とオンライン化が標準となりました。

繰り返しますが、時間とお金をかけてわざわざ対面で集まるのでしたら、対面でしか得られない経験や体験をしっかりと研修の中に組み込む必要があります。

・対話・体験型研修

対話・体験型研修とは、ロールプレイングやグループディスカッションなどの協同作業が中心となり、身体を使って知識や技術やマインドを学んでいく研修をさします。

講師は一方的に知識を伝えるのではなく、参加者の主体を促し、話し合いにおける相互作用のプロセスをより有効・有益にするための働きかけを行うファシリテーターとして参加します。

対話・体験型研修の特徴は、参加者が主体となり、参加者同士で交流し教え合うことで学びを深めていく点にあります。実際に声を出したり、身体を動かしたりするワークを行っていくことで参加者は能動的になり、内容の理解度も高くなる傾向があります。

対面型の研修に関しては、研修運営側が意図していなかった課題を、対話を通して参加者自身が自発的に気づくケースもあります。また、参加者同士のコミュニケーションが活発になることも対話・体験型研修の良い特徴の一つです。

個人個人の関係性が希薄になっていますのでチームワークのためにも関係性構築のためにも対面研修はやはり重要です。

一方、座学・講義型研修と比較すると伝えられる内容の量は劣る傾向にあります。議論をしたり、体験をしたりすることに重きが置かれるため、当初予定していた時間配分が崩れたり、テーマが脱線したりと、運営側がコントロールしにくい場合があるということを覚えておきましょう。

対話・体験型研修

いかがでしょう?
対面型研修は座学・講義型研修、対話・体験型研修ともに、参加者が講師にその場で質問が容易にできたり、参加者と講師が一緒に議論や話し合いができたりするため、満足度や理解度が高くなるというメリットがあります。一方、既に知っている内容でも研修の間はずっと座って聞いている必要があり、効率性に欠ける場合があるというデメリットもあります。

研修の種類紹介:社内での実施が社外に委託か

まずは、研修を行う状況の違いによる分類分けです。2つの違いを知って、より効果のある研修を選びましょう。

1「OJT:On the job Training」(職場内研修)

OJT(職場内研修)とは、実際の職務現場で仕事を進めながら、上司や先輩社員などの指導担当者が実践的に技術や知識を教えていくことを指します。OJTはカナダの心理学者であるアルバート・バンデューラが提唱したモデリングという、モデル(上司や先輩社員)の行動を観察すること(モデリング)で学習が成立するという理論を基礎としています。

OJTは基礎的な能力を身につけるのに適していると言われているため、主に新入社員や新規配属者への研修に使用されています。

厚生労働省の「能力開発基本調査」によると、2017年度に正社員に対して計画的なOJTを実施した事業所は62.9%と、3年移動平均の推移で見ると近年はほぼ同水準で推移しています。

-OJTのメリット、デメリット

OJTのメリットは以下6つが挙げられます。

・経済的である
OJTは職場で業務を通して行われるため、専門の講師や研修スペースを用意する必要がなく、研修のコストを抑えることができます。

・即戦力が養える
OJTは実際の職場環境において行われるため、実際に直面している課題や案件を通して、より実践的な力が身につきます

・自社に合ったスキルが身につく
会社の社風や文化によって仕事に必要とされるスキルは大きく異なります。外部の講師に一から説明するよりも、既に社内事情を熟知している先輩社員に指導をしてもらう方がより専門性の高い教育を行うことができます。

・個人に合った教育ができる
集合研修と異なり、OJTは基本マンツーマンや少人数で行われるため、新入社員や新規配属者の理解度や成長具合に合わせて指導をすることができます。

・指導者の成長につながる
OJTで指導を行うのは上司や先輩社員なので、部下とのコミュニケーション方法やコーチング方法などを実践を通して学ぶことができます。リーダー層、管理職の育成に繋がります。

・指導者との人間関係が構築できる
OJTでは指導者と新入社員や新規配属者との間で密にコミュニケーションをとって教育を行っていくため、業務を通じて信頼関係が構築しやすくなります。社内コミュニケーションも活発になることが期待されます。

OJTのデメリットは以下4つです。

・指導者の負担が大きい
指導者は自身の業務に加えて指導業務を行うため、体力的・精神的・時間的にも負担が増え、生産性が低下する恐れがあります。また、指導者に教育を丸投げしてしまうと指導者の中で不満がたまる可能性もあります。

・指導者の力量によって教育の質に差が生じる
OJTで指導するのはコーチングや教育などについて特別な訓練を積んだ講師ではありません。先輩社員や上司が自身の業務と並行して指導を行うため、指導力や教育に当てられる時間、モチベーションの違いによって、指導内容に差が生じる可能性があります。

・体系的に教えることが難しい
現場での実務はアクシデントや緊急事態など、事前に予測できない要素も発生するため、指導内容を体系立てて教えることは困難といえます。

・人間関係のトラブルが生じる危険性がある
OJTでは指導者と新入社員や新規配属者の距離が近いため、相性が悪い場合は人間関係のトラブルが生じやすいと言えます。

2「OFF-JT」(職場外研修)

OFF-JT(職場外研修)とは、職場から離れ、社内の担当部署が考案したメニューや外部の研修機関が作成したセミナーや研修などを行って知識や技術の習得を目指すことを指します。

-OFF-JTのメリット、デメリット

OFF-JTのメリットは以下5つが挙げられます。

・効率的である
一度に大勢に対して知識を伝えることができるため、効率的な指導が可能であり、全体のレベルを底上げすることができます。

・専門的で高度なスキルを学べる
指導のプロである外部講師による研修を受けることで、その分野で最先端の知識や技術、専門性の高い高度なスキルを学ぶことができます。

・指導者による教育の質の差が無い
OFF-JTでは指導者側のスキルのバラツキが無いため、成長度合いや理解度の差が生じにくいと言えます。

・体系的な学習が可能

さらに、OFF-JTではロールプレイングやグループディスカッションなど、普段の業務では行う時間的・精神的余裕は無いが高い効果を発揮する内容を行うことができます。

・業務から離れるので学習に集中しやすい
OFF-JT中は通常の業務から離れるため、学びに集中して取り組むことができ、成長度合いが高くなることが期待されます。

OFF-JTのデメリットは以下5つです。

・研修内容が実務に役立たないことがある
外部講師は自社の業務や文化に精通しているとは限らないため、事前に綿密な打ち合わせが無い場合は、研修内容がうまく噛み合わず、実務に即さない研修になってしまう可能性があります。

・即時性、実践性に欠ける
OFF-JTは知識や技術を系統立てて学ぶ形式のため、OJTのほどの実践性はありません。座学が中心のため、アウトプットではなく知識や技術のインプットが中心となり、研修後にきちんと復習をしたり実践で活かしたりしなければ学んだ内容を忘れてしまう可能性が高くなります。

・生産性が低下する恐れがある
一定数の先輩社員や上司が指導業務に時間を割くため、短期的に見ると全体の生産性が低下する可能性があります。

・研修コストがかかる
外部から講師を招いて研修を行う際は、研修費や交通費などの費用がかかります。

・研修企画者の負担が大きい
研修を外部機関に依頼して行う際は、研修内容の企画や、日程・場所の確保、講師の調整などを行う必要があり、準備に手間がかかります。

いかがでしょう。OJTとOFF-JTの研修それぞれのメリットとデメリットを知り、自社に合った研修を組み立てていくことが重要です。

次に紹介するのは、研修を形式別に分類した種類です。

研修の種類紹介:対象者別 階層別

次は研修を対象者や階層に分けて分類分けした種類をご紹介します。

オンライン研修かリアル研修か?
対面と非対面を組み合わせるハイブリッド型にするのか?
既に研修の対象者が決まっているが、どんな内容が適切か?

このように悩んでいるという方は、目的と意図を鑑みて、以下の研修の種類をもとに考えてみてください。

1:新入社員向けの研修

ここでいう新入社員には新卒1年目だけではなく、第二新卒(学校を卒業後1~3年で、転職または就職を志す若年層)も含みます。仕事内容やいわゆる雑用であり、アポ取りや来客対応、会議準備など多種多様の業務を行う段階です。新入社員向けには以下のような研修が挙げられます。

・ビジネスマナー研修
ビジネスマナー研修には、社会人としての身だしなみ・表情や態度・挨拶やお辞儀の仕方・言葉遣い・名刺交換・電話対応・来客対応・訪問時のマナー・報連相の仕方・上座下座・役職の順番・時間のマナー・封筒のマナーなどが含まれ、参加者はこれらを座学やロールプレイング形式で学びます。方法論だけではなく、自分中心である学生意識から、顧客中心である社会人の意識へ転換を図るというマインド面も重視されている傾向にあります。

・OA研修
知っていると知らないでは仕事の生産性にかなり差がつくのが、このOA研修です。OAとはOffice Automationの略であり、オフィス内の事務作業の自動化・効率化を図るという意味があります。OA研修ではOAの推進を図るための機器であるパソコンやFAX、コピー機といったOA機器の扱い方や、WordやExcelやPowerPointの使い方などを学んでいきます。

・コンプライアンス研修
コンプライアンスとは一般的に法令遵守と訳されます。新入社員向けのコンプライアンス研修では、個人情報の管理や社内外の規範について、経営理念や価値観にあった行動などを学んでいきます。近年SNSが普及したことにより、不適切な動画やコメントなどを公開する事例なども報告されています。コンプライアンス研修ではそういった不適切な行動を防ぐため、コンプライアンス違反によって生じる罰則や、ルールを守るための心構えなどを教える内容が多く見られます。

・マネー研修
社会人になると、自分の収入で生活や貯蓄をしていくという生活に切り替わります。お金とどう付き合っていくかは非常に重要であるにも関わらず、学校などでは中々教育の機会がありません。金融リテラシーが低いまま社会人として時を過ごしてしまうと、今後起こる様々なライフイベントに上手に対応できなくなる恐れがあります。また、会社にとっても経済の仕組みやお金に関する基本的な知識が欠如している社員の存在はプラスとは言えません。お金のカラクリを理解すればどこの部署でも事業運営の本質を理解して仕事に取り組むことが可能になるため、マネー研修は近年重要視されています。具体的には給与明細の読み方(勤怠・支給・控除や手取りと額面の違いなど)、各種社会保険、貯金と自己投資、クレジットカードの利用について、資産運用の方法、家計管理などを学んでいきます。

オンライン新入社員研修の様子オンラインでの新入社員研修

新入社員研修の様子対面での新入社員研修

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2:若手社員向けの研修

ここでいう若手社員とは、入社1年目から3年目くらいの社員を想定しています。指示されたことができるようになっているのはもちろん、自ら問題解決の道筋を考えて提案するなど主体的に行動することが求められる段階です。また、日頃から周囲と密な人間関係を構築するように心がけ、上司や先輩の協力を仰ぎながらチームに貢献するという役割も期待されるでしょう。

・セルフマネジメント研修
主体的な行動が求められる若手社員にとって、セルフマネジメントスキルは必要不可欠です。セルフマネジメントとは、客観的な物事の判断、課題解決のための目標設定、行動のタスク化、タスク管理、振り返りなどが主な内容です。PDCA(「Plan(計画)」「Do(実行)」、「Check(評価)」「Action(改善)」)を効果的に回す手法を学ぶ研修とも言えるかもしれません。心理学を活用したセルフコントロールを取り入れる研修もあります。

・キャリア研修
入社3年目ともなると、そろそろ自分の適性や好みも見えてくるため、キャリアを考え直す社員が多く見られます。働き方の多様性が注目される昨今、キャリアをどうデザインしていくかを考えるキャリア研修の意義は増していくことが予想されます。具体的には、自己理解(性格や特徴を知る、仕事の適正や好みを明確化するなど)、ビジョンを描く(10年後の成長イメージを考え、想定される課題と対策を検討する)、アクションプラン作成(明日から何をすべきか、3ヶ月後の目標設定など)といった内容を行う研修が多い傾向にあります。

・現場リーダー研修
役職にはつかないまでも、少人数で動く現場では中心となる立場になることの多い若手社員には現リーダー研修が役立ちます。ゴールを見失わずに円滑な情報連携を行いながら目標を達成するためのマネジメントを学びます。具体的には目標管理、プロセスマネジメント、PDCAサイクルの理解といったスキルを高める内容が多い傾向にあります。

3:中堅社員向けの研修

ここでいう中堅社員とは、入社3年目以降で主任や課長など何らかの役職がついていない社員を想定しています。自分の業務を遂行するだけではなく、周囲にも気を配ってコミュニケーションを行い、チームの目標達成に向けてある程度リードしていく能力を持つことが必要とされている段階です。後輩の育成や指導、現場と管理職への架け橋といった役割も期待されるでしょう。中堅社員向けの研修には以下があります。

・フォロワーシップ
フォロワーは、リーダーを補佐する周辺の人のことで部下やチームメンバーなどを意味し、フォロワーシップとは組織・集団の目的達成に向けてリーダーを補佐する機能・能力のことを指しています。プロジェクトを成功させるために必要なのは一般的にリーダーシップだと思われていますが、組織を構成する大部分はフォロワーであることから、近年フォロワーシップ研修に対する関心が高まってきています。フォロワーは「貢献度」と「批判的思考」の2軸からなるマトリックス図によって、「模範型フォロワー:協働者」「孤立型フォロワー:破壊者」「順応型フォロワー:従事者」「消極型フォロワー:逃避者」「.実務型フォロワー:実践者」の5種類に分類分けされ、それぞれのタイプに合わせてどんな行動をとればよいかを学ぶ研修が多い傾向にあります。

・クレーム対応研修
中堅社員の重要な仕事の一つにクレーム対応が挙げられます。クレーム対応は①組織の代表として対応する②お客さまの話を傾聴、理解する③事実を確認する④解決策を提示する、という4つのプロセスに大別できるため、それぞれに必要なスキルを学んでいきます。まず①に関しては誰がクレームの原因となる行動をとったとしても、お客さまに接する際は自分が当事者であるという態度で接するべきです。そこでクレーム研修では、クレームに対する考え方や心構えをまず学びます。そのあと、傾聴力やコミュニケーションスキル、問題解決スキルなどを学んでいく形式の研修が多い傾向にあります。

・メンター研修
メンターとは「良き助言者」「優れた指導者」という意味です。新入社員や後輩の良き相談相手となるべく、メンターとしてのマインドや行動を学び、コミュニケーション能力を向上させることを目的としています。傾聴力や質問力、モチベーションコントロール方法や効果的なフィードバックの仕方などを実例を通して学んでいく研修が多い傾向にあります。

4:監督者、管理職向けの研修

ここでいう監督者とは、具体的には班長・主任・係長などの役職についている人を指します。また、管理職とは課長・次長・部長といったポジションに就いている人を想定しています。これらのポジションに位置する人材には、成果責任という自分が担当する範囲において成果の詳細や状況をきちんと説明する義務が求められます。ちなみに一般の従業員に求められるのは、業務遂行責任という上司や先輩から指示されたことを遂行する義務です。監督者、管理職向けの研修には以下があります。

・リーダーシップ
過去の日本では年功序列という考えが優勢でしたが、近年では成果主義の考え方が徐々に浸透してきています。成果主義においてはチーム全体の結果を出す力を持つリーダーがもとめられます。組織やチームを統制する力、目標達成のためのチームマネジメント能力、部下のやる気を引き出すコミュニケーション能力、実行力、結果を出すための企画・発想力など様々な能力をバランス良く身に着けることを目的とする研修がリーダーシップ研修には多く見られる傾向にあります。レクチャーの後に、実例を通して演習を行う形式が一般的です。

・コーチング
コーチングと比較される言葉としてティーチングがあります。ティーチングが「答えを相手に教えること」を指すのに対し、コーチングは「相手の中にある答えを引き出すこと」と一般的には解釈されています。問題解決の答えは本人が既に持っているという考え方がベースとなっています。価値観が異なるメンバーに対して適切な関わり方を知りたいという人に向いている研修と言えます。具体的には信頼関係の築き方、承認スキル、傾聴スキル、質問スキルなどを学びます。指導するのではなく、質問によって相手の気づきを促し、自律型人材を育成したい監督者、管理者の参加が多く見られる傾向にあります。

・マネジメント研修
マネジメントとは、「経営の神様」と呼ばれるアメリカの経営学者P.F.ドラッカーが生み出した概念であると言われています。ドラッカーは著書の中で、マネジメントを「組織に成果をあげさせるための道具、機能、機関」と解説しています。わかりやすく言えば、マネジメントとは仕事を管理し、部下を育成・評価し、リーダーシップを発揮しながら組織を1つの方向にまとめて事業の成長へと導くことを指していると言えるでしょう。具体的には部下の育成方法(部下のタイプ別対応方法、育成計画の立て方、褒め方や叱り方など)、人事評価(能力評価のポイント、評価面談の方法など)、労務管理(ハラスメント、労務リスク対策など)、目標達成(PDCA、ビジョンの描き方など)、リーダーシップ(コミュニケーション、コーチングなど)が含まれる傾向が多く見られます。

新入社員研修の様子マネジメント研修

5:役員向けの研修

ここでいう役員とは、取締役・会計参与・監査役など会社の経営方針を立て、組織を作り、業務を監視し、会社全体の方針を決める役割を持つ層の人材を指します。特に役員研修という場合は取締役を対象とするケースが多い傾向にあります。役員研修向けの研修には以下があります。

・アカウンティング研修
アカウンティングとは会計・経理を意味しますが、役員向けのアカウンティング研修は単に簿記の知識などを身につけることではありません。数字を通して企業の財務状況を理解し、経営課題を明確にして対策に繋げる能力を養うことが大切です。具体的には経営に必要な財務諸表の読み方や、経営の意思決定に必要な財務、貸借対照表の資金の読み方、損益計算書から見る利益の読み方、自社の会計情報分析の方法などを学ぶことが多いようです。

・コンプライアンス/企業倫理研修
新入社員向け研修の中でもコンプライアンス研修を説明しましたが、役員に対してもコンプライアンス研修は有益です。新入社員は守るべきコンプライアンスを学びましたが、役員はその内容を考えなければなりません。リスクコントロールの手段としてのコンプライアンスを学び、組織に生かすためにどうすべきかを学びます。具体的には会社法・金融商品取引法等が求める取締役の義務と責任や、粉飾決算、偽装・情報漏洩、インサイダー取引など実例を通してコンプライアンスと法律知識を学ぶ場合があります。

6:社長・経営者向けの研修

会社が成長発展していくための経営戦略を練り、社員に対して適切な労働環境を提供し、会社に対しての全責任を負う社長・経営者向けには以下のような研修が考えれます。

・経営分析と財務戦略研修
社長・経営者として、企業価値を数字で把握する重要さは言うまでもありません。基本です。企業の経営成果や株主重視の経営・企業価値のマネジメントや経営指標の活用方法について学びます。具体的には、財務諸表の仕組みと読み方、経営分析の手法、株主関連指標の読み方、財務状況の資料を用いて経営内容を株主に説明する方法などを学ぶ場合が多い傾向にあります。

・経営戦略研修
経営戦略とは、一般的には『企業が持続的に生き残りを図る方針、またはその戦略』を指します。経営理念で示す理想と現状とのギャップを埋めるための道筋とも言えるかもしれません。経営戦略は全社戦略(予算・人材・設備などを各事業にどう配分するかという戦略)・事業戦略・機能戦略(営業、マーケティング、人事などの機能ごとに立てる戦略)・その他の戦略(売上倍増戦略、IT戦略など、特定の目的や方針を実現するための戦略)の4つに大きく分けられます。経営戦略研修ではこれらの戦略の目的や手順を学びます。具体的には3C分析やSWOT分析といった基本的なフレームワークを学び、他企業の経営戦略を知り、自社の取るべき方向性を検討するワークショップなどを含む場合が多いようです。

・プレゼンテーション研修
人、モノ、金、情報を集めるためにはトップのプレゼンテーション能力は必須です。例えば採用の場面においては経営者が語るメッセージが人を引き寄せます。社内的にもビジョンを掲げて社員をモチベートしたり、社員を未来志向にさせる経営者のプレゼン能力は組織の発展や会社の業績に直結する重要な要素です。経営者の方はプレゼンスクールに通うというよりも個別でトレーニングをされる方が多いようです。私自身も劇団四季で培った表現力や人前で話す方法論を活かして、大手自動車メーカーの役員プレゼントレーニングや、大手トレーニングジムの経営者個別トレーニングなどに人の心を動かす技術を指導させていただく機会があります。

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研修の種類紹介:職種別

ここでは研修の種類を、営業職・人事・販売職・技術/研究職の種類別に分けてご紹介します。

営業職向け研修

一口に営業研修といっても、目的ごとに様々な種類があります。営業研修の種類を一つずつみていきましょう。

・新規開拓営業研修
新規開拓営業とは、今まで取引の無かった個人宅や企業に向けて、取引を開始してもらうために電話や直接訪問などをして、交渉や商品/サービス説明などの営業活動を行うことを指します。

・問題解決型営業研修
旧来の売り込み式営業ではなく、顧客の顕在的・潜在的な課題をヒアリングによって引き出し、それを解決するための方法を一緒に考える営業スタイル(RWDEPC式)を指します。質問して傾聴することにより顧客のニーズや課題を引き出し気づきを与え、それを解決することで得られるメリットや痛みの回避を明確に伝える方法を学びます。

・ルート営業研修
ルート営業とは、すでに取引のある企業へのフォローや提案が中心業務となる営業を指します。ルート営業では商品やサービスを継続してもらえるように不安や課題を丁寧にヒアリングする傾聴力や、ヒアリング内容をもとに課題を解決する提案力が必要となります。ルート営業研修では情報収拾に必要なコミュニケーション力、強みを発見し競合を理解するために必要なSWOT分析&競合分析などを学ぶ場合が多いようです。

・営業プレゼンテーション研修
営業にとってのプレゼンテーションは、単に分かりやすく説明すれば良いというものではありません。契約や購入という具体的なアクションに向けて相手の心を動かす必要があります。営業プレゼンテーション研修では競合他社と比較した自社の強みや、契約によるメリットなどを効果的に伝えるためのテクニックを学びます。具体的には、自社の強みの発見方法、マーケティング、セールストーク、魅力的な資料作りのポイント、ボイステクニック、クロージングなどを学ぶ場合が多いようです。

・営業クロージング研修
クロージングとは営業活動において顧客と契約を締結することを意味しますが、実際には契約に至るまでのアプローチを含めた行動全体のことを表していることが多いです。成約率の高いクロージングができるかどうかは営業としての質を大きく左右するでしょう。営業クロージング研修では、クロージングを行うタイミング、商談をスムーズに進めるコミュニケーション方法、セールストーク、マインドなどをケーススタディやロールプレイングを通して学ぶ傾向が多いようです。

・営業アシスタント(営業事務)研修
営業研修とは少し異なりますが、営業のサポートを行う営業アシスタント(営業事務)向けの研修もあります。営業アシスタント(営業事務)の主な業務内容は書類作成/処理、顧客管理、在庫管理、業務効率化の推進、電話/メール対応、来客対応など様々です。営業アシスタント(営業事務)では、営業アシスタント(営業事務)の主な仕事を事務ではなく、電話やWeb、メールなどを活用する非対面営業といったいわゆるインサイドセールスと捉え、営業マインドや傾聴スキル、電話やメールからビジネスにつなげる対応力などを学ぶケースが多いようです。

人事向け研修

採用、教育、評価など業務の幅が広い人事向けの研修はバラエティ豊かです。自社の抱える課題に合った研修を選びましょう。

・人事評価研修
人事評価とは従業員の業務に対する貢献度や職務の遂行度や業績や能力などを一定の基準で査定することをいいます。人事評価の人事評価研修では、人事評価の原則と評価者の役割や正しい評価の仕方、評価面談の進め方、フィードバックの方法などをロールプレイングを通して学ぶことが多いようです。

・人事労務管理研修
労務管理の仕事としては、労働時間管理、給与・福利厚生計算、社員のライフイベントに沿って生じる必要な諸手続きの管理、労使関係管理などがあります。労務を巡る相談やトラブルで多いのが、ハラスメントや職場秩序の乱れに対するもの、労働時間・休暇に関するもの、メンタルヘルスに関するもの、待遇に関するものなど様々です。人事労務管理研修では上記のような、現場で日常的に起こりがちな人事労務管理問題(ケース)を用いて、基本的な法律知識と適切な対応方法などを学ぶ傾向が多くみられます。

・ダイバーシティ研修
ダイバーシティとは「多様性」を意味し、ビジネスの場面では市場の要求の多様化に応じ、企業側も人種・性別・年齢・信仰などにこだわらずに多様な人材を生かし、最大限の能力を発揮させようという考え方を指すことが多いです。人事担当者は自社の競争力を伸ばすため、多様な人材を採用し、それぞれが個性を発揮しながら働けるように教育し、異なる条件や環境のもとで公平に評価する必要があります。そのため、ダイバーシティ研修では、企業の多様化について、多様性を受け入れる職場内コミュニケーション、ケーススタディ、多様なキャリアデザイン設計の方法、女性活躍推進/障害者雇用/LGBTQ雇用/高齢者・シニア雇用についての基礎知識、意識の偏見に気づくワークなどを行うケースが多いようです。

・社内研修企画セミナー
研修を内製化したい企業に向けて、研修の企画から運営ノウハウまでを学ぶセミナーです。研修を実施して終わりではなく、研修終了後に実務での行動継続やスキル習得、学んだことを習慣化させるにはどうすれば良いかなどを実例を通して学ぶ場合が多くみられます。

・社内講師育成研修
上記と同じく、研修を内製化したい企業に向けて社内の研修講師を養成する研修です。参加者を研修に積極的に参加させるための伝え方やインストラクションや、ファシリテーションスキル、問いかけの技術や、ロールプレイングを円滑に進めるスキルなどを学びます。

販売職向けの研修

店舗で商品を販売する仕事である販売職の具体的な仕事内容は、接客やレジ打ち、商品の品出しや在庫管理、レイアウト決め等です。販売員にファンがつき、店にファンがついて、ブランドにファンがつくという流れは珍しくなく、販売職への研修に注目が集まっています。

・販売力強化研修
販売力には、お客様との会話を弾ませるコミュニケーション力、お客様が何を欲しているかを探るヒアリング力、適切な商品をおすすめする提案力などが含まれています。販売力強化研修ではロールプレイングを豊富に行い、質問の方法、セールストーク、クレーム対応、商品のアピール方法などを学ぶことが多いようです。

・集客販促研修
・集客販促とは、見込み客を集め売り込みをかける行為を指します。集客販促の手法として、ホームページの運用やランディングページの作成、サンプル配布などのフリートライアル、店頭でのデモンストレーションなどがありますが、販売職が特に担当することを求められる場合が多いのがWeb系メディアの活用です。例えばブログやFacebook、メルマガやTwitterなどで商品の説明やセールの告知などを行うことが挙げられます。集客販促研修ではこれらSNSを使った情報発信の方法を学ぶ場合が多いようです。

・印象力研修
特にアパレルなどの販売職は、自らが広告塔となりお客様にアピールすることが売り上げ向上につながります。そのため印象力研修では「この人から買いたい」と思ってもらえる印象を与えるためにはどうすればよいかということを学びます。具体的には、自身の印象チェック、接客言葉、会話の弾ませ方、表情を豊かにするフェイスストレッチ、ボイストレーニング、ロールプレイングなどを行う場合が多いようです。

・店舗マネジメント研修
店舗マネジメント研修は主に店長や店長候補向けに実施されます。店舗の運営をスムーズに行うため、リスクマネジメントやスタッフの指導・教育のポイント、お客様からのクレーム対応、売り上げ目標など目標管理のポイントを学ぶことが多いようです。

技術職/研究職向けの研修

技術職/研究職の教育に関しては、専門分野の論文や資料を読んだり、学会に参加して最先端の知識や技術を身につけるなど、個人のスキルアップに任せていることが多いようです。また、内容もビジネスマインドというよりは、各々の専門分野に関することが多い傾向にあります。しかし、最近では技術職/研究職が直接クライアントに向けてプレゼンや説明を行う機会も増えており、営業マインドやコミュニケーションスキルなどの研修に対する需要が増えているようです。

・ビジネスとマーケティング研修
技術職/研究職がよく言われる言葉として「お客様視点」「ニーズが大事」「ソリューション」などが挙げられると思いますが、これらは全てマーケティング分野の基礎となる考えです。技術職/研究職がビジネスとマーケティングの視点を持つことによって、技術説明やプレゼンの場面でも顧客のニーズに合わせて商品化の提案が通せるようになり、客先への同行やお客様へのプレゼン場面でも力を発揮することができるようになるでしょう。ビジネスとマーケティング研修では、マーケティングの基礎知識、プレゼンテーションの方法、ビジネスマナーなどを学ぶことが多いようです。

研修の種類紹介:目的別、テーマ別

ここでは研修の種類を目的、テーマ別に分けてご紹介します。

・モチベーション研修
組織やチームにおいて業績や成果を高めるのに最も重要な要因の一つが個人のやる気、つまりモチベーションです。モチベーション研修では、メンバーのモチベーションを高める方法や自分自身のモチベーションをどんな時でも高く保つ方法を学びます。具体的には、自己と他者の価値観を知るワーク、ポジティブ思考、セルフモチベーションについて、将来のビジョンの作り方などを学ぶことが多いようです。

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・ファシリテーション研修
ファシリテーションとは、会議やミーティングが生産的かつ効果的に進むように発言を促進し、話の流れを整理し、また参加者の合意形成をサポートする行為を指し、これを行う人をファシリテーターと呼びます。会議を無駄な時間として終わらせないように、ファシリテーション研修では傾聴・介入・質問・説明スキルを向上させ、スムーズに合意形成に至らせる方法を学びます。

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・チームビルディング研修
チームビルディングとは複数のメンバーが共通の目標と目的を持ち、それを達成するために個々が能力を発揮し、相乗効果を起こして人数以上の力を発揮できるようチームをまとめる手法です。チームビルディング研修は座学中心よりも体験型が多くみられ、スポーツやゲーム、演劇といった協力し合って一致団結しなければ達成できないイベントを題材にしてチームビルディングの重要性を学んでいく形式が多くみられる傾向にあります。

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・ホスピタリティ研修
ホスピタリティとは「思いやりのこもったおもてなし」を指すことが多く、自社の営利よりも顧客満足を優先した接遇を行うことだとされています。従来は主にサービス業で実施されることが多かったですが、最近では医療機関や役所などでも積極的に導入されています。具体的には、顧客満足という考えの理解、印象トレーニング、接遇マナー、身だしなみ、お客様と信頼関係の構築方法などをロールプレイングなどを多く行いながら学ぶ傾向が多くみられます。

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・マインドフルネス研修
働き方改革の一助として注目されている研修の一つにマインドフルネス研修があります。マインドフルネスとは「『今、この瞬間』を大切にする生き方」を指し、マインドフルネスの実践により、長時間労働・人間関係の悩み・業務負荷などから来るストレス・うつ・不眠・肩こり・腰痛・倦怠感等を軽減し、心身の健康増進・自己成長を促して、企業の業務効率を活性化させることが期待されています。具体的にはマインドフルネスとは何か?という座学の他に、簡単なヨガやストレッチをして体をほぐし、呼吸法や瞑想法でマインドフルネスを学ぶ場合が多いようです。

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・メンタルヘルス研修
メンタルヘルスとは心の健康のことであり、企業に労働者の心の健康の保持増進のための措置、いわゆるメンタルヘルスケアを行うことが期待されています。もちろん個人がストレスに気づき対処するセルフケアも重要ですが、職場に存在するストレス要因は、個人の力だけでは解決困難なことも多いため、研修によって各自や企業自体のメンタルケアに対する意識を向上させることが必要と言われています。メンタルヘルス研修ではストレスチェックや、セルフケアの方法、風通しの良い職場の作り方、ストレスマネジメント、メンタルタフネス、レジリエンスのためのコミュニケーション法などを学ぶ場合が多いようです。筆者の私は劇団四季というプロの厳しい環境に10年在籍した経験があり、仕事でのパフォーマンスにおけるメンタルのセルフマネジメントの重要性を深く感じます。

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・グローバル人材研修
グローバル人材とは海外のビジネス場面で活躍できる人材を指し、特に異文化への理解とコミュニケーション能力を備え、ビジネスで通用する語学力を持つ人材を指すことが多い言葉です。海外赴任者や海外出張者に向けて主に実施されます。グローバル人材研修では、具体的にはグローバルマインド、英文契約書の読み方、国際ビジネスマナー、ビジネス英語、英語プレゼンテーション/ディベート、TOEIC対策などを行うことが多いようです。

・インバウンド対策研修
インバウンド(Inbound)とは、「入ってくる」という意味を持つ単語であり、旅行関連では外国人が訪日することを指すことが多いです。インバウンド対策研修とは、海外からの観光客のおもてなしや接客を強化する研修をいいます。インバウンド市場の盛り上がりや、東京オリンピック・パラリンピックの開催に伴い、ホテルや旅館などの宿泊施設、全国の自治体などで注目されています。具体的にはおもてなし/接遇の原則、国別宗教別の注意点、グローバルジェスチャー、言語トレーニング、接客英会話、指差し語などを行う傾向が多いようです。

接遇研修・マナー研修
接遇という言葉はあまり聞きなれないかもしれません。

要は、病院や飲食店、CA(キャビンアテンダント)さんなど、お客様とのコミュニケーションありきの業種における、おもてなしの作法、考え方を学ぶための研修です。とはいえ、お作法だけを学んでも、本当の意味でおもてなしができていることにはなりません。

例えば、「いらっしゃいませ」という挨拶を一つとってみて下さい。やらされ感でバイトをしている大学生から、「いらっしゃいませ〜」と鼻声で挨拶されて、おもてなしを感じますか?それよりも、腹の底から大きな声で「いらっしゃいませ!!お客様のご来店を心からお待ちしておりました」と挨拶される方が、おもてなしを感じるはずです。

多くの研修会社様で接遇研修・マナー研修が行われていますが、私の実施する接遇研修では、お作法をお伝えするだけにとどまらず、「なぜそのお作法があるのか」という核心部まで迫ってお伝えさせていただきます。

研修の選び方:研修はそもそも何のために行うのか

今まで様々な研修の種類をご紹介してきました。

オンラインで完結できる研修とリアル(対面)でしかできない研修との区分は明確になったでしょうか?そのうえで自社に合いそうな研修は見つかったでしょうか?

オンラインかリアルかで混乱してしまったという方もいらっしゃるかもしれません。何から何までオンライン化する必要はありません。

ぜひ「研修はそもそも何のために行うのか?」と一度考えてみてください。研修担当者が研修を行う意味についてしっかりと理解していないと、どれほど素晴らしい研修を企画しても、効果が発揮できない可能性があるからです。

研修を行う理由については、各企業で異なる意見が出ると思いますが、ひとまずここでは研修を人材育成の一つと捉え、その目的を参加者の行動変容、つまり研修で得た学びを実際に現場で活かすこととします。

行動変容を通して参加者に現場の課題を解決してもらい、企業の戦略を達成したり、組織事業の存続に寄与したりといったことを目指します。

この考えを前提として、具体的にどのように研修を選べば良いのかをお伝えしたいと思います。ヒントとなるのは、研修を問題解決として捉えるということです。

1:問題を発見する

問題解決とは、ざっくり言うと「理想の姿」を実現するために「現実とのギャップ」を埋めることを指します。研修も同様ですね。理想を実現するために、研修を通して現実とのギャップを埋める必要があります。

では問題解決で最初にやるべきことと言えば、もちろん「問題の発見」です。当たり前と思われるかもしれませんが、問題が明確で無ければ解決しようがありません。そして意外にも問題を明確に定義できている人は多くないのです。何故なら問題はいつも目に見えるとは限らないからです。

問題は発見パターンによって以下の3つに大別されます。

①発生型問題
②潜在型問題
③設定型問題

①発生型問題とは、すでに起きている問題です。クレームが来ていたり、目標が未達となってしまった場合など、通常の状態が損なわれ、異常が発生している状況です。発生型問題は最も問題が発見しやすいパターンです。

②潜在型問題とは、いまはまだ起きていないが、いずれ起きるであろう問題です。クレームの例で言えば、社員の接客態度が悪くなりがちでお客様対応がたらい回しになっているような状況です。まだ直接のクレームは来ていませんが、お客様の間では不満が溜まっています。潜在型問題を発見するためには、発生型問題よりも、少しだけ観察力や洞察力を働かせる必要があります。

③設定型問題とは、実現すべき課題や達成すべき課題を自分で設定する問題です。例えば今後半年〜3年の期間で見たときに、現状では問題は無いけれど、自社のあるべき姿を考えると解決した方が良い問題などです。海外事業を展開するときに何が問題になるだろうか?と考えて、英語力の不足を問題と捉えるなどが具体的には考えられます。

いかがでしょうか。問題は今現在、目の前で起こっていることだけとは限りません。上記3つの多角的な視点で周囲を観察すると、様々な問題が見えてくるかもしれません。研修担当者として、各々の問題を企業の理想に照らし合わせ、優先順位をつけて解決していきましょう。

2:問題の原因を特定する

問題を発見したら次は原因を考えます。クレームを例に考えてみます。「クレームが増えている」という問題に対しては様々な解決策が考えられます。「社員の接客態度が悪くなりがちで、お客様対応がたらい回しになっている」からクレームが増えているのであれば、「挨拶を徹底するよう注意する」や「接遇研修を行う」などが解決策として考えられます。

また、「社員が仕事を抱えすぎて接客を丁寧に行う余裕が無い」のであれば、「効率的な仕事の仕方を考える」や「社員同士協力しあえるようにチームビルディング研修を行う」方が効果的かもしれません。

さらに、そもそも「品質が悪い」からクレームになっているのかもしれませんし、「レシートが無い場合は返金できない」といった社内のルールに不満があってクレームとなっていることも考えられますし、そもそもお客様の勘違いや不注意が原因かもしれません。

このように、原因を何とするかでその後の対応は大きく変わります。問題の発生源は何か?クレームの場合は上記の通り、1接客態度の悪さ、2品質不良、3社内制度、4お客様の勘違いという4つの発生源が考えられました。今抱えている問題の原因をすぐに断定するのではなく、別の視点で見ることはできないか?と考えてみましょう。また、他の人の意見も取り入れてみることも有効です。

3:問題が解決できる研修を選ぶ

1と2で問題を発見し、原因が特定できれば、その原因を解消できる研修を選んでいきましょう。その際には今回の記事でご紹介した研修の種類がお役に立つはずです。

研修はできるだけ自社の問題に合ったものを実施するのが理想なので、自社のニーズに沿った内容ができるかどうかをきちんと確認しましょう。既存のパッケージ商品を自社用にカスタマイズできるか相談するのも良いかもしれません。

研修の種類と選び方まとめ

いかがでしょうか?数ある研修の種類からどんな研修を選べば良いか明確になってきましたか?

研修を頼む前に、問題を発見すること問題の原因を特定することどれだけ社内で揉めているかが研修の成否を分ける重要な鍵となります。

良い研修先であれば、企業や組織が何を目指し、受講生にどんな価値を提供したいのかをしっかりとヒアリングし、プログラム作成やメッセージを準備してくれるでしょう。

ぜひ、事前準備にしっかりと時間をかける研修先を選び、成功する研修を行ってください。

筆者の3分講師紹介動画

研修の種類に関するよくある質問

今回は、企業研修についてご紹介してきました。新入社員や中堅社員、管理職などその役職によって求められるスキルも様々です。ここでは、研修とは何かについてまだ分からないという方の疑問についてお答えします。

【Q1】社員数が数名しかいない中小企業なのですが、研修は必要ですか?
社員数が少ないということは、互いのコミュニケーションも取りやすく、一見なにも問題ないと思いがちですが、第三者から見てもらうことで今まで見落としていた問題点が分かるはずです。外部から派遣の研修員を依頼してアドバイスを受けてみて下さい。思わぬ問題点が見えてくるはずです。

【Q2】他部署との連携に問題があるのですが、よい解決策はありますか?
合同での研修をおススメします。一緒に課題を提示しあうことで、互いの抱えている問題が浮き彫りになるはずです。例えば連携して行える作業はないか、互いのスケジュール作りは適正で片方に無理を強いてないかなどを話し合ってみてはどうでしょうか。

【Q3】専門家に依頼する場合の「研修」の相場はどれくらい?
ひと口にアウトソーシングでの研修といっても、その形態は様々です。講習会場に足を運ぶ場合や、自社に派遣されてくる場合、またインターネットで行うものなど多岐にわたります。

全体の傾向では、企業が積極的に社員の能力アップを期待して投資していることがわかりました。中でも目立つのは、新入社員研修よりも中堅、管理職に対する研修が高額となっていいることです。それだけ高度な研修がされていることが伺えます。

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筆者:佐藤政樹のプロフィールはこちら

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