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昨今、社会全体で人手不足が大きな問題となっています。
このような状況の中、IT化、オートメーション化、AI化が進み、人間が行なっていた仕事が確実に機械に取って代わられるようになりました。
接客業を中心とした多くの企業ではオペレーションを重視し、内部向けの視点が強まる傾向が高まっています。さらに、2020年の世界的パンデミックを経て、対面の機会が減少し、さらに人と人との関わりへの意識も低下しています。
しかし、人を迎えて価値提供し対価を頂くという業種において、事業存続のためには
・どれだけオートメーション化されても
・マニュアル化されても
・直接的な接客ポイントがなくなったとしても
お客様に対する感謝と歓迎の気持ちはなくしてはなりません。
そこで絶対に必要になるのが人間にしかできないホスピタリティの意識です。
ではそもそもホスピタリティとはどういう意味なのでしょうか?
この記事ではホスピタリティについて深堀り、ホスピタリティ研修を行なっている具体的な研修事例をまとめとして紹介いたします。
【自己紹介】
そもそもホスピタリティとは?
ホスピタリティに近い言葉として「サービス」があります。
ホスピタリティはサービスと同様、主に「お客様への対応」という意味合いで使われています。しかしながら、その語源と意味合いを知ると「ホスピタリティ」と「サービス」には大きな違いがあることがわかります。
ホスピタリティは主に「対人関係」において使用されるため、よくサービスと混同されて使用される言葉ですが、それぞれ語源が違います。
まずサービスは「奴隷」という語源であり「仕える」という意味のserveの動詞形です。ですので、お客様(主人)に対して求めることをマニュアルに則って的確にこなす、きちんと業務をすることを「サービス」と定義してみましょう。
対してホスピタリティは「すぐれて客人歓待を具現する者」という語源を持ち、お客様と自分は対等な関係にあります。命じられていないが自分に求められているものを読み取り、どうしたら相手が喜ぶのかを考えて手厚くもてなすことが「ホスピタリティ」だと考えられます。
ホスピタリティが高まるとどんな効果が?代表的な5つの効果
上記記載したとおり、ホスピタリティはサービスとは違い「命じられていないが自分に求められているものを読み取り、どうしたら相手が喜ぶのかを考えて手厚くもてなすこと」となり、受動的ではなく能動的な行動が求められます。
ではホスピタリティが高まると人や組織にどのような効果が現れるのでしょうか。
【1】 人を認め、理解し、思いやる心が育まれる
例え完璧なオペレーションができたとしても、人を思いやる心がなければどうしても行動は機械的・事務的になってしまい、相手を喜ばせることはできません。
喜ばないどころか、まるで”モノ”のように扱われた相手は不快に感じることもあるでしょう。
しかし相手を認め、理解しよう、思いやろうと実践していく姿勢は、ホスピタリティの基本である相手の人格を認め、理解し、思いやる心を育みます。仕事を通じて人間としても成長できるということです。
【2】マナーが身につく
マナーとは、身のこなし方であり、自分の所作の基本姿勢です。
どんなにお客様を思いやる心があり、その心を伝えようとしてもマナーがなければ相手に対して失礼になってしまいます。
マナーを身につけることで初めて「自分の相手をおもいやる行動」が伝わるのです。ゆえにホスピタリティを高める過程を通してマナーも身につくでしょう。
【3】感情管理能力が身につく
感情管理能力とは、自分の感情を理解し、適切にコントロールする力のことです。
現場では、様々なお客様と接する中で、時には予期せぬトラブルや要求に直面することもあります。このような状況で冷静さを保ち、プロフェッショナルな対応をする能力が身につくのです。
このスキルを身につけることで、相手に対し「安心感・信頼感」を与えることができます。
【4】観察力・察知力が身につく
どうしたら相手が喜ぶのか、相手から言われる前に提供していくためにはどうしたらいいのか、そして相手が「何を考えているのか」を見極めること。
そのためには、相手の行動を見てつかみ取ろうとする「観察力」と、相手の心理を想像したり察したりする「察知力」が必要です。
観察力・察知力を身につけることで、相手に命じられていないが自分に求められているもの・ことを読み取ることができるようになります。
【5】コミュニケーション能力が身につく
相手のニーズや期待を的確に理解し、適切に応えるためのコミュニケーション能力が向上します。
言葉遣いだけでなく、非言語的なコミュニケーション(ボディランゲージや表情など)も重要になります。
コミニケーション能力が高まることにより仕事だけでなくプライベートでも人間関係が良好になり、さまざまな面で自分にとってプラスとなるでしょう。
ホスピタリティのある代表的な企業とは?
ホスピタリティを重視する企業は、主に飲食業やホテル業といった接客サービス業に多く見られます。これらの業界では、顧客への細やかな配慮や心からのおもてなしが求められます。
代表的な企業としては、東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランド、高級ホテルチェーンのリッツ・カールトン、伝統的な日本旅館の加賀屋、革新的なリゾート運営で知られる星野リゾート、世界的なコーヒーチェーンのスターバックス、そして日本を代表する航空会社のANAなどが挙げられます。
これらの企業は、それぞれの分野でホスピタリティの高さを競い合っており、顧客からの高い評価を受けています。
しかし、ホスピタリティの重要性は、接客業に限らず、他の業界にも広がっています。
例えば、サービス・ホスピタリティ・アワードでは、IT業界のサイボウズや、空調機器で知られるダイキン工業など、従来の接客業以外の企業も高い評価を受けています。
これらの企業は、顧客との関係構築において、ホスピタリティの精神を取り入れ、顧客満足度の向上に努めています。
このように、ホスピタリティはあらゆる業界での競争力の源泉となり得ることが、多くの事例を通じて証明されています。
ホスピタリティの研修って具体的にはどんな事をするの?
ホスピタリティの研修ですが、リッツ・カールトンやディズニー、ANAのように「自社が持っているホスピタリティのノウハウを伝授する」企業と、コンサル会社等によるセミナーがあります。
自社が持っているノウハウを伝授する場合は、基本的に実際に行っているホスピタリティ・サービスの現場を見てもらいながら研修を進める事が多いです。
コンサル会社によるホスピタリティ研修は基本的には、企業が持つ固有の課題を解決し、顧客満足度をさらに高めるための具体的な手法やアイデアを提供することで、企業のサービス品質向上に貢献します。
覆面調査からはじまり、顧客満足度を高めるための接客態度や、顧客のニーズを先読みするための観察力、状況に応じた柔軟な対応能力をグループディスカッションなどを通じて改善します。
また、実際の接客シーンを想定したロールプレイングを通じて、理論を実践に落とし込むトレーニングも行われることが多いです。
ホスピタリティを高める研修6選
それでは実際に、ホスピタリティを高められる研修はあるのでしょうか。現在行われているセミナーを元に、自社が持っているノウハウを伝授するセミナーとコンサル会社によるセミナーをご紹介します。
株式会社オリエンタルランド
研修名:東京ディズニーリゾート公式セミナー
価格:1名 38,000円(税込)※公開セミナーの場合
特徴 : 殆どの方が知っているディズニーリゾートでの「おもてなし」への理解を深め、企業信念浸透の理由を学びます。また実際にパークへ入ることができ、オプションでインストラクターとパークを回って学びがどのように浸透されているのかレクチャーを受けることができます。
企業名:株式会社JTBコミュニケーションデザイン
研修名:ホスピタリティ研修プログラム
価格:1日 450,000円(税別)※1クラス20名まで
特徴 :基本的には講義とワークショップですが、別口で「ホスピタリティ体験プログラム」というのがあり、そちらではJTBの幅広いホスピタリティパートナーによる良質なホスピタリティ体験を受けることができます。
ANAビジネスソリューション株式会社
研修名:最上級のおもてなし研修
価格:講師派遣型のため非公開(カスタマイズ可能・定員20名)
特徴 :ANAによる、講師派遣型研修です。日時・研修時間等こちらである程度カスタマイズ可能になっています。
「最上級のおもてなしを目指すすべての業種の方」を対象に、「おもてなし」を時系列で分析し場面ごとにレベルアップを図っていくのが特徴です。
SMBCコンサルティング株式会社
研修名:ホスピタリティ研修
価格:講師派遣型のため非公開(カスタマイズ可能・定員20名)
特徴 :SMBCコンサルティングによる、講師派遣型研修です。日時・研修時間等こちらである程度カスタマイズ可能になっています。
三井住友銀行グループのコンサルティング会社になりますので、「ヒト」の部分で、各企業の課題解決をしていく、というのが研修の主旨になります。
各商工会議所
研修名:インバウンドおもてなしセミナー
価格:基本先着無料 (定員あり)
特徴 :インバウンド施策で外国人観光客が 増えたことにより、各商工会議所で外国人向けのおもてなしセミナーを行っています。
商会議所の会員企業は会費が無料なのが最大の特徴です。
佐藤政樹ホスピタリティ研修
この記事を書いている私、佐藤政樹のホスピタリティ研修プログラムです。
劇団四季の元主役が直接、CS上位企業である劇団四季の顧客感動マインドを伝える内容です。学習参加意欲を高めるために、エンターテイメントを取り込みしながら講義を進めていきます。
ホスピタリティという言葉を、体で体感して学ぶことができるように設計されており、 参加者が自ら行動していただくワークなども設計しています。
劇団四季の顧客感動のための本質的な考えに直接触れることによりパラダイムシフトが起こり、店舗や営業・販売におけるホスピタリティの根本となる「挨拶」や「接客態度」の意識が変化します。
接遇力を劇的に高める〜劇団四季元主役が教えるおもてなし研修〜
ホスピタリティの研修に関するQ&Aコーナー
ホスピタリティの研修に関して上記記載しましたが、こちらでは主な質問・疑問に対して回答をします。
【Q1】リアル開催とオンライン開催のどちらがいいですか?
リアルとオンラインではそれぞれできることや特徴が違いますのでそこを外さない設計が重要です。
一方的な講義や事前に読んでおけば済む内容の説明をリアルでやっても効率的ではありません。運転免許の教習所をイメージすると良いでしょう。
学科の講義はオンラインでできます。しかし実技のレクチャーはオンラインではなかなか難しい部分があります(VRの技術の発展によって変わるかもしれませんが)。
距離の問題もあります。オンラインは距離的問題や予算を一気に解決できます。それぞれの特性に合った開催が重要です。
【Q2】ホスピタリティ研修を成功させるために重要なことはなんですか?
多くの研修担当者が見過ごしているのが、研修前の事前設計です。
当日に集まって「はい、ホスピタリティ研修を行います」というのと2週間前からホスピタリティ研修を行うことをしっかりと告知し事前課題や事前学習や抱えている問題点の明確化しておくのでは、研修の効果に大きな差が生まれます。
アンケートなどを通して事前設計をするのがホスピタリティ研修成功のための肝となるでしょう。
【Q3】研修後の効果を測定する方法はありますか?
研修後に参加者の知識やスキルを評価するテストやアンケートを実施することが一般的です。これにより、研修が参加者の能力向上にどの程度貢献したかを定量的に把握できます。
また、研修終了後に定期的なフォローアップを行い、実務における研修内容の適用状況や改善点を確認することも有効です。アクションラーニングといいます。効果測定のためには追跡することが大切です。
ただ、そこには時間と労力とコストがかかることを人事教育担当者は把握していないと「効果がわからない」と他責化することにつながることは忘れてはいけません。
まとめ
ホスピタリティは、単に「お客様への対応」というサービスの一環として捉えられがちですが、実際にはサービスとは異なる深い意味合いを持っています。
ホスピタリティの本質は、お客様との対等な関係性の中で、求められていることを先読みし、相手が喜ぶ行動を自発的にとることにあります。この心がけは、相手を思いやる心、マナー、技術、観察力・察知力、そしてコミュニケーション能力といった、個人の内面的な成長を促します。
結局のところ、ホスピタリティは単なるサービス提供を超えた、相手を深く理解し、その期待を超える価値を提供するための心構えです。
この心構えを社員一人ひとりが持つことで、企業は顧客からの信頼と満足を獲得し、持続可能な成長を遂げることができるでしょう。
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筆者:佐藤政樹のプロフィールはこちら。
<参考文献>
・お荷物赤字社員で営業をクビ
・人体実験のバイトで廃人
・28才まで家賃27000円のボロアパート生活
ダメダメフリーターだったコラム筆者が劇団四季の主役にまで上り詰め人気講師となったリアル人生逆転物語です。
無料マンガですので、ぜひお読みください!!
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