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ファシリテーションとは?ファシリテーター研修14選。比較と感想

目次

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ファシリテーションとは?

組織力を高めていくための手法としてファシリテーションスキルが近年注目を集めています。カルロス・ゴーン氏が日産自動車の改革のために社内にファシリテーターを育成した事でその名が注目されました___。
 
ファシリテーションスキルを持つ社員を持つことは、会議の生産性や団結力向上に寄与しますので、ファシリテーターを育成するための外部公開研修に社内の人材を送り込む経営者も増えています。
 
この記事を書いている私、佐藤政樹は現役の研修講師です。これまで約6年間で30,000人以上の受講生に対して研修や講演を通して、意識変革やビジネススキルアップを起こしてきました。
 
自分のファシリテーションスキルが高まれば研修の質がさらに高まると考え、自ら本を読んで勉強したり積極的にファシリテーター育成研修に参加したりしております。
 
自分が実際に参加して感じたのは、ファシリテーションはいろんな分野で応用できるスキルであり、目的によって受講するセミナーが異なる、ということです。ただやみくもにファシリテーター研修を受講するのは効果的ではないように感じます。
 
そこで実際に私が受講したファシリテーター育成研修含めて、具体例を取り上げて、種類やメリットや費用と得られるスキルについて皆さまにご紹介させて頂きます。

ファシリテーションとは?

ファシリテーションというと、会議の時に参加者の前に立ってスムーズに議題が進むように司会をする。というイメージがある人が多いようです。
 
もちろん間違いではありませんが、広義で考えると、ファシリテーションは会議の効率化や生産性向上だけに絞ったものではありません。学習する組織のシステム思考の章でも書きましたが全体像を頭に入れると様々な分野で活きることがわかります。
 
ファシリテーションの役割を広くとらえれば、「組織変革、問題解決、合意形成、人材開発、学習支援、チームワーク・・・」など様々な種類や場面があります。そのプロセスや活動を促進するのが、ファシリテーター(ファシリテーションする人)なのです。
 
それによって受講するファシリテーター研修の選定も変わります。

ファシリテーションは様々な場面で活きる

繰り返しますが、ファシリテーションが役立つ理由は会議の円滑な進行を促進したいということだけではありません。逆に「ファシリテーター=会議の進行を促進する人」とだけ捉えているのは非常にもったいないです。それくらいファシリテーションはポテンシャルを秘めています。
 
ファシリテーションは様々な場面・局面に活きます。
 
▽ファシリテーションが応用できる局面(ビジネス例)
・会議の生産性をあげたい
・社員全員が納得できるビジョンを作りたい
・自社の新商品を開発したい
・パフォーマンスの高いチームを作りたい
・社内の複雑化した問題を創造的に解決したい
・問題解決ではなく問題発見をしたい
・ニューリーダーを育成したい
・良い組織文化を醸成したい
・良質な人間関係を構築したい
・若手社員の主体性を引き出したい
 
上記はビジネスにおけるファシリテーションが活きる局面や課題をまとめましたが、その他にも、地域社会(まちづくりなど)、学校での授業(クラス作り)、PTA活動(コミュニティー形成)、医療分野(チームづくり)、家族関係(子育てや夫婦円満)にも役立ちます。

ファシリテーター研修を受講する目的を明確にする

当然ながらファシリテーター研修を受講するならば目的を明確にするのがファーストステップになります。それにより検討する研修が異なるからです。
 
以下はファシリテーションが応用されている分野の全体図です。

ファシリテーション全体像

▽主なファシリテーションの応用分野
・問題解決型
・合意形成型
・教育研修型
・体験学習型
・自己表現型
・自己変革型

大きく分けると以上の6タイプとなります。

このように様々な分野がありますから、自分がどんな場面でどう活かしたいのか?これらを参考に自分が活かしたい局面を鑑みて目的を明確にするとよいでしょう。
 
*参考文献
堀公俊『問題解決ファシリテーター』(東洋経済新報社)

ファシリテーションの醍醐味・面白み

様々なファシリテーション研修を受講して、私が感じたファシリテーションの醍醐味・面白みがあります。
 
それは、その場を共有したメンバーがお互いに真剣に関わり合うことにより、思考の制限や枠組みの打破が起こり、そこから新たな発想や視点が生まれて融合し、人やチームや組織の変革が起こるということです。
 
ものの見方・考え方を支配する認識の枠組みのことをパラダイムと言いますが、たった一つの出来事や質問でこのパラダイムが180度変わり人生を変えることがあります。
 
例えば「子どもが生まれたことにより価値観が180度変わり、大嫌いだった親に感謝の心が芽生えた。」や「身近な友人が若くして亡くなり、生きていることは当たり前ではないと感じて時間を無駄にするということがなくなった。」などです。
 
ジョン・レノンは息子から「お父さんはなんで何もしないでいつも家にいるの?」と質問されて意識が変わり、曲作りに没頭するためにスタジオに頻繁に通い、そこから名曲がたくさん生まれました。
 
意識や考え方が変わることにより、見える景色や世界が変わるのです。この時に人は成長します。人だけではありません。チームや組織も同じです。意識が変われば行動が変わり成果が変わるのです。
 
人生を変える出来事や質問は偶発的なものがあります。しかしファシリテーションは、お互いの関わり合いにより計画的に自己変革や組織変革を起こすことができるのです。
 
他者と本音でぶつかりあい、自分との発想や視点や解釈の違いを知ることで自分の固定観念や凝り固まった思い込みが取り払われ、深い自己内省が起こり、合意形成を通じて新たな自分や組織へと変革していくのがファシリテーションの醍醐味であると私は考えます。

一般的なファシリテーションの流れ

ファシリテーターの技術は奥が深く、極めるには大変な努力と経験が必要になります。当然、求められるスキルは広範囲に及び、局面や使われる分野によっても変わってきますが、今回は一般的な話し合いの場(問題解決の会議など)を例に、ファシリテーションの流れの大枠を紹介しましょう。

一般的なファシリテーションの流れを簡単に表すと

「場づくり(共有)」
「発散」
「収束」
「合意」

の4つになります。
ファシリテーション全体像

 
ではそれぞれを詳しく見ていきましょう。

【1】場づくり

「それでは会議を始めます。」という号令とともに緊張感が溢れる場になった経験は誰しもあるでしょう。「意見のある人は挙手して下さい」と言われて手をあげる人は一握りです。
 
そうではなくて、ファシリーテーターに求められるのは自由な雰囲気を作り出すことです。自由な雰囲気がなければ、そもそも”できるだけたくさんの意見を引き出す”という発散のプロセスへと繋がりません。心理的安全面が担保されて初めて人は自分を開示することができるのです。”全てにおいて平等”ということがキーワードだったりもします。
 
「話し合いの場(会議など)は緊張感を持って望むべき」という思い込みがあったらぜひ一度捨ててみてください。その場の安全性が担保されている時に、人は素晴らしいパフォーマンスを発揮するという結果もGoogle社によって証明されました。
 
自由で安心安全な雰囲気の場ができているのが大前提です。それが出来て初めて、その場にいる人に対して、具体的なゴールの共有アジェンダの共有が出来ます。

ゴールの共有

自由な雰囲気ができてはじめてゴールやアジェンダの共有ができる

【2】発散

場づくりができ、ゴールやアジェンダの共有がされたらいよいよ次に発散です。
 
この時に重要なのが「いい事を言わなきゃ」とか「いい意見を出さなきゃ」ではなく、参加者の様々な視点や観点から、とにかくたくさんの意見やアイデアを引き出すことです。そのためにはファシリテーターは、一人ひとりを受け止め、傾聴し、深掘りするような質問や場の空気感を敏感に察知し調整する必要があります。
 
私が個人的に思うことですが、現場で発散をさせようとしてどんなに安全な場づくりをしたとしても意見を発せない状況もあります。その場合は私は一度紙に自分の考えを書かせたりもします。人は書こうとすると脳が動き始めます。漠然とした考えを即言語化させるよりも、文字化させた方が難易度が低かったりもします。そして人は自分が書いた事を人に話したくなるものなのです。
 
発散の量が多ければ多いほど、最後のプロセスである合意形成の質の向上や参加者の納得感やネクストアクションへと繋がります。

【3】収束

さあ、場づくりがしっかりとされ、発散がたくさんされたら次は収束のプロセスです。できるだけたくさんの意見が出たら、その中から一番いいものや優先順位の高いものを参加者で選ぶのです。
 
ファシリテーターは意見と意見をかみあわせてグループ化させたり、参加者主体で整理させたりします。こうして論点を絞り込んで合意形成へとつなげていくのです。こうして主体性と可能性が自然な形で引き出されていくのがファシリテーションの面白みでもあります。

発散

発散から収束へ

【4】合意

発散→収束のプロセスを経て、ある程度議論が進んできたらいよいよ合意のプロセスに入ります。ここでよく起こる現象が、対立です。全員が賛成するような意見に収束することはほぼありません。ここからがファシリテーターの腕の見せ所でもあります。対立解消の技術を使って、その話し合いの場のゴールを達成するための意思決定を促します。
 
後ほどお伝えしますが、私が実際に受けた日本ファシリテーション協会さんのファシリテーション研修では、私はこの対立解消のパートのファシリテーターを実践式で務めましたが、大変難しいものでした。
 
ファシリテーターの関わりによって合意が得られれば、次はアクションプランのプロセスに入ります。ただ合意をするだけではだめで、いかに次に繋げることができて初めて終了条件を満たしたと言えます。
 

あくまでもこれは一般的な話し合いの場(問題解決のための会議など)を想定して書きました。体験学習や教育研修のためのファシリテーションの場合は上記のような流れとは限りませんので、ご注意してください。

ファシリテーターになると身につく6つの能力

ファシリテーションは技術と言われます。技術ということは努力と経験で身につくものです。しかしファシリテーションの技術は奥が深く、極めるには大変な労力が必要になりますが、経験を積んで技術を身につけたら素晴らしい能力が自然と身につきます。人間性の向上にも繋がります。
 
以下に、ファシリテーターになることによって身に付けることができる能力を私なりの観点で挙げてみました。

1:場の良い空気感を作れるようになる

上記でもお伝えしたように、ファシリテーターには発言しやすい自由な雰囲気を作ることが求められます。この経験を積んでくると、社内や家庭内やコミュニティーや合コンなど、人が集まる様々な場面で居心地のいい空間を作り出せるように自然となっていきます。まるで空気清浄機のようにその部屋の空気を快適にする気の利いたコミュニケーションが取れるようになります。

2:人を動かすことができるようになる

ここでいう人を動かすとか、指示命令や強制ではありません。ファシリテーターとの関わりによって本人の中で内発的な気づきが生まれて相手が自ら行動に移すようになります。ファシリテーターは、答えを教えようとしません。アドバイスもしません。他の人の意見を繋いで「それについて◯◯さんはどう思いますか?」と振ったり、質問をするだけです。

3:仲間を承認し勇気づけられる

ファシリテーションに慣れてくると、場の空気を良くしていく能力が自然と身につきます。その時によく使うのが意見と意見の間の承認です。

「素晴らしい意見が出ましたね、みなさんどう思います?」
「今、大切な意見が出ました、みなさんどうしましょう?」
「ありがとうございます。それは具体的にどういう事ですか?」

と承認を入れることにより言われた人は安心感を得るとともに、勇気付けもされます。これがプライベートでも活かされます。
 
夫婦の会話が対立しそうになった時に「言ってくれてありがとう、ただ・・・」とワンクッション入れて言うのか、即反論かは関係性の上でも大きな違いです。
 
承認が自然とできるようになると、人間関係や信頼関係が劇的に変わります。

4:場の変化を読み取ることができる

こんな経験ありませんか?発言力のある二人がずっと話し合っていて他の人が入りずらい、みんなそんな空気を感じているのに、まったくその場の状況は変わらない・・・なんてことが。ファシリテーターはそんな一方的な場を一瞬で変えることができるようになります。参加者が疲れてきたり、集中力がなくなってきたりと、場は時間や局面により変化するものです。そこを敏感に察して好転させることができるようになります。

5:意見を引き出せるようになる

同様に会議などでなかなか自分の意見を言えない・場に入れないと感じたことはありませんか?それはその会議にファシリテーターがいないからです。ファシリテータースキルが身につくとそういった人や状況に敏感に察することができます。その時は「◯◯さんはどうですか?」と意見を引き出します。プライベートなどでも、会話に入れていない人がいたらすぐに察して話を振って自然と仲間に引き入れることもできるのです。

また、人は質問に答えることによって、本人の中にある答えを導き出したりすることができます。

6:人の話を一歩深く聞けるようになる

ファシリテーターには傾聴の力が求められます。超集中して一音一句逃さないように意見をしっかりと聞き、そこから質問したり、話を振ったり横展開したりします。ファシリテーターが話を聞いていなかったらその集まりの場はその時点で終了します。ファシリテーターは意見を聴くことに対して気を抜けません。この深い傾聴力が普段の会話やコミュニケーションでも生かせるのです。人の話をしっかりと聞く意識の高い人は好感も持たれるものです。
 
組織の中での社員の聴く力は、メンバーとの良質なコミュニケーションや取引先などの外部との交渉においても役立ちます。

ファシリテーターにはこんな人材・タイプが向いている

「ファシリテーター=みんなの前に立って参加者を牽引し素晴らしい段取りで物事を見事にさばいていく。まさに出来る人。」
 
こんなイメージをもし持たれていたら今すぐ捨ててください。ファシリテーターは黒子であり、主役はあくまでも参加者です。
 
上級のファシリテーターは合気道の名手のように例えられることもあります。攻撃的な相手の力を使って見事にいなして他の参加者の学びや気づきのきっかけにしてしまうのです。
 
黒子であるファシリテーターに向いているタイプや人材を私なりの観点であげさせて頂きました。当てはまるものに、ぜひ□にチェックを入れてみてください。
 
□でしゃばるのが好きでないタイプ
□人を支援するのが好きなタイプ
□どちらかというと目立たない人
□自分の意見を言わない人
□元気に話さない人
□いつも中立派
□牽引型リーダーではない人
 


 
いかがでしたか?実はチェックが一つも入らなかった人はファシリテーターには向いていません。発言力や影響力が強すぎる可能性があるからです。
 
一つでも入った方は、ファシリテーターに向いています。逆に社内で上記のような人材がいたら、ファシリテーターのスキルを身につけさせればその方は、ポテンシャルをとてつもなく発揮する可能性が高いという事です。
 
ファシリテーターを育成することは、社内に支援型のリーダーを育てることにも関係しています。質問力が高まるからです。支援型のリーダーが増えれば組織は活性化します。ファシリテーションは人・組織・社会を変えるのです。
 
管理職でファシリテーション能力が高い人は、部下の気持ちや意見を巧みに引き出し、モチベーションや団結力を高めることができます。若手社員の主体性や可能性を引き出し成長を促し、なおかつ目標達成する可能性を高めることができます。

【ファシリテーター研修14選比較まとめ】

ファシリテーター育成の研修は多くの研修会社やコンサルティング会社で公開で実施されています。ファシリテーター研修を受講するならば目的を明確にするのがファーストステップになります。それにより検討する研修が異なるからです。
 
私が実際に参加したファシリテーター研修と、比較検討するために情報収集した研修を含めてリアルな情報をご紹介します。
 
目標や目的から逆算して参加される講座を検討するのにご活用ください。

その1:ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ
【会議ファシリテーション実践トレーニング】

ファシリテーション型コンサルティング会社のケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ社主催のファシリテーション研修です。
 
私は実際に参加しましたがプロの手法を出し惜しみなく教えてもらえ「8つの基本動作」を教えてもらえるので会議において、かなり再現性があります。「SWOT分析やロジック・ツリーなど高等テクニックは一切必要なし!」という考えで結果を出しているその手法に勇気付けられます。

発散

実際に私が参加した際のファシリテーション研修の様子

自社の会議の生産性や効率性をあげたい。グダグダ会議をなくしたい。会議の質をあげたい、という必要性のある方や組織にかなりおすすめです。会議を変えるために有効なものを体系的に知ることができるからです。
 
会議の前に具体的にどんな準備をしたらいいのか?わからない、という方にもお勧めでしょう。具体的な型がありファシリテーションするための準備シートを頂けます。
 
10時から18時までの1日研修で受講料は55000円でした。
 
ケンブリッジ社のコンサルタントの榊巻亮氏の著書「世界で一番やさしい会議の教科書」もおすすめです(受講後に読むとさらに腑に落ちます)。

ケンブリッジテクノロジーパートナーズHPケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズHP

その2:日本ファシリテーション協会
【ファシリテーション基礎講座】

ファシリテーションの普及を目指した非営利団体(NPO)が公開するファシリテーション研修です。全国各地で開催しています。
 
私も実際に参加しましたがファシリテーションの基礎の基礎を講義とワークを通じて体感できます。五人1島のテーブルスタイルでファシリテーションに必要な基礎スキルである、場のデザインのスキル、対人関係のスキル、構造化のスキル、合意形成のスキルについて説明を受けた後、各セクションでファシリテーターの役割が一人に与えられて実践するという流れでした。
 
私は一番難しいと講師の方が言っていた合意形成のスキル編を自ら手を挙げやらせてもらいました。子どもが学校にスマホを持ち込むことに賛成か反対か?を議題にファシリテーションをし、対立する意見をまとめ整理し、お互いの言葉の奥にあるものを引き出し、対立を解消させるやり方を教えてもらいました。
 
対象がビジネス、まちづくり、教育など、幅広いジャンルです。参加者はプロ・コーチやキャリアカウンセラー、まちづくりリーダーや教師の方など様々でした。あくまでも基礎講座ですので、実際に自分の現場でどう活かすのか?までは考えつきませんでしたがファシリテーションの基礎を知るのにはとても良いと思います。
 
10時から18時までの1日研修で受講料は21000円(一般の方)です。

日本ファシリテーション協会HP日本ファシリテーション協会HP

その3:グロービス
【ファシリテーション&ネゴシエーション講座】

言わずと知れたグロービスが主催するファシリテーション講座です。グロービスは成長意欲の高い方々が集まっているレベルの非常に高い場としても有名です。
 
私はまだ未受講ですが、問題解決型、合意形成型のファシリテーション講座です。グロービスのファシリテーション講座で惹かれるのは、事前の準備、すなわち「仕込み」に焦点をあてているところです。
 
上記のケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ社のファシリテーション講座でも「準備8割。準備でほぼ決まる。」と断言していました。私が所属していた劇団四季時代もよく「準備で全てが決まる」と言われたものです。社内会議を成功させるために具体的にファシリテーターとしてどんな準備をしたらいいのか知りたい方にお勧めでしょう。
 
ただ、ファシリテーションを知る・学ぶための初めの第一歩には少々ハードルが高いかもしれません。グロービスのロジカルシンキングなど他の講座を受講した人たちが履修するようなイメージです。
 
全6回(隔週/3カ月) 1回3時間で受講料は128,000円。
 
隔週で3ヶ月ということは現場での実践と振り返りが求められるはずですので、一回やって終わりではなく、現場での実践を通して確実に自分のスキルになるはずです。

グロービスHPグロービスHP

その4:日経ビジネススクール
【ファシリテーション能力開発】

ファシリテーションの第一人者である堀公俊氏(ほり きみとし)から直接ファシリテーションを学ぶことができる日経ビシネススクールのファシリテーション公開講座です。
 
二日間の講座で1日目が基礎編、2日目が実践編です。
 
堀公俊氏は組織コンサルタントですので会議における問題解決だけでなくファシリテーション型の組織開発や変革を学びたい人にお勧めでしょう。
 
基礎の知識がある方は2日目の実践編から参加することも可能です。
 
実践編では、「知恵を引き出す」「問題解決」「対立解消」「組織変革の促進」のためのファシリテーションが一流講師から学べます。
 
10時から18時までの2日研修(各回参加可能)で受講料は1日めの基礎編が46,200円(税抜き42,000円)、2日目の実践編が66,000円(税抜き60,000円)です。
 
堀公俊氏は日本ファシリテーション協会の特別研究員ですので、日本ファシリテーション協会の基礎講座を受けてからの参加も良いでしょう。

日経ビシネススクールHP日経ビシネススクールHP

その5:リクルートマネジメントスクール
【ファシリテーションの基本】

こちらも上記でお伝えしたファシリテーションの第一人者である堀公俊氏から直接習えるファシリテーション公開講座です。こちらは会議ファシリテーションの4つの基礎スキルを短時間で学ぶ研修です。
 
3時間ですので、ファシリテーションの基礎を知る座学メインの講座のように感じます。実践をたくさんやって学びたいという方よりも堀公俊氏から基礎を学びたいという方におすすめでしょう。
 
プログラム欄の最後に「さらに学びたい方のために」と書いてありますので、この上の研修が用意されていると考えられます。

1回3時間(一日3回開催されている)
受講費用は15,000円/名(税抜)です。

リクルートマネジメントスクールHPリクルートマネジメントスクールHP

その6:コクヨ
【仕事の効率化に効く会議改革】

ファシリテーションに不可欠なホワイトボードや付箋を販売しているコクヨが提供している研修です。
 
会議をうまく進行させるためのファシリテーションの基本スキルを身につける研修です。こちらは個人で参加できる公開講座ではなく、人事担当者が研修をコクヨ社に依頼し、コクヨ社の講師が社内で行う講師派遣型研修です。
 
発言がでない「沈黙会議」
ただ漠然と思ったことを言い合っている「無責任会議」
上司の顔色を伺いながら当たり障りのないことをいう「建前会議」・・・など

生産性やモチベーションを下げるダメ会議を改革し、生産性を高める会議にするのが目的です。
 
1日研修を軸としつつ半日バージョンや2日研修など柔軟にカスタマイズができます。ホワイトボードの有効活用など、会議における実践的なトレーニングが組み込まれています。
 
会議ファシリテーション研修の一部を体感できる無料の体験会を定期開催していますので、人事担当者で興味ある方はご参加してみてください。

コクヨHPコクヨHP

その7:アチーブメント
【ファシリテーション研修】

多くの経営者が学びにいく「頂点への道」で有名な一流コンサルティング会社アチーブメント社の会議ファシリテーション研修です。
 
「頂点への道」は公開参加型(私も個人で受講した経験があります)ですが、アチーブメント社のファシリテーション研修は上記のコクヨ社と同様、アチーブメント社の講師が出向いて社内で行う研修スタイルです。
 
アチーブメント社の講師一人ひとりの力量は非常にレベルが高いです。会議ファシリテーターのプロ集団というよりもプロの人材開発トレーナーが揃っている印象を個人的に受けます。
 
ただ、人材開発や組織変革で大きな成果を出している会社が行う研修ですので、単なる会議のためのファシリテーションスキル習得の場ではなく、社員の能力開発・自己改革や組織変革まで進んでいくような一歩深い研修だと予想します。
  
「発言が増やし議論が活性化させたい」「短時間で中身のある会議ができるようになりたい」「決まったことを着実に実践させたい」という方はぜひ問い合わせてみてください。

アチーブメントHPアチーブメントHP

その8:ラーニングエージェンシー
【ファシリテーション入門】

人材育成と教育研修を行うラーニングエージェンシー社の会議ファシリテーション入門の公開研修です。この会社はBiz CAMPUSという定額制研修を採用しています。
 
月額57500円で様々なコンテンツが何度でも利用できる定額制です。費用を気にしない継続学習ができることがメリットでしょう。
 
プログラム詳細を見ると120分という短い時間で様々なスキル解説と実習(ワークショップ)がなんども入っていますが、果たしてこの内容が2時間でできるのかは疑問です。
 
社員育成を定額制で費用をあまりかけずに様々なコンテンツから継続的に学びたい、そのうちの一つとしてファシリテーションの基礎を知ってもらいたい、という中小企業などにお勧めではないでしょうか。

ラーニングエージェンシーラーニングエージェンシーHP

その9:インソース
【ファシリテーション研修】

2017年に東証一部に上場を果たしたインソースの会議ファシリテーション研修です。上場を果たした時に「私たちは研修業界の劇団四季」と社長が言われていたのが印象的でした(筆者は劇団四季に10年所属していましたので)。
 
研修を作るテキスト作成者(脚本家)の様々なコンテンツを演者(講師)が再現する。というニュアンスでしょう。インソース社は本当に様々な研修コンテンツを広く展開しています。
 
このように多くのビジネス研修を手掛けるインソース社のファシリテーション研修は、全国各地で開催される公開講座による受講と、講師派遣型研修があります。東京の一極集中ではなく日本全国で受講できるのがメリットでしょう。
 
公開講座では会議ファシリテーションの基礎が学べ一人当たり26000円で参加できます。東京・大阪・愛知・広島・宮城・福岡などで相当な回数が催されていますので、働き方改革の影響で会議の効率性・生産性をあげることが迫られている地方の企業におすすめでしょう。
 
講師派遣型は半日間の研修です。研修では一人ひとりが実際にファシリテーターとして模擬的に会議を運営するそうです。

インソースHPインソースHP

その10:アグザ
【PAA21ファシリテーター研修】

ここまで会議ファシリテーション研修をたくさんあげてきましたので、ここで少し角度を変えて㈱アグサが提供する体験学習型ファシリテーションプログラムをご紹介します。
 
ファシリテーションの歴史はもともとは、野外でのグループ体験から学習を促す技法としてアメリカで生まれました。そのグループが成長するために働きかける人をファシリテーターと名づけら、それが会議などビジネスに応用され今日があります。
 
実は筆者である私が一番初めに受講したファシリテーション研修がこの体験学習型です。
 
この体験学習型のファシリテーション実習は鍛えられます!なぜかというと2日間のファシリテーター育成研修の後は小中高の学生を相手に現場で直接ファシリテーションできるからです。
 
現場では本当にハプニングの連続でした。泣き出す、話を全く聞かない、ふざけだす、恥ずかしさで男女が分かれる、小中高生は自分の感情に素直だからです。逆を言うと小中高生を相手のファシリテーションを経験すると、大人の研修をする上でのファシリテーションの器や対応力が拡張するのです。
 
体験学習型のファシリテーションは会議ファシリテーションとは全く異なりますが、この体験学習型プログラムは社会人もそのままでも充分な学びと成長と感動が残ります。私はこの時のファシリテーションの経験が今でも研修に活きています。
 
研修講師・経営者・コンサルタント・教員・会社員など様々な方が勉強にきて現場で実際にファシリテーションをして成長しています。体験型ファシリテーターの経験を積める素晴らしい機会ですので、自分の殻を破りたい、成長したい、という方はぜひ参加してみてください。
 
費用は2日間で25000円です。

アグザHPアグザHP

その11:JMA(日本能率協会)
【ファシリテーションスキル】

JMA(日本能率協会)のファシリテーションスキル研修は2日間にわたるしっかりとした問題解決、チーム運営、組織変革のためのファシリテーションを学べるのが特徴です。会議を議論を能率的かつ効果的に行うための各種ツールやスキルについて、実践を踏まえて時間をかけて学ぶことができます。
 
議論を活性化するための各種ツールとは
 
1)ブレーンストーミング
2)親和図
3)アイデアマッピング
4)SWOT分析
5)ロジックツリー
6)プロセスマッピング
 
などです。
 
ロールプレイングでしっかりとこれらのファシリテーターとしての各種ツールを体感できます。
 
ただ、筆者である私なりに勉強してきた経験から実感することは、ロジックツリーやSWOT分析などの手法は非常に難しく、中途半端なレベルの人が身につけて現場でやろうとすると、大惨事になるのではないかということです。
 
これらの各種ツールを知ろうとこの講座を受講するならば、会議ファシリテーションを成功させるためのための確実な準備方法や、ある程度の高いレベルのファシリテーション技術と経験を持っているのが前提だと思います。プロのための研修といってもいいでしょう。
 
こちらは講師派遣型の研修プログラムです。
 
大阪でJMA(日本能率協会)主催のファシリテーション入門公開セミナーもあります。社内ファシリテーターの育成とチームの活性化が目的のセミナーです。
 
こちらは1Dayセミナーで研修費は53000円(税抜き)です。
JMA(日本能率協会)1Dayセミナー

日本能率協会HP日本能率協会HP

その12:ダイナミックヒューマンキャピタル
【講師のためのファシリテーションツール】

研修講師としての第一人者であるボブ・パイク氏の手法を日本に展開しているダイナミックヒューマンキャピタル社の「講師のためのファシリテーションツール」研修です。
 
すでに講師をやられている方が対象です。私もダイナミックヒューマンキャピタルの中村社長から様々なことを学びました。アメリカでボプ・パイク氏の研修も受講しました。

ボブパイクと佐藤政樹

ボブ・パイク氏の研修をアメリカで受ける筆者

ティーチングスタイルを主にやってきた研修講師や教員の方が受講生主体の参画型を学ぶのにうってつけの研修プログラムが揃っています。
 
ファシリテーターとしていかに受講生の学びが深まるような場づくりができるか?
ファシリテーターとしていかに受講生の気づきが深まるような質問ができるか?
 
を実践できるのが特徴です。
 
研修は体感→気づき→理論というスタイルを取っていて振り返りを様々な手法で取り入れていますので研修後に強烈に内容がインパクトとして残ります。
 
私は個人的に、対応が難しい参加者への対応で強烈な気づきが生まれ、今も現場でとても役に立っています。
 
時間は9:30~17:30で、研修費用は1名66,000円(テキスト代込み)です。プロ講師の方に非常にオススメの研修プログラムです。

ダイナミックヒューマンキャピタルHPダイナミックヒューマンキャピタルHP

その13:SMBCコンサルティング
【ファシリテーション研修】

社員研修として実績のあるSMBCコンサルティングもファシリテーション研修プログラムがありますのでこちらでも紹介しておきます。会議運営・プロジェクト推進・課題解決に活用できるファシリテーションスキルを講師派遣型で学ぶことができます。
 
SMBCコンサルティングではファシリテーションの公開講座もやっています。コンサルティングの実務と研修講師としての経験を持つファシリテーションのプロ講師から学ぶことができます。
 
ちなみにSMBCコンサルティングの公開講座の料金は会員でない場合は34,100円(税込)です。

SMBCコンサルティングHPSMBCコンサルティングHP

その14:日本アクションラーニング協会
【ALC講座】

最後に私が現在、勉強しているアクションラーニング(AL)のファシリテーションについてお伝えします。
 
アクションラーニングはここまでたくさんあげた会議などの問題解決型ファシリテーションではなく教育研修型のファシリテーションです。アメリカ発のメソッドで、GEやトヨタ自動車など大手企業はじめ、日本の様々な企業や大学でも導入されて大きな成果を出しています。
 
ここまで挙げた問題解決型のファシリテーションはある意味、技術的です。ロジカルツリーなどいろんな手法を使って問題を解決します。様々な利点がありますが、問題点としては問題解決のための合意形成がされアクションプランができたとしても行動につながらないことがあることです。問題の重要性よりも緊急性が優先されることも多々あります。
 
しかし教育研修型のALファシリテーションは問題解決ではなく問題発見です。
 
実に適応的で参加者本人が納得してそれぞれ行動に移るのが特徴です。経験からの振り返りを循環させる循環型学習プロセスですので成果にも繋がります。やり方論というよりもあり方に着目していくファシリテーションスタイルです。もちろんそれが最終的に問題解決にも繋がります。
 
職場や組織における問題解決や個人能力の開発やリーダーシップ開発、自律型チームの育成や学習する組織の開発が同時に起こるのがALの特徴です。
 
研修ではファシリテーターではなくALコーチと呼びますが、ALコーチもファシリテーションの一つです。違いはその立ち位置です。問題解決型のファシリテーションはファシリテーターが抜けると問題解決力がすぐに下がります。逆に教育研修型のALファシリテーションは、ファシリテーターが抜けても自律的に活動できるチームが出来上がります。
 
ALファシリテーターが組織内にいることにより、自走する組織の土壌が出来上がり、組織変革が起きますので、ALファシリテーターは組織の財産そのものです。

発散

基礎講座は9:30-17:30で受講費用は99000円(税込)。
ALコーチ養成講座は4ヵ月の長期プログラムで418,000円(税込)。
 
私は基礎講座は受講済みで2020年の2月から養成講座がスタートします。しっかりと学んできます。

日本アクションラーニング協会HP日本アクションラーニング協会HP

ファシリテーター研修を受講する上でのポイント

【ポイント1】手を挙げてやってみる

ファシリテーションに関する基礎知識を知ることはとても大切ですが、ファシリテーターとして十分な能力を発揮するためには「場数」を踏むことが大事だとよく言われます。研修中は、実際にファシリテーターとして実践する場面が必ずやってきます。自分が議題に臨む参加者となって講師がファシリテーションのロープレをすることもあります。その際は手をあげて参画しましょう。一番難易度が高いと感じるファシリテーションに挑戦しましょう。体感が記憶に定着します。

【ポイント2】最前のテーブルに座る

「教えてもらう」のではなく「自ら学ぶ姿勢」で臨むためにも、できるだけ最善のテーブルに座りましょう。最前列に座るのは研修受講の上で大切なポイントです。なぜなら講師の息遣いまで体感でき、集中力が生まれ、記憶に残るからです。研修会場には早めに入り、自由着席でしたら席を確保しましょう。ここは侮れないポイントです。

【ポイント3】現場で実践する

なぜファシリテーター研修を受けたのか?
ファシリテーションスキルをなぜ身につけたかったのか?
 
必ず一人ひとりに明確な理由があるはずです。聞いて終わり、知って終わりにせずに、必ず自分の現場で実践するということを大前提に研修を受講しましょう。アウトプットのイメージがあるとインプットの質も変わります。うまく出来るか心配になるのは皆同じです。しかし一歩踏み出して学んだことを実践して自分のものにしていきましょう。

ファシリテーションとは?研修紹介まとめ

さあ、ここまで様々なファシリテーション研修をご紹介させて頂きました。筆者である私が実際に参加した講座も含めましたので説得力があるのではないかと思います。
 
私が研修講師をしていて現場で感じることは、一方的に押し付けた答えでは人は動かないということです。その時は分かった気になっても、いずれ忘れてしまい行動に移りません。しかし人は内発的な気づきが生まれ自ら動機付けされて、人は自発的に変わろうと思うものであり、その過程を踏まないと本当の意味での成果につながらないと思うのです。
 
逆に、私がここまでに挙げたようなファシリテーション技術を体得し、そのポテンシャルを活かせたら、関わった人の自己(組織)変容を起こしていけると感じます。そう思って様々なファシリテーション講座に足を運び、勉強してきました。これからも私はファシリテーションを勉強して進化していきます。
 
そしてリーダーである管理職がファシリテーション能力を有しているなら、それは組織にとって大きな財産だと感じます。ファシリテーション能力を有する社員が増える事で、組織が確実にプラスに転じるというのは、実際にファシリテーター研修を受けた企業からよく聞かれることです。

この記事にまとめたファシリテーション講座の中で目的にあった講座を参考に受講していただき、あなたや皆様の組織が発展・繁栄することを心より願っております。
 
この記事の筆者に研修に興味をもった方はこちらからお問い合わせください
筆者:佐藤政樹のプロフィールはこちら

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