目次
社長の後継となる人材を育てていきたい
うちの会社も社員が主体的に動く人材に育てたい
経営者のマインドを社員たちにも言語化して伝えていきたい
皆さまの会社で、経営者のごとく主体的に動ける社員を育成できるかどうかは、組織文化を知り、いかに醸成していくかにかかっています。
本コラムでは、その「組織文化」について詳しくお話しさせていただきます。
しっかり読んでいただくことで、自ら主体的に動ける人材(自走型人材)を育成するためのヒントを得ることができます。筆者は、研修講師として様々な企業に入って研修をさせて頂けると環境と経験から、組織文化を醸成することがいかに人材育成と企業の長期的な成長につながるかを身にしみて体感しております。
ぜひ皆さまの会社でも、社員の皆さまと一緒に組織文化を醸成していただければと思います。
組織文化とは何か?
組織文化とはそもそも何でしょうか?
組織文化とは、その組織を構成するメンバーが(経営者から従業員まですべて)、共通して大切にしている価値観であり、一人ひとりの価値観と密接に結びつき無意識の行動となって現れたものです。
社員一人ひとりが、価値基準(コアバリュー)や行動指針(クレド)に沿って行動することが、個人と組織のパフォーマンスを最大化するために大切と言われます。言うなれば、人間の内側から自然に湧き出るエネルギーの源泉のようなものです。
「なぜ私たちは社会に存在するのか?」組織のMISSION(ミッション)に耳を傾け、VISION(ビジョン)に向かうプロセスで、社員一人ひとりが共通の価値観(コア・バリュー)にのっとって行動し続けることによって組織文化は自然発生的に醸成されていくのです。
この組織文化こそが、組織と個をつなぐ役割を果たし、自律型人材の育成や帰属意識の向上(エンゲージメント)へと発展し、組織のMISSIONを達成するための大きな要因になるのです。
組織文化の具体例を3つご紹介
とはいうものの、これだけでは抽象的すぎて組織文化の説明としては不十分ですよね。そこで、具体例を交えながら組織文化についての理解を深めていければと思います。
筆者が上げさせていただくのは、ザッポスとパタゴニア、劇団四季の3つの企業です。ザッポスとパタゴニアは、働きがいのある会社として取り上げられることも多くあり、近年はティール組織や分散型組織の代表例として注目を浴びています。劇団四季は筆者が10年にわたり役者を務めさせていただいたプロの演劇集団です。
どの企業も、顧客に対して圧倒的な価値を提供する一流の企業です。その背景にある組織文化について詳しくお話してまいります。
①Zappos(ザッポス)の組織文化
Amazonによる買収によって一躍話題になったZappos(ザッポス)。言わずと知れた靴の通販サイトを手がける米国の企業です。Amazonがザッポスに注目したのは、斬新なビジネスモデルでも時価総額でもなく、組織文化にあると言わしめたほどです。筆者も以前、ザッポスの本社を視察させていただいたこともあります。コラムの中でも、ザッポスについて何度も取り上げさせていただきました。
ザッポスを視察させていただいて感じたのは、仕事をやらされ感で行っている社員が一人もおらず、誰もが目を輝かせていたということです。
筆者たちが会社見学ツアーに行くと、対応してくださった社員の方々は、ただのツアーどころか盛大におもてなしをして期待以上の感動を届けてくださったのです。接遇研修の中でおもてなしをお伝えさせていただいている筆者ですが、ザッポスでの体験に心を打たれたのを今でも覚えています。
ザッポスにはWOW!!という驚きの体験を相手に届けるという組織文化があります。
ザッポス本社を視察後、トニー・シェイ氏の自著である『顧客が熱狂するネット靴店 ザッポス伝説―アマゾンを震撼させたサービスはいかに生まれたか』を改めて読ませていただきました。こうしたザッポス社員による究極のおもてなしの背景には、ザッポスが掲げる共通の価値観(コアバリュー)が密接に絡んでいることに気づいたのです。
ザッポスでは、いかに掲げる10項目をコアバリューという形で社内に浸透しています。
1.サービスを通して「WOW!」という驚きの体験を届ける
2.変化を受け入れ、変化を推進する
3.楽しさとちょっと変なものを創造する
4.冒険好きで、創造的で、オープン・マインドであれ
5.成長と学びを追求する
6.コミュニケーションにより、オープンで誠実な人間関係を築く
7.ポジティブなチームとファミリー精神を築く
8.より少ないものからより多くの成果を
9.情熱と強い意志を持て
10.謙虚であれ
筆者がザッポス本社で受けたおもてなしは、まさに1つ目にある「WOW!」という感動体験でした。
トニー・シェイは、著書の中でこう語っています。コアバリューは、会社の目指す方向を示すものであり、社員の生き方そのものを体現したものであると。コアバリューに沿った生き方を会社にいるときだけ実践し、家に帰ったら忘れてしまうというものではありません。会社にいる時もそうでない時も、コアバリューに沿った生き方をすることが、ザッポスの組織文化を醸成していることになるのです。
どうすれば顧客に「WOW!」の体験を提供できるのか?
ザッポスを通してどんな人生を歩んでいきたいのか?
トニー・シェイや上司に言われるでもなく、社員一人ひとりが自ら考え、コアバリューに沿った判断・行動を日々実践しているのです。会社が社員に無理やりコアバリューを押し付けるわけではなく、ザッポスのコアバリューと社員の価値観のすり合わせを密に行っているからこそ、初めて成り立ちます。
ザッポスは働きがいのある会社だと言われていますが、万人にとって働きがいのある会社ではありません。コアバリューに反する人はそもそも採用されませんし、社員がもしコアバリューに反した行動をとったならば、解雇される可能性が高くなります。(もちろん、一方的に解雇するわけではなく、社員と対話をしながらお互い納得した上での解雇になりますが)
解雇だなんて、ものすごく冷酷だなと思われるかもしれません。しかし、ザッポスはそれくらいコアバリューにのっとった行動を守り続けることに本気なのです。それが企業が長期的に存続できるかどうか、社員がエネルギー高く仕事に臨めるかどうかと密接に関わるからです。
ザッポスのコアバリューの浸透は多くの企業から称賛されており、「奇跡の会社」と謳われるスチューデントメイド社の経営にまで影響を与えているのです。
②パタゴニアの組織文化
筆者がザッポスと同じタイミングで視察したのが、アウトドアメーカーのパタゴニアです。パタゴニアを視察させていただいてもっとも印象に残ったエピソードがあります。それは、テラスでパソコンに向かって仕事をしていた社員の方が、パソコンを閉じてオフィスに戻ったと思ったら、勤務中にサーフボードを持って海に向かって出発していったのです。
受付で我々を迎えてくれたチョッパーさんという方は、彼に向かって「いってらっしゃい」と言っていました。
勤務中に業務を停止してサーフィンに向かう。しかもそれを仲間が言ってらっしゃいと送り出す___。
一般的に考えたら信じられないことですが、パタゴニアの社員からしたら当たり前のこと、つまり仕事中にサーフィンにいくのは当たり前の組織文化なのです。
真ん中にいるのがチョッパーさん。
パタゴニアのこの組織文化は創業者であるイヴォン・シュイナードの著書「社員をサーフィンに行かせよう」のタイトルに全てが現れていると思います。
「社員をサーフィンに行かせよう」にはこう書かれています。
1:一人一人が責任感を持つということ。サーフィンに行っていいかという許可やいつまでに仕事を終えるのかなどいちいち上司にお伺いをたてるようではいけない。サーフィンが原因で仕事が遅れたら夜や週末に仕事をして取り戻せばいい。社員一人一人がそんな判断をできる組織を望んでいる。
2:自分の好きなことを思いっきりやれば仕事もはかどる。午後にいい波がくると分かれば、その前の数時間の仕事は効率的になる。旅行前に仕事がはかどるのと同じだ。同僚に迷惑をかけたくないこともあるだろう。
3:サーフィンは前もって予定を組むことができない。予定した時間にいい波がくるかどうかわからないからだ。いい波が来たらすぐに出かけられるように、常日頃から生活や仕事のスタイルをフレキシブルにしておく必要がある。
4:「サーフィンに行っている間に取引先から電話があったら、受けておいて欲しい」と言ったら「いいよ。楽しんでおいで。」と誰もが言える雰囲気がパタゴニアにはある。このためには周囲がお互いの仕事を理解していなければならない。一人が仕事を抱え込むのではなく、周囲がお互いの仕事を知っていれば、社員が病気になっても、子供が病気になって会社を休んでも、子供が生まれて長期的に休んでもお互いが助け合える。信頼し合えるから機能する仕組みだ。
この引用を言語化するとパタゴニアの行動指針は
1:責任感
2:効率性
3:融通を聞かせる
4:協調性
となります。この共通の価値観(コアバリュー)が、仕事中にサーフィンに自由にいくという組織文化を醸成して、かつ自律型人材を創出しているのですね。
言葉として表さなくても、会社と社員が共通の価値観を共有し、社員は普段から無意識にそれを行動に移している。パタゴニアを視察して、それを強烈に実感しました。
③劇団四季の組織文化
ザッポスとパタゴニア、どちらも素晴らしい組織文化を持っていると感じました。筆者がこれほどザッポスとパタゴニアの組織文化に感動したのは、劇団四季の中で10年にわたり独自の組織文化を身体に染み込ませてきたからに他なりません。
劇団四季は、顧客に対して圧倒的な感動を創造するプロの演劇集団です。「ライオンキング」といった著名な舞台を数多く残しています。しかし、劇団四季が圧倒的な感動を創造できるのは、そのコンテンツ力以上に人材育成の力が大きいと考えます。
劇団四季の舞台を観ていただいた方ならば感じていただけたと思うのですが、舞台では主役をはじめとした主要な役割を演じている俳優だけでなく、主役たちを取り巻く俳優全員で舞台をつくっているのです。その全体で作り上げる膨大なエネルギーを体感された方も多いのではないでしょうか。
その源泉には、劇団四季による「ゼロ幕」という組織文化があります。第一幕、第二幕ではなく「ゼロ幕」なのです。舞台に上がる前から、すでに舞台は始まっているという考え方です。
「自分はなぜ舞台に上がるのか?」「舞台に上がることによってお客様にどんな感動をもたらすべきか?」「同じ舞台に上がる仲間、スタッフに対して自分が貢献できることは何か?」そういったことを、ゼロ幕が先輩から後輩へと受け継がれ、俳優一人ひとりが腹の底まで落とし込んでいるのです。
「ゼロ幕をやれ!」ではない。やって当然のマインドが出来上がる。無意識の当たり前。行動の源泉。他の人から見たら「すごい!」となるがその組織にいるメンバーからしたら「やって当然。すごいと言われること自体が不思議。」これこそ組織文化が醸成されているということです。
ゼロ幕という言語化さた圧倒的な組織文化があるからこそ、劇団四季の組織全体としての相乗効果を発揮することができ、感動を創造することができるのです。毎日舞台に立つことが当たり前になって仕事(舞台に立つこと)に慣れてしまったらお客様はすぐにわかってしまうのです。
いまの劇団四季があるのは創業者である故・浅利慶太氏のもたらしてくださったものが大きいのです。しかし、劇団四季は浅利慶太氏によるトップダウンだけで成り立っていたわけではありません。
浅利慶太氏が亡き後も、彼が存命のときから大切にしていた価値観を、一人ひとりのスタッフが自分ごととして落とし込んでいました。だからこそ、感動創造企業として今でも伝説を残し続けているのです。
私は決して劇団四季の素晴らしさを宣伝しているのではありません。
こうした組織文化がもたらす影響力を、理解するだけではなくぜひ感じ取っていただきたいのです。
組織文化が企業経営にもたらす効果
Zappos(ザッポス)とパタゴニアと劇団四季。どれも素晴らしい組織文化を築いていると感じています。読者の皆さまには、組織文化を理屈として理解するだけでなく、ぜひ肌感覚で感じ取っていただきたいと思っています。
とはいうものの、組織文化によって何が変わるのか、ロジックとしても理解しておきたいですよね。今さらですが、組織文化の醸成によって企業経営にもたらす効果をまとめてみたいと思います。
①自律型の人材を育成できる
ザッポスもパタゴニアも劇団四季も、社員一人ひとりが自分たちの組織を自分ごととして捉え、誰に言われるでもなく主体的に動いているのが感じられます。
組織文化を醸成することは、自律型の人材を育成することにつながるのです。
近年、ティール組織やホラクラシー、学習する組織が組織開発の分野で話題に上がりますが、組織文化を醸成することはこうした組織を従来型の達成型(オレンジ)から次のステージへ進化することを促進するものと考えます。
飲食店や旅館といったサービス業になると、こうした自律型人材の育成の重要性を認識できるはずです。お客様を喜ばせるための仕掛けを自ら考え接客をするスタッフと、会社から与えられたマニュアルに沿って機械的に接客をこなすスタッフ、皆さまならばどちらのスタッフのファンになりますか?
私も接遇研修の中でお話しさせていただくのですが、お客様が自分たちのお店のファンになってもらえるかどうかは、現場で接客をしているスタッフ一人ひとりにかかっているのです。
②迷ったときの判断基準になる
会社の中で大なり小なり意思決定が求められるタイミングは誰にでもあります。答えのないビジネスの世界で、意思決定を下すのは大変なストレスを要します。そのようなときの依り代になるのがコアバリューやゼロ幕のような定義化された組織文化です。
ザッポスでは社内の細かいルールはないとのこと。そのような中で社員たちが考えているのは、コアバリューに掲げた通り「どうすればお客様に対してWOW!を届けられるか?」というただ一つです。WOW!を届ける方法に答えはありません。社員一人ひとりが試行錯誤しながらお客様に対して真剣に向き合っているのです。
③自社の採用基準が明確になる
「どんな人材がザッポスらしいか?」
「どんな人材がパタゴニアらしいか?」
自然発生した組織文化を明確に定義することによって、どのような人材が自社に適しているかがはっきりと分かるようになります。ここが明確になると、「こんなはずじゃなかった」というミスマッチも大幅に減らすことができます。
ザッポスもパタゴニアも、働きがいのある会社として知られていますが、万人に対して門戸を広げているわけでは決してありません。むしろ、多くの人にとっては、ザッポスやパタゴニアで働くことは厳しいのです。ザッポスらしい、パタゴニアらしいコアバリューや組織文化があるからこそ、採用可否の判断も慎重になるし、解雇するかどうかもビシッと決められるのです(終身雇用の日本で解雇をすることは難しいかもしれませんが)。
④社員のエンゲージメントが強化される
エンゲージメントとは、会社と社員の間の結びつきの強さのようなものです。絆の強さとも言い換えることができます。
会社が大切にしている価値観と社員個人の価値観が合っている。個人の価値観が会社に受け入れられている感覚があるからこそ、社員にとってもその会社を愛してやまない存在になるのではないでしょうか。
例えば、組織文化の中には「社員の誕生日をみんなで気持ちよく祝う」というのもあります。感謝と祝福の雰囲気を作り出すような慣行が整えばそれが文化へと発展する可能性も高くなります。祝われた当事者の心が満たされるだけでなく社内の雰囲気もとても良くなるという副次的効果もあります。
社内で影響力のある人に積極的にお祝いに参加してもらう構造や、社内でワークショップを開いてサンキューカードの交換など定期的に社員同士で感謝の気持ちを伝える場を設けたりするとさらにそれが組織文化へと昇華していく可能性も高くなります。
このようなプラスの組織文化は、組織の中で働いている人々にとっては、やりがいや生きがいや働きがいとなり、辞めるという選択肢も浮かんでこないのでしょう。
今よりも高い年収を他から提示されたとしても、お金以上に大切なものがあるならば、そう簡単に会社を辞めたりはしません。
組織文化をどのように醸成していくか?
ここまで読んでいただいた中で、組織文化の重要性を感じていただけたのではないでしょうか。ザッポスのような組織文化の醸成の核となるコアバリューを皆さまの会社でも作ってみたくなりませんか?しかも、単なる飾りだけの標語ではなく社員全員が腹の底から信じられる共通の価値観(コアバリュー)を。
繰り返しますが社員一人ひとりが共通の価値観(コア・バリュー)にのっとって行動し続けることによって、組織文化というものは自然発生的に醸成されていきます。
ザッポスの場合には、トニー・シェイが中心にコアバリューを言語化し、それを社員とすり合わせながら10のコアバリューとしてまとめたそうです。「ザッポスらしさをもっとも体現している社員は誰か?」をリストアップし、その人たちへのインタビューを繰り返し、コアバリューの精度を上げていきました。
ザッポスのやり方が全てではありません。しかし、参考になることが多いのではないかと考えます。スチューデントメイド社をはじめ、ザッポスのコアバリューにならって組織文化を醸成している企業はたくさんあります。
そこで、皆さまに3つの問いを投げかけたいと思います。会社で組織文化を醸成するのにとても役立つ問いです。ぜひ一つ一つの質問に真剣に向き合っていただきたいです。
①まずは自分たちの会社らしさとは何かを知ること
こういう行動や判断をとっているのが◯◯社らしい。
たとえ言語化されていなくても、そんなエピソードが、会社の中にたくさん眠っているのではないでしょうか。お客様からどんなことを言われることが多いですか?社員の方々が無意識にとっている素晴らしい行動は何ですか?
それを言語化してみるのです。初めは経営層が中心になって言語化してみると良いでしょう。
「◯◯社らしさ」が何かをお客様から聞くでも良いです。「◯◯社らしさ」をもっとも体現している人が思い浮かぶならば、その社員さんに話を聞いてみるのもありですね。スチューデントメイドでは、コアバリューを決めるためにすべての社員にスチューデントメイドの価値観についての意見を求めたそうです。
そうして募った意見を集約し、以下のような10のコアバリューにまとめています。
①道徳心を忘れない
②パンチをかわす
③火の輪をくぐる
④責任をまっとうする
⑤礼を重んじる
⑥当事者になる
⑦創造性のドラゴンを解き放つ
⑧ペイ・イット・フォワード
⑨今声を上げるか 一生黙っているか
⑩志を高く
彼女たちにとっては、これがスチューデントメイドらしさを端的に表現したコアバリューであり、これに沿った人材の採用を行っているのです。
何時間でも何日もかかっても良いので、皆さまが心の底から納得のできる言葉をピックアップしてください。
②集めた情報を集約して言語化し、社員と共有する
お客様や社員から、自分の会社らしさについてたくさんの情報を得られました。真剣にやればやるほど、沢山の情報が集まるはずです。
これだけでは、共通の価値観(コアバリュー)の精度としてはまだ粗いですね。それをシンプルにわかりやすく表現できる言葉に置き換えてみましょう。
いずれにしろ重要なのは、言語化したものを社員と共有することです。それに対して違和感があるならば、その違和感が何なのか意見交換をし、また別の言葉に置き換えてみるなどしてみてください。
組織文化が言語化できない!その場合にはまず社員との対話を
ここまで、ザッポスやパタゴニア、劇団四季と具体例をふんだんに交えながらお話しさせていただきました。
組織文化を醸成するのはそんなに簡単なことではありません。そもそも社員の口から、自分の会社らしさというものが出てこない可能性もあります。
会社として大切にしている価値観、社員が大切にしている価値観、両者が大きく食い違っている可能性があります。経営層の考えを一方的に押し付けているだけであり、社員は共感しているわけでもなくやらされ感で仕事をしているだけ。そのような可能性も否定はできません。社員の会社に対するエンゲージメントが大きく下がっていると思われます。
そのような場合には、組織文化の醸成に関わる共通の価値観(コアバリュー)を考える前に社員の方々とじっくりと対話をしてみてください。社員たちが大切にしている価値観にしっかりと耳を傾けてみるのです。会社として大切にしている価値観と社員の大切にしている価値観、両者をじっくりとすり合わせてみるのです。
今では働きがいのある会社として名高いサイボウズも、以前は典型的なブラック企業だったそうです。それが変化をしたきっかけは、社員一人ひとりとじっくり対話を始めたことです。社員が大切にしているものが何か?どんな働き方をしていきたいのか?サイボウズで実現したいことは何か?上司たちの思い込みで説き伏せるのではなく、社員たちの思っていることをありのままに受け止めたのです。そこで出てきたニーズに一つひとつ丁寧に答え続けたことで、「100人100通りの人事制度」という言葉が紡がれ社内で当たり前のごとく定着したのです。
ティール組織やホラクラシーもさることながら、組織文化の醸成も一朝一夕でできるものではございません。社員の方々に隅々まで組織文化を落とし込むのはとても大変なことです。大変なことでも一つひとつ積み重ねていけるかどうかが問われます。
まとめ:複雑で変化の激しい時代こそ組織文化を醸成していきましょう
ティール組織にホラクラシー、学習する組織と、大きな組織の中でも社員一人ひとりが自律的に動き大きな意思決定も担う。地球環境、経済環境が変化する過程で、組織も進化していることが伺えます。
そのような中で、組織文化を醸成すること、明確なルールがなくても依り代になる共通の価値観(コアバリュー)があることは、こうした自律型人材を育成するために極めて重大だといっても言い過ぎではありません。
従来のように一部の経営層によるトップダウン型の経営に限界を感じている方々もいらっしゃるのではないでしょうか。もちろん、ティール組織やホラクラシーが唯一の正解とは限りません。しかし、複雑かつ変化の激しい時代において、あたかも生命体のように振る舞うこうした組織のあり方から、自社にとっての今後のヒントは得られるのではないかと思います。
組織文化の醸成と合わせて、ぜひこうした組織のあり方も一緒に学んでいただければ幸いです。
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