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エンゲージメントとは?定義と高め方|会社は社員や従業員を「管理」から「包容」する時代へ

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ザッポスの社内見学ツアー

近年、会社や組織におけるエンゲージメントという言葉が最近注目されるようになりました。この記事を読まれている経営者や人事の皆さまも、社員や従業員のエンゲージメントを高めたいと考えていらっしゃるかと思います。
 
しかし、エンゲージメントのことを正しく理解していないと、流行りのツールを入れるだけで「やってみたけどダメだった」で終わってしまいます。それは非常にもったいないことです。なぜならば、社員や従業員のエンゲージメントが高まれば社員の離職防止や採用力の強化にもつながるからです。
 
本コラムを通して、エンゲージメントに対する理解を深めていただければ幸いです。

エンゲージメントとは何か?従業員満足度と何が違う?

エンゲージメントとは、会社と社員の間で信頼関係ができているかどうかの指標です。簡単にいえば、社員が会社のことを無条件に好きかどうかです。
 
これまでは、会社と従業員は「雇う側」と「雇われる側」で明確な線引きがなされていました(法律上で両者の明確な定義があるのは変わりません)。会社としては社員に対し「給料も待遇も保証してあげるから、言う通りにしっかり働いてね」というスタンスですし、社員としても「会社の期待通りに働いているから、ちゃんと報酬をくださいね」と言うスタンスです。
 
エンゲージメントが高い状態とは、これまでの雇う側と雇われる側の垣根を超えて、お互いが双方に信頼し合っている状態と言えます。
 
エンゲージメントを重要視した中小企業の中には経営者が社員を「家族」と呼ぶ事例もあります。ここで定義される家族とは、単に血の繋がった関係というよりも「家族のように愛情や思いやりをもって関わることのできる関係」というニュアンスに近いです。
 
エンゲージメントと似たような概念に従業員満足度がありますが、エンゲージメントとは全く異なります。これは、社員を会社の顧客と見立て、会社が提供するサービス(給与、福利厚生、職場環境、教育プログラムなど)に対してどれくらい満足しているかを示す指標です。サービスに満足すれば社員は自社に定着しますし、そうでなければ離職にもつながります。従業員満足度も、会社と社員で「与える側」と「与えられる側」で明確に分かれていますよね。
 
従業員満足度を高めることが社員の定着につながるというのがこれまでの考え方でしたが、その定説もいまや崩れつつあります。
 
少子高齢化によって日本はどこの業界でも人手不足です。求職者の方が会社を選ぶ立場にあるのです。仮にいまの会社の待遇に満足をしていたとしても、それ以上に待遇の良い会社があったならば、迷わずそちらに転職するでしょう。
 
これからの時代は、従業員満足度を高めるだけでは社員を会社につなぎ止めておくことには限界があるのです。

日本はなぜ社員のエンゲージメントが低いのか?

アメリカのGallup社の調査(2017年)によると、日本では「熱意あふれる社員」の割合が6%しかいなかったとのこと。また、「周囲に不満を撒き散らしている社員」の割合は24%「やる気のない社員」の割合は70%にも及びます。

日本でここまで社員のエンゲージメントが低い原因の1つとして、「会社が社員を管理する」という構造に問題があるのではないかと考えています。先ほど申し上げたように、会社と従業員の間では、ギブ&テイクによって関係が成り立ってます。

「会社は社員のために不自由のない待遇(給料、福利厚生、諸手当)を用意してあげるから、従業員は代わりに会社のために頑張って尽くしてください。」というスタンスです。会社が地方や海外への辞令を出したならば、社員はそれに従うしかありません。上司が理不尽だろうと何だろうと、部下は上司を選ぶことができません。

社員にとっては、会社は我慢してでも働く場所であって、そこに自分自身の価値観や個性を挟み込む余地などありません。

従来のような管理する側と管理される側の関係から脱却しない限りは、社員のエンゲージメントを高めるのはなかなか難しいことでしょう。

なぜモチベーションを上げるだけではダメなのか?

エンゲージメントと似たような概念にモチベーションがあります。筆者も以前にモチベーションについてコラムを書かせていただきました。「社員のモチベーションさえ上げれば十分では?」という意見もあるかと思いますが、正直な話、モチベーション管理だけでは成り立たないケースもあります。詳しく説明していきましょう。

マズローの五段階欲求説とハーズバーグの二要因理論

モチベーション管理によく使われる理論として、マズローの五段階欲求説というのがあります。この説では、人間の欲求を生理的欲求、安全欲求、社会的欲求、承認欲求、自己実現欲求の五段階に分けて整理しています。似たような理論としては、ハーズバーグによる二要因理論(衛生要因、動機付け要因)というものがあります。
 
この場では詳しく説明しませんが、2つの理論を整理すると以下のような形になります。
 
この2つの理論の最終的な結論は、「モチベーションは自分で管理できるようになりなさい」ということです。初めは会社が与えられるものによって基本的な欲求(承認欲求〜生理的欲求、衛生要因)を満たします。しかし、仕事そのものへの動機付け(自己実現欲求や動機付け要因)は自分で満たしていくしかありません。
 
いくら会社で充実した制度を整備したとしても、仕事に対する意義と人生で成し遂げたいことの紐付けは、社員自らの手でしていかなければならないという考えです。
 
(モチベーションにまつわる筆者のコラムとして「仕事のモチベーション維持・向上の企業向け研修を開催してきました」)
 
こうしたモチベーション管理には限界があるなと思うようになってきました。モチベーションの究極は、誰かから与えられたもの(衛生要因)ではなく自分の内側から湧き出るもの(自己実現欲求、動機付け要因)です。自分の人生で成し遂げたいことと仕事の意義をリンクさせ、仕事に対する情熱を自分の内側から湧き立たせるのです。
 
筆者である私が10年間所属していたプロの演劇集団である劇団四季(四季株式会社)においては、自分の役割や仕事への意義づけをゼロ幕という言葉の定義で組織文化として定着させています。一人ひとりの俳優が舞台に立つにあたり内発的な動機付けをする習慣形成を深く深く浸透させています。何のために舞台に立つのか、舞台の中で自分に与えられた役割は何か、舞台を観にきてくださったお客様が求めているものが何かを、自分なりに咀嚼しながら腹落ちさせていくのです。

ゼロ幕とは?

しかし、こうしたモチベーション管理は、社員全員が仕事に対する明確な意義づけができて初めて成り立ちます。
 
劇団四季のようにとはいかないまでも、世の中の全ての働く人たちが、圧倒的な熱意をもって仕事に取り組んでいるとは限らないのです。たとえば、子育て中のご家庭であれば、育児と両立しながら仕事をしたいという会社に対する願望もあります。最近では副業をOKとする会社様も増えてきましたが、本業とは別の副業によってプラスの収入や自己実現を果たしたいという方もいらっしゃるでしょう。
 
仕事に対して圧倒的な情熱を傾ける人材もいれば、そうでない人材もいるのです。
 
仕事に対する意義づけが明確な人だろうとそうでない人だろうと、これからは多様な価値観をもった人材を受け入れることが、社員全体のエンゲージメントを高めることにつながります。

見せ方だけの働き方改革でエンゲージメントは上がらない

2019年4月1日に働き方改革関連法案が施行されました。大企業を中心に労働時間の削減を中心とした働き方改革に取り組まれています。筆者も働き方改革についてコラムを書かせていただきましたが、本当の意味での働き方改革は単に労働時間を削減するだけでなく、社員の意識改革にもつながり、エンゲージメントを上げることにもつながるのです。

しかし、単に労働時間の削減を強いるだけの見せかけだけの働き方改革では、社員のエンゲージメントを上げることはできません。大切なのは、その働き方改革を社員が肯定的に捉えているかどうかです。上司が一方的に「残業するな」と部下に指示するだけでは部下は動きません。

働き方改革に取り組まれるきっかけは何であっても構いません。実際に取り組まれたことによって、仕事と家庭のバランスが取れるようになったという嬉しい話も耳にします。筆者も2019年1月に第一子を出産したばかりですが、妻と協力しながら子育てをさせていただいています。

大手のSIer(システムインテグレーター)であるSCSK株式会社様では、残業時間を20時間以内に削減するという取り組みを従業員も巻き込んで行ったことで、「誇りを持って働きたい」「今後も働き続けたい」と思う社員様の割合が増えました。

働き方改革を、社員に押し付けているだけになっていないでしょうか。

エンゲージメントを高めるポイントは多様性を受け入れること

前半でもお話ししましたが、エンゲージメントとは会社と社員の間の信頼関係の指標でしたね。従来のような雇う側と雇われる側の関係、管理する側と管理される側の関係とはまったく異なる考え方です。
 
社員のエンゲージメントを高めるにあたりキーとなるのが多様性を受け入れることです。つまり、社員それぞれの多様な価値観や個性をありのままに受け止めることです。
 
私がこれをヒシヒシと感じたのは、アメリカのZappos(ザッポス社)を見学に行ったときです。ザッポスが手掛けている事業は、靴の通販サイトです。あっと驚くような革新性のある事業とは言い難いのですが、驚くべきなのは社員の方々の圧倒的なエンゲージメントの高さです。
 
下の写真は社内見学中に私が撮影したものですが、実際にお子様を連れて出勤する社員もいたり、机の上を自分の好きなようにデコレーションしたりと、ザッポスで働く一人ひとりの個性がありのままに会社に受け入れられている雰囲気があったのです。

ザッポスの社内見学ツアー

子供を隣に座らせて仕事をする母親

こうした社員のエンゲージメントの高さが、お客様に対するおもてなしにも直結していました。私たちがザッポスの見学ツアーに参加したとき、社員の方々がイキイキとした顔で私たちをウェルカムしてくださったのです。

ザッポスの社員の方々が、靴の通販サイトという事業そのものに熱意をもたれているかどうかは分かりません。しかし、間違いなく言えることとしては、彼らはザッポスという会社そのものが好きであり、ザッポスのために自分たちの持てる力を発揮しようと日々を過ごしていることです。

ラスベガスにあるZappos(ザッポス)の社内見学ツアーに行ってきました
 
もう一つ、社員のエンゲージメントが高い企業の代表例として、サイボウズ社があります。サイボウズ社といえば、「100人100通りの人事制度」を実践する企業様です。サイボウズ社には、フルタイムで働く人だけでなく、時短で勤務する人もいるし、週の1日を複業に当てる人もいます。出社する人もいればリモートワークを行う人もいます。社員一人ひとりが自分の生き方・働き方を決め、それを実践しているのです。
 
サイボウズ社にもザッポスにも多様な価値観・多様な働き方をする人材が集まっていますが、いずれの会社もそこを受け入れた上で、会社全体として業績を伸ばしているのです。

社員のエンゲージメント向上の第一歩は話を聴くことから


 
自分の会社の人事制度をいきなりザッポスやサイボウズ社のように変えることはできません。
 
社員のエンゲージメント向上の第一歩として、まずは社員の話をしっかり聴いてあげることからはじめてみてはいかがでしょうか?上司と部下の間で話し合うこともあるかと思いますが、どうしても仕事の話に限られてしまいますよね。いわゆる打ち合わせや面談といったものです。
 
そうではなく、部下の話をただ聞いてあげるだけで良いのです。仕事の話に限らず、部下の好きなことや趣味、仕事外の悩みや社内での人間関係の困りごとなど、部下の話にありのままに耳を傾けて気持ちを汲み取ってあげるという行為が想像以上に信頼関係を高めます。
 
ヤフーのようなIT企業をはじめとして、最近は多くの会社で1on1を取り入れるようになってきました。サイボウズ社でも、「ザツダン」というネーミングで上司と部下の1on1を行っています。何を隠そう、2005年当時は離職率28%まで跳ね上がったサイボウズが今の人事制度に変わったきっかけが、「ザツダン」を行うようになったことです。
 
サイボウズ社といえば、人事制度ばかりが注目されがちですが、その人事制度の土台としては、ザツダンを通じて社員一人ひとりに向き合い、個人の個性や価値観を尊重することから始まっているのです。
 
話を聴くときに多くの人がありがちなのが、自分の目線で部下にアドバイスしてしまうこと。話を聴くときの主役はあくまで部下です。アドバイスはあくまでも上司の考えを押し付けているだけです。部下が上司に対して何でも話すことができるような器を用意しておくことが必要です。
 
私も企業様向けの研修で「メンター研修」をやらせていただくことがありますが、要領はまったく同じです。メンター制度は、仕事での上司と部下の関係とはまったく異なるメンターを通して部下の潜在能力を引き出すことです。メンターの役割は、仕事上のアドバイスに限らず、部下のありのままの姿を引き出すことです。

とはいうものの、メンターになる側も相応の訓練をしないとメンターとしての本来の役割を果たすのは難しいかもしれません。
 
うちの会社でも1on1をやりたい。でも、本当にうまくいくのか分からない。やってみたけど上手くいかなかった。そのような状況でしたら、ご遠慮なく筆者までお問い合わせください。

エンゲージメントとは?まとめ

社員はこれまで「管理する対象」でした。会社と従業員、上司と部下という形で上下関係をつけ、明確な役割を与えてきました。会社が求める役割を果たすことで、社員は見返りとして報酬を受け取るという「ギブ&テイク」の関係です。
 
ザッポスとサイボウズ社を事例として取り上げましたが、これからの時代に必要なのは雇うがわと雇われる側の関係を超えた信頼関係を築くことにあります。
 
その土台として、まずは社員一人ひとりと対話を積み重ね、社員の個性や大切にしている価値観を知る・受け入れることから始めてみてはいかがでしょうか?
 
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