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心理的安全性の作り方とは?高める方法とぬるま湯組織との違いを解説

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心理的安全性とは


  
心理的安全性という言葉を最近よく聞くけど
 
それってぬるま湯集団とどう違うの?
甘えを生み出すだけではないのか?
うちの会社にはそんなの関係ない
 
こう考えたことありませんか?
 
はじめまして佐藤政樹です。
今回は「心理的安全性とは?今すぐできる3つのコミュニケーション」というテーマでお送りしたいと思います。
  
私は今研修講師をしております。もともと劇団四季というところで10年間舞台に立ってきた経験を持っておりまして劇団四季ではライオンキングなどいろんな舞台に出演してきました。今はその経験を活かしていろんな企業に行って研修や講演を行っていて、これまで約300社3万人くらいの方に受講して来ていただいています。
 
今回は心理的に安全が持たれたパフォーマンスの高い組織やチームづくりのヒントとなる具体的な方法論をお送りします。
 
心理的安全性の高い組織づくりに関してまだまだ誤解が持たれていることが多いようです。心理的安全性の高い組織とは、決して居心地のいい仲良しサークルやぬるま湯組織を作ることではありません。今回のコラムではその辺りを深掘ってお伝えしていきます。
 
このコラムの全体像です。

1:心理的安全性とは?
2:心理的安全性の誤解
3:得られること
4:パフォーマンスの高い組織づくりのためにできる3つの関わり
 
このコラムを最後までお読みいただくことによって、今すぐできる3つの具体的なアクションがわかるようになります。ぜひ今回のコラムを通して心理的安全性のある組織やチームを作り、圧倒的に成果を出すきっかけにしていただけたらと思います。

心理的安全性とは?

心理的安全性という言葉が一気に注目を集めたのは、Googleが自社研究の中で「パフォーマンスが良いチームとパフォーマンスの悪いの差を分析したところ、あらゆる要素に先立って心理的安全性の確保が成果に大きな影響を及ぼす」ことを発表したことによります。
 
組織やチームのパフォーマンスを上げるためには信頼関係や組織構造などいろいろな要素がありますが、その中でもこの心理的安全性が最も上位の概念ということがわかったのです。
 
逆を言うと心理的安全性が確保されていないと組織やチームのパフォーマンスが上がらないこともわかりました。
 
心理的安全性は、Google社が考え出したことだと思っている方が多いのですが実はもともと1999年にハーバード大学のエイミー・C・エドモンドソン教授が提唱していた理論でもあります。
 
エドモンソンによると心理的安全性とは
 
チームにおいて他のメンバーが”自分が発することを恥じたり拒絶したり罰を与えるようなことをしない”という確信が持っている状態
 
と定義されています。
 
逆を言うと、自分が何か発言したり自己開示したり自分の弱みを見せたりすると、馬鹿にされたり自分のポジションを失ってしまうかもしれない環境や状況だと、ほとんどの人が萎縮してしまって本音を言えなかったり見栄を張って実力を発揮できなかったりお互いを助け合わずに人数以上の力が発揮できないどころか人数に見合わない生産性の低いチームが出来あがってしまうのです。
 
良いチームや組織づくりのために信頼関係の構築は非常に重要ですが、信頼関係は一対一(上司部下)の関係に対して、心理的安全性はチーム全体を指します。
 
これからの時代はこういった心理的安全性を組織のパフォーマンスを上げるための上位概念とする企業運営が当たり前になるでしょう。しかし実際は、スマホ時代にガラケーをこだわって使い続けるかのように、かつての考え方から抜け出せていない組織が多いように思われます。
 
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心理的安全性はリーダーの影響に左右される

かつて私は劇団四季に所属してしました。その時に、東京都内のさまざまな小学校に美しい日本語の話し方を教えに行くという経験をしたことがあります。本当に様々な小学校に行ったのですが、非常に面白い発見がありました。
 
講義をする前に担任の先生打ち合わせも兼ねてお話を必ずするのですが、子供達がのびのびとイキイキとしてるのかそれとも萎縮して大人の顔色を伺っているのかは、担任の先生の性格やあり方が非常に大きな影響をしていることが感覚的に分かったのです。
 
もちろん他の影響もありますが、担任の先生と子供たちの姿勢は相関関係がかなりあるとを現場で実感したのは驚きでした。
 
組織やチームも同じだと感じます。社員が自分の持ってる能力を十分に発揮できるのか、それとも常に恐れを抱きながら別の自分を演じて働き、萎縮しながら周りの顔色を伺っているのかは、チームや組織の長、つまりリーダーのあり方に相当左右されると思うのです。
 
社員が抱えやすい恐れとは四つあると言われています。
 
その一つ目が無知への恐れです。
こんなことを言ったらバカと思われるんじゃないかと感じてしまい、わからなかったことを確認できなかったり、質問が自由にできない組織になってしまいます。
 
二つ目が無能への恐れです。
例えば何かミスをした際に、それを周りに報告すると無能のレッテルを貼られてしまう空気のある組織では、隠蔽がおこります。
 
三つ目が邪魔への恐れです。
何か困ったことがあるときに、助けを求めたら組織の中で邪魔もの扱いされてしまう恐れがうまれ、素直に助けをもとめられなくなってしまいます。
 
四つ目が否定的と思われることへの恐れです。
例えば、それはマズイのではないか?と思ったとしても否定的と思われてしまうことへの恐れで、批判的意見を言えなくなって本音のコミュニケーションが生まれなくなってしまいます。
 
タイタニック号の沈没やスペースシャトルチャレンジャーの事故は、関わった人たちの多くが「実はまずいのではないか?危険ではないか?」と共通して思っていたが、それを指摘したら”今更そんなこともわかってないのか”と無能と思われることへの恐れから、発言できなかったのが大惨事の根本的な原因だったことがわかっています。

心理的安全性の誤解

私は仕事上様々な企業と打ち合わせや経営者の方からお話を聞く機会が多いのですが、心理的安全性の高い組織づくりに関してまだまだ誤解が持たれていることが多いように感じます。
 
繰り返しますが、心理的安全性の高い組織とは、決して居心地のいいぬるま湯組織を作ることではありません。
 
一番重要なことは、チームや組織のVISION・ミッションを体現することであり、そのための目標達成への責任です。心理的安全性はその目的のための手段です。目的達成のための手段の中には様々な要素があります。その要素の中で一番重要度が高いのが、心理的安全性とGoogleが発表したわけです。
 
しかしながら、ビジョンやミッションや目標が落とし込まれておらず、人間関係をよくするための心理的安全性を大切にしよう、という考えで、一番大切な目的が抜けてしまっている組織が多いように感じます。

サッカー日本代表を例にしてみる

例えばですが、サッカーの日本代表の試合を例にしてみましょう。
 
長い長い最終予選の戦いに勝利して日本をワールドカップ出場に導くとします。その練習の際に、新人だから意見が言えない。ミスをしたら原因発見よりも罰せられる。暗黙のルールのしばりがたくさんある。故障している箇所があっても報告できないようなチームだったらどうでしょうか?
 
おそらくたまたま1試合勝てたとしても、勝ち続けることができないと思います。
 
逆に、勝利してワールドカップに出場するという最終目標を第一に共有し、そのために全員が立場的に対等で、意見を言っても恥じる選手がおらず、ミスしても拒絶も罰もなく、全員でミスの原因を発見できるようなプロセスを持てるチームは強いです。
 
最終予選を突破しワールドカップ出場に導くという目標の達成が最上位の概念で、意見を言い合えるという心理的安全性の確立はそのための手段です。
  
 
そして次に、心理的安全性が主になっているチームでしたらどうでしょうか?
 
人間関係が大事。のびのびイキイキとプレーできる環境が大事で、心理的安全性が最重要としていたらおそらく試合に勝つことはできません。負けても、「いいよ、いいよ、ドンマイ、ドンマイ」で終わります。プレーを楽しむのが目的の同好会なら問題ありません。しかし勝負の世界なら話は別です。
 
スポーツに例えるのは少し大袈裟かもしれませんが、ビジネスもある意味戦いです。未達でもいいよ、いいよ、どんまい、どんまい、だと組織の存続はできません。
  
かといって未達により、罰があったり実績のない人が本音で意見を言えない空気が出てしまうと、 パフォーマンスも下がるのです。
  
人間関係の良い心理的安全性の担保された職場づくりも大切ですが、そのうえの概念としてミッションやビジョンがあることをしっかりと全員が認識している必要があると思うのです。

心理的安全性が担保された組織にもたらされる効果

創造性のあるアイデアや革新的なアイデアは、価値観の違う突飛な意見からもたらされることがよくあります。
 
私が持っている資格のアクションラーニングではこれをピザ屋の質問と言います。
 
事情を知っている仲間同士ではなくて、思い込みや固定観念が全くない人(たまたまデリバリーに来たピザ屋さん)に、行き詰まった会議に参加してもらって話を聞いてもらい、疑問に思っているところを質問してもらったら、それがあまりにもシンプルでメンバーが考え付かなかったことで、それがきっかけにブレイクスルーが起きて最終的に大きな利益がもたらされたという実例があります。
 
当たり前や固定観念を突破するためには、このように、自由に発言できるか否かは大きな差となります。
 
特にデジタルネイティブといわれる若手はベテランにない視点をもっています。新人で実績もないから意見を言えない。恐れがあって質問もできない組織では創造的なアイデアがうまれにくいのです。
 
逆に、心理的安全性の担保されたチームでは、革新的なアイデアが次々とでてイノベーションも起き、時代に取り残されずに生き残る可能性も高くなるはずです。
 
また、個人の競争力があがり、それに連動してチームの機動力が高まります。人間同士の連携が生まれ人数以上のパフォーマンスが発揮されるという相乗効果も生まれるのです。

心理的安全性とは

心理的安全性の担保された組織づくりのために必要な3つの関わり方

それでは心理的安全性の担保された組織を作るためには具体的にどのようなことをしたらいいのでしょうか?
 
組織作りには様々な要素がありますがこのコラムではその中でも今すぐできる関わり方(コミュニケーション)のベースとなる部分を三つお伝えします。
 
経営の神様であるピータードラッカーの著書の中で「経営者の条件」という有名な名著があります。その本の中にある一説が心理的安全性のある組織を作るための本質がシンプルな言葉で見事に表現されています。
 
その言葉は「聞け、話すな」です。
 
このシンプルな言葉に全てが詰まっていると思います。つまり今すぐできることの一つ目は傾聴です。

傾聴して心理的安全性を作る

傾聴というと、ただ黙ってうんうん頷きながら相槌を打ったりして我慢しながら聞くことと解釈してる人が多いと思います。しかしそれは傾聴の本質ではありません。
 
傾聴の本質とは、「あなたを一人の人間として存在することを認めていますよ」ということを相手に認識させる、いわゆる絶好の合図なのです。ただ聞くだけではなく未達成が続いているのでしたら罰を与えるのでもなく、なぜそうなってしまったのか理由や背景をしっかりと聞いて汲み取り、自分がどんなサポートや援助ができるのかをしっかりと伝え、目標達成に向けて寄り添い向き合い共に進んでいくような関わり方をすることです。
 
傾聴することがしっかりと文化として根付いている組織は強いです。存在を承認してもらえたことにより、自分はここにいてもいいんだということを認識したメンバーは自分が思ってる以上の能力を発揮したりもします。この人たちのためにも頑張ろうと本人が思えることが重要です。

I(わたしは)言葉で心理的安全性を作る

I言葉をご存知でしょうか。その名の通りすべて主語を私にすることです。あなたではありません。私はこう思う、私はこう感じた、私はこうしてほしい、私はこうする必要があると思う。あなたを主語するのか私を主語するのかは大きな違いです。
 
例えば、メールの返信やリアクションが極端に遅い部下に対して「最近メールの返信が非常に遅いように思う。未返信の影響で顧客への対応が止まってしまうことがこれまであった。もちろん再確認できなかった責任がわたしにもあるが、それよりも時間への思いやりにかけるようで非常に残念な気持ちになる。リアクションは仕事を円滑にチームで進める上で非常に重要なことだと思う。たとえ余裕がなく返信できないような状態でも”確認しましたいついつまでに返信いたします”といった簡単な返事だけでも私は欲しい」とすべてI言葉で伝えられます。
 
NVC(ノンバイオレンスコミュニケーション)という手法ではこれを観察→感情→必要→要求といって円滑なコミュニケーションのために非常に重要な要素と伝えています。
 

心理的安全性とは

質問力で心理的安全性を作る

先ほどピータードラッカーの言葉で「聞け、話すな」を紹介しましたが、もう一つ心理的安全性の担保された組織をつくるために付け加えるとすると「聞け、話すな、質問しろ」が入ると私は思います。
 
質問力はリーダーシップ開発の為にも組織開発のためにも問題解決のためにも能力開発のためにも非常に重要なポイントです。同じミスを繰り返してしまった部下に対して「これ前も言ったぞ、何回間違えたら気が済むんだ」と問い詰め叱責する上司か、それとも「前回同じミスをした時からどんなことを考えて実践したのか?」とオープンな質問をできる上司とでは大きな差が生まれます。

質問により本人が自ら考えるのです。
 
何か業務のシートをする際も「ここまでのところでわかったか」という上司と「ここまでのところで理解したところを話してみてもらえる?」と質問によりアウトプットさせる上司では相手の理解度を測る上でも大きな違いが生まれます。
 
質問力の鍛え方についてはこちらのコラムをぜひご参照ください

部下育成のための質問力の高め方/鍛え方。メリットと9つのトレーニング法を解説

心理的安全性とは?担保された組織の作り方まとめ

心理的安全性の担保された組織の作り方に対する三つのコミュニケーション手法はいかがでしたでしょうか。特に一つ目の傾聴は非常に重要な要素だと思います。
 
私は仕事柄様々な企業に行ってチームワークなどをテーマにお話をさせていただくのですが、その際よく言うことがあります。それは「職場でチームワークを高めて行く取り組みをする前に、ご家庭での関わり方を変えてみてください」ということです。
 
身近な家族に対して良い関わりができていない人が職場で周りに対して良い関わりができるとは思えません。
 
心理的安全性も同じで、家庭の中で罰があったり暗黙のルールがあったり子供が失敗を自己開示できないような空気感が出ているのは健全ではありません。まずは家族に対してしっかりと傾聴する習慣を身につけ、家庭間での心理的安全性を作り出す努力と関わり方が必要ではないかと感じます。
 
是非この三つの関わり方を身近なご家庭の方に対して実践してみてください。それがご自身の組織に対して良い影響をもたらす結果となるでしょう。
 
私は心理的安全性を作り出す組織開発のワークショップを開催しております。ご興味ある方は是非こちらにお問い合わせください。

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