コラム|佐藤政樹 劇団四季元主演 オフィシャルHP

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Society(ソサエティ)5.0と教育/人材育成〜潜在能力を引き出す社会へ〜

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ソサエティ5.0
 
デジタル技術の進歩により人類社会のステージが大きく変わろうとしている現代社会において、社会に大変革が巻き起こっています。
 
その大変革が起きている今「これからこんな社会を作っていこう!」という創り出したい未来のための日本政府が掲げた新たな言葉があります。
 
それが「Society(ソサエティ)5.0」です。
 
「Society(ソサエティ)5.0」には、私たちの古い観念を捨てて新しい価値観や心構えに進化させて未来を切り拓いていきましょう、これから新しい時代の幕開けですよ、というメッセージがアクションプランとともに込められています。
 
この「Society(ソサエティ)5.0」という新しい社会の幕開けにおいて、教育や人の育成はどのように変わっていく必要があるのでしょうか?
 

初めまして、佐藤政樹です。私は元劇団四季の主役で、現在は人材育成トレーナーとして行政から教育機関から上場企業までさまざまなところで、研修や講演を通して人の可能性を引き出す仕事をしています。
 
私はエリートでもなんでもありません。1998年卒の就職氷河期ど真ん中世代。内定が1社も取れずにフリーターとして5年以上社会を放浪した後に劇団四季に28才で合格しそこから主役まで登りつめ現在は講師として人材育成に関わっているという異端キャリアを歩んできています。
 
私は、絶望的な状況から顔を上げ、意識を変え、未来を想像し、異端と多くの人から言われながらも成長を積み上げ、人から絶対に無理だ!と言われたことをはねのけて、理想の未来を実現してきました。
 
この記事ではこんな異質キャリアを歩んできて、現在は人材育成に関わらせて頂いている私が、「Society(ソサエティ)5.0」という新しい時代の幕開けにおける、教育と人材育成に求められる変化についてわかりやすくお伝えしていきたいと思います。

Society(ソサエティ)5.0とは何か?

そもそも「Society(ソサエティ)5.0」って何?という方にこの日本政府が掲げた未来の社会のためのコンセプトをもう少しわかりやすくお伝えしていきます。
 
以下が内閣府の定義です。
 
「Society(ソサエティ)5.0」とは
 
狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもの
 

簡単に説明すると、人類の進化のプロセスです。サバンナのライオンのように狩りをして食料を得て命と生活を維持してきた時代(1.0)から人類は、道具を使った農耕により食べ物を生産できるようになり(2.0)、その後工業を発展させて(第一次、第二次産業革命)生産能力と利便性を上げて(3.0)、コンピューターとインターネットの普及により情報を簡単に手に入れらる時代(4.0)へと進化してきました。
 
これらの続く新たな社会が「Society(ソサエティ)5.0」ということです。
 
「Society(ソサエティ)5.0」へと新たな社会の定義が作られた背景には、AI(人工知能)やIoT(モノとインターネット)、ブロックチェーンなどのデジタル技術やバイオテクノロジーなどの革新的な技術がとてつもない速さで進んでいることにあります。
 
これが教育や人材育成のあり方に大きな変化を及ぼそうとしているのです。

ソサエティ5.0内閣府HPより

「Society(ソサエティ)5.0」と教育・人材育成

Society(ソサエティ)5.0における新しい社会は、教育や人材育成のあり方にどんな変化をもたらすのでしょうか?
 
今の高度なネットワーク社会で、スマホやインターネットなしの生活は考えられません。デジタルの先端技術の変革が、教育の世界に大変革をもたらすでしょう。
 
こう言うと、その高度なテクノロジーに見合った環境や学習方法を作り出すことが重要と考える人がいるでしょう。人間がテクノロジーの能力を習得していくことが重要と考える人もいるでしょう。
 
もちろん、ハード面における既存の教育スタイルを大きく変えていく必要があります。しかしハード面だけではないはずです。そんな大きな変化の時こそ、育成においての人と人との関わり方を社会全体で本当に変えていく必要があるのではないのかと思うのです。
 
機械ではなく人間にしかできない力を身につけていく必要があるからです。

Society(ソサエティ)5.0における教育

Society(ソサエティ)5.0では古い観念を捨てて新しい価値観や心構え、あり方を変えていく必要があると最初に伝えました。そのためにいますぐ私たちができることは何でしょうか?
 
では、ここで私たちが普段当たり前のように使っている教育という言葉が生まれた背景について考えていきましょう。
 

今から120年ほど前の明治時代の頃です。
 
明治維新後の明治政府の初代文部大臣の森有礼は「教育と学問の分離」について福沢諭吉と議論をしました。ここにおける教育と学問の違いとは、段階を追って知識を教え込んでいく画一的な方法論が教育なのに対して、学問とは、問いにより自ら考える力を養うことです。
 
初代文部大臣の森有礼は、先進欧米諸国に追いつくために国民の知的水準を高めるために「ものごとを自分で考える」ことよりも「ものごとを知る」方を優先させました。人づくりの原点は自ら考える力を培う「学問」であるとする福沢諭吉の考えに反して、自分で考える、は後でよいという考えを推し進めたのです。
 
これが日本の人づくりの基本方針になりました。そしてこの際に、森有礼は先進欧米諸国で使われるEducationという言葉を教育と誤訳します。
 
Educationはラテン語の語源では、人の持っている能力を”引き出す”という意味です。
 
教育(教え育む)はTeaching。教育という約では、Educationの本来持っている意味から逸脱してしまうのです。
 
一方的に教えることやただただ知識や情報をインプットするだけでは、自ら考える思考力は生まれません。知識のインプットも重要です。しかしインプットは本来アウトプットするためにあるものです。
 
この誤訳が現在の詰め込み教育の源となっているのです。
 
電車に乗っていると学生たちはテストに向けて必死に暗記をしている光景を頻繁に見かけます。努力して暗記するのは悪いことではありません。しかしインプットが目的になってしまっているのです。

Educationの本来の意味

Society(ソサエティ)5.0においては、詰め込み教育や暗記ではなく、その知識を活用して自分で考える力、文章や情報を正確に読み解く力、自らの意思や考えを的確に表現し伝える力が求められます。
 
そのためには、使う言葉を変えて、パラダイムシフト(思考の劇的転換)を起こしていく必要があると思います。
 
Educationの本来の語源を改めて考えみましょう。
 
先ほどお伝えした通り、Educationのラテン語の語源は”引き出す”です。今の日本の学校の学習スタイルはまだまだ一方的な詰め込み式で、本来の意味である引き出すことに対する比重はとても低いと思います。
 
Educationはむしろ「啓発」や「啓育」に近い概念です。好奇心と探究心を持ってものごとを洞察し、自ら考えてアウトプットして内発的意欲により自分を高めるというニュアンスです。
 
Teachingは人から一方的に教わるスタイルで外的に依存する学習スタイルなため学習意欲が生まれにくくなると言われます。一方Educateは日本人が本来持っている潜在的能力を引き出します。
 
そう考えるとEducationを教育と訳したことにより、本来日本人の持っている潜在力がゆがめらてしまったのかもしれません。
 
Society(ソサエティ)5.0の幕開けにおいて、今こそ「教育」という言葉自体を「啓育」へと変えて、人材育成の概念を180度変えるきっかけにする必要があるのではないでしょうか?
 
Society(ソサエティ)5.0の時代にはこの私たちが”当たり前のように使っている教育”という言葉自体を変えていく必要があると私は感じます。

Society(ソサエティ)5.0における求められる人材

教育という概念自体を根底から変えていく、それによって未来の日本を支える人づくりをしていくことがSociety(ソサエティ)5.0時代の活躍する人材育成のベースにするとお伝えしてきました。
 
Society(ソサエティ)5.0時代に必要とされる人材はこれまでとは大きく変わります。定型業務はロボットやAIに取って代わられるでしょう。
 
今、人がしているたくさんの職業がなくなる可能性もあります。しかし人でしかできないことは無くなりません。
 
人ならではの想像力や創造力を発揮して、AIやデータを駆使し、自ら考え、課題を見つけ解決し、想像したものを実現していくことが求められます。そうした人づくりをしていくためにはどうしたらいいか?
 
一つが、均一の能力向上を図るのではなく、他人と異なる能力や得意分野や強みや意見を承認して伸ばしていくということです。
 
ここにも偏差値教育の弊害があります。弱い科目を克服する方にフォーカスしているのです。これからの社会は自分の強みをさらに伸ばしていく必要があります。
 
そのためには多様性の受け入れること、そして、失敗を恐れずに挑戦する文化の醸成が必要です。
 
成功には失敗がつきものです。失敗をプラスに捉える文化が必要です。そのためには大人が「だから言っただろ?」ではなく「ナイス、チャレンジだよ」や「そこから何が学べた?」「もう一度やるとしたらどうする?」などという子どもの可能性を潰さない関わり方を覚えて実践していく必要があります。
 
「わかった?」ではなく「どこまで理解できた?」という問いにより考えて発信する機会を作り出しいくことも今すぐできます。
 
そう考えるとSociety(ソサエティ)5.0時代に大人が未来の日本を支えていく可能性の塊でもある若者や子どもたちに今すぐ誰でもできることは、人材育成の現場においてこのようなちょっとした関わり方を変えていくことではないでしょうか?
 
それが日本社会の中で、失敗を恐れずに挑戦する文化の醸成に繋がるはずです。

フリーターから劇団四季の主役へ〜夢の見つけ方・叶え方

Society(ソサエティ)5.0と教育・人材育成まとめ

悲観的な考え方だけでは未来は切り拓くことはできません。私も就職氷河期世代として、古い自分を捨てて意識を変え、顔を上げて人から異端と言われることを覆し、未来を切り拓いてきました。
 
Society(ソサエティ)5.0時代に今、私ができること、それは私が就職活動で人生につまづいた23才のフリーターが劇団四季の主役まで登りつめた経験を通して、多くの人の持っている可能性や能力を引き出すことだと思っています。
 
資源の乏しい日本が戦後大きく成長できた理由は、良い社会にしていこうという想像力と、失敗しても起き上がりチャレンジして頭の中で想像したことを実現してきた結果だと思います。
 
これからの日本社会を支えていく未来の子どもたちのためにも、微力ではありますが、自分の特異な経験を通して、失敗を承認してチャレンジする精神を培うために活動をしていきたいと思います。
 
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