目次
■望んでいることに、進んでいく力を与えられるには?
これからの日本を作りあげていくダイヤの原石である若者が、自分の可能性や魅力を発揮して社会で活躍していくためには、どのような関わりをしたらいいのでしょうか?
学校の教師や親を含め、たくさんの人がこの本質的な深い問題を真剣に考えそれぞれの現場で取り組んでいます。
私は、劇団四季に在籍していた約10年の期間、子供の育成に深く関わらせて頂く経験がありました。
100校以上の小学校にも訪問しましたし、劇団四季の舞台に立ちたい!という子供も1から育てました。
その現場を通して様々な子供や父兄の方と接する機会がありました。
ちょっとしたきっかけで子供が大きく成長する瞬間も沢山見てきましたし、父兄の言葉のかけ方、接し方次第で子供が伸びる可能性を潰してしまうような場面も経験してきました。
私自身の経験を通して若者の可能性を伸ばすためには何ができるかを考えてみました。
※学生に講話する筆者
■最初のステップである自己認識とは
私が、学校訪問などで様々な若者たちと触れ合ってわかったことは、そもそも本当に望んでいることややりたいことを見つける事をできない人も想像を絶するほどいるということです。
やりたいことがあっても「自分はこれをやりたいんだ!」と人に言えない若者もいます。
「どうせ自分は…」
「自分には無理」
「やるだけ無駄」
こんな風に自分に制限を最初からかけてしまう人もいます。
そのケースの場合、まずは自己認識することが第一歩かもしれません。
自分というものをどう認識できるか?人は皆誰でも、自分の嫌いなところがいっぱいありますから。それらもひっくるめて、自分を認められるか、好きになれるかどうかです。
しかし、親を含めた教育者が若者にこれを作ってあげるのは、すごく大変なことですよね。
人は育った環境や経験もコミュニケーション能力も全く違うからです。
■心の穴を埋めていくものとは?
両親から全く愛されてこなかった人もいます。想像もできないほど深く傷つく経験をしてきた人もいます。
その心の穴を埋めるために溢れるほどの愛情をその人にささげるのが先決だと思います。穴の大きさは一人ひとり違うからです。
その穴にスコップで砂を入れて埋めていくように、心に愛情を捧げて満たしていくのが大切かもしれません。
教育の根底はやはり愛ですよね。
以前、あるドキュメント番組で不登校の生徒に愛情を少しずつ少しずつ捧げていき心の穴を満たしていく教師の姿を見ました。
私が驚いたのは、その不登校の生徒の眼の変わり方です。狼のような鋭くも、どこか悲しさで溢れた眼が、教師が、小さな愛情をたくさん捧げるごとに柔らかく別人のような優しい眼になっていくのです!!
自分のすべてを好きになれる、自分を愛するなんて思えるのはなかなか難しいですよね。
でも「自分は生きていていいんだ」「自分は幸せになっていいんだ」少しずつ愛で心を満たしていくと、この思いには目覚められると思います。
逆にその思いに目覚められないと自分が望むことを欲するのはなかなか難しいですし、仮に欲したとしても自分で制限をかけてしまうでしょう。
■並走して寄り添い、サポートする
「自分は生きていていいんだ」「自分は幸せになっていいんだ」こう目覚めて自分の欲することが出来たら、初めてその次の段階に進めますよね。
そしてその人が、自分がなにかを欲することが出来るようになったら、それがなんなのかを一緒に見つけてあげ、進んでいく方向性を見つけてあげるのが理想です。
その時に気をつけなければならないのが、多くの大人がしてしまう、できないわからないことに対しての「これができていないのだから、やりなさい」という指示命令です。
舞台に立つ子供を育成する時には、子供に指示命令をする父兄の姿を私は沢山見てきました。
指示命令では、本人が行動する理由が「こう言われたからやる、怒られたくないからやる」になってしまい、自発性がうまれないんです。
だから私は、舞台の子役オーディションの審査員をやった時、なぜこの舞台に立ちたいのか?という自発的な意見を子供たちから聞くようにしていました。
そしてその子が望んでいく世界に近づくためには「これが必要なんだよ」と伝えてあげるようにしました。
「これをやりなさい。あれを覚えなさい。」と指示命令するのではなく。
それを本人がわかれば、人と速度は違うかもしれないけどそこに取り組もうという意識が自発的に生まれます。自発性が生まれた子供の伸び方は物凄いものがあります。
■中にある答えや望むものを引き出してあげる
その時にとても大事なのが、教育者が他の人と絶対に比較しないということです。人により歩むスピードも覚えるスピードも違うから。
授業についていけなくなるという子供は覚えるスピードが人よりも遅いだけだと思うんです。
本人にも人と比較しなくてもいい、昨日よりほんのちょっとでも成長していればいいと言葉でしっかりと伝えることも大切ですよね。
その望んだことを歩んでいけるとしたらそれを全面的に応援してあげます。
その子がそれに向かって自分で考えて自分で動けるようにしていってあげるという流れを作るのが大切だと思っています。
もちろん、それをできるようにさせるのはとてもとても大変なことです。
教育には、覚悟と根気と努力が必要と言われますものね。
でも、大人はその子の中にある答えや望むものを引き出してあげなければならないと思うんです。
■優しさが可能性に蓋をしていることもある
しかし言葉が、その人の望むものを簡単に挫いてしまうことが往々にしてあります。例えばさりげない一言「そんなこともできないの」です。
こんな些細な一言が、その人がチャレンジすることを止めてしまうことがよくあります。本人に傷つけるつもりはなくても、なんです。
そんな時にこんなことを言ったらあなたはどう思いますか?
「まだできなくて仕方がないから無理しなくていいよ」
この言葉は、優しさのようにきこえてしまうかもしれないけど実はその子の“やっぱり自分はできないんだ”という気持ちを強くさせてしまう可能性もあります。
優しさだと思って言っていた言葉が実はその人の可能性に蓋をしているということは、実は沢山あります。
例えば、まだまだミュージカルのオーディションを受けるレベルではない子供に「オーディションを受けられるレベルを目指そう」っていうのは、実は「やっぱり僕はチャレンジしてはいけないんだ」という気持ちにさせていたりもするのです。
実はこれは、教育者が“与えるものではない”ということを表していると思います。本来は「どうなりたい?」と本人の願望を聞くのが先決ですから。
できるかどうかではなく教育者が聞いてみる。
「「オーディションを受けたい」
「合格したい」
「舞台に立ちたい」
などと本人が言うなら
「じゃあ、そのためには何が必要?僕はサポートできるし、もしそれを欲しているなら力になりたい。」
とサポートすることをしっかりと伝えるのが大切ではないでしょうか。
そして本人が「ぜひ力を借りたい」と言ったら「じゃあ一緒にそこを目指そう」と関係性や信頼を作っていきます。
■教育は繊細
優しさだと思っていることが実は負担だったりするのが教育の難しいところです。
教育は本当に繊細です。
ただ優しいだけではだめだけど、その人の可能性を信じてその人に愛をもって向き合い、その人の望んでいるものを引き出し、支えるということをしっかりと言葉で伝え、本人に意志を尊重していくのが大切ですよね。
自分の中で何かつまずく経験があった子供はなおさら優しさが負担に感じる気持ちが強くなります。
しかし、その経験はきっとその人を優しくするし強くもします。その人の成長に関われることが自分の人生の喜びになったりもします。
■まとめ
これらは、世の中の大きな世界から見たらすごく小さなことかもしれませんよね。
しかし小さなことがいろんなものに影響を与えて結果、大きなことに繋がっていくのだと思います。
ですから、私はその一つの事その一つの関わりを大切に、そして尊いものにしていきます。
教育に大きいも小さいもないと思います。教育に凄い人凄くない人もいないと思います。
人に関わるならば、すべての人が教育者であるべきですよね。そういう自分になるために、私自身も成長を貪欲に求めていきたいと思います。
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