目次
セミナーや研修・講演では大切なことは良い構成をつくること
「他の人が持っていない経験やノウハウを私は持っている。それをセミナーや研修・講演で多くの人に伝えていきたい」
このような思いを持って、講師を目指している方はとても多いです。SNSの普及により誰でも講師になれる時代です。SNSを見ていると受講する側よりも講師希望の方が多いのではないかと感じるほど、講師業にチャレンジする人は増えてきています。
この記事を書いている私もそのような熱い思いからスタートした人間です。はじめはなかなか軌道に乗せることに苦労をしたのですが、おかげさまで現在は自分の経験を生かして日本全国のあらゆる企業や団体に伺い、研修や講演をさせて頂いております。
(23歳フリーターから劇団四季の主役まで上り詰めて現在は日本全国を講師として飛び回っている佐藤政樹のプロフィールはこちら)
そんな私が、これまでの貴重な経験を通して確信していることがあります。
それは、
「セミナーや研修・講演において、どんなにいい経験やノウハウを持っていても構成がしっかりしていないとダメ」
ということです。
あなたが伝えている、もしくは伝えようとしているプログラムはしっかりと構成されていますか?
この記事では、試行錯誤を繰り返して成長し、現在は全国の企業・団体から呼ばれるようになった私がプログラムを進める上で大切にしている構成について細かく分解してお伝えしていきます。
これから講師を目指している方が少しでも講義を素晴らしく運営できるようにお役に立てればと思います。
はじめまして、この記事を執筆した佐藤政樹と申します。劇団四季出身の研修講師として【受講生を惹きつけながら気づきと学びを促すことをモットー】に、講演会やセミナーの講師だけに限らず大手企業などでさまざまな研修を行っております。記事の内容をお読みいただき、もしご興味いただけましたら、ページ最下部のプロフィールや研修内容の詳細をご覧いただけますと幸いです。
プログラムを構成する上でなぜつかみが重要なのか?
「セミナーや研修・講演において、どんなにいい経験やノウハウを持っていても構成がしっかりしていないとダメ」
と先ほど書きましたが、全体から捉えた上で一番はじめに必ずしっかりと構成しなくてはならないもの。それが“つかみ”です。
つかみとは、一瞬で受講者を今いる世界に引き込むことです。
受講生の置かれている状況は様々です。一人一人違うことでしょう。講師の側の解釈とは違う状況に置かれていることが多いです。
例えば、私が行っている企業研修の場合、受講生の中には
・プライベートで心配事がある方
・今月達成できるかできないかの瀬戸際である営業マン
・上司に行けと言われたから来ているだけ方
などがいるかもしれません。
全員が、自らお金を投資してやってきていて前のめりの姿勢でそこにいるとは限りません。ですから構成では、一番はじめにつかみをもってきて
「この話は私のためのものだ…」
「まさに今の私が抱える問題だ…」
「私に向けて話してくれている…」
と感じさせ一気に別の世界に引き込んでいくのです。
逆を言うとはじめに聞き手を”つかめ”なかったら、最後まで聞いてもらえなくなってしまうのです。
セミナーのはじめに一気に世界観に引き込む筆者
劇団四季ライオンキングのつかみの逸話
つかみが大切なのはなにも講師だけの話ではありません。私が生きてきたプロの舞台の世界でも全く同じでした。
私が出演していた劇団四季ライオンキングでの逸話です。
現在、ライオンキングは東京で20年以上続けて公演されています。(ロングランとして成功しています)。東京での公演を継続しつつ、同じ作品をそのまま大阪や名古屋、北海道はたまた韓国など、移動しながら同時公演をしているのをご存知ですか?
私は韓国ライオンキング公演がゼロから開幕される時に、深く関わらせていただきました。
舞台稽古(実際に劇場の舞台を使ってのリハーサル)には2日ほどしかとれません。上演時間が合計3時間にも及ぶ舞台の場当たりや照明合わせなど、やることはたくさんです。
しかし、お稽古において最も多く時間を割くもの。それが“つかみ”です。
つかみで観客の心を一瞬でライオンキングの世界観にひき込めなかったらどんなに他に感動的なシーンがあっても全てが台無しになります。観客が観る聴く姿勢になっていないからです。
舞台演出家の浅利慶太氏は2日間の限られたお稽古のなかで初日の大半を、つかみの稽古に費やしました。当時はこんなことをしていて終わるのか?とハラハラしたものです。
しかし、つかみがバシっと決まるとその後の稽古はトントンと進み、時間内に稽古が終わるという経験をしました。そのプロのディレクションを目の当たりにした時、どれだけつかみが重要なのかを体感しました。
これは舞台芸術だけの話ではありません。研修やセミナーも同じです。
つかみのための具体的な7つの構成ポイント
ではここで私が実際に研修で組み立てているつかみの構成をお伝えします。うまくいったことを足し余計なものをそぎ落としていくことによりこのスタイルを確立してきました。ご自身の構成と見比べて良いところがあったらピックアップして利用してみてください。
1:課題・問題の提示と効果的な自己紹介
「この人は今私が抱えている問題を解決してくれる」
「この人の話は聴く価値がある」
こう思わせる自己紹介を作り上げることです。この時大切なことは聞き手目線になるということです。
自己紹介の前に聴き手に予想される課題をしっかりと提示し問題意識を顕在化します。そして説得性のある自己紹介につなげるのです。
例えば
「どうやったら自分の思いがお客様に伝わるのだろう?どうやったら顧客に感動を届けられるのだろう?どうやったらあなたから買いたいとお客様に言ってもらえるのだろう?こう思ったことはありませんか?伝えるとか話すといった”表現の要素”を感覚やセンスで捉えていませんか?」
のように。
そのうえで、具体的な数字や実績を入れたりして聞き手目線になって自己紹介を作り上げるのてす。
私は『劇団四季・元主役の「感動を創造する人材育成トレーナー」佐藤政樹』と最初に言っています。
・劇団四季の元主役
・感動を創造する
・人材育成トレーナー
といくつかの印象に残るキャッチになるフレーズをいれています。こうした一言で自分を表現するようなフレーズがあると良いでしょう。ただし、独自の強みを表したキャッチコピーでも、聞き手が理解できなかったら意味がありません。
キャッチコピーで掴んだあとに
「プロの表現の世界では”伝える”ということを絶対に感覚では済まさなかった、数学のようにしっかりと計算されて組み立てられていた、今日はその秘訣をお話しし感覚を見える化します」と話すと多くの方が聴くモードに入ってくれます。
この部分はこちらの記事で詳しくまとめさせていただいています。
重要なことは
「こんなことに困っていませんか?」
「こんな問題を抱えていませんか?」
課題や問題点を先に提示し、自己紹介によって「私はそれらの問題を解決できる人間です」ということを聴き手に証明するのです。
2:メリットの提示
私の話を聴くことによってこんなメリットがありますよ。という提示を必ず入れます。こんな問題が解決する、でも良いでしょう。
例えば、営業研修でしたら
「お客様に最後のご提案(クロージング)をする時に恐れず自信を持って言葉を発することができるようになりますよ。」
「大勢の前で商品のプレゼンをする時にも緊張しなくなる心構えが身につきます」
などです。
これは研修の目的と直結する大変に大切な部分です。ですから、私は毎回かならず、なぜこの研修をやるのかという目的を伝え、受講生が私の研修を受講していただいたら、どんなメリットがあるのかをきちんと伝えるようにしています。
3:わずかな危機意識の醸成
今のままだとダメですよ。もったいないですよ。というわずかな危機意識の醸成をいれることも大切です。
例えば、コミュニケーション研修で
「伝える力は組織効率や成果に結びつく重要な要素なのにそれをなんとなく感覚で済ませている人がとても多いように思えます。皆さんはどうですか?」
など入れて、自分はどうだろう?とハッとさせることも大切です。しかし不安を煽るアプローチは良くないですので、バランスを意識して伝えてみるのがおすすめです。
4:疑問や問題点の先取り
皆さんもセミナーや研修を受けて話を聞いていて、頭の中に疑問点が出てくることがありますよね。それと同じように自分が講師として講義している時も聞き手には疑問点が生まれています。
そこを理解し見逃さず予想されるものは自分で先取りして伝えることにより聞き手も自分も安心して講義を運営することができます。
「こう話していると、“それは佐藤さんだからできるのではないですか?”こんな風に思われる方がいます。しかし意識を少し変えるだけで・・・」
このように、相手目線に立って出てきそうな疑問を先取りするのです。
何か疑問点が湧いたらメモをしておいてください。後ほど回収してお答えします。と、心のスペースを用意しておくのも良いでしょう。
5:私の話を聞いてこんな風になった。という例。
セミナーや研修をやっていると前向きな聞き手の声を得ることができます。
そのため事後のアンケート回収はとても大切です。
・佐藤さんの話を聞いてクロージングに自信が持てるようになり成果が安定した
・盛りだくさんに思いを伝えなくいいということに気づいた。
・営業力研修を受けた結果、なんとプロポーズに成功した
「受講者から実際にこんな嬉しいお知らせを頂いたのですよ。」と私は必ずつかみで伝えるようにします。するとこれが呼び水となって聞き手の心がワクワクし始めます。
6:未来の自分の姿をイメージさせる
車の営業マンで売れている人は、購入後の自分の未来を相手にイメージさせます。自分の大好きな場所を大切な人とドライブしている時の感情を喚起して購入を決断してもらうのですね。
これと同じようにセミナーや研修でも、受講後の未来の自分の姿をイメージしてもらいましょう。
「このセミナーが終わった時にどんな気持ちになっていたいですか?出口を出る時にどんな自分になっていたら嬉しいですか?」
こんな風に伝えるのもよいでしょう。受講前よりも成長した未来の自分をイメージしてもらうことが大切です。
7:選択するのはあくまで本人というスタンス提示
そして最後に、必ず受け入れてみることの重要性を私は話します。
・心を開いて今まで知らなかった新しい観点を受け入れてみると化学変化が起きるということ。
・そしてそれが思わぬヒントとなって悩みや問題解決につながること。
・それは決して忘れることのない一生の価値になるということ。
・受け入れたことにより入ってきたいろんな私からの情報を自分で好きな物使える物を選択すること(私は押し付けませんと宣言)。
・アウトプット前提(自分の営業所に帰って人に伝えるくらい)で情報を取り込みましょう!
こういう喚起を講演のはじめに言うと、会場の集中力がぐっとあがるのです。特に、反応が極端に薄い事が予想される研修の場合は重要になってきます。
追伸
「いったん受け入れてみないと人生のこの時間が無駄になってしまいますよ。」とボソッと状況を見て言うこともごく稀にあります。
セミナー・研修は最初につかめ!
第一声が弱いと聴講の心を掴めない
聞き手をつかむ上で忘れてはならない要素をもう一つお伝えします。
それが第一声です。
私は、審査員として劇団四季の舞台に立ちたい子役の審査をしたことがあります。多くの志願者がおりますので、どうしても最初に書類審査をしてふるいをかけなければなりません。
書類審査には、志願者が録音した音源を聞きます。その第一関門が“第一声”です。第一声が弱い志願者は最初の3秒で残りの音を聴かれることはありません。
そこで惹きつけられない人は、途中でも惹きつけられないからです。
書類審査を通過し、直接対面して審査する時も同じです。第一声で審査員の意識を一瞬でつかむか?これが大きなポイントです。
出だしの第一声は特に注意して何回も練習しましょう。つかみだけは録音して自然にスラスラ出てくるくらい繰り返しましょう。練習あるのみです。練習しないで試合に臨むプロサッカー選手はいません。
私はセミナーや研修や講演のコンテンツのパターンをマッピングしてまとめています。講演や研修前は今でも必ずつかみだけはなんども練習しております。
やるのとやらないのでは雲泥の差なのです。
以上、聞き手のこころをつかむためのポイントをまとめさせて頂きました。お役に立てる部分を意識してあなたのコンテンツの精度を今よりもさらにブラッシュアップして頂くことが私にとってのこの上ない喜びです。
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