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【巻き込み力強化】成果を伸ばす!人を巻き込むリーダーシップ研修

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巻き込み力

巻き込み力はビジネスでの必須スキル

ビジネスシーンにおいて仕事での人を巻き込む能力は必須のスキルといえるでしょう。
 
しかし
 
「自分にはリーダーシップ力が足りない」
「カリスマ性がないので駄目だ」
 
と感じている人も多いのではないでしょうか。
 
その他にも、自信の不足、意見の伝え方の不手際、コミュニケーションの障壁、人間関係の築き方への不明瞭さなど、多くの悩みを抱えている方がいると思います。
 
そこで、このコラムでは、成果を劇的に変える「人を巻き込む方法」を中心に解説します。
 
私の<人を巻き込んで成果を出した経験>から始めて
 
・人はどのような時に巻き込まれるのか
・人を巻き込むために日頃から意識すべきこと
・巻き込むために必須のインサイドアウトという考え方
 
そしてリーダーシップについて考察します。
 
効果的なスキルの習得方法も紹介し、皆さんが仕事でより良い成果を出せるようにお伝えします。
 
リンクした動画セミナーを何度も再生して学ぶことで、新しい発見を得て、それを実践に結びつけてください。
 
※この記事は、大手企業の労働組合の役員の方々、青年会議所の方々など、人を巻き込んでいくことが必要なお仕事やプロジェクトをされている方に対して行った「巻き込み力強化研修」の内容をまとめたものです。

はじめまして、この記事を執筆した佐藤政樹と申します。劇団四季出身の研修講師として【受講生を惹きつけながら気づきと学びを促すことをモットー】に、講演会やセミナーの講師だけに限らず大手企業などでさまざまな巻き込み力強化のリーダーシップ研修を行っております。記事の内容をお読みいただき、もしご興味いただけましたら、ページ最下部のプロフィールや研修内容の詳細をご覧いただけますと幸いです。

 
【このコラムの動画セミナーはこちら】

私の巻き込み成功体験

まず初めに、私の人を巻き込み成功して成果を出した経験について触れさせて頂きます。私はこの経験により大きな自信を培うことができました。

実績なし経験なしの状態から支援者を集めた

かつての私は、就職活動に失敗し、フリーターとして実績も経験も無い日々を送っていました。そうした背景から想像いただけると思いますが、社会的に全く認められていない存在であり、28歳前に劇団四季への入団に至るまでは、本当に誰からも相手にされない状態でした。
 
しかし、そのような状況から、プロになり、人々の考え方や見方を変え、自分を応援してもらえるように導いていった経験を有しています。

仮予約2000冊プロジェクト達成

また、私は「仮予約2000冊プロジェクト」という挑戦を行い、成功したことがあります。
 
初めての著書「幸運はなぜ向こうからやってくるのか」という本を学研より出版した際、出版社からの要請として、本の内容やタイトルが決まっていない状態で、2000冊分の購入予約を集めるという大きなミッションが課せられました。
 
この難題を2年の歳月をかけて達成し、多くの人を巻き込む技術や考え方を学び取ることができました。

Amazon予約700冊&イベント530人集客

2023年3月には、私の著書「人を惹きつける話し方」という本がプレジデント社より刊行されました。1冊目の経験を活かし、発売日前にAmazonにて大量の予約を獲得するためのキャンペーンを展開。
 
結果として、700冊近い予約を達成し、その後の売り上げも好調で、発売から1ヶ月で重版に至りました。これを祝してのイベントも開催し、無料にも関わらず530人もの方々が参加しました。
 
 
これらの成功経験を通して得た知見や秘訣を、このコラムを通して共有し、皆様のお仕事や活動に役立てていただきたいと思っているのです。

巻き込み力

セミナー開催を繰り返し人を巻き込んだ筆者

人を巻き込むための原理原則とは

まず、結論から申し上げます。極めて重要なのは、「人々は理念に共感し、ビジョンに賛同する」という事実です。
 
この原理原則を理解しないと、人を巻き込むことは難しいと私は認識しています。単純に「お願いします、協力してください、助けてください」と訴えるだけでは、非効果的であり、むしろ人々を遠ざける結果となるでしょう。
 
それでは、「理念に共感し、ビジョンに賛同する」とはどういうことか。
 
理念とは「なぜそれを行うのか」という根本的な動機や原点を示すものです。この理念が、自分都合の考えや個人の利益の追求ではなく
 
・他者や社会そして世界のためにどんな役に立つのか?というものになっている
・具体的な貢献や組織や社会への価値が明確にされている
・それを言葉にすることができている
・その理念を自分自身が深く腹落ちできている
 
のであれば、多くの人々が共感し人がそ集まるでしょう。
 
こちらの図をご覧ください。

巻き込み力


 
私が紹介するこの図では、中心部、星の形をした部分が「理念」を示しています。
 
多くの方がこの部分、つまり理念を自分自身と一体化させなければならないと考えるかもしれません。しかし、私の考え方では、この図の網目状の部分の中心に理念を配置し、自分自身はその半分内部、半分外部に位置し、その理念を俯瞰的・客観的に捉えるべきだと考えています。
 
この明確な理念を前面に掲げ、皆さん、共にこの理念に向かって進もうと提案することが大切です。
 
明確な理念が確立されれば、それに賛同してこの図の網目状の部分に集まった人々に、この方向に共に進んでいこう!という将来像を共有します。
 
これは「ビジョン」であり、理念を具現化した際の未来の社会や生活を描写するものです。人々を巻き込むためには、何故この活動や取り組みを行うのか、そしてその結果としてどのような未来が訪れるのかを明示すること、そして自身がそのビジョンに心の底から賛同しているかが非常に重要<です。
 
もし、この「星」、すなわち理念が自己中心的なものとなると、人々は離れていくでしょう。従って、最初に行うべきは、「なぜこれを行うのか」という理念をしっかりと確立し、全ての関係者が納得できるような目的、つなりなぜやるのか?を自分の言葉として話せることが最も重要です。
 
※具体的な巻き込み方、やり方、考え方は、後のインサイドアウトの項目で解説しますのでまずはじっくり読み進めてみてください。

仮予約2000冊プロジェクトからの気づき

さきほどあげた「仮予約2000冊プロジェクト」という挑戦を行った時の気づきを例にします。
 
私は仮予約2000冊の署名を集めるために最初に自身の夢やビジョンだけを人々に伝えるアプローチを取っていました。具体的には「本を出版したい、応援して欲しい」という形での訴求でした。親しい人々、例えば親類や家族、長く知っている友人は応援してくれましたが、そのサポートには限界がありました。結果として、私の夢や目的だけでは、より多くの人々を巻き込むことは難しく、サポートする人々が減少していきました。
 
この経験から、「自分のため、自分の夢のため」という考えだけでは人は集まらないと痛感しました。その反省から、私が何をやるのか、その理由や背景、そしてその活動が社会や他人にどう貢献するのか、といった「なぜやるのか」という部分を明確に伝えることが重要だと気づきました。
 
具体的には、セミナーの終わりに、私の理念や想いをしっかりと伝えるようにしました。私の経験、23歳のフリーターから劇団四季の主役までの道のりが、特に若者たちにとってのモチベーションとなると感じており、その経験をもとに若者たちの可能性を引き出すこと、そしてそれを通じて社会に貢献することを強く望んでいました。
 
その想いを率直に伝えることで、多くの支援者が集まり、私の夢に賛同してくれました。結論として、単に「応援して欲しい」という訴えよりも、自身の理念や目的をしっかりと伝えることで、他者や社会のために何をしていくのか、その方向性を示すことが極めて重要であると認識しました。
 
この図の網目状の星の部分に、自分向きの夢やビジョンではなく、理念(他人や社会に役立つための想い)を据えたのです。

人を巻き込むために日頃から意識すべきこと

次に人を巻き込み成果をあげるために日常の中で私たちが日頃から意識すべき行動が存在します。大前提となりますのでそれをここから解説していきます。
 

日頃から発信する

例えば人を巻き込むプロジェクトが始まるとしましまょう。そのスタートの段階の前にできること。それが普段からの準備や前もっての行動、例えば「種をまく」ような行動が極めて重要だということです。
 
その中で最も大切なのが「発信」です。
 
自らの仕事への思いや様々なプロジェクト、それに関連しない出来事、日常の活動や自分の価値観、読書の感想など、これらを積極的にブログなどのメディアで伝えることの重要性を強調したいのです。
 
発信を続けることで、次第に支持者やファンが増え、私たちを応援したいと思う人が増加します。副次的な効果として、発信の過程での文章作成は思考を整理し、話す力やプレゼンテーション能力を高める助けとなります。(拙著「人を惹きつける話し方」のなかでも繰り返し書いて発信することの重要性をお伝えしております)
 
私自身も、就職活動で全滅しフリーターをしているという、経験や実績が乏しい時期がありました。その時、成果がでてませんのでほとんどの人からは相手にされませんでした。「なにをやっているの?」と批判する人をいました。劇団四季の合格に向けて努力していましたが結果が出ていないので、ふらふらと生きているように思われていたのです。
 
しかしその中で、私は積極的に発信を続け、劇団四季への挑戦やその他の活動をメールマガジンで伝えていました。結果として、共感してくれたり刺激を受ける支援者が増え、私の挑戦を応援する声も増えました。
 
この経験から、定期的な発信の重要性を痛感しています。
 
総じて、自らのファンや支持者を増やすためには、普段からの発信が不可欠です。会社員であっても、ブログを通じての発信はおすすめします。万が一、実名での発信が難しい場合、匿名での発信もできます。何より、人を巻き込むためには、普段から発信してそれを人に読んでもらう習慣を日常に取り入れることが大切だと考えます。

人を喜ばせる(ギブファースト)の精神

次に重要なのは、「人を喜ばせる」という意識です。これは、高価なプレゼントを贈るような具体的な行為という意味ではなく、日常的なさりげない気遣いや、常に相手が喜ぶであろう方法を考えながらコミュニケーションをとることを指します。
 
この考え方は、仮予約2000冊プロジェクトを通して学びました。常日頃から、自らの活動や考えに共感してくれそうな人に対し、どのようにサポートを求めるかを考えるのは大切です。しかし、その前に重要なのは、「ギブファースト」の精神、つまり自らが先に与える意識から始めることです。
 
多くの人は「テイカー」として、自分に何がもたらされるかばかりを考えがちです。しかし、自分が持つ価値や情報を先に提供する(与える)ことが先決であり、それによって多くのものが返ってきます。見返りを期待するのではなく。提供した相手から何も返ってこなくても、他の方法で恩恵を受けることがあるからです。
 
近年はクラウドファンディングが流行っていますが、出資者を集める際に突然のサポート要請は個人的に驚いてしまいます。サポートを要請する前に、日常的にどのような関わりや価値を提供できるかを考えることが大切です。また、SNSにおいても、積極的にコメントを投稿するなどの行動も立派な、相手を喜ばせる行為です。
 
普段なんの関わりもない人やコミュニケーションが取れていない人、信頼関係が気づけていない人からの突然の要請や営業は受け入れがたいものです。
 
そのため、日常的に信頼関係を築く努力と、相手を喜ばせる習慣を持つことが非常に重要です。
 
私自身、仮予約2000冊プロジェクトを通して、単にサポートを求めるだけでは効果がないことを学びました。そこで、「ギブファースト」という考え方を取り入れ、自分が提供できる価値を明確にし、それをもとにアプローチしていく方法を見つけました。
 
例えば、劇団四季での経験を活かしたセミナーを無料で提供するなど、まずは自らの価値を伝え、その後にサポートを求めるアプローチを行いました。
 
結論として、何かを要請する前に、自らがどのように提供できるかを先に考えることが重要です。単に助けを求めるだけの「テイカー」の姿勢は、長期的には自らのモチベーションも下げる原因となるでしょう。

聴く力を高める

次に強調したい点は、日常的に意識すべき簡単な信頼関係の構築方法として「人の話を聞く」ことです。
 
現代社会では、話すことに専念し、真摯に他者の話を聞く人が少なくなっています。しかし、人の話を真剣に聞くことは一つのスキルであり、これを習慣化することは信頼関係の基盤を築く上での第一歩と考えられます。
 
相手の話を聞くことは、相手の存在を認める行為でもあります。これは「私はあなたの話に耳を傾け、あなたを受け入れています」というメッセージを相手に伝えることを意味します。そのため、相手の話を聞きながら目を合わせ、適切なリアクションや相槌を返すことが大切です。
 
人の話を優先して聞く習慣を持つことで、信頼関係を高めることができます。そして、その信頼が築かれた時、自らの考えや理念を伝えると、相手は自然とその思いに共感し、応援してくれるようになるでしょう。
 

理解しようとする関わり方

次に重要なのは「理解しようとする姿勢」です。この概念は「7つの習慣」にも取り上げられており、相手のことを理解する努力が先決であると説かれています。
 
多くの人々、私を含め、自らの考えや感情を理解してもらいたいと強く望むことがあります。しかし、その結果、相手が協力しなかった場合など、「なんで協力してくれないんだ」というような考えが浮かび上がることがあります。
 
特に、「なんでこの人は協力してくれないの?」といった疑問が自分の中から出てきたとき、それは「注意が必要」な状態であることを自覚する必要があります。
 
理解を求める前に、まずは相手の立場や感情を理解しようとする姿勢が求められます。これは「Give First(与えることが先)」の概念や相手の喜びを優先する考えとも共通しています。相手が何を望んでいるのか、何に困っているのか、どのような背景があるのか、これらを理解する努力が非常に大切です。
 
例えば、コップに水を注ぐ行為に例えると、既にコップが満たされている場合、新しい水は入りません。しかし、一度水を取り出すことで、新しい水が注ぎ込まれる空間が生まれます。
 
この例から、まず相手のことを理解し、その上で自分のことを理解してもらうという順序が重要であることが分かります。従って、相手の望みや悩み、必要としている事項を常に意識し、理解しようとする努力が必要です。

人を巻き込むためのインサイドアウトとは

人々を巻き込んでいく際に、非常に重要な考え方として「インサイドアウト」という概念が挙げられます。この考え方は、文字通り「内側から外側に」向けての発想を指します。
 
この概念を図解すると、一番中心に位置するのは「自分」であり、その自分の核となるものが「理念・信念・想い」となります。もしこれらが欠けていると、他者を引き寄せることは難しくなります。

巻き込み力


 
この「理念・信念・想い」は、単なる自己満足なものではなく、他者や社会との共感や貢献を目指すものであるべきです。
 
それは先ほどの図で例えると、自分が俯瞰しながら客観的に見れるものであり、同時に皆さんが協力・共感できるものでなければなりません。自らの信念や理念が他者や社会にとっての価値や役立ちとして明確でなければ、人々は集まってくることはありません。よって、この理念や信念、想いに深く納得し、真に理解している必要があるのです。
 
そして、その周辺には、信頼関係をもとに培った「コアメンバー」を配置することが必要です。この「コアメンバー」は、おおよそ3人を想定すると理解しやすいでしょう。
 
彼らは、自身の理念・信念・想いに深く共感し、ビジョンに対して全面的に賛同する存在でなければなりません。
 
これら3人のメンバーとなりうる人を普段からアンテナをたてて探していく意識が重要です。彼らは部下ではなく、真の信頼を寄せられるパートナー、あるいは右腕としての役割を担います。
 
コアメンバーへは、絶対に指示命令を下してはいけません。相談するのです。

例えば「今こんなことで 困っているんだけどもどうしたらいいのか」というような相談するんです。そうすることによって コアメンバーの中で「じゃあこうしたらいい んじゃないか」というアイデアが相手の中から出てくるのです。
 
この方法を取ることで、コアメンバー自身がプロジェクトの主人公となります。その結果、彼らが主体的に行動し、プロジェクトを主導していくことができるのです。

アマゾン予約プロジェクトの成功体験を例に考える

私のアマゾン予約プロジェクトの成功体験を挙げてみましょう。
 
コアメンバーは、「オンラインで講演会を開催するのはいかがでしょうか」と提案しました。オンライン上での講演会開催は人が集まりやすい可能性に気づいていたのです。また、「私のメールマガジンには約3,000人の登録者がいますよ、彼らに”佐藤さんが無料オンラインセミナーを開催します”と伝えたら、多くの参加者が集まりますよ。」
 
コアメンバーのひとりはそのような提案をしてくれ、実際に行動に移してくれました。このアプローチは、内側から外側へと理念や想いを順次拡大していく方法となります。
 
さらに、その周辺の輪のなかに、私のSNSフォロワー数よりも、影響力が大きい人が現れることがしばしばありました。その人たちがプロジェクトに巻き込まれていくことでさらに輪が広がっていくのです。
 
繰り返しますがコアメンバーへのアプローチは、指示や命令はいけません。共に考え、彼らを主役として考えてもらう方法を選ぶべきです。
 
この方針で、Amazonの予約キャンペーンや530人を集めた重版記念イベントなどの成功を収めました。その際、73000人のフォロワーを持つ方が途中から加わり、彼の提案や協力を得ました。
 
こうしたアプローチにより、私の理念が増幅され、その影響が仲間を通じてさらに広がりました。
 
この考え方「インサイドアウト」、つまり常に中心から外へと広げていくことが重要です。コアメンバーの選定や彼らとの関係構築、信頼関係の築き方は、日常の中での意識や行動として持続的に行うべきことです。
 
「指示や命令」は避け、彼らにアイデアを求め、主役として活躍させることが求められます。このアマゾンキャンペーンでは、多くの人々の予約を得て、最終的にAmazon総合ランキング150位まで上昇しました。700冊近くご予約頂けました。多くのコアメンバーの協力や、彼らのファンやコミュニティの存在がこの成功の要因となりました。
 
この「インサイドアウト」という考え方は、人を巻き込んでいく上での重要な考えとなります。輪を広げるためには、理念やビジョンの共有が不可欠です。理念に共感し、ビジョンを共有することで、目的や方向性を明確にすることが必要です。

巻き込み力

たくさんの方を巻き込み出版した本「人を惹きつける話し方」(プレジデント社)

巻き込むためのリーダーシップ3STEPとは

つぎにリーダーシップについて考えてみましょう。
 
多くの方が、自身に「カリスマ性がない」とか「リーダーシップ力がない」と感じるという悩みを持っています。
 
一般的には、リーダーシップとは「みんなの前に立ってグイグイ引っ張っていく」タイプというイメージが強いです。しかし、これは思い込みかもしれません。
 
実際には、積極的にグイグイ牽引していくタイプの人でなくても、人々を巻き込む力は持つことができます。逆に、「この人のこと、助けてあげなきゃ」と少し頼りないタイプの人の方が人を巻き込んでいけてしまうことがあるのです。
 
人を巻き込むためには必ずしも前に出てメンバーを牽引するかのように引っ張るスタイルが必要だと誤解している方が多いようです。その認識が実は正確でないことを、皆様にお伝えしたいと考えております。
 

リーダーシップをサッカー日本代表で考える

「リーダーシップ」という言葉は、カタカナでお馴染みですが、これを日本語に翻訳し、「〇〇力」という表現に変えて考えてみましょう。
 
多くの方は「牽引力」、「指導力」、または「統率力」といった言葉を連想することが一般的です。多くの人がリーダーシップを、先頭に立ち、他者を強く導くイメージとして捉えています。しかし、実際には、「牽引」や「指導力」、「統率力」、あるいは積極的に先頭に立って引っ張る行為だけが「リーダーシップ」を示すものではありません。
 
このリーダーシップの考えを、サッカー日本代表を例に考察しましょう。
 
私はサッカーが大好きです。日本代表のキャプテンとして知られる長谷部誠選手は、非常に高い「リーダーシップ力」を持っていると評価されています。彼のリーダーシップとは、チームをまとめ、統率し、指導する力、つまり「牽引する力」です。彼は、チームが落ち込んでいる時に「いくぞ」と声をかけ、前に立ってチームを引っ張るタイプのリーダーです。
 
それに対して、サイドバックの長友選手はどうでしょう。彼が、チームの雰囲気が落ち込む中、頭を金髪にしてチームのムードを明るくしたこともあります。彼は「コミュニケーション能力」が非常に高く、それを活かしてチームに貢献しています。
 
また、私は元日本代表選手からも興味深い話を伺いました。ベンチメンバーの役割は非常に重要で、試合に出場しないとしても、その存在がチームの勝敗に影響を与えることがあるとのことです。実際、ベンチにいる選手たちも試合を盛り上げる「能力」を持ち、それをチームに貢献しているのです。

人を巻き込むリーダーシップSTEP1

他の例として、部活動で3年間ずっと補欠であった経験を挙げましょう。中学の時、試合に1回も出場しなかったとしても、部室で常に仲間を笑わせ、雰囲気を明るくしていた。そして最後に、監督から「君の存在がチームにとって大切であり、そのおかげで勝つことができた」との言葉を贈られたとします。
 
この例から、場の雰囲気を整える「場作り力」などの能力が重要であることが理解できます。要するに、個々の持っている能力を組織や集団に対して発揮すること自体がリーダーシップであると言えます。
 
それは自分が持つ能力を用いて、状況や組織をより良くしていくという行動です。自分の天性の資質や、無意識の行動・思考習慣もこれに含まれます。自分の能力を周りに発揮していくと考えると「○○力」は何がはいるのか?
 
これを「プラスの影響力」と呼ぶことができます。
 
影響力とは、個人の持つ特技や強み、価値観、無意識の行動などを含んだものであり、これを他者に向けて発揮することで、組織や集団をより良くする力を意味します。
 
従って、先頭に立って強く引っ張るだけがリーダーシップではありません
 
それでは、あなたの持つ能力とは何かを理解するための3ステップを考えてみましょう。ステップ1は「リーダーシップとは、単に統率力や他者を引っ張る力だけではない、自分の持っている能力を通して周りに良い影響を発揮していくこと」という認識を持つことです。

人を巻き込むリーダーシップSTEP2

次に、STEP2とは「自己認識」です。まずは、自身を深く理解する必要があります。例として「人生の棚卸し」という手法が推奨されます。
 
先ほど挙げた部活の補欠の例のように、自身が場の雰囲気を明るくすることがチームにとっての勝利に繋がっていたという自覚がなかったことを、監督からの言葉によって認識することがあります。このような自らの価値を気づかないまま過ごすことは少なくありません。
 
従って、STEP2では自身の人生を振り返り、自己認識を深めることが求められます。
 
自己認識や自己理解を深めるための参考書として、八木仁平さんの「やりたいことの見つけ方」という書籍があります。この本は、自己理解を進めるのに非常に役立つと考えられます。
 
各種文献を参照しながら、自らの得意分野や興味を再確認し、それを理解することが非常に重要です。

人を巻き込むリーダーシップSTEP3

STEP3は、自分が大切にしている価値観や信念、そして特技や能力といった要素を「具体的に言語化する」という段階です。
 
『ストレングスファインダー』という名の書籍がこのプロセスをサポートしており、コンピュータを利用して入力を行うことで、自身が持つ強みや能力が明確に言語化されます。
 
「強み」とは、無意識に行っている行動や思考の原動力であり、自身にとっては日常的な行動や思考であっても、他者から見れば「すばらしい」と評価されるものです。
 
例を挙げれば、私自身は学習欲が強く、これが私の強みと言えます。多種多様な書籍を読み込み、情報を収集し、それを他者に伝えることが得意です。
 
多くの人々は、この能力を高く評価してくれますが、私自身にとっては、これは日常の一部でしかありません。
 
何よりも、多くの知識を吸収し、それを他者に伝えることで役立ててもらうことが、私の喜びです。この学習意欲を活かして、人々を巻き込む際にも役立てています。その上で、自分の持つ信念や仕事の理念、ビジョンを達成するため、持っている能力を最大限に活用することが重要です。
 
最後に、リーダーシップについての認識を再確認します。
 
リーダーシップは、必ずしも前面に立って指導するカリスマ的な存在である必要はありません。それぞれの持つ能力や特技を最大限に活用して、周りの人々を巻き込むことが、真のリーダーシップと言えるでしょう。

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リーダーシップを発揮するための3STEP〜主体的に働くために〜

自信について

最後に、多く受ける質問に答えたいと思います。
 
「私は自信がない」という声をよく耳にします。しかし、まず「自信とは一体何か」という問題を考える必要があります。
 
多くの方から「自信を持つための方法は?」と質問されることがあるため、人を巻き込んでいくために必要な自分への自信の作り方について私の考えを皆様にご紹介いたします。

自分の言ったことを行う

まず、「自分の言ったことを行う」ことが、自信の基石ではないでしょうか。自分自身に嘘をつく習慣があっては自信はうまれません。
 
少々難しいかもしれませんが、たとえ小さなことであっても、「言ったことは実行する」ということを継続的に心掛けることが重要です。
 
自信という漢字の如く、自分の言葉を行動に移すのです。それを意識していただければ幸いです。自分の言ったことを実行することで、自分との約束を守ることができます。たとえ小さなことであっても、他人に対して「言ったら実行する」という行動を繰り返し、自身の中に微細な自信を築き上げていくのです。
 

小さな成功体験を積み重ねる

小さな成功体験を積み重ねることは、多くの書籍でも言及されています。どんな些細なことでも、これらの成功体験を次々と蓄積し、自身のエネルギーとして転化させることが望ましいと感じます。
 
しかし、成功体験を重ねる中で、突如として全てが無に帰される瞬間が訪れることもあります。私自身、劇団四季のプロフェッショナルの世界に身を置き、どれほどの努力をしても時折、「今までやってきたことはなっだったのか・・・」とこれまでの取り組みが無意味であったかのように感じることが少なくありませんでした。
 
だが、そのような困難な時期でも、再び立ち上がる力が真の自信を養うと確信しています。その時は苦しくても、時間をかけてでも何度も立ち上がることができる。
 
そして、その回数が増えれば増えるほど、立ち上がるスピードも早まり、これこそが柔軟で真の自信ではないかと考えます。

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夢や目標に向かうための“しなやかな自信”の作り方
 

人生の棚卸しをする

前述しましたが、「人生の棚卸し」という概念について触れます。
 
私の推奨する方法は、自らが成し遂げた事項、それが小さなことであっても、明確に書き留めて目につく場所に掲示することです。
 
また、他者から受けた感謝の言葉や、先生や友人からの褒められた言葉も同様に記録します。もちろん、人生には困難や辛い瞬間も存在しますが、悪い過去や辛い過去ばかりではなく心を温めるような言葉や瞬間を振り返ることで、自己の力を再認識することができます。
 
私自身、手帳にこうした瞬間を記録し、日々それを眺めてきました。
 
また、達成した目標や思い出を「ドリームマッピング」という方法で写真に収め、それを貼り出してみるのも効果的です。これにより、自身の努力や成果を肯定的に振り返り、自己肯定感を高めることができます。
 
つまり、これらの方法を駆使して自分を視覚的に表現し、自己概念を向上させ、結果として自信を築き上げるというのが私の提案です。

ひとつのことを極めてみる

加えて、強く推奨する行動として、「一つのことを極める」という取り組みがあります。一つの分野やスキルを深く追求することで、単に自身の満足や充実感だけでなく、他者からの需要や評価も得られるようになります。
 
例として、私の知人には、Microsoft PowerPoint(以下パワポ)を極めた人がいます。彼はもともと自信が全くない人間でした。
 
その人はパワポを極めることで、社内で最もパワポに熟達しているとの評価を受けるようになり、資料作成時の効率やクオリティにおいても圧倒的な実力を持っていました。
 
その結果、「彼のパワポ技術は素晴らしい」との声が多く、多くの上司や同僚や後輩から助けを求められるようになりました。
 
これにより、「自身が他者の役に立っている」という実感と、それに伴う自信が芽生えるのです。したがって、何か一つのスキルや分野を深く追求することは、自信を育む上で非常に有効であると考えます。

そもそも妄想??

反応しない練習」という書籍がKADOKAWAより出版され、非常に大きな反響を呼んでいます。この書籍において著者は「自信とは、実際には妄想である」との立場を明確に述べています。
 
確かに、多くの人は他者との比較や、自らの理想とのギャップを見て自信を喪失することがあります。
 
私自身もかつてそのような気持ちに陥った経験があります。しかし、考えを深める中で、自信とは我々が内部で構築する「妄想」であることに気づきました。それは他者との比較であったり、自らの理想像との比較であったりします。
 
従って、「今目の前の事実に基づき、一つ一つの成功体験を積み上げる」ことが重要であると言われています。自信を単なる妄想と捉えることで、心はスッと軽くなり、より前向きな行動が取りやすくなります。

研修受講者の声

このコラムで紹介した巻き込み力強化の研修をある青年会議所様でやらせていただきました。非常に好評で公演後のアンケートをいただきましたのでその一部を紹介したいと思います。

人を巻き込む方法

青年会議所様正規メンバー21名中20名がプラスの回答

人を巻き込む方法

オブザーバー12名中12名がプラスの回答

人を巻き込む方法

対外参加者2名中2名がプラスの回答
 
合計35名中34名が巻き込み力強化の研修を受けて「理解できた、実践してみよう」とご回答いただきました。
 
参加者の感想
・仕事の従業員教育でとても役立つ内容だった。従業員とのコミュニケーションをしっかりと取り方向性を揃えていこうと強く感じた

・仕事を進める上で非常に参考になった。自社が一番儲かるスキームから考えるのではなく、メーカー様やお客様に喜んでいただくことを最優先に考えていこうと決意した

・社員やこれから関わる方に対して一方的に自分の思いを話すのではなくまず相手の考え方や境遇や背景を理解しようとすることが非常に重要だと考えた。実際にそれを実務を通してやっていく

・発信をし続けることの重要性は盲点だった。しかし絶対に必要なこと。自分もブログを立ち上げ社員や仲間に自分の考えや思いを共有することを決めた

・まずは相手のことを理解しようとする姿勢を持ちその上でどうすれば良いかを考えて行動することを決めた

・自分の信念や思いを明確化しそして自分のビジョンを描きそれを発信する

・私の周りにいる様々な人からその人のことをたくさん聞きそして何かをギブしていきたい

・なぜやるのかを自分自身改めて考えてそこから人に伝えていきたいと強く感じた

・まずは自分らしさを具体的に言語化する。それによって自分がgiveできることが明らかになるそしてビジョンも明確になる。ビジョンが明確ならなぜやるのかをもとに相手を巻き込んでいけるはず。そしてたくさんギブする。もちろんgiveへの見返りがなくても不満を抱かない。直接コントロールできる要素つまり行動と思考に専念していこうと考えた

・大義から伝えることは絶対に必要だと感じたその上でビジョンを伝えるそしてビジョンを毎日のように振り返ることも絶対に大切なことだと改めて研修を通して感じた

・自分と関わりのある周りの方々に対して今何を目標としているのか何に対して喜びを感じるのかどんな願望があるかなどを聞いていることから始めます

・佐藤さんの信頼貯金という言葉がとても印象的だった。何か難しいことをするわけではなく相手の話に真剣に耳を傾けることから意識すれば信頼貯金はたまっていくと本当に感じた

・まずはギブファーストの精神を持つところから始めてみる

・離職率が高い私たちの業界でたくさんの仲間を集めるために、まずはギバーになることに決めた。そして行動していく

・私は接客業をしているのだが接客の際でもなぜ今私がこの商品やこのサービスをおすすめしているのかという点を理解してから具体的な接客に入ろうと決意した

・ギバーを意識してもらうよりも先に与えることを実行していきたいと思います。自分自身はテイカーでした。もらうことばっかりしか考えていませんでした

・自分のことばかり話すことが多いのでまずは相手のことを理解するよ信頼を得られるよう聞き上手になろうと決めた

巻き込み力研修のまとめ

このコラムで紹介した取組みは、日常の仕事で実際の成果として表れると信じています。ただし、一度の学びだけでその技能が身につくものではなく、継続的な努力が不可欠です。このコラムや動画を何度も参照し、その内容を反復的に実践することが鍵となります。
 
多くの人は「リーダーシップやカリスマ性がない」「自分の意見をうまく伝えられない」と感じることがあるでしょう。しかし、これらの課題の解決は、他者の話を真摯に聞き、相手を理解しようとする姿勢から始まります。そういったコミュニケーション能力の向上は、信頼関係の築き上げと直結しており、人間関係の構築においても同様のスキルが求められます。
 
自分を変えるためには、短期間での劇的な変革を期待してはいけません。「一瞬で自分を変える」ようなことは不可能です。

真の成長は、日々の小さな成功体験を積み上げることから始まります。その積み重ねが、他者を引き込み、一緒に目標に向かって進む力となります。
 
最後に、皆様がこの動画やコラムを通じて、人を巻き込む力を強化し、具体的な成果を上げることができるよう心より願っております。
 
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