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大手金融企業の管理職候補のための営業力・リーダーシップ研修を開催しました
先週金曜日、都内にある大手金融企業の管理職候補の方々に向けた、営業力・リーダーシップ研修を開催しました。
研修のテーマは「人を動かし成果を上げる伝わる技術」です。
今回の研修は、今後管理職に昇進される20〜30代の中堅社員が対象でした。彼らは、部下たちの仕事ぶりをマネジメントしつつ、コールセンターや窓口業務などで、自らがお客様と接する立場です。
私が劇団四季の10年間の経験を通して学んだ、営業力とリーダーシップの本質を、2時間かけてお伝えさせていただきました。
営業力・マネジメント力を高める「伝わる」技術とは?
皆さんは今まで、自分の思いが相手に伝わらなくて、もどかしいと感じたことはありませんでしたか?
「伝える」と「伝わる」はまったく違います。
参加者の方々には、「伝える」と「伝わる」の違いを、1分間ほど考えてもらう時間も作りました。
自分の思い・考えを相手に一方的に「伝える」だけでは、一方通行のコミュニケーションとなってしまいます。
「伝わる」とは、自分が伝えたことを通して相手が何かプラスの影響を受けて行動を起こしている状態です。
伝わるという感覚を体得していただければ、お客様や部下とのコミュニケーションが今よりも数段スムーズになります。
劇団四季では、言葉を磨くことによって、「伝わる」技術を徹底的に磨いてきました。しかも、感覚的に捉えるだけでなく、しっかりと「形式化」された技術です。
伝わる秘訣は「肚(ハラ)」にあり
お客様や部下との関わりの中で、相手に対して「上手く」伝えようとしたことはありませんか?
仕事の現場ではよくあることです。
相手に自分の思いが「伝わる」ことと、「上手く伝える」ことは、まったく関係ありません。
私は「伝わる」技術のなかで、「肚(ハラ)」を意識することをお話ししてきました。
多くの人は、上手く伝えようとして自分よがりの考えになり、「頭」と「胸」で伝えようとしています。
伝わるためには、あなたの言葉が「肚」から来るものかを意識しなければなりません。
研修の中で、結婚式でのスピーチを例に出してお話しさせていただきました。友人の結婚式のスピーチを任されたある男性の話です。
その男性は、スピーチ本番において、前日に作った原稿を持ちながら、緊張でブルブル震えていたのです。しかし、その直後に吹っ切れたかのように、持っていた原稿を投げ捨て、新郎新婦の方に向き直り、淡々と話し始めました。
彼の話は決してうまい方ではありませんでした。ですが、誰もが彼のスピーチに心を打たれました。スピーチが終わった後は、会場中から大きな拍手が上がりました。
男性は、はじめは上手く話そうと、頭と胸に意識があったのでしょう。
上手く話すことを手放した瞬間、意識が「肚」にシフトしたのです。
どうですか?あなたもこの男性と同じように、頭と胸で伝えようとして伝わらなかった経験、なかったでしょうか?
一昨年、TEDxでこの「胎」についてプレゼンするという貴重な機会をいただきました。
「胎」について詳しく知りたい方は、ぜひTEDxの動画つきの記事を読んでみてください。
関連記事→TEDx佐藤政樹さんの胎(はら)プレゼン(動画あり)
「肚」で話すためのコツは、ありのままの自分を出すこと
あなたがいくら論理的にものごとを話したとしても、相手にあなたの思いは伝わりません。
それは、あなたの意識が「頭」あるいは「胸」にいっているからに他なりません。
では、先ほどお話しした「肚」を意識するにはどうすれば良いでしょうか?
それは、ありのままの自分を出すことです。
あなたは、部下に対して本音で向き合っていますか?お客様のことを第一に考えて商品やサービスを提案していますか?論理的に言葉を整理して、相手を説得してやろうと考えていたら、絶対に相手に逃げられます。
話す内容が上手くなくたって、全然良いんです。
相手が求めているのは、嘘のないありのままのあなたの言葉です。
私は劇団四季を退団後、食品会社で飛び込み営業をしてきました。初めは営業先のお宅で胸ぐらを掴まれるような辛い経験をしたこともありました。けれども、劇団四季で培った「肚」に意識を向けて言葉を発することを意識し始めてから、営業の成績が劇的に変化しました。
私は、お客様に自社の食品を提案するにあたり、まずは自分が食べてみて美味しいのかどうかを実感することから始めました。深く深く実感しました。この食品を食べてみて美味しかったのかどうか。美味しいとしたら、その理由はなぜだろうか?どんな人たちがこの食品を生産しているんだろう?
そうやって深く深く自分に落とし込んだ言葉は、確実にお客様に伝わったのです。発する言葉に対して、嘘はありません。
ですから、あなたが部下やお客様と向き合うときに意識すべきなのは、あなたが発する言葉の背景を深く考えることです。
なぜあなたは、部下やお客様に対して、その言葉を発するのでしょうか?そもそも、その言葉は必要なものなのでしょうか?その言葉に、嘘や飾りはないでしょうか?
あなたがそうして深く深く落とし込んでいった言葉は相手に届き、自然に行動へと移していることでしょう。
「肚」を意識するために、まずは挨拶から実践してみませんか?
肚を意識すると言われても、何をすれば良いのか分からないですよね。
まずは職場で「挨拶」の習慣を身につけてみてください。
挨拶といっても、「おはようございます」と漠然と言えばいいわけではありません。大きな声を出して言えばいいものでもありません。
部下たちの目をしっかり見て、心を込めて「おはようございます」と「肚」を意識しながら言ってみてください。別に大きな声を出さなくても良いのです。
「おはようございます」を頭で唱えることと、「今日も一日頑張ろうぜ」という気持ちを込めて言うのは、同じ言葉でも全然意味合いが違います。
日々の行動・習慣の積み重ねが、のちに大きな成果につながります。
部下を分からせようとして信頼関係が崩れたことはありませんか?
管理職として、これからチームを引っ張る立場の方であれば、部下とのコミュニケーションは欠かせませんよね。
研修の中で、コミュニケーションスタンスについて話しました。
部下とのコミュニケーションの中で鍵となるのは、
・質問する
・承認する
この2つだけです。この2つを現場で実践するだけで、部下と圧倒的な信頼関係を築くことができます。
私は劇団四季の時代、子役担当の子供たちと関わっていたこともありました。子供たちの話をとにかく聞きました。子供たちに至らぬ点があったとしても、頭ごなしに怒ることをせず、すくいながら質問を繰り返しました。
その結果として、私は子供たちと絶対的な信頼関係を築くことができたのです。もし当時、頭ごなしに叱っていたならば、子供たちは私の元を離れていたでしょう。
コミュニケーションを促進する上で、相手のちょっとした変化や進歩を褒めてあげる(承認する)ことも大事です。
上司から、あなたの行動を褒められたりしたら、嬉しくなりませんか?毎朝早く出社するとか、元気よく挨拶するとか、ほんのちょっとしたことでも構わないのです。
そのような部下のちょっとした行動をしっかりと見てあげて、声かけしてあげるだけで、「上司は僕のことをしっかり見ててくれるんだな」と感じ、嬉しくなるものです。
【関連記事】→コミュニケーション能力の向上が組織に成果をもたらす
女性社員の方から質問「緊張しないようにするためのコツはなんですか?」
研修の中で、女性の社員の方からこんな質問がありました。
「佐藤さんは、こういった研修では緊張することなくリラックスして話しているように見えますが、私はどうしても緊張してしまいます。佐藤さんのように緊張せずに話せるようになるには、慣れも必要かも知れませんが、他にもコツがあればお聞きしたいです。」
とてもいい質問です。
この女性社員の方は、自分が研修を受ける理由を自分なりにしっかりと考え、成長しようとする姿がとても素晴らしいなと感じました。
緊張しなくなるためのコツについて、詳細は「プレゼンで緊張しなくなる秘訣」に譲りたいと思います。
意外に思うかも知れませんが、私も研修や講演の場ではとても緊張します。実際に講師がいる場所に立ってもらうと分かります。
せっかくなので、女性社員に前に出て来てもらいました。20人ほどの参加者たちの視線が、1人の女性社員に一気に集まります。
こんな場面に立たされたら、誰だって緊張しますよね。緊張してしまうのは、私も例外ではありません。だからこそ、私はコンサートなどに行った時は、開演前に最前列に立って人前に立つ感覚を磨く練習をよくしています。先日行った国際フォーラムは五千人規模で壮観でした(笑)。
コンサートなどに行った時は必ず最前列に行き大勢の前に立つ練習をする
緊張することを、ご自分でちゃんと認識されているのですから大丈夫です。その緊張感を、うまく自分の武器に変えいってください。
研修の中では、何度かグループ内でシンキングタイムを設けましたが、後半になるにつれて社員の方がグループ内で自発的にディスカッションをするようになり、場の雰囲気は大きく盛り上がりました。
関連記事
プレゼンで緊張しなくなるための秘訣(1回目)
プレゼンで緊張しなくなるための秘訣(2回目)
プレゼンで緊張しなくなるための秘訣(3回目)
研修のラストは佐藤政樹の「実演」で締めくくり
研修のラストでは、私が劇団四季で主人公を務めた経験を生かして、今回の研修を圧倒的に体感していただくために実演をさせていただきました。
肚から発する言葉というものがどのようなものなのかを、参加者に体感してもらうためです。
劇団四季では、「ゼロ幕」というものを意識しています。簡単に言えば、「毎日が初日のつもりで」を意識することです。
同じ舞台公演を、何日間にも渡って行うことがあります。その日の公演が、前回までと同じものという考えになってしまえば、その公演は単なる惰性のお遊戯会になってしまいます。
公演のたびに、
・自分はなぜそこにいるのか?
・その日に一番伝えたいメッセージはなにか?
を常に意識します。
それを主役だけでなく、舞台の後ろに立つ木の役や草の役やサボテンの役ですら意識するのです。
あなたは日々、どんな意識で仕事に取り組んでいますか?
会社から言われて、惰性で仕事に臨んでいたりしていませんか?
あなたの仕事に臨む意識は、声に出さずとも周りに伝わっていますよ。どんな意識で仕事に臨むのか、一度ゼロ幕を考えてみてください。
佐藤政樹研修 お客様の声一覧はこちら
話し方やプレゼンどうこうの前に
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